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そもそも、『P5X』ってどういうゲームなの?かなり謎に包まれている『ペルソナ5: The Phantom X』開発陣に、ぶっちゃけどんな作り方をしているのか聞いてみた

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ぶっちゃけ、『P5』って運営型とは真逆じゃないですか?

──個人的に気になっていたのですが、オリジナル版の『P5』はカレンダーなどを中心とした、「学生としての1年間を楽しむ」という時限的な遊びの面白さが軸となっていました。ただ、これはストーリーやコンテンツが長く続いていく運営型タイトルとしては、相反するシステムでもあると感じています。そんな『P5』を運営型タイトルに落とし込むのは、やはり中々難しいことだったのではないでしょうか?

宇田氏:
…………難しかったですね!

『ペルソナ』というIPの判断として、「これがあった方がペルソナらしいのではないか」と思うシステムは、いくつかありました。それこそ、さきほどのカレンダーなども、やはり「カレンダーがないとペルソナっぽくない」と感じられてしまう方もいますよね。

ですが、運営型タイトルとして制作を進める中で「ペルソナ的なシステムにこだわった結果、ペルソナらしさが失われてしまう」といった局面もいくつかありました。

その、「ペルソナのシステムを入れたいけど、それだとペルソナらしさが失われる」「だったら、一度こだわりを捨ててオンラインゲーム的なシステムに振り切ってしまえばいいのか」という狭間でどん詰まっていた時期もありましたね。

そんな時に、ちょうどセガさんにジョインしてもらったんですよね。
そのおかげで、「この形だったら、ペルソナらしさを担保しつつ運営型としても十分楽しいな」と感じるゲームを構築することができましたし、まさに「セガさんのおかげで乗り切れた」と言ってもいいと思います。自家中毒にならずに済んだといいますか。

松永氏:
運営型タイトルを作り続けてきた我々からすると、「いつでもユーザーさんが遊びやすい形を提供する」ことがオンラインゲームとしては当然のことなのですが、たしかにそうすると『ペルソナ』っぽくはなくなってしまう。

「学生としての1年間を楽しむ」という時限的な遊びは、明らかに運営型に向いていません。たとえば、新しいシナジーストーリーがアップデートで増えた!となっても、人によってはカレンダーの隙が無くて、楽しむタイミングがなく逆にストレスになったり。さきほど酒井からあったように、コラボや季節のイベントが、「夏のイベントだけど、いま冬だよ?」と人によっては違和感になったり。

ですが、「学生としての1年間を楽しむ」は難しくても「学生としての生活を楽しむ」はしっかり実現できるはずで、さっき宇田さんが話してくださった昼夜の概念は残すといった、細かく要素ごとにメリットデメリットをまとめて、アトラスさんと Perfect Worldさんとで細かく調整を繰り返していったところ……割と自然な形になりましたよね。

逆に、アップデートによって新たな街が広がっていったり、リアルな季節に合わせてイベントが起きたりできるようになったぶん、「学生としての生活の楽しさ」を長く楽しめる内容になったと思います。

宇田氏:
実際に遊ぶと、「カレンダーのないペルソナ」を、結構自然に感じられると思います。
でも……正直こんなにカレンダーにツッコまれるとは思っていなかった!

一同:
(笑)。

宇田氏:
僕ら開発チームとしても、カレンダーのない『P5X』をナチュラルに感じられるようになっているので、そこはご安心いただければと思います。

【P5X】『ペルソナ5: The Phantom X』インタビュー:開発チームが明かす、「監修協力」を越えた開発スタイル_019

松永氏:
むしろカレンダーによる行動制限がなくなった分、Perfect Worldさんがすごい量のコンテンツを作ってくれていますよね。サッカーがあったり、音ゲーもあったり、なんかもうものすごい量のサブコンテンツがあって……(笑)。

宇田氏:
そう! 制限がなくなった分、行動が自由になっているんですよね。

その結果、Perfect Worldさんがありとあらゆるコンテンツを入れてくれていて、学校での部活などもかなり種類があります。だから、プロデューサーとしては「え、じゃあここにそのまま『P5D』【※】入れたりできるじゃん……」と思ったりします(笑)。

とにかく、行動の自由度がすごく上がりましたよね。
もちろん、自由度が上がることが必ずしもゲームの完成度に直結するわけでもないし、『P5』のカレンダーシステムの制限性が悪い……といった話をしているわけでもありません。『P5X』では、運営型タイトルとしても十分な自由度が確保できたということですね。

※「ペルソナ5 ダンシング・スターナイト」
『ぺルソナ5』の楽曲を使用したリズムアクションゲーム。『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』に続くリズムゲームとなっており、『P5』の楽曲に合わせて音ゲーを楽しむことができる。

【P5X】『ペルソナ5: The Phantom X』インタビュー:開発チームが明かす、「監修協力」を越えた開発スタイル_020

──さきほども少しお話が出ていましたが、『P5X』には季節に応じたイベントがあるということなのでしょうか? たとえば、夏には水着イベントを実施するような……。

宇田氏:
もちろんあります。

ちなみに中国語版では、既に先行していくつかイベントを行っています。
夏には海イベントをやったりしていますね。

新田氏:
ちなみに、『P5』の醍醐味であるバレンタインもご期待いただければと思います。
おそらく、たくさん女の子が登場する予定なので……。

あの怪盗団にも、どこかで会えるかも

──こちらもさきほど「『P5』とのコラボシナリオがある」といったお話が出ていましたが、具体的に『P5X』にて、主人公(ジョーカー)や坂本竜司のようなオリジナル版のキャラクターはどういった形で登場するのでしょうか?

