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最もこだわったキャラも、最も難航したキャラも、「ロックブーケ」だった。『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』開発者に聞く、「現代に落とし込む」キャラクターデザインのこだわり

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原作からの「増やす」と「残す」の判断

──リメイクされた箇所で言うと、ソーモンでのクジンシーとの戦いで、ジェラールとクジンシーの会話が増えていることが印象的でした。この「オリジナル版からセリフを増やす」ということに関して、開発チーム内ではなにか議論などがあったのでしょうか。

田付氏:
オリジナル版の戦闘中の会話は、デフォルメされたドットのキャラが吹き出しで会話するような画面作りになっていたと思います。もちろんあれもかわいくてテンポのいい会話だったとは思うのですが、それを3Dにした時、どうしても「余白」が生まれてしまうんですよね。

クジンシーとの戦いで増やしたセリフも、この「余白」を埋めていくためのものでした。

ただ、これも中々塩梅が難しくて……余白を埋めるために足したセリフが、結果として「蛇足」になってしまう可能性もあるとは考えていました。だから、一旦3D化してみて、「ここは余白が空いているな」という箇所をチェックし、そこを埋めていくような形で作っていきました。

ちなみに、ジェラールとクジンシーのやり取りは、どちらかというと余白を埋めるというよりかはドラマチックさを演出するためにプラスした……という意図が大きかったりします。

──それで言うと、「七英雄」はオリジナル版の段階ではキャラクター性が定まっているような、定まっていないような描かれ方をしていたキャラもいたと思います。この「七英雄のキャラクター性を捉える」ところは、リメイクする上では難しかったのでしょうか。

田付氏:
七英雄に関しては、原作だけでなくその後の舞台版や『ロマンシング サガ リ・ユニバース』であったり、あとは『LOAD of VERMILION』とのコラボでも描かれていたり……オリジナル版がリリースされてからの30年の間に、さまざまなコンテンツで設定が深堀りされているんですよね。

だから、七英雄の性格やキャラクター性はこの30年間でかなり確立されたところもある思っていました。今回のリメイクも、そこに合うような形で作っていきましたね。

【ロマサガ2 リメイク】『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』田付信一Pインタビュー:ロックブーケへのこだわりを聞く_010

【ロマサガ2 リメイク】『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』田付信一Pインタビュー:ロックブーケへのこだわりを聞く_011

──「セリフを増やした箇所」とは逆の話になってしまうのですが、オリジナル版にあった、ある種「サガらしいセリフ」が残されているのも印象的でした。アバロンの宿屋に泊まろうとすると、宿屋の人に一度止められたり……この「オリジナル版のセリフを残す」判断は、どういった形で行われたのでしょう?

田付氏:
オリジナル版のセリフは、基本的に残しています。

リメイクの方針としては、「セリフを追加する」「わかりづらい表現を変える」といったところに留めておき、セリフを取ってしまうようなことはあまりしていません。NPCやイベントで登場するキャラクターのセリフなども、可能な限りそのままにしています。

まぁ、3Dで見た時にちょっと違和感を覚える箇所もあるかもしれないのですが……そこはむしろ「サガらしさ」が出るところなので(笑)。

『ロマサガ2』は、今も昔も唯一無二のタイトル

──個人的にお聞きしたいこととなってしまうのですが、オリジナル版の『ロマサガ2』は難度が高いことでもお馴染みの作品となっています。田付さんが初めて『ロマサガ2』をプレイされた時、もっとも苦戦した箇所はどこでしたか?

田付氏:
やっぱり、ラスボスの「七英雄」でしたね(笑)。

初めてラスボス戦に辿り着いた時は、もうどうしようもなくなってしまい……結局前のセーブデータに戻ったりしました。30時間くらいでクリアした記憶があるのですが、そのうちの10時間くらいはラスボス周りを行ったり来たりしていた記憶があります。

【ロマサガ2 リメイク】『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』田付信一Pインタビュー:ロックブーケへのこだわりを聞く_012

──率直ですが、「『ロマサガ2』をリメイクする上で最も大切にされたこと」もお聞きできればと思います。というのも、オリジナル版はシステムやストーリーなども含め、絶妙な塩梅で作られたタイトルだったと思います。それをリメイクするとなると、かなりの繊細さが求められるのではないかと感じていました。

田付氏:
でも、『ロマサガ2』って同時に軸がしっかりしているタイトルでもあるんです。
当時としてもユニークなタイトルですし、現代でも十分にユニークだと思います。

ある意味、『ロマサガ2』は、他に類を見ない唯一無二のタイトルだと考えていました。作品をリメイクする上で、「当時はユニークだったけど、いまリメイクしてみると普通だよね」と思ってしまうタイトルもあるとは思うのですが、『ロマサガ2』でそうはならないだろうなと。

だからこそ、現代にリメイクしてもそこまで違和感はないタイトルだと感じていました。その上で、30年経って、どうしても遊びづらくなっているシステムなどを現代向けに改修していく試みは、すごくやりがいがありましたね。

そんな『ロマサガ2』のユニークさを残しつつ、システム周りは現代向けに調整していくのが今作の開発の方針でした。

──たしかに、『ロマサガ2』のシステムは現代でも通用するユニークさがありますよね。では最後に、今作を楽しみにされている方に一言いただければと思います。

田付氏:
リメイクを楽しみにされている原作ファンの方には、原作の良さを残しつつも新しい要素を取り入れた『ロマサガ2』を楽しんでいただければと思います。

そして、まだ一度も『サガ』シリーズをプレイしたことがない方々にとっては、『サガフロ』もあれば『ロマサガ』もあれば『サガエメ』もあればで、「どこから始めればいいのかわからない」「難しいんじゃないの?」と感じられているのではないかと思うのですが、今回は難易度選択も用意していて、非常にわかりやすく、かつプレイしやすくなっています。

ぜひ、『サガ』シリーズのスターターとして、この『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』に触れていただければと思います。そして、合わせて体験版も配信されておりますので、ぜひ触ってみていただければ!

【ロマサガ2 リメイク】『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』田付信一Pインタビュー:ロックブーケへのこだわりを聞く_013


さて、『ロマサガ2』をリメイクすることへの創意工夫と、ロックブーケの気合の入れようをうかがった田付氏へのインタビュー、いかがでしたでしょうか。本当に4分の1くらいロックブーケの話してますね。

ワグナス! ロックブーケがかわいいぞ!!
わかっていただろうにのう ワグナス

……じゃなくて、そのくらい「『ロマサガ2』を現代に蘇らせること」に真剣なタイトルだったということです。もちろんロックブーケ以外のキャラクターも魅力的に仕上がっているので、そこもお楽しみに。

加えて、『ロマサガ2 ROTS』の体験版も、本日より配信が開始されています。ゲームの冒頭からプレイすることができ、途中まで遊べるとのこと。そしてデータは、製品版にも引き継ぐことができます。

今作のキャラクターデザインや遊びやすくなった各システムを一度触ってみたい方は、ぜひ体験版も触れてみてはいかがでしょう。

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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