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目の前に壁を作り出してロケラン弾を防ぐ!──『フォートナイト バトルロイヤル』は銃を撃ち合うだけにあらず。100人による“高速建築バトル“を解説

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開発者に聞く本作の成功と尋常ではないアップデート速度

 さて、発売から大盛況となった『フォートナイト バトルロイヤル』だが、その魅力はけっしてクラフト要素や自由度の高さにのみあるわけではない。
 いわゆるバトルロワイヤル系ゲームやその系譜につながるサバイバル系ゲームでは、遅々として進まないアップデートや不具合・バグなどの問題がおうおうにして発生し、開発陣とコミュニティの関係性が徐々に悪化していくという例が少なくない。

 一方で『フォートナイト バトルロイヤル』では、他の作品と比較すれば信じられないようなスピード感で頻繁なアップデートが行われ、イベントも定期的に開催されている。
 期間限定の「50vs50」にはじまり、日本語版のリリース直後である3月7日からは20人の分隊5チームが戦うモードも搭載。それから記事を書いているあいだにも、「ブリッツモード」の搭載やGDC 2018でのリプレイ機能実装などが発表される始末で、その後どのようなイベントやアップデートがあったのかはある程度割愛しておきたい。

 このほかにも注目したいのは、この手の大型対戦シューター作品としてはめずらしいiOSへの移植が展開されている点だ【※】iOS版は3月30日からは日本国内でのサービスも開始。昨年10月にリリースされたばかりのゲームは、尋常ではない早さで動き続けている。

※突如展開されたiOS版。数ヵ月以内にAndroid版でもプレイ可能になるとFAQで言及。スマートフォン向けバトルロワイヤル系ゲームには『荒野行動』があり、『PUBG』ものちにスマホ版のリリースを加速させたが、それに先んじての移植となった。

 同作の運営を一手に担うEpic Gamesには、いったいどんな哲学があるのだろうか。今回はリードデザイナーのEric Williamson氏@erwil9)に話をうかがうことができた。


──『フォートナイト バトルロイヤル』、すさまじい盛り上がりですね。

リードデザイナー Eric Williamson氏(以下、Williamson氏):

 去年の夏にPvPモードのプロトタイプに取り組み始めたころ、私たちは『フォートナイト』の建築要素と「バトルロワイヤル系ゲーム」を組み合わせるアイディアはクールだなと思いました。
 プレイヤーがどう思うかはわかりませんでしたけどね。ただ、コミュニティのリアクションの良さは開発の後押しになりました。

──PvEから建築要素を持ち込んだとき、今のようにトッププレイヤーが高度なテクニックでとスーパーパワーを駆使する遊び場になると思っていましたか?

Williamson氏:
 プレイヤーが建築要素を楽しんでくれるとは思っていましたが、それをどこまでバトルロイヤルに活かしていくかに関しては予想していませんでした。

 Epic Gamesでの初期テストプレイでは、参加者の多くが「なぜ建築を使わなければならないのか」と理解していませんでしたが、プレイし続けることで防衛や移動のためのとてもクールな戦略がたくさん出現しました。リリース後のハイレベルな建築の攻防に関しては、もう完全に我々の想像を遥かに超えていて、何かとんでもないものを見ているような気分です(笑)。

──今でこそ『フォートナイト』の建築要素は有名ですが、当初は『PUBG』と比較される時期もありました。

Williamson氏:
 たしかに『フォートナイト バトルロイヤル』は多くのバトルロワイヤル系ゲームと似ていますが、私たちは建築要素やゲームのテンポがまったく別の経験をプレイヤーに与えてくれると願っていました。

 プレイヤーがすぐに他のゲームとは別の戦略を生み出してくれたことが、それらのメカニクスがゲーム体験に非常に有効に機能している証明だと──少なくとも私たちには──思えました。クレイジーな新しいガジェットやルールを追加して、プレイヤーが楽しんでいるのを見るのは最高ですね。

──スキンやエモート、武器やガジェット、ゲームバランスなど、リリース当初と比較するとゲーム内容はすさまじい進化を遂げています。フォーラムなどを見るに、コミュニティとの交流が急速な進歩に寄与しているのでしょうか?

