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「崩壊」シリーズは、なぜ人間の可能性を信じるのか?「崩壊」シリーズのシナリオ制作陣に聞く、超絶規模の「人間讃歌」と、「世界の美しさ」を信じ続ける物語の描き方

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「崩壊」シリーズ全体の設定、実はみんなの想像より早く作り始めてる……?

──ここからは、「崩壊」シリーズの開発背景をお聞きしていければと思います。まず、『崩壊:スターレイル』がリリースされる以前、シナリオチームのみなさんは『スタレ』の企画の立ち上げを行いながら、『崩壊3rd』第一部のクライマックスを制作されていたような形だったのでしょうか?

崩壊チーム:
実は、『崩壊:スターレイル』に限らず、シリーズ全体の設定は、おそらくみなさんの想像以上に早く作り始めています。それこそ、リリースのずっと前から……。

そして、その時間をかける中で少しずつシリーズ全体の設定を整理していきます。たとえるなら、『崩壊3rd』と『崩壊:スターレイル』を繋げられるような網をゆっくりと編んでいるような感覚ですね。

だから、シリーズ全体の構想は、各プロジェクトの制作の、より上の段階で行っているんです。実際、「崩壊」シリーズのシナリオ制作チームは非常に大規模で、みなさんが想像する数人のメインライターが担当するようなイメージとは大きく異なります。

「崩壊」シリーズ シナリオ制作陣インタビュー:超絶規模の「人間讃歌」と「世界の美しさ」を信じ続ける物語の描き方_026
(画像は『崩壊3rd』 x 『崩壊:スターレイル』コラボメイキングエピソード – YouTubeより)

──逆に、『崩壊3rd』を作り始めた頃の開発チームの状況についてもお聞かせください。おそらく、会社もいまほど大きくはなかったころだと思うのですが……。

崩壊チーム:
その時は、そもそもチーム内の人数も少なくて……「ゲーム制作」としても、それほど正式なものではなかったと思います。

たとえば、崩壊3rd』におけるビジュアルノベルを作る際も、その中のエンジンやUIは直接シナリオライターが作っていた時がありました(笑)。

──それは中々すごい時代ですね(笑)。

崩壊チーム:
実は、当時のライター班には、割と豊富な人材が揃っていて……つまり、シナリオ以外の領域の技術を持っていた人間がいました。多種多様なライターがいたからこそ、ああいう作り方ができたのかもしれません。

そして、あの時はライター同士の席も結構近くて……それこそ、会議室でミーティングするのではなく、なにか思いついたアイデアがあったら、その場で直接言いだしていました。

「崩壊」シリーズ シナリオ制作陣インタビュー:超絶規模の「人間讃歌」と「世界の美しさ」を信じ続ける物語の描き方_027
『崩壊3rd』内には、ビジュアルノベル形式でストーリーを楽しめるコンテンツがいくつか存在しています。このUIをライターが作っていた時代もあったのだとか。

──いくつかヒットタイトルも出たことで、『崩壊3rd』を作り始めた頃より、HoYoverseも会社としては大きくなってきていると思います。そんな中、いい意味で「最近変わってきた」と感じていることはございますでしょうか?

崩壊チーム:
明らかな変化としては、やはり「人が多くなった」ことですね。
それにより、アイデアを出す人も増えてきました。異なる考えをぶつけ合うことにより、より多くのインスピレーションを得られるようになったと思います。

そして、シナリオを制作する時も、より多くの人間が加わることで、さらに複雑な構造のストーリーを作れるようにもなりました。そんなチームの成長とともに、作品の質も向上しています。いくつかの問題に直面した時も、多くの人が解決策を出してくれますからね。

また、チームが大きくなったことにより、新たなメンバーもたくさん入ってきます。その中に、どんどん若い人も入ってきていて……シナリオチーム全体が若返ってきたような感覚もありますね。

今年はどういうトレンドなのか、来年はどんなトレンドが来るのか……若いメンバーが新しいアイデアを出してくれることで、チームとしての生命力も旺盛になってきています。しかも、それぞれ異なる分野を学んでからシナリオチームに来ている人間も多く、お互いの知識を補足しあえているような感覚がありますね。

──より若手の方も入ってきているんですね。ちなみに、シナリオチームは現在何人くらいいるのでしょうか?

崩壊チーム:
それは……ナイショです!

というのも、社内の構造や枠組みもかなり複雑で……単純に「シナリオ」で括るのが難しくなってしまうんです。一応、「IPの内容を担当する人間」で言えば、数十名くらいですね。

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(画像は『崩壊3rd』 x 『崩壊:スターレイル』コラボメイキングエピソード – YouTubeより)

えっ、現パロもっと期待していいんですか!?

