病院経営ゲーム「ツーポイントホスピタル」を守銭奴にプレイさせたら大変なことになった(執筆:pato)

病院経営ゲーム「ツーポイントホスピタル」を守銭奴にプレイさせたら大変なことになった(執筆:pato)

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 それは某編集者の理不尽な一言から始まった。

 「patoさんって守銭奴じゃないですか」

 僕はこれほどまで失礼な第一声を知らない。普通はもっとこう、時候の挨拶などから入る第一声を放つべきじゃないだろうか。この言葉を放った人の名前を書くといろいろと問題があるので伏せさせてもらい、某編集者としたい。

 「え、そうですか。そんなに守銭奴じゃないと思いますけど」

 なんて失礼なやつなんだと動揺する心を抑えつつ、無難な切り返しをする。

 「いやいや、守銭奴ですよ、いまだに酔っぱらうと、はるか昔に週刊ジャンプが10円値上げしてショックを受けた話をするじゃないですか。10円ですよ、10円。10円で3時間も恨みごとをいう人、初めてみましたよ」

 たしかにいまだに根に持っているけど、それはお小遣いでジャンプを買っていた僕らには大打撃だったわけで、ショックで寝込んだし、編集部に苦情の電話も入れた。いまだに酔うとその時の恨みを話し始める。でもそれは守銭奴とは違う。純粋な少年の心とかそういうやつだ。

 「それに、僕がスマホを新しい機種に変えたって言うと、絶対に『古い機種をくれ』って本気のトーンでいうじゃないですか。冗談ぽくいうけど明らかに本気じゃないですか。ぜったいに中古屋に売る気ですよね。それって完全に守銭奴ですよ」

 確かにくれっていうけど、別に中古屋に売る気ではない。もったいないから古い機種もしっかりと僕の手で活用してあげたいだけだ。

 「そこで、今回、その守銭奴にこういったゲームをやらせたらどうなるのかなって思いましてね。とあるゲームをプレイしてもらうことになりました」

 すっかりと守銭奴にされてしまったが、その某編集者から示されたゲームがこれだ。

『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』
全世界で400万人を超えるユーザーが楽しむヘンテコ病院経営シミュレーション『Two Point Hospital』の日本語版、『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』をPlayStation®4、Nintendo Switch™にて、7月29日(木)より絶賛発売中。また、無料の追加コンテンツ「ソニックパック」も配信中となる。

本作は、オリジナル版の『Two Point Hospital』に4つの大きな拡張ダウンロードコンテンツ(DLC)に加え、2つの追加アイテムパックDLCなど、多くの要素を詰め込んだ『JUMBO Edition』の日本向けタイトルです。

 ツーポイントホスピタルとはイギリスのTwo Point Studiosが開発した病院経営シミュレーションゲームだ。2018年に発売され、経営シミュレーションゲームの傑作として世界中を席巻し大ヒットとなった。その傑作がついに日本語版として発売されることになり、ジャンボエディションとして2021年7月、PS4とSwitch版が発売となった。ファン待望の一作だ。

 簡単にゲームの流れを説明しよう。

 プレイヤーにはこのように病院の建物と資金が与えられる。

 初めに受付を配置し、次に総合診察室を配置する。医師と事務員を雇用し、病院が始まる。しばらくすると患者がやってくるので治療なり診断なりを行う。そこで診療報酬が発生し、病院の収入となる。

 病気に応じた治療セクションも作る必要もある。ここでは診察室で診断された病気を治療するために「薬局」が必要となり、看護師を雇用して配置することで機能する。

 医師、看護師、事務員、管理員といった病院のスタッフも必要に応じて雇用し、給料を支払わなければならない。

 稼いだお金で設備を充実させていき、スタッフも増やしていき、徐々に規模を拡大していく、そんなゲームだ。

 このゲームの一番のポイントは、ともすれば深刻なトーンになりがちな「病院」という舞台を、オリジナル疾病を扱うことでコミカルに描いていることだ。

 頭が鍋になってしまった「病みなべ症」という疾病が登場する。このへんの病名がしっかりとダジャレになっており、日本語化においてかなりの工夫があったと考えられる。元の英語ではどうなってんだろ。

