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シャドウには“背負ったもの”がにじみ出るダークなカッコよさがある──。『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』開発陣にシャドウの魅力を聞いてみた

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「ジェネレーションズ」のハイスピード感をしっかり受け継いだ『シャドウ ジェネレーションズ』

──ここまでソニックとシャドウの違い、みたいな質問をお聞きしてきましたが、 逆にソニックとシャドウで同じにしたかった部分、プレイヤーの方に同じように感じてほしかった部分というものはあるでしょうか?

鴫原氏:
やっぱり『ジェネレーションズ』っていうタイトルなので、その名前が背負っているものをずらさないようには心がけてきました。以前の『ソニック ジェネレーションズ』って、お客様にはハイスピードアクションとしての評価を頂いているゲームだと思うんですね。

同じ『ジェネレーションズ』という名前を使うからには、そのハイスピード感、ハイスピードアクションっていうところはしっかり引き継いで、『シャドウ ジェネレーションズ』を作ってきました。

中村氏:
今まであんまりお話はしてないんですけど、『シャドウ ジェネレーションズ』には「ホワイトスペース」っていう広い3D空間みたいなものがあります。今まではそれは『ソニックフロンティア』にインスパイアされている、みたいな言い方をしてきたんですけど、単純にそれだけではないんです。

『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』開発者インタビュー。ソニックとシャドウの違いや、映画からの影響は?_005

『ソニックフロンティア』が出たことで、やっぱりお客さんも広い空間が欲しいだろうっていうところは我々も感じていたんですが、そこでしっかり『ジェネレーションズ』らしさみたいなのを出しながら作ってきたのが、この「ホワイトスペース」っていう空間なんです。そこには、今回追加された「ドゥームパワー」も関わっています。

『ソニックフロンティア』が、好きな場所に好きな時に、縦横無尽に動けばいいっていうものだったのに対して、今回は「ドゥームパワー」を入手することで行ける場所が増えていくっていう作りになっていて、その能力を駆使することで、どんどん新しいステージ、新しい場所を開拓していくことができるようになっているんです。

ですから『ソニック ジェネレーションズ』をプレイしていた方に『シャドウ ジェネレーションズ』をプレイしていただくと、作りとしては『ジェネレーションズ』だなって思えるようになっています。

それぞれ違うものではあるんですけど、ひと括りになった時に、 ソニックの歴史をたどる『ソニック ジェネレーションズ』、シャドウの歴史をたどる『シャドウ ジェネレーションズ』で、ゲーム的には全体的に『ジェネレーションズ』になってるぞっていう風に感じるような形になっていると思います。変則的なものがふたつ混じってはいるんですけど、そこのコーディネートっていうのは、かなり鴫原の方で気を付けて作ってくれています。

──なるほど、ドゥームパワーを使って、使うことによって少しずつ世界が広がっていく楽しさをユーザーさんに感じてもらいつつ、全体としては『ジェネレーションズ』である、という統一感がしっかりあると。
それでは改めてになるんですが、今作が単なるシャドウのゲームではなく、ソニック・シャドウのふたつの『ジェネレーションズ』になった理由をお伺いできるでしょうか?

中村氏:
先ほど、どうしてこのタイトルを作ることになったのかっていうお話をしましたが、やっぱり映画の影響もあって新しいお客さんがすごく増えているので、その方たちに「ソニックとシャドウのことをもっと知ってもらう」というのがベースにありました。

その意味で言うと、今回のリマスター元の『ソニック ジェネレーションズ』というのは20周年記念タイトルになっていて、過去から現在までの歴史をたどるという意味合いもあったんですね。プレイヤーの方にとってのソニックの思い出を味わってもらいながら、気に入ったら昔のタイトルもやってみてね、みたいなところも含めて出したタイトルでした。

そこに『シャドウ』も用意することで、ソニックとシャドウ両方のことを詳しく知ってもらえて、ソニックシリーズの中心的なハブになる。映画を見ていただいたお客様が、ちょっとダークでかっこいいっていうシャドウだけではなくて、正統派なソニックの良さみたいなところも拾ってもらえるようにするのが、今回ソニックとシャドウっていうふたつのパッケージを用意したことの理由になります。

『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』開発者インタビュー。ソニックとシャドウの違いや、映画からの影響は?_006

──映画でソニックっていうのがジャンルに初めて入った方に向けて、シャドウというキャラクターに繋いでもらいつつ、ソニックシリーズをまとめて紹介していこうという狙いなんですね。

