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アトラス×ヴァニラウェアの新作『ユニコーンオーバーロード』はワールドマップが美しいだけじゃなく“想像の10倍”広かった。「SRPG=ステージ制」のイメージをぶっ壊す、新境地を切り拓く【TGS2023】

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 『十三機兵防衛圏』『ドラゴンズクラウン』『オーディンスフィア』……どれもジャンルは異なるが、一度見たら忘れられないような強烈な印象を与える作品だ。

 その理由として真っ先に思い当たるのは、ヴァニラウェア作品特有の2Ⅾグラフィック。美しいという言葉では足らない、まさに“アート”という表現がふさわしいビジュアルの魅力が挙げられるだろう。

 9月14日(木)に「Nintendo Direct」で発表された新作『ユニコーンオーバーロード』も、その強みを活かしているタイトルであることは間違いない。事実、ゲームシステム面の情報が少ない初報の段階でも「アトラス×ヴァニラウェアの新作」として多くのユーザーが注目し、名だたるタイトルが紹介された番組の中でもひと際輝きを放っていた。

 しかし『ユニコーンオーバーロード』の魅力はそれだけではない。本作は「シミュレーションRPG」の新たな境地を切り拓く一作になる……かもしれないのだ。

 本作の特徴はシミュレーションRPGでありながら、広大なフィールドを自由に探索し、プレイヤー自らがルートを決定できること。ステージ選択式がメジャーなジャンルの中、古くからRPGが魅力としてきた“どこにでもいける冒険”の魅力を採り入れてしまったのである。

 しかも旅する世界は、みんな大好きヴァニラウェアの美しいビジュアルで描かれたもの。こんなの、旅したくなるに決まっている……!

 今回、インタビューに応じてくださったのはヴァニラウェアのディレクター・野間崇史氏、メインプランナー・中西渉氏と、そしてアトラス所属のプロデューサーである山本晃康氏の3名。いずれも「シミュレーションRPG」というジャンルに並々ならぬ思い入れを持たれているのが、トークの節々から感じられた。

 またインタビュー中では開発中のゲームプレイ映像を交えて、システムに関する解説もしていただいた。本稿を通じて『ユニコーンオーバーロード』への解像度が高まるとともに、本作に注がれた尋常ならざる開発陣の想いと、信じられないほどの作り込みが少しでも伝われば幸いに思う。

取材・文/久田晴


自由にフィールドを歩き回れ、シームレスに戦闘がはじまるSRPG……!?

──まずはアトラス×ヴァニラウェアの座組みで贈られる新作『ユニコーンオーバーロード』、晴れて発表となりおめでとうございます。公開されたばかりの作品ということもあり、恐縮ですが基本的なゲームプレイの部分からお聞きしてもよろしいでしょうか。

野間崇史氏(以下、野間氏):
 はい、ゲームの基礎サイクルはフィールドを探索してイベントやステージを見つけ、それらを攻略して仲間を増やし、戦力を整えてさらに先へと進んでいく……といった具合ですね。シミュレーションRPGというと決まった順番でステージを攻略していく形を想像される方が多いと思いますが、本作では広大なフィールドを探索し、プレイヤーさんが自らステージを探して攻略する、という流れを大切にしています。

──確かにシミュレーションRPGと言えばステージの順番が決まっているイメージが強く、初報映像を見たときは本当に「どういうゲームなんだ?」と思ってしまいました。

野間氏:
 探索は本当にフィールドマップ中を自由に歩き回れますので、序盤からステージを無視してどんどん進んでいくこともできますよ。

中西渉氏(以下、中西氏):
 イベントがはじまりそうになっても無視して、好きな方へ歩いて行けます(笑)。フィールド上の敵はシンボルエンカウントなのである程度は交戦を避けられますし、エンカウントした場合は一戦で全滅させるか、“優勢勝ち”であればそのまま探索を続けることができます。

山本晃康氏(以下、山本氏):
 とはいえ、調子に乗って進んでいくとどんどん敵が強くなっていき、どこかで負けちゃうと拠点まで戻されるんですけどね。

──(敵やイベントを無視して突き進む自由奔放なゲームプレイを見て)いや、自由すぎますね……。本当にどこでも行けるんだなと。ここだけみると未だにシミュレーションRPGとは信じられない気持ちになります(笑)。

中西氏:
 一応、序盤のうちはわかりやすいように、危ないところへ行こうとすると仲間に引き留められることもあります。それでもなお、進むというプレイヤーさんもいらっしゃると思いますが……(笑)。

──「どこにでも行けるけど、敵が強くなるので自然と進めない」という構造は往年のRPGを思い出しますね。

中西氏:
 その通りですね。極端な例ですと、最序盤から最終決戦に挑むことも可能ですが、さすがにレベルの差が大きすぎて太刀打ちできません(笑)。

『ユニコーンオーバーロード』開発陣インタビュー【TGS2023】_001
(画像はニンテンドーeショップ『ユニコーンオーバーロード』より)

野間氏:
 なので、「他へ行った方が楽に進めると思うよ?」みたいな誘導は入れていますね。それでも無理して進んでいただくこともできますし、そういった自由度は本作で特に大事にしているところです。

 こうして好きなところから攻略していただき、クリアしたステージによって色々な仲間が加わります。仲間にはそれぞれ兵種がありまして、「この兵種がいると、ここのステージは攻略しやすい」というような特徴があります。なので、ステージに挑む順番によって、攻略難易度も変化してくるような構造になっています。

──フィールド上で敵にぶつかると戦闘がスタートして、横画面で敵味方が向かい合うバトルシーンに移行するんですね。このひとつひとつのバトル自体はオートで進行しているんですか?

野間氏:
 はい、戦闘そのものはオートで進みます。戦闘システムの詳細についてはまだお伝えできないところも多いのですが、キャラクターごとに作戦を設定しておくようなイメージですね。

山本氏:
 基本的には兵種の相性が、バトルの勝敗を決める大きなファクターになります。空を飛ぶ敵には弓兵が強く、物理防御に秀でた敵には魔法が良く効く……という具合ですね。いわゆるシミュレーションRPGのお約束的な「すくみ」のシステムが基盤になっていますので、敵の構成に合わせて自軍を編成するというオーソドックスな遊び方で楽しめるかと思います。

中西氏:
 分かりやすい例を挙げると「シーフ」というクラスは、「敵の攻撃を一回だけ回避する」というスキルを持っています。でも「ハンター」など「必中」のスキルを持った味方がいれば、回避を許さずダメージを与えられるので、その分バトルを有利に運べます。

野間氏:
 山本さんも仰っているように、基本的には兵種の相性で有利を取っていくのがバトルの要です。そのうえで、プレイヤーさんが「あえてこれをやりたい!」というようなオリジナルの戦略を練られるよう、細かな作戦システムも導入しているという感じですね。これもすごくやり込みがいのある、面白いシステムに仕上がっているんですが……詳細はまた後日にお話しさせてください(笑)。

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ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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