 この「病みなべ症」を治療するには特別な「なべ摘出装置」が必要となり、その治療室を整備し、操作する医師を配置しなくてはならない。

 ピエロみたいな見た目になってしまう「ピエロコンプレックス」だ。

 これを治療するには、ピエロになって過剰となったユーモアを除去する「ユーモア除去装置」が必要となる。

 ピエロからユーモアが除去され、普通の人に戻る。ユーモアを除去されつつあるピエロの苦悶の動きがなかなか面白くも悲しい。

 数多く登場するユーモアある疾病を治療するだけでなく、研究を行わせることで治療法を確立させ、治療室をどんどんアンロックしていく。そうしてお金を稼ぎ、病院経営を安定させていくことがこのゲーム最大の目的だ。

 「このゲームを守銭奴であるpatoさんに守銭奴らしくプレイしてもらいます」

 あえて名前は伏せさせてもらうが、ライターとしても活躍する某編集者はそう言った。守銭奴的なプレイをして欲しいらしい。

 「まあ、プレイしてレビューしますけど、べつにそこまで守銭奴プレイはしませんよ」

 自分のことを守銭奴と認めたわけではないけれども、いくら守銭奴といってもゲーム内でまで守銭奴な振る舞いは行わない。なぜならゲーム内でいくらお金を稼いでも現実の僕のお金は増えないからだ。なにも得しないからだ。

 僕のそんな考えを見越したのか、名前を出せない某編集者は冷たく言い放った。

 「そこは自分で考えてくださいよ。守銭奴としてプレイするにはどうすればいいか。そこは自己責任ですよ」

 ただ、僕もプロですからね。守銭奴としてプレイしろといわれたら、どうにかできる方法を考えて実現する義務みたいなものがあるんです。

 これはもう、「ゲームで成果を上げたら僕の大好きなストロングゼロが貰える」と信じ込むしかない。自分に暗示をかけるしかない。僕はストロングゼロのことになると見境がなくなることがあるので、信じ込むのは簡単だ。成果を上げるほどストロングゼロが貰えると信じこめば守銭奴プレイになるし、プレイ後に強く言えば本当にくれるかもしれない。

 「ゲーム内で10万ドル稼いだらヨッピーがストロングゼロを1本プレゼントしてくれる」

 「100万ドル稼いだら10本、200万ドルで20本、1000万ドルくらい稼いで100本とかなったらしばらく買わなくて済む。信じ込め信じ込め」

 ヨッピーはストロングゼロをプレゼントしてくれる。絶対にくれる。10万ドルで1本。

 よし、信じ込んだ。

 「守銭奴プレイ、やります」

 僕の申し出に何も知らないヨッピーはご満悦だ。プレゼントするはめになるとも知らずに。

 

 そんなこんなでストロングゼロを得るため、ツーポイントホスピタル、プレイ開始することにした。

文/pato
編集/ヨッピー


※この記事は『ツーポイントホスピタル』の魅力をもっと伝えたいセガさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。

 プレイを開始する。登場したのが「ホグスポート」というマップだ。可もなく不可もなくといった普通のマップに見える。持ち金は20万ドルからスタート、つまり最初の時点でストロングゼロ換算で2本の所持金だ。

 まずは受付を作りましょう、と言われる。ここで注意していただきたい。僕は病院の受付に関しては一家言ある男なのだ。

 以前に突如としてキンタマが痛み出し、めちゃくちゃ腫れたことがあった。クーラーボックスとかに入れる巨大な保冷剤を股間に挟みこんでいないと痛みで気が遠くなるレベルのものだった。歩くと激痛がはしるし、痛くて夜は眠れないしで大変な騒ぎになり、朝一番に命からがら、泌尿器科に駆け込んだことがあった。

 その泌尿器科の受付が死ぬほど混んでいて、完全に終わったと思った。朝の泌尿器科はおじいちゃんおばあちゃんでめちゃくちゃ混んでいて、さらに『朝家でしてきたから検尿が出ない』と駄々をこねるじいさんがいたりして、本当にカオスな状態になっていた。