中村氏:
これは新しい方に対してもそうなんですけど、古くからのファンの方に対しても、それぞれの懐かしい記憶を思い出しながらやっていただきたいですね。

今日、TGSの会場を歩いてる時にも「『アドベンチャー2』から久しぶりにシャドウが見れたね」なんてことを話してる方もやっぱりいらっしゃって。このタイトルは単なるリメイクというよりは、きちんとプレイヤーさんが思い出をたどっていけるところまでうまく作るっていうのを重視してる感じです。

──映画の影響もあって、ゲームとしてのソニックシリーズを初めてプレイするという方も増えてきてると思います。ゲーム制作の上で、そういった方がプレイしやすいように注意されている部分などはあるでしょうか?

鴫原氏:
『シャドウ ジェネレーションズ』に関しては完全新作というところもあるので、ハイスピードではあるのですが、ドゥームパワーとかカオスコントロールといった能力を使った進む場所は最小限に、言い換えると「あまり難しいこと考えずにクリアまではいけるよ」というような形では作っています。

同時にですね、同じコースの中にルート分岐がたくさんあるっていうところの話に繋がるんですが、ドゥームパワーとかカオスコントロールを使うことで「こんなコースあったんだ」とか、「こんなにタイム縮まるんだ」みたいな驚きも上級者の方には伝わるように、慣れてない人にも上手い人にも、どちらに対しても訴求できるように心がけています。

カオスコントロールも、敵の攻撃が来た時に時間を止めることで、初心者の方にとっても使いやすいような機能になってるんですが、実はあれ、本当にゲームのタイマーまで止まっちゃうんですよ。ってことは、上級者の方はこれを駆使していけば、ものすごいクリアタイムを出すようなこともできちゃいます。ぜひぜひ買って極めていただきたいな思いますね。

“シャドウのファンだった開発者”たちが込めるこだわり

──ちょっとまたソニックとシャドウのキャラについての話に戻るんですけれど、両者の関係性みたいなものをお聞きしたいなと思います。別の場所で行われたインタビューの中で、御社の飯塚さんが「シャドウっていうのは、ドラゴンボールのベジータみたいな感じじゃない」みたいなお話をされていたのが結構面白かったんですが。

中村氏:
私も面白いなと思いました。ベジータの名前が出るんだと。両者の関係っていうのは確定しているわけではなくて、おそらく今後もいろんなタイトルが出てくる中で、ソニックとシャドウが協力することもあるし、戦うこともあるんじゃないかなっていう風に思ってます。

ソニック自体はすごく陽のキャラクターというか、完全無欠のヒーローみたいなところがあって、基本的には正義っていうところをベースに動いているのに対して、シャドウは目的によってはヒーローにも悪にもなります。

だんだん仲間になっていくというキャラクターではなくて、目的によってはシャドウとソニックとガチで戦うことも、これから出てきうるのかなと思います。それぞれの関係性っていうのはその時々によって変わってくるのかなっていう感じですね。

──そんなに単純に仲間になるキャラじゃないぞ、という。

中村氏:
そうですね。そこは前回も強調はしてましたけど、我々も単純に仲間っていうよりは、「シャドウはシャドウ」っていうふうに捉えています。 今回のお話としても、独立したシャドウ単体のものを作りたい人もたくさん開発の中にもいたっていうぐらいではあるので。

──今回はソニックの中のシャドウというキャラクターにフォーカスしたタイトルを制作されましたが、例えば今後、シャドウ以外のキャラクターに焦点を当てたことをやっていくようなことはあるでしょうか?

中村氏:
映画などでIPが広がったことで、ゲームの展開っていうのもすごく幅広くなってきていてはいますね。今回で言うと『ソニックランブル』も出させていただいてますが、いろんなタイプのお客さんにいろんなタイプの遊びを味わっていただきたいなっていうところはあります。

今回だと「シャドウイヤー」としてシャドウにフォーカスしていますが、似たようなことを他のキャラクターでやることもあるだろうし、別のテーマで別な盛り上げ方もすると思います。展開の幅広さが、今後のソニックIP自体の広がりにも繋がっていくだろうなと。

一昔前だと、メインストリームしか売れないよね、みたいに言われていたところが、時代が変わってきていると感じています。なので、そういった展開も今後より広がっていくようにはなるかなと思ってます。

──本作に関して、プレイヤーの皆さんに向けてアピールしたいポイントなどあればお聞かせください。

鴫原氏:
今作はストーリーもかなり重視して作っているということはお伝えしておきたいです。『ソニック ジェネレーションズ』というのは、タイムイーターが過去を全部1か所にまとめちゃって、何もない世界を作り出すという物語でしたが、その中ではソニックがシャドウと戦うシーンもありました。