新田氏:
端的な説明となってしまうのですが、ジョーカーたちと邂逅できるのは、「ある異変が起きた異世界」となっております。その出会いをきっかけに、ワンダーとジョーカーは協力して異世界からの脱出を目指す形になります。

実はこのコラボシナリオも、メインシナリオの大きな伏線になっていたりするので、そちらも楽しんでいただければと思います。ちなみに、ゲーム内の現実世界でも「四軒茶屋」といったあの懐かしの場所で、彼らに出会えるかもしれません……とだけ、お伝えさせてください。

──それは楽しみですね! ちなみに、『P5』のキャラクターたちを『P5X』にも登場させるのは、当初から決めていたことなのでしょうか?

宇田氏:
当初は、「必要に応じて出そうかな」程度に思っていました。

『P5X』はオリジナル版をベースにしつつ新しいストーリーを展開する……ということは決めていたので、この地続きの世界観に、あの怪盗団のみんながいるのは自然だよねと判断しました。だから、「絶対に出す」「絶対に出さない」と、極端な決め方をしていたわけではありませんでした。

【P5X】『ペルソナ5: The Phantom X』インタビュー:開発チームが明かす、「監修協力」を越えた開発スタイル_021

──最後に、『P5X』のリリースを楽しみにされているユーザーのみなさまに、一言いただければと思います。

宇田氏:
何度も言っていることではあるのですが、『P5X』は「『P5』をもう一度楽しめるゲーム」を目指し、頑張って作り上げてきたタイトルです。ぜひ、プレイしていただければと思います!

和田氏:
正直、『P5X』がどういう立ち位置のタイトルなのか、「ライセンスアウト感」がどこまであるのか……といった点を気にされているユーザーさんは、多いのではないかと思います。

ですが、おそらくみなさんの思っている以上に、ガチの3社協力体制で作っておりますので、どうかそこは安心して、『P5X』を遊んでいただければと思います。

新田氏:
やっぱり、ソーシャルという側面で日本より先に先行配信が行われているのは、少し不安要素となっているのではないかと思うのですが……アトラスの『ペルソナ』チームもガッツリと入り、キチンとした『P5』として、そしてそれ以上を目指す作品として制作をしています。

なので、どうかご安心して楽しんでいただければと思います。そして、リリースされた際には「ちょっと迷っている」という方も、一度触れてみてもらえればと! とにかく、触りやすく作っています!

松永氏:
我々も、Perfect Worldさんとアトラスさんの熱さを受け取りつつ、少しでも『ペルソナ』らしく遊べる運営型タイトルを目指して制作しています。

そしてリリースされてからも、どんどんアップデートで世界やストーリーが広がっていき、ずっとユーザーさんにワクワクしてもらえるような状態を作れるように、ひとつひとつ丁寧に作らせていただきます。ご期待ください!

酒井氏:
運営型タイトルとして、もちろんストーリーも更新されていくのですが、同時にバトルコンテンツなども、どんどん追加されていきます。さきほどお話に挙がった「怪ドル」や、各キャラクターの新しい活躍が見られるシーンなどもどんどん増えていく予定になっています。

そんな、多くのキャラクターをいろいろなところで活躍させて、キャラクターへの愛が深められる……という点も、大きなポイントではないかと思っています。そんな新しいコンテンツの広がりも、ぜひ注目していただけると嬉しいですね。

──本日はありがとうございました! 日本での『P5X』のリリースが、より楽しみになりました。

【P5X】『ペルソナ5: The Phantom X』インタビュー:開発チームが明かす、「監修協力」を越えた開発スタイル_022


正直、私自身このインタビューで開発チームのみなさんのお話を聞くまで、「Perfect Worldが7~8割を作っていて、セガとアトラスはそれをチェックしてる感じなのかな……」とか、考えてました。全然違いました。公式サイトに書いてある「監修協力」とは一体なんなのか。

そんな、「監修を超えた監修」スタイルで作り上げられている『P5X』のお話を、たっぷりとお聞きしました。でも、本当に言いたいこととしては、「まさかここまでガッツリ組んで作っていると思ってなかった」に尽きます。

率直に、『P5』ファンとして「一度、安心して触ってみてもいいのかな」と思えました。

『P5』への圧倒的な熱量を持った人たちが、これでもかと真剣に作った『P5』。なんというか、ファンとしての究極系を見ている気がします。普通に『P5』をそのまま運営型にしてしまえばいいじゃないかという発想、結構好きです。いやぁ、どうなるんでしょうね!?

そんな『P5X』は、日本での展開が正式に決定! iOS、Android、Google Play Games、Steamでの配信を予定しており、事前登録がスタートしています。

我々が知っているようで、全く新たな視点で描かれる『P5』。
遊んだことがあるようで、全く新たな物語が描かれる『P5』。

もう、予告状は届いているようなもの!
いずれ決行される『P5X』の正式リリースを、お楽しみに!

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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