まさに極限でサバイバルしている感覚を覚えた──。それは、前作以上にバリエーション豊かな武器やアイテム、フィールド上のオブジェクトを活用し自由に敵と対峙することが可能な戦略性と、PlayStation 5用コントローラ「Dual Sence」がもたらすこれまでにない銃撃への手ごたえによるものだった。
5月8日、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PCでリリース予定の『バイオハザード ヴィレッジ』。今作の主人公は、前作『バイオハザード7 レジデント イービル』に引き続いて登場のイーサン・ウィンターズ。クリス・レッドフィールドによって奪われてしまった自身の娘を取り戻すべく奮闘するさなか、東欧のとある国の辺境に存在する村へ辿り着く。
今回は『バイオハザード ヴィレッジ』のPS5版を2時間ほど試遊できる機会に恵まれたので、その所感をお届けする。
執筆/トモトモ
生活を感じさせるほど作りこまれた「村」
本作の新たな舞台のひとつとして登場する「村」。プレイを始めて数分後、雪道を進むと村を眼下に見渡せる高台へやってきた。周囲を見回すと、村の中心には城がそびえたち、奥には山々が連なりうっすらと靄もかかっている。遠景まで緻密に作られていることに驚きながらも、村は環境的に周囲と隔絶されており、どこか排他的な印象を受けた。
村は、大小様々な建築物によって構成されている。ひとまず、何か手がかりはないかと適当な家屋に入ってみた。部屋の中に置かれた小物の類、敷かれている絨毯の模様、さらにドアについた傷など、作りが実に細かく、この村で生活を営む者たちのリアリティを感じさせてくれる。目的を忘れて一軒一軒の作りこみを確認したいくらいだった。
1体でも恐い!俊敏で獰猛なライカンたちとの戦い
村内を探索して回っていると、敵と出会うイベントが発生し戦いとなる。敵は、狼のような容姿のライカン。今作の操作方法は、基本的に前作を踏襲しており、こちらもすかさずハンドガンで応戦を試みるが、とにかく相手の動きが素早い。上手く照準を合わせられず銃撃にモタついていると、サッと左右へ避けられたり、瞬時に間合いを詰めてきて攻撃されてしまう。
倒すには、敵と一定の距離を保ちながら、素早く的確に狙いを定めて攻撃する必要があるようだ。正直、そこまで強くないであろうゲーム序盤の敵相手にここまで苦戦するのかと、今後への不安と恐怖を強く植え付けられた経験となった。
この戦闘をキッカケに、これまで全く人気のなかった村の様相は一変する。いたる所からライカンたちが襲来してくるのだ。しかし、こちらは弾薬が圧倒的に不足しているため、ひとまず近場の建物へ逃げ込むことに。
ちなみに、弾薬の入手方法は大きく2通り存在する。弾薬そのものを手に入れるかガンパウダーなどからクラフトするかだ。このあたりも前作を遊んでいた人ならばお馴染みといったところだろう。
建物内に逃げ込んでも油断は禁物だった。なぜなら、敵はドアや窓など入れそうな場所を見つけて侵入しようとするからだ。部屋にあった棚を動かしてドアを塞ぎ、一時的に凌ぐことはできるが、敵の数は多くモタついていると簡単に突破されてしまう。籠城戦に持ち込もうと試みたが、すぐに無理だと悟り、村を彷徨いながら戦うことにした。
村には、撃つと爆発して敵にダメージを与えられる火薬樽や敵の動きを一時的に足止めできる小麦袋、さらにアイテムの入った木箱など数々のオブジェクトが置かれている。手持ちの武器やアイテムとその場にある様々な要素を駆使し、何とか難所を切り抜けていく今作の戦闘は、まさにサバイバルをする感覚だ。
ひらけた場所へやってきたとき、絶望感に苛まれる場面に遭遇した。これまで相手にしていたライカンの数倍はある巨体に、一振りで即死は免れないであろうハンマーを持つ敵がいたからだ。「殺される」。まさに絶体絶命な状況、これはゲームオーバーもやむなしか?と覚悟を決めたとき……事態は急転する。ここで、イーサンがどうなるかは実際に遊んで体験してみてほしい。
村は全体的に明るくて開放的なイメージがある。しかし、縦横無尽に迫ってくる得体の知れない敵と、いつどこで遭遇するのか?そんな恐怖と緊張が同居する中での探索は筆者にシリーズ作品『バイオハザード4』を遊んだときの印象を彷彿とさせた。
ゲーム中、様々な場面でプレイヤーの前に現われる恰幅の良い商人デュークは、クラフト用の新たなレシピ販売や武器のカスタマイズなどを行ってくれる。無論、取引には貨幣が必要となるが、この商人とのやりとりによって、イーサンの採れる戦略はより多彩なものとなっていく。
魅力はドミトレスク夫人のみにあらず!『バイオハザード』な探索が楽しめる「城」