ということは当然シャドウもいるんですけど、シャドウがソニックと戦ってない時に何をしていたんだっていうのが、今回の『シャドウ ジェネレーションズ』の物語になっています。実は先日、ストーリートレーラーを出させていただいたんですけれど、そこでも最後にシャドウと同じ空間にマリアというキャラがちらっと出てくるみたいなシーンもあって。そういったシャドウの過去にまつわるストーリーを用意してるというところで、期待していただきたいなと思っています。

それから、今作は昔のタイトルを知らない人にもおすすめできます、っていうのもお伝えしておきたいですね。映画を見てゲームをやってみたくなったけど、「ソニックもシャドウも全然詳しくない」という方に対しても、シャドウってこういうキャラなんだよっていうところをフォローできるような映像をゲーム内に用意しています。

それに中村もお話していましたが、『ジェネレーションズ』って、キャラクターの今までの足跡をたどっていくようなタイトルになっているので、「こういうタイトルが出てたんだ」とか、「昔はこんな雰囲気だったんだ」っていうところも感じていただけるかなと思っています。

中村氏:
私の方からは、もう単純に「シャドウかっこいいですよね」っていうのを、本作で皆さんに改めて見ていただきたいなと思っています。

今回、『ジェネレーションズ』として過去の歴史をたどりながらも、新しいこともやりたいよねっていうのは考えていて、過去の匂いと新しいゲームを結びつけようみたいなところもやってきました。

ドゥームパワーみたいなゲーム的な要素もあるんですが、例えばシャドウに翼が生えるだとか、見た目の面でもいろいろな挑戦をしています。我々としては飯塚に持っていくときに 「そんなのねえだろ」って言われるかも、ぐらいのところからスタートしてるんですよね。

ドゥームモーフっていう、もうシャドウの形すらないものが、ゲームの中に登場したりするんですけど、それもお客さんに出した時に「これシャドウじゃねえよ」って言われるかと思ったら、ファンアートを描いてくださるお客さんがいっぱいいて、嬉しい驚きでした。デザインさんに聞いたら「これはウケると思ってましたよ!」みたいに言われましたね。

今回はそもそもシャドウのファンだった開発者さんもすごくいっぱいいて、そういう人たちが、「これはシャドウとしてかっこいいか、かっこよくないか」っていう細かい振る舞いだったり、モーションみたいなのを、すごく頑張って作ってくれています。

ファンの方もそれを細かくチェックして「今回はいいな」みたいなことを言ってくださったりもするんですね。そういう細かいところから、いわゆる「シャドウのカッコよさ」が伝わってくれているのかなと思っています。

──では最後に、リリースを楽しみに待っているファンの方に向けて、お2人から一言ずつメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

鴫原氏:
冒頭にも話した通り、私は昔のタイトルにも携わっているというところもあり、今作はすごく思いを込めて作りました。みなさんにも間違いなく楽しんでいただけるものになっています。

中村氏:
先ほどアニメの話もさせていただきましたけど、今年は「シャドウの年」ってことで、映画や漫画など、いろんなものが出てきています。映画を見て、映画で感動した後にまた戻ってゲームをやったりして、シャドウやソニックというキャラクターたちに触れてもらいたいです。

もちろんソニックもすごく大事なキャラではあるんですけど、少し前まで活躍の機会が少なかったシャドウと言うキャラクターを、改めて皆さんに知っていただく機会なので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。

『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』開発者インタビュー。ソニックとシャドウの違いや、映画からの影響は?_007


映画をきっかけにソニックという世界の物語がより多くの人々に広がりつつある今、そのきっかけを最大限に生かして、その世界を深く知ってもらおうとする取り組みを、このインタビューではお聞きすることができた。

シャドウという、ソニックとは全く異なる性向をもつキャラクターが、同じシリーズの中でこれほど人気があるというのは面白いことだと思う。正統派のヒーローであるソニックに対し、決して正義の味方と言うわけではないシャドウ、そのふたりが主人公となったゲームが一つの物語の裏表として届けられるのは、もうすぐ先だ。

『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』は10月25日(金)に発売予定、PlayStation5 / PlayStation4 / Nintendo Switchなどではパッケージ版が販売されるほか、Xbox Series X|S / Xbox One / Steam / EpicGamesでダウンロード版が配信される。

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ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。
編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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