 もうキンタマが痛すぎてロビーチェアに座ることもできなかったので、立って待っていたのだけど、もう気が遠くなって、頭の中で何らかの川を渡りそうになっていた。そうしたらはるか昔、僕が生まれる前に死んでしまって会ったことのない、遺影でしか見たことがないはずのおばあちゃんが出てきて、逝くな! キンタマで逝くな! って叫んでくれた。それでなんとか意識が向こう側に行かずに済んだのだ。

 つまり、受付が潤沢でないと病院で地獄を見る、ということだ。キンタマが痛い人にも優しく、それが病院の受付あるべき姿だ。

 不安なので受付を2つくらい作っておこう。

 いや、僕みたいに苦しむ人をもう二度と生み出したくはない。4つくらい作っておこう。

 それでも不安だな。8つくらいいっとくか。これでキンタマが大挙してやってきても大丈夫だ。

 これで安心。キンタマが腫れた人を待たせることもない。あんな地獄はもうたくさんだ。

 さて、次に「総合診察室」というものを作る必要があるようだ。医師が患者を診る部屋だ。これが病院の核をなす施設なわけでとても重要なものとなる。これにも僕は一家言ありますからね。

 そのキンタマが腫れたときに、死ぬほどの待ち時間を経てやっとこさ診察室に入ったら、医師がめちゃくちゃ声の大きいおっさんでしてね、なにもそんなに大声で言わなくても、みたいなトーンでいうんですよ。

 「なにい、キンタマが腫れたあああああああああああああ!?」

 「ソフトボールみたいにいいいいいいい!!!?」

 声が大きすぎて完全に受付や待合室、下手したら病院の外のコンビニにまで聞こえとる。めちゃくちゃ恥ずかしかった。

 ここは声の大きい医師がいても大丈夫なように、受付と総合診察室を可能な限り離して設置しよう。キンタマが腫れた人にも優しい病院にしたい。

 一連の施設が完成すると、時間の流れに沿って患者がやってくる。そして治療が終わるとチャリン、とお金が入る。

 おいちょっとまて。この診察で500ドル? 現実の世界での診察料としてはかなり高価っぽいけど、ちょっと先が遠すぎやしないか。ストロングゼロが1本プレゼントされる10万ドルってはるか遠くだぞ。これ200回やらないとストロングゼロ1本にならないのか。

 ただまあ、プレイしてみてわかった。この「ホグスポート」のマップ、ひととおりのチュートリアルが終わると、以下のようにミッションが課せられるのだ。

 「一つ星病院の称号を獲得するのに、3人の患者を完治させろ」と表示されている。

 これをクリアすることによって星を獲得し、一つ星病院、二つ星病院とランクを上げていく。すると、次のマップが解放されていくという具合になっている。なるほどなるほど。そういうシステムか。

 最初のマップをクリアすると次の「ロワー・ブロック」という2つ目のマップが解放される。ここでもミッションをクリアして星を獲得し、次のマップを開放していく。そんなスタイルのゲームのようだ。

 これによっておおまかな方針が定まる。

 こういった形式のゲームにおいては、最初の方のマップがチュートリアル的な内容であり、徐々に難易度が上がっていく。おそらく最後の方に出てくるマップが「難易度はかなり高いけど成功すればめちゃくちゃ稼げる」みたいなマップになっているはずだ。最初のマップはどう考えても狭いので稼ぐのに限界がある。進んでいくと使える土地も広大なマップが登場しそうなので、稼ぎやすそうだ。

 おまけに、このゲームは単にミッションをクリアしていくだけでなく、アイテムや施設、治療法をアンロックしていく必要がある。

 病院を経営しつつ、研究を進めて病気の治療法を確立したり、治療施設をアンロックしたりする必要がある。おそらく後半に出てくる病気ほど治療した時の稼ぎがデカい。つまりゲームを進めてこれらの研究を進める必要があるのだ。

