モンスターを仲間にする収集要素と、本格的なファンタジーストーリー、戦略性の高いコマンドバトルを備え、本編後の物語や対戦モードまで用意されている、注目のスマホRPGが登場しました。
『エバーテイル』(Evertale)です。
『ドラゴンアイランドBLUE』や『ハンターアイランド』(共に公開終了)、『ネオモンスターズ』から続く、一連のモンスター収集RPGの後継作。
ストーリーや世界観に繋がりはありませんが、ターン制のコマンドバトルとTCG(トレーディングカードゲーム)を合わせたような、独特でやり応えのあるバトルは引き継がれています。
このシリーズはストレスなく遊べる配慮と、やり込み重視のシステムが評価される一方で、グラフィックはやや劣り、B級感のある作品群でした。
しかし今作はグラフィックが見違えるほどパワーアップ。
格好いいキャラクターデザインと細かい描き込みのフィールドを備えており、バトル演出も強化され、一級のRPGに仕上がっています。
しかも価格は120円。相変わらず格安。
Android版は99円で、なんと100円しません。
ソーシャルゲームのようにガチャやスタミナがありますが、仲間モンスターはフィールドで捕獲可能、ストーリーの進行によって主要キャラがどんどん加わり、仲間にできるサブキャラも豊富で、無理にガチャは必要ありません。
実際、私も本編(第一幕)は最後まで、ガチャで得たキャラは主力になりませんでした。
スタミナも強化クエストや第二幕以降でしか消費せず、本編(第一幕)の進行には無関係。
そして第一幕だけでも10時間近くのボリュームがあります。
ゲームの進行で得られる課金通貨も多めで、課金は必須ではありません。
リリース当初に頻発していたサーバーの接続不良は、3月末のアップデートでかなり解消されました。
魔物が活発になる「劫魔節」が到来し、魔族が各地で襲撃を開始。
村を焼かれた主人公とその幼なじみが、王国の「赤竜騎士団」に加入して平和のために戦うという、王道ストーリーのRPGです。
今回は『ハンターアイランド』や『ネオモンスターズ』ような、他のモンスタートレーナーと戦うポケモン的な展開ではありません。
普通のファンタジーRPGの物語が綴られます。
画面タップでフィールドを移動し、敵に出会ったらターン制のバトルを行うJRPGらしい形式ですが、このゲームはフィールド移動中にランダムで戦闘が起こることはありません。
敵に襲われるのは「茂み」の中、もしくは特定の地点のみで、普段は敵の襲撃を気にせず走り回れます。
さらにバトルは「逃げる」を選択すれば確実に逃げられるようになっており、もし敗北しても直前からすぐに再開可能。
ストレスを受けない、割り切った作りになっています。
また、各地のチェックポイントにいつでもワープで移動できます。
経験値やお金を稼ぎたいときは、「茂み」の中を走り回ればバトルを繰り返せます。
レアモンスターが潜んでいる茂みもあり、見つければゲットのチャンス。
レアがいる茂みはガサガサと揺れているので、出てくるまで戦闘を繰り返す必要はありません。
あやしい茂みがあったら、しばらく観察してみましょう。
このシリーズはバトルシステムが最大の特徴。
基本的には4対4で、各キャラが持つ様々な「スキル」を使って戦いますが、特定の条件で一撃必殺の攻撃を繰り出せる反面、回復スキルは少なめ。
そのためメンバーがやられてしまうのは避けられません。
しかしメインメンバーの他に4人の控えメンバーを加えた、最大8人のパーティーを組むことができ、やられる端から控えが飛び出してきます。
スキルの中には自爆技も多く、やられた時に発動する特性もあり、TCGのように場のモンスターをどんどん入れ替えながらの戦いになります。
もちろんTCGのデッキ構成のような、交代を加味したメンバー構成も重要。
進行は完全なターン制ではなく、待機時間がなくなったキャラから順番に行動する形。
そして待機時間はスキルに付いている「TU」という数値で決まり、これが大きな技ほど強力ですが、次に行動できるまでの時間が長くなります。
画面左下にはキャラの行動順を示すタイムラインがあり、スキル使用時に次の行動がいつになるのかを確認できるので、それを加味したスキル選びが重要になります。
さらに今作には「スピリット」というステータスが追加されました。
これはパーティー全体で共有するMPのようなもので、通常攻撃で増加し、特殊技で消費します。
このスピリットの存在により、今回は特殊技ばかりを連発することはできなくなっており、どこでスピリットを溜めて、いつ使うかも大切です。
スキルの中には「ダメージを受けてスピリットを増やす」といったものも存在します。
戦略性の高かったバトルは、これらによりますます奥深くなりました。
と言っても決して複雑ではなく、倍速進行やオート化も可能で、サクサク進められます。
ただ、ボス戦やイベントバトルでは、システムを考慮した、パズル的な攻略が必要になることもあります。
今作にはオートマッチングの「リアルタイム対人戦」があり、他のプレイヤーとバトルをすることも可能。
戦略性をより高めたのは、この対人戦を面白くする狙いもあると思われます。
評判のゲームシステムに、優れたグラフィックとRPGらしいシナリオが加わり、文句なくお勧めの作品になりました。
『ハンターアイランド』はガチャが加えられたことで、行き詰まった人から「レアが出ないと進めないガチャゲー」と言われることもありましたが、少なくとも今作は本編(第二幕・第三幕を含む)は無課金でクリアできます。
終盤に行き詰まった人は、チュートリアルを兼ねている「イベント」の「トレーナー道場」で戦い方を学びつつ、編成を考えてみましょう。
このゲームはレアリティが高くてもスキルを有効に使えないと弱く、戦法に合った低レアキャラの方が強いです。
手ごわいボスに出会ったら相手のスキルやステータスをチェックして、対策を練るのも忘れずに。
ただ、レアリティにより最大レベルが決まっていて、それを引き上げるには同キャラ合成が必要、しかもレア以上でないと合成できないため、「対人戦大会」で勝ち抜きたい人は課金が必須かもしれません……。
でも対人戦は本編とは関係なく、やり込み要素と言えます。
なお、このゲームの対人戦は実際に相手のプレイヤーと戦う「リアルタイム対人戦」であり、ソシャゲによくある「他のプレイヤーのチームと戦えるけど、相手の操作はAI」といったエセ対人戦ではありません。
無料アプリでない点や、戦略性の高いバトルも含め、これらの仕様には制作者のこだわりを感じます。
今後の拡張も期待できそうで、相変わらず「120円でこれだけ遊べて良いのか」と思ってしまう作品。
バトルがテクニカルなため、「レベルを上げて物理で殴る」ことしかできない人には向きませんが、そうでない人にはぜひ遊んで欲しいゲームです。
エバーテイル
大幅にグレードアップした人気モンスター収集RPGの後継作
・RPG
・ZigZaGame(日本)
・120円、課金あり
文/カムライターオ
【あわせて読みたい】
PCで人気のMMORPG『黒い砂漠』のモバイル版が登場。スマホで遊べる最新オンラインゲームの内容は如何に?【レビュー:黒い砂漠 MOBILE】古代文明の動力源であった「黒い石」が眠る砂漠を巡り、ふたつの王国が争っている世界を舞台とした、PCで人気のMMORPG『黒い砂漠』。
最新技術による美しいグラフィックを持つこのファンタジーRPGのモバイル版が、美麗なグラフィックそのままに、ついに公開されました。
『黒い砂漠 MOBILE』です。