瘴気と絶望に満ちた「生きる監獄」で、正体不明の戦士が華麗な剣舞、死と再生、テクニックと経験で道を斬り拓いていく、ハードな横視点のアクションゲームが公開されています。
『Dead Cells』です。
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2018年の夏にSteamとNintendo Switch、PS4、Xbox Oneで公開され、数々の表彰を受けた世界的に人気のバトルアクション。
それが今夏、iOSにも移植されました。
ダンジョンを探索する、いわゆる「メトロイドヴァニア」ですが、プレイごとにマップやアイテムが変化し、毎回レベル1からスタートする「ローグライク」のゲーム性を持つため、「ローグヴァニア」を自称しています。
難易度はかなり高く、完全にコアゲーマー向けですが、キビキビした動きで敵を殲滅できる気持ち良さがあり、数多くのアイテムを発見&アンロックしていく拡張の楽しさもあって、延々と遊んでしまう作品です。
懸念されていたのはタッチパネルでの操作性ですが……「大丈夫だ、問題ない」とまでは言えませんが、慣れれば十分に遊べるレベル。
iOS版の価格は960円。
Steam/Switch/PS4/Xbox版は2480円なので、かなり割安。
Android版は今年度中の配信を予定しています。
以下、iOS版でのレビューになりますのでご了承下さい。
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『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)』のような横視点のアクションゲームで、多彩なアクションがウリ。
剣やハンマーでの近接攻撃、弓やクナイでの遠距離攻撃、シールドによる防御、爆弾や氷結弾などのサブウェポンといった、数多くの武器と豊富な攻撃手段があり、無敵時間のあるローリングで敵の攻撃を回避し、2段ジャンプも可能、急降下アタックも行えます。
ほとんどの行動はローリングやジャンプでキャンセルでき、落ちそうになっても崖につかまってくれ、移動もスピーディー、軽快で爽快なアクションを楽しめます。
しかし、スマホ/タブレットだと問題になるのが操作性。
決して操作感や反応が悪いわけではなく、むしろスマホのアクションゲームとしてはかなり良い方。
「使いやすさを重視したインターフェイスなど、モバイル用に慎重に再設計」と述べられているだけあって、操作に対するレスポンスはとても良好です。
ただ、スティックと6つ以上のボタンを使うアクションゲームであることが、タッチパネルにマッチしているとは言い難い。
タッチパネルでこれだけボタンがあると押しミスがどうしても起こり、常にボタンと指の位置を気にしながらのプレイになるし、スティックがナナメに入りやすく、移動しようとしてツタにつかまってしまうといった思わぬ動きになることも多いです。
行えるアクションが豊富すぎて、それでなくても混乱しがちなので、そこに操作への気づかいも加わると、当面は動かすこと自体が大変、反応も遅れ気味になるでしょう。
スマホ用に「自動攻撃モード」や「フリックでローリング」などが追加されていますが、自動攻撃は敵をスルーしたいときに邪魔になることが多く、フリックでのローリングはボタンよりも少し動作が遅れます。
でも、ご安心を。このゲームはそこまでシビアな操作ができなくても、戦うことができます。
なぜなら設置型のトラップがあるから。
周囲に矢を連射する「自動ダブルクロスボウ」や、丸ノコを射出する「斬腱の塔」、ノコギリの罠を床に作る「裂傷の歯」といったトラップがあり、これらを設置して安全な場所で高みの見物をしていれば、自動で敵を撃退してくれます。
テクニックを駆使して接近戦を行うことも、隠れながら罠で戦うことも、両方できる作りになっています。
武器はダンジョンの中で見つける必要がありますが、複数の中からひとつを選べる宝部屋があったり、アイテムショップがあったりするので、欲しい種類がなかなか手に入らないということは、あまりありません。
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あとは見ているだけで敵は一網打尽!