──事前に、今回の『崩壊3rd』と『崩壊:スターレイル』のコラボは、「崩壊シリーズの未来への小さな試み」であるとお聞きしました。その「小さな試み」とは、具体的にはどういった意味なのでしょうか?

崩壊チーム:
今回は、『崩壊3rd』を主体としてコラボを展開しているのですが……将来的には、お互いの世界観をクロスオーバーさせた、よりボリュームの大きいストーリーを展開していきたいと考えているんです。

つまり、より本格的な「世界の融合」ができないかと。

ただ、両作のメインストーリーもある中で、どのようにすればシリーズをまたいだ膨大なストーリーを作り上げられるのか……今でも模索しています。今回のコラボはその挑戦の一歩目であり、プレイヤーからのフィードバックを集めたいと考えています。

──もっとシリーズ全体を巻き込んだ大きなストーリーを作ってみたいけど、今回はちょっと小さめにやってみよう……ということでしょうか?

崩壊チーム:
まさに、そういうことですね!

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──最後に、「これから崩壊シリーズでやってみたいこと」があれば、ぜひお聞かせください。実現するかどうかは一旦置いておきつつ、みなさんの頭の中にある「やってみたいコンテンツ」が気になります。

崩壊チーム:
少し抽象的になってしまうのですが……やってみたいことは、「いまの想像外のこと」ですね。プレイヤーさんに楽しんでもらうためにも、想像以上のものをプレイヤーさんにお届けしたいです。

ひとつ例を挙げるなら、『崩壊3rd』には「黄金の庭園」【※3】というアニメがあります。

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※3「黄金の庭園」
『崩壊3rd』のスペシャルアニメコンテンツ。ゲーム内に登場した「十三英傑」が、実際に現代社会で暮らしていたらどうなるのか……というパラレルワールドを描いている。いわゆる「現パロ」。公式の現パロです。(画像は崩壊3rd公式スペシャルアニメ「黄金の庭園:冬に積もる新年の願い」 – 第1話 – YouTubeより)

崩壊チーム:
あのアニメは、既に存在しているキャラ描写の延長上に、「このキャラが現実で生活していたら、どんな生活を送っているのか」ということを描いた作品です。こういったifの可能性を、また別の機会でも描写してみたいですね。

ただ、実際にこれを実現できるかどうかは……これからの仕事にかかっていますね。

──「黄金の庭園」が大好きなので、ぜひやってほしいです!

崩壊チーム:
努力します!!

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「黄金の庭園」の続き、楽しみですね!

じゃなくて。

こちらも率直に、「もっと崩壊シリーズ全体でストーリーを描こうとしている」ということに驚きました。え、つまりこれから『崩壊3rd』と『崩壊:スターレイル』がどんどん繋がってくるってこと? たしかに単語だけ「星神」とか出てたけどね!?

とにかく、これからの展開も楽しみです。

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(画像は『崩壊3rd』 x 『崩壊:スターレイル』コラボメイキングエピソード – YouTubeより)

ここからは、私が『崩壊3rd』と『崩壊:スターレイル』について感じていたことの話になります。

両作を遊んでいて感じたのは、「これは、ものすごく純粋な願いが込められているゲームだ」ということです。語られているテーマ、描かれている物語、キャラの成長……どれをとっても、純粋で、ピュアで、だからこそ美しく見える。

物を作っていると、もっと捻りたくなってしまうものだと思います。人間の美しさを、世界の美しさを、愚直に信じ続ける物語は……創作物に精通すればするほど、ハードルが高くなる。そんな気がします。

だけど、愚直なまでに、人の価値を信じている物語。
それでも、愚直なまでに、世界の美しさを信じている物語。

それが「崩壊」シリーズなのだと思っていました。おそろしいほどに澄んでいて、素朴な願いをもとに作り上げていないと、この「純粋さ」は生み出せない。だから、直接そのことを聞けて、ものすごく嬉しかったです。本当に、純粋無垢な願いが込められた作品たちだったんだ。

「苦しみの真っ只中にいても、必ず、あなたに寄り添う小さな幸せが存在していることを知ってほしい」って……泣くよ! アナタたち、本気で「物語が世界を救う」と信じて作っていたんですね。ピュアすぎるよ! でもそこが好き! そこが好きだからついていってるんです!!

そして、今まさに、あの人たちはゲームで世界を救っている最中なのだと思います。えっ、これ意識してないけど「TECH OTAKUS Save the World」回収しそうになってない? あの社訓、実践されてます。

文明が、星のように続きますように。
世界が、黄金のように輝きますように。

そんな願いを込めて、これからの「崩壊」シリーズを見届けていこうと思います。

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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