美しい自然の中をドリフトしながら疾走する、硬派で本格派のラリーレースゲームがスマホに登場【レビュー:Rush Rally 3】

 大自然の中を疾走するiOS/Android用のラリーレースゲーム『Rush Rally』シリーズ。
 過去作は他のレースゲームよりもグラフィックや再現性で劣り、B級感があったのですが、それが大幅にパワーアップして帰って来ました。
 『Rush Rally 3』です。

 オフロードコースでタイムアタックを行う硬派なレースゲームで、『アスファルト』シリーズのようなハチャメチャ系ではなく、リアル系。
 グラフィックが強化されたことで森や岩山などが美しく表現されており、ラリーらしい自然美も楽しむことができます。

 オフロードらしくドリフトを多用するゲームで、その豪快な走りも楽しさでしょう。
 ただ、車体のコントロールは簡単ではなく、同じコースを繰り返して1秒を削り取っていくゲーム性は非常にストイック。
 手軽に楽しめるレースゲームを求めている人には向きません。

 反面、サスペンションの剛性やタイヤの角度まで変えられる細かい調整と、ダメージによる挙動の変化まで再現されている内容は、車好きの人にはたまらないでしょう。

 価格は500円。買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
 開発はイギリスのメーカーで、『ソニックレーシング』をはじめ、さまざまなハードでレースゲームを開発しているところです。
 メッセージは日本語にできますが、最初は英語の状態で、設定の「Language」で変更する必要があるので注意してください。

 いくつかのゲームモードがありますが、メインとなるのは「キャリア」モード。
 クラス別に分かれたチャンピオンシップシリーズに参加し、各国を転戦します。

 ハンドル操作はボタン、傾け、疑似ハンドル(スライド操作)の3種類が用意されていますが、ドリフトの際に急ハンドルを繰り返す必要があるため、ボタン操作が一番遊びやすいでしょう。

 ナビゲーターによるカーブの指示があり、スピードが出ているときはブレーキのタイミングと、理想のコース取りを示してくれるラインが現れます。
 設定を変更すれば、自動で減速してくれる「ブレーキアシスト」も利用可能。
 簡単なゲームではありませんが、初心者向けのサポートもひと通り備わっています。

 ラリーとはいえ、普通のブレーキ(フットブレーキ)を使って走る場合、そんなにドリフト気味になることはありません。
 『Rush Rally』シリーズは曲がりながらブレーキングしても、それがフットブレーキなら、たとえ路面が砂利道だろうと雪道だろうとあまり滑りません。
 よって、他のレースゲームと操作感はそれほど変わらず、最初のうちはオフロードらしさを感じないかもしれません。

 しかし、今作はコースに急カーブが多く、曲がり道のほとんどがヘアピンカーブ(U字カーブ)になっている、つづら折りのコースもあります。
 こうしたところをフットブレーキのみで走っていると、その度に止まるほどブレーキングしないといけないので、ドリフトが必要になります。

前方の道にある破線がガイドライン。スピードが出すぎているときは赤い表示になり、ブレーキングしないと危険なことを教えてくれます。
初期設定だとカーブの手前で、スピードに乗っているときのみ表示されますが、常時表示にすることも可能。
ブレーキアシストがあると初心者でも運転しやすくなりますが、手動ブレーキなしで走れるほどではありません。
タイムが出にくくなり、思わぬところで減速されることもあるので、慣れてきたらオフにしたほうが良いでしょう。
ラリーなので、夜間のレースもあります。車体が泥だらけですが、汚れまで再現。
雨や雪などの天候の変化もあり、特に雪が降る様子はリアルで美しいです。
ダメージ表現も自然で、派手にぶつかったときには、ちゃんとぶつかったところが凹みます。
森の中に突っ込むなどして復帰困難になった場合は、画面右上の回転矢印のボタンを押しましょう。道の上に車を戻してくれます。
そんなことになったら、もうタイムは絶望的ですが……。

 アクセルボタンの上にはドリフト用のハンドブレーキボタンがあり、曲がりながらこれを押すことで後輪が滑り、車体の向きが急速に変わり始めます。
 そのままではスピンしてしまうので、逆方向にハンドルを切って、車体をカーブの出口に向かせつつ、安定させます。

 口でいうのは簡単ですが、ドリフトに入るタイミングはスピードやカーブによって異なり、慣れないうちはすぐにコースアウトしてしまうでしょう。
 このゲームは車体の動きが物理シミュレートされており『リッジレーサー』のようにドリフトすれば自然にカーブを曲がってくれるわけではないので、何度も繰り返し練習する必要があります。