プレイ開始から約1時間ほどして、ドミトレスク城へ入ることができた。ここはドミトレスク夫人が住まう場所だ。実は、この荘厳な城に入る間際にもひと悶着あるのだが、ストーリー展開については、初プレイの驚きや楽しさを損なわせてしまうので言及を避けておきたい。
ひとつ言えるのは、ドミトレスク夫人をはじめとして、鉄を自在に操るらしき不思議な能力を持ったハイゼンベルク、さらに、彼ら貴族を束ねているらしいマザー・ミランダと呼ばれる黒衣をまとった女性など、いずれも特徴的なキャラクターの存在だ。
ドミトレスク夫人は、その目を見張るほどの長身と一挙手一投足から醸し出される妖艶さがこれまでSNSなどでも話題になったが、今作で登場する敵キャラクターは、夫人以外にもかなりバラエティに富んでいて魅力的だった。もちろん、イーサンであるプレイヤーは、様々な形で苦しめられるわけだが……。ゲームを遊ばれる際には、彼女らとの絡みもぜひ期待してもらいたい。
城の内部は、グラフィックの美しさを感じられる煌びやかなシャンデリアの広間を中心に、上下左右へ部屋が複雑に配されている。村の開放的なイメージと比べると、閉鎖的な空間といった印象だ。
初見では部屋の位置関係が掴みづらく、手に入れたマップを頼りに目的の場所へと移動していた。コントローラのタッチパッドを押すとマップへアクセスできる。マップは見つけた重要なモノには「!」が記されたり、現在の目的が表示されたりするため、迷子になったり目的を見失ったりする心配もなさそうだった。
城の各所には、仕掛けの存在を予感させる不可思議な配置の像や調度品などが置かれている。シリーズの魅力のひとつでもあった、散りばめられた手がかりを元に仕掛けを解き新たなアイテムを手に入れ道を切り開くといった『バイオハザード』ならではな探索の楽しさがここでは存分に味わえるようだ。
ただ、あまり余裕は与えてくれない。たびたび、ドミトレスク夫人率いる3姉妹に苦しめられるからだ。どこからともなく黒い虫のようなものが集団で現われたかと思ったら、いつのまにか姉妹が出現し、こちらに襲い掛かってくる。
そのため、すぐ対峙できるよう警戒しながら調査を進めなくてはいけなかった。いつどこで出てくるか分からないという恐怖を感じつつ城内を色々と巡っているうちに、時間となりハンズオンは終了した。
PlayStation 5版は、アダプティブトリガーが没入感を高める
今作はPlayStation 5をはじめ幅広いプラットフォームでの発売を予定されているが、PlayStation 5版だけの特徴をひとつ語らせてほしい。それは、コントローラー「DualSense」の機能を存分に活用している点だ。
筆者が「すごい」と思わせられたのは、銃を撃とうとした瞬間だった。「DualSense」に搭載されたアダプティブトリガーが機能し、R2トリガーを引く際に抵抗が加わって、銃撃の重みを感じられるようになっていた。
さらにこれは、銃の種類によっても異なる。たとえば、威力のあるショットガンでは、銃を構える際に引くL2トリガーにも抵抗が加わる。ようするに、ショットガンを構えて撃つときの負担をその手に感じられるようになっているのだ。この感覚はかなり新鮮で、何発も撃つと当然指は疲れてくるのだが、それがより没入感を高めることに成功している。
サバイバルホラーをしていると実感できた『バイオハザード ヴィレッジ』
筆者がハンズオンから感じたのは、まさにサバイバルをしているという感覚だった。状況に応じて、村に置かれている様々なオブジェクトを活用したり、自分の欲しい弾薬や回復薬などをクラフトで調達したりする。
それは、あの敵をこのアイテムで倒してくださいといった、やらされている印象を受けるようなゲームプレイではなく、一定の与えられた状況下でプレイヤーの戦略性が要求されるサバイバルホラーを味わえる作りとなっていた。
前作と比べ、世界観は全体的に明るく開放的だ。しかし、何をしてくるか分からない敵といつ遭遇するのか?常に恐怖心と緊張感が隣り合わせのプレイフィールは、『バイオハザード 4』を初めて遊んだときに近いものがあった。
さらに、新たなクラフト用レシピや武器のカスタマイズパーツの購入などが行える商人デュークの存在によって、プレイヤーの採れる戦略の幅はより広がりを増す。
プレイヤーの性格や趣向によって攻略法も多様に変わってくることだろう。ぜひ自分独自のサバイバル法でこの難局を生き延びてほしい。
最後に、ボリュームについて一言触れておきたい。オンライン専用タイトル『バイオハザード RE:バース』が付属することで、本編のボリュームが少ないのではと不安視する声もある。しかし、カプコンの担当者によると本編だけでもシリーズの中でも1、2を争うプレイボリュームがあるため、その心配は要らないとのこと。
イーサンがドミトレスク夫人のほか、謎のベールに包まれた村の面々を相手にどのような立ち回りを繰り広げ、奪われた娘を見つけ出すのか、あらためて5月8日の発売が待ち遠しい。