Williamson氏:
 私たちはプレイヤーからのフィードバックをとても、本当に重要だと思っています。ソーシャルメディアのフォーラム上の意見を頻繁に読んでいますし、同じようにゲーム内のデータに基づいた分析もしています。
 私たちは機敏で即応性の高いチームを有していて、フィードバックに対してできる限り早く対応するようにしています。それがゲーム運営に最も重要なことだと考えているからです。

──本作のバトルパスシステム【※】は基本無料ゲームのマネタイズ方法におけるひとつの完成形だと思います。最近はビデオゲームの集金システムが議論になりがちですが、課金システム周りの理念のようなものはありますか?

Williamson氏:
 もともと、ゲーム内課金で有利不利がでてしまう要素を盛り込みたくはなかったので、基本的にスキンやエモートなど、ゲームプレイに影響がでないものを扱おうと思っていました。

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※バトルパスシステム……『フォートナイト バトルロイヤル』では、さまざまなアイテムや特典が収録された「バトルパス」がシーズンごとに販売されている。そこには経験値ブーストなども含まれており、ほかのゲームとは違いシーズン中であれば永久的に効果が持続するのが特徴。また、ゲーム内ではチャレンジをクリアすることでティアが上昇しエモートやスキンを手に入れられるが、パスを保有していればそれらのアイテムも豪華になる。ゲーム内での報酬か直接購入ができるインゲーム通貨「V-BUCKS」を消費して購入する。
(画像はEpic Games|フォートナイト|バトルパスシーズン3のスクリーンショット)

 さらにプレイヤーにとってなるべくフェアであるために、私たちが提供するものに価値があるかどうか「プレイヤー自身」に判断してもらうようにしています。
 そして私たちは、逆にオプションの「スキンやエモートがなくても」ゲームから得られる体験が素晴らしいものであるよう、ゲームそのものの面白さに注力しているのです。それが好循環を生むようなシステムにしたいと思っています。

──iOSバージョンのリリースも驚きました。なぜiOS版を出そうと思われたのですか?

Williamson氏:
 将来、どんなプラットフォームでも同じゲームができるようになると信じています。場所や時間を問わず、コンソールやPCの品質のグラフィックやアクションが遊べる。『フォートナイト バトルロイヤル』はその第一歩です。
 もっと多くの層に受け入れられると同時に、今やっているプレイヤーに遊んでもらうためにも、モバイル版を作るのはいいことだと思いました。

──PC/PS4/iOS間でのクロスプラットフォーム対戦も発表されていますが、特に操作形態の差異などでバランス調整は難しいと思っています。どう克服されていく予定ですか?

Williamson氏:
 モバイル版はPCやPS4でやっているのと「同じ」ゲームです。唯一違いがあるとすれば、入力デバイスがタッチスクリーンだということです。
 プレイヤーからのフィードバックに基づいて調整を繰り返している最中ですが、基本的なゲームデザインに変わりはありません。他プラットフォームと同じコンテンツ、同じアップデートをしていく予定です。

──ありがとうございました。(了)

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(画像はEpic Games|『フォートナイト』を入手より)

 単にバトルロワイヤル系ゲームというだけでなく、マルチプレイヤーゲームまでその範囲を広げても、2017年は『PUBG』の独壇場だった。しかし2018年は『フォートナイト』の年となることを色濃く感じさせる。今後も目が離せそうにない。

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インタビュアー・著者
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Nobuhiko Nakanishi
大学時代4年間で累計ゲーセン滞在時間がトリプルスコア程度学校滞在時間を上回っていた重度のゲーセンゲーマーでした。 喜ばしいことに今はCS中心にほぼどんなゲームでも美味しく味わえる大人に成長、特にプレイヤーの資質を試すような難易度の高いゲームが好物です。
編集
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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