 なんだかんだで2面「ロワー・ブロック」3つ星を獲得しクリア。

 3面、「フロトリング」も3つ星を獲得しクリア。

 3面まで順当にクリアしたのだけど、4面から急に難易度があがった。

 4面となる「ミットン大学」では、寒冷地となりやや過酷な環境になる。部屋の設備に寒さ対策のラジエーターを置いて対策する必要が出て来るのだ。ここでは大学病院ということで医師や看護師など、経験の浅い学生しか雇用できず、研修を経てスタッフのスキルアップを図っていくことに。なかなか苦労ししたけどなんとかクリアした。

 5面となる「ダンブル」ではさらに難易度があがる。山岳の観光地ということで骨折した患者が続々とくる。治療に失敗すると病院の評判が下がり、患者が来なくなって収入が下がる。あと地震が起こるようになるのでせっかくの設備が壊れまくる。それでも医師などの人件費はかかるので、どんどん所持金が減っていき、簡単に赤字になる

 こうなってしまうと設備投資もなにもできなくなるので、ただただ雪だるま式に増えていく赤字を見守るだけになる。これではストロングゼロを貰うとかそんな次元の話ではない。というか、最終的にマイナスの所持金をたたき出した場合は、逆に僕がストロングゼロを進呈することになってしまう。

 4面クリアと同時に6面である「フレミントン」もアンロックされたのだけど、同じくらいの難易度だった。ちょっと気を抜くとあっというまに病院の評判が下がり、赤字に転落してしまう。特にこの面は災害が起こって病院の設備が破壊されまくるのでかなり極悪度が高かった。こんな所に病院を建てるな

 ちなみに、マイナスが15万ドルに達するとこのままでは破産するぞと警告がでてくる。マイナスが30万ドルになると破産となり、ゲームオーバーである。これではストロングゼロを3本、こちらから進呈することになってしまう。自分で書いて逆にプレゼントまで進呈するなんてもはや何をやっているんだかわからない状態だ。

 早くクリアして先に進まないといけないのに、この「フレミントン」で詰まってしまった。なんどやっても破産してしまう。

 くっそ、終盤のステージに急いで行って稼ぐ必要があるのに先に進めない。ゲームとしてはかなりやりがいがあり、めちゃくちゃ楽しめる状況なのだけど、あいにく僕はそこにストロングゼロが重くのしかかってくる。このままではこっちがプレゼントすることになる。潤沢なストロングゼロを確保したいのにぜんぜんうまくいかない。

 だいたい、ステージをクリアしていっていろいろなものを開放し、終盤のステージで稼ぐっていっても、どれだけステージがあるのか分からない。先が見えないのはつらい。それにひとつひとつのステージがけっこう遊びごたえのあるつくりになっている。

 「どれくらいステージあるんだろ、10ステージくらいまであるのかな」

 調べてみると27ステージまであった。頭おかしい。明らかに多すぎる。ボリュームありすぎだろ。こういった感じでチマチマとクリアしていくゲームがめちゃくちゃ好きで、このボリュームは最高で何年も遊べそうな感じなんだけど、いまは事情が違う。そんなことしていたら、あっという間に締切がきて、「稼げませんでした」とこっちがストロングゼロをプレゼントするパターンになってしまう。

 なんとか効率良く資金を稼いでストロングゼロを手に入れたい。そう苦悩していると、電撃的にものすごい名案が頭の中にほとばしった。

 「このゲーム、じつは病院経営ではないのでは?」

 そんなことをふと思ったのだ。なにを言ってるんだかわからないと思うけど、こういうことだ。

 治療に失敗し病院の評判が下がるから患者が来ない。それでも人件費はかかるし、設備投資もしなくてはならない。それで赤字が膨らんでいくのだ。それもこれも治療に頼った病院経営をしているからだ。

 そこで注目したのが、このゲーム機だ。

 このツーポイントホスピタルでは、患者が押し寄せて待ち時間が生じると患者が怒って帰ってしまうことがある。それ以外にも「空腹」「喉が渇いた」「トイレに行きたい」など、様々な理由で患者が怒って帰ってしまう。けっこう堪え性のない患者たちだ。それを防ぐために、自動販売機を設置したり、トイレを適切に設置したりする必要がある。その中に「退屈」という理由もある。