 しかしドリフトを使えるようになれば、急カーブを車体を滑らせながら華麗に抜けられるようになり、走りの気持ち良さを実感できるはず。
 ラリーゲームらしさも感じられるようになるでしょう。

 また、このゲームは車体だけでなく、道端の柵や標識なども物理シミュレートされています。
 柵に突っ込めばバラバラになってリアルに飛んでいき、看板や標識も物理法則に沿った動きで転がっていきます。
 看板が車体の前部に引っかかってなかなか取れないとか、物理ゲームらしい笑えるシーンも見られます。

雪山のコースでドリフト中。コーナーの内側を狙ってハンドブレーキをかけましょう。
ハンドブレーキはずっとかける必要はなく、滑りはじめたら離してください。
ドリフトはコーナリングのテクニックというより、車体の向きを素早く変えるテクニックであり、ドリフトしたからといって急カーブをノーブレーキで曲がれるわけではありません。
ちゃんと手前で減速してからドリフトに入ること。
また、グリップ走行でスムーズに曲がれるならドリフトしないほうが速いので、状況に合わせて使いわけましょう。
キャリアモードのワールドマップ。こういうシーンがあると転戦している気になれて良いです。
最初のジュニアラリーでも6ヵ国で2戦ずつ行うため、計12のレースがあります。ひとつのレースは2分ほど。
同じ国のレースはマシンのダメージを後のレースに引き継ぎます。ただ、ふたつ目のチャンピオンシップからは前半戦の後、ダメージを回復できるインターバルが入ります。ボコボコになっていると、全快できませんが。
各国の最終戦は「パワーステージ」になっていて、通常の順位ポイントに加え、その国での合計タイムに応じたボーナスポイントが加算されます。

 キャリアモードは走行タイムで順位を競うので、他の車と一緒に走ることはありません。
 そのため、最適な走りで少しでもタイムを縮める、ストイックな戦いが続きます。

 上位になれば賞金を得られ、新たなマシンを購入したり、チューンナップで強化することができますが、チャンピオンシップごとに車のパワー制限があり、強化しすぎてそれを超えてしまうと参戦できなくなります。
 そして制限ギリギリまで強化を行っても、1位や2位を取るのは至難の技。
 最初のチャンピオンシップでも、上位入賞は簡単ではありません。

 ただ、レース後に成績が気に入らなかったら、すぐにそのレースをやり直すことができます。
 よって好成績になるまでリトライを繰り返せば、総合成績の上位も目指せます。
 ライバルより上のタイムを目指すため、何度もコースに挑み続ける…… それがこのゲームの楽しみ方でしょう。

 キャリアモードの他に、ライバルマシンと周回コースで一緒にレースを行う、一般のレースゲームに近い「ラリークロス」や、特殊コースでテクニックを競う「スキルゲーム」も用意されています。

ガレージではチューンナップに加え、車のデザインの変更も行うことができます。
たくさん用意されたデカールを好きなサイズ・角度・色で貼ることができ、オリジナルのマシンを作れます。
こういうのがあると、絵心のある人がすごいデザインの車を作ったりするんだろうな……。
「スキルゲーム」の「交通」ステージ。他の車が走っている道路でタイムアタックを行うという無謀な挑戦。
ただ、これはまだマシなほう。中にはミサイルが飛んでくる空爆ステージも……。

 もう完全に、一級の正当派ラリーレースゲームになったなという印象。
 iOSには他にも『Colin McRae Rally』『2K DRIVE』など、ラリーのある秀作レースゲームがあったのですが、最新OSに対応せず非公開に。
 Androidにはいくつかラリーのゲームがありますが、どれもクオリティは劣ります。
 今、iOS/Androidのリアル系ラリーレースを選ぶのであれば、これ一択でしょう(ハチャメチャ系のラリーなら『アスファルト:Xtreme』もあります)。

 「難しい」という意見が多く、確かに最初のチャンピオンシップはもうちょっと簡単でも…… と思わなくもないですが、でも難しいぐらいのほうが、走りを追求するゲームとしては良いと思います。
 ラリーらしさ、ドリフトの面白さを本格的に味わえる、希有なレースゲームとしておすすめです。

Rush Rally 3

本格派のリアル系オフロードラリーレースゲーム

(画像はRush Rally 3 – AppStoreより)

・レースゲーム
・Brownmonster(イギリス)
・500円

文/カムライターオ

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著者
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。
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