マシンガンのようにバシバシ連射される矢と、敵がジャラジャラ落とす宝石のおかげで、トラップを使った戦いでも爽快感があります。
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それとは別に、トラップなどのサブウェポンもふたつ装備できます。
アイテムにはレベルと品質があり、同じ装備でも高難度エリアで見つかるものの方が、高性能である場合が多いです。
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長押しで構えることができ、ダメージを軽減しつつ、飛び道具を敵に跳ね返すことができます。
また、攻撃を受ける瞬間に盾を構えると「パリィ」になり、ダメージを完全にカットできます。
さらに構えていなくても、持っているだけで被ダメージ時に短い無敵時間(バリア)が発生します。
冒頭で述べたようにローグライクらしく、ダンジョンは自動生成なので、暗記しての攻略ができない反面、毎回探索する楽しさがあります。
もちろん出てくるアイテムもプレイごとに変わります。
やられたら最初からリスタートで、レベルアップしても死んだらリセット。
しかし、ステージ間にいる”収集者”に届けた武器の「設計図」と、武器の開発に必要な「セル」は引き継がれます。
設計図やセルは敵がたまにドロップし、隠し部屋で見つかることも。
届ける前にやられると没収となりますが、届けた設計図は以後ずっと保持され、一定数のセルを投入することで完成し、その武器やスキルがゲームに登場するようになります。
そして、アンロックした武器やスキルはゲーム開始時に訪れる部屋に飾られていきます。
このゲームはループゲームであり、当面は大ボスの打倒が目標ですが、最終的には武器やスキルの収集が目的となるでしょう。
また、特定のステージで中ボスを倒し、「ルーン」と呼ばれるアイテムを手に入れると、ルート分岐を利用できるようになります。
最初は「牢獄」のステージから始まり、「罪人の道」と「塁壁」というエリアに進んでいくのですが、「罪人の道」で中ボスを倒して「ツタのルーン」を手に入れると、牢獄でツタを登って「有毒の下水道」への道に行くことができます。
ワープや床破壊、三角跳びなど、様々な追加アクションをアンロックするルーンがあり、これらを手に入れることで隠し部屋や新ステージ、異なるボスに至ることができます。
つまり進行ルートは一様ではなく、プレイごとに変わり、どんどん広がっていきます。
ただ、追加ステージはどれも難易度が高いので、当面は避けた方が無難。
ルーンは集めたいところですが、それを持つ中ボスは新ルートの先にいるので、基本ルートで大ボスの打倒を優先するか、ルーンを探しに追加ステージに向かうか、毎回選ぶことになります。
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テクニカルな立ち回りが出来なくても、砲台型トラップを置いてジャンプで逃げ回っていれば何とかなるはず。
最初のステージで「罪人の道」への出口を通ると、ここに来ることになります。
「有毒の下水道」に行った場合は、そこにいる中ボスから、棺桶でワープできるルーンを得られます。
それを活用し、罪人の道から「納骨堂」に向かうと、特定の床を急降下で破壊できるルーンが見つかります。
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セルは敵を倒して集めますが、”一定時間内にステージクリア”もしくは”敵をノーダメージで一定数倒す”と開けられる扉の中でも、まとめて得られます。
最初のステージは条件を満たしやすいので狙ってみましょう。
タイマーはショップやインターバルのシーンでは止まってくれます。
また、ノーダメージで倒した数は「設定」の「ゲームプレイ」で画面に表示させることができます。
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嫌が応にもたくさん集めたくなる光景。
中央の大きな試験管に入っているのは、大ボスが落とす「ボス・ステルセム」と呼ばれる宝石。
これをセットするとゲームの難易度が上がりますが、新ステージや新アイテム、新たな強化などがアンロックされます。
大ボスを倒すとエンディングになりますが、そこからのやり込みも豊富に用意されています。
高難度ながら経験と修練で突破していくのが楽しい、優れたバランスのアクションゲームで、ビジュアルとサウンドも素晴らしく、ランダム性と収集要素のおかげで長く楽しむことができます。
昨今、スマホやタブレットにも『Grimvalor』や『Dandara』といった高クオリティなメトロイドヴァニアが登場していますが、それらに勝るとも劣らないゲーム。
難易度はこの中で一番高いですが、ボリュームとやり込みも一番です。
最初からスマホでのプレイを想定していた前述の二作とは違い、完全にPCやコンシューマー向けに作られていたゲームなので、タッチパネルでの遊びやすさには劣りますが、(一周目は)普通にクリアできたので無理があるという程ではないですね。
ゲームパッド対応なので、それを使えば操作性の問題はなくなります。
近年のアクションゲームの傑作のひとつ。
普段アクション系をしない人には難しいと思いますが、ゲーマーには強く勧められる作品です。
Dead Cells
豊富な武器と華麗なアクションの「ローグヴァニア」
(画像はDead Cells – AppStoreより) ・メトロイドヴァニア+ローグライク
・Motion Twin(フランス)
・iOS版960円、Steam/Nintendo Switch/PS4等2480円。
文/カムライターオ
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