 このゲーム機を設置することで患者の退屈度を下げる効果が期待できる。しかしそれ以上に大きな効果がある。

 患者がゲームをプレイすると5ドル入るのだ。チャリンと入る。これは大きい。

 治療などでお金を稼ぐには医師を雇い、看護師を雇い、治療設備もメンテナンスして維持していく必要があるので管理員も雇う必要がある。受付などを担う事務員も必要となり、それだけ人件費がかかる。そして、評判が下がるとこれらが回らなくなる。時間もかかる。

 これがゲーム機となると、人を雇う必要もないし、メンテナンスも必要ない。ただ置いておくだけで比較的に短い時間でチャリンと5ドル入る。完全に金のなる木だ。これを軸に病院経営をしていくべきではないだろうか。

 試しに設置してみたところ、患者たちは退屈という名の悪魔と戦っていたのか、なかなか食いつきが良かった。力道山の時代に街頭テレビに集った人のようにわっと人が集まってきた。あっという間に行列が形成されるほどで、大人気だ。チャリンチャリンと次々と5ドルが入ってくる。こりゃすごい。笑いが止まらん。病院にゲーム機、完全に正解だ

 病院にゲーム機? と考えると少し不思議に思うかもしれないけど、僕はこれにも一家言がある。

 幼少の頃、僕は喉が弱かった。

 その弱さが災いし、母親の運転で買い物に行く途中に、喉に痰か何かを詰まらせて窒息状態になった。

 突然に真っ青な顔になる僕に母親はパニックになり、救急車なんか待っていられない、一刻を争う、車を運転して直接、病院に乗り付けるしかない、となったが、かろうじてわずかに呼吸できる角度を維持するために抱きかかえておく必要があるし、かといって僕を抱えたままでは運転できない。完全に手詰まりになっていると、その辺を通りかかったおっさんが「わしが運転していったるわ!」と運転して病院まで行ってくれたらしい。

 そのおっさんは、遠くにある総合病院に到着するとそのまま歩いて帰ってしまったらしく、命の恩人だということでお礼が言いたくてその後、ずいぶんと探したけど見つからなかった。

 そんなこんなで、人生において初めての入院をすることになった僕は、孤独と退屈と戦っていた。やはり幼い子どもにとって、家を離れて知らない場所で眠ることは言い知れぬ恐怖だったし、病院という舞台はその恐怖を増幅させた。耐えられずシクシクと泣いていると、病室内を仕切る薄白色のカーテンの向こうから声が聞こえた。

 「面白いもの見せてあげようか」

 隣のベッドは中学生だか高校生だかのお兄さんだったと思う。

 「もう消灯時間過ぎているから静かにね。看護婦(当時は一般的にそう呼んでいた)さんに見つかったら大変だから」

 そう言ってお兄さんが見せてくれたのはパチンコ台だった。本当に、パチンコ屋さんからそのままくり抜いて持ってきたみたいな台がそこにあった。パチンコ台を取り囲む木枠みたいなのを今でも鮮烈に覚えている。

 「おれ、入院が長いからさ。親に言えばなんでも買ってきてくれるんだ。それでパチンコ台ってお願いしたら本当に持ってきた」

 照明の落ちた病室。暗がりの中でお兄さんは確かに笑っていた。

 「もう夜も遅いから明日やろうな。いまはこれを楽しみにして寝よう」

 「うん!」

 不思議と、怖さや寂しさみたいなものが消え失せていた。パチンコ台のことを考えるとワクワクしてたまらなかったのを今でも覚えている。いつの間にか知らないベッドで眠りについていた。

 そういったことを考えると、やはり病院にもこういった楽しみは必要なのだろう。パチンコ台とゲーム機は根本的には違うのだけど、患者への楽しみという点では同じだ。あと、金も儲かるしな。ということで、このゲーム機を軸に病院を経営していくことにした。

 つまり、ゲーム機を大量に置き、ゲームセンターみたいにしてしまえば、チャリンチャリンと5ドルが大量に入り、それが収入の柱となる。それでどんどんゲーム機を増やしていけばいい。

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