『メトロイド』『キャッスルヴァニア』『ローグ』『ストリートファイターⅡ』『ドミニオン』……これらのゲームは、その画期的なシステムから、根幹となるシステムはほぼ変ええずに、新たな要素やルール、世界観を付け加えた後続作品が次々に登場し、ひとつのゲームジャンルを確立した作品として知られています。
特に『メトロイド』と『キャッスルヴァニア』は、ふたつを組み合わせた “メトロイドヴァニア” 、『ローグ』は、ローグのようなゲームという意味の “ローグライク” として、俗称ではありますが、ゲームジャンルにもその名を残しています。
ひとつのゲームジャンルを確立したという偉大なる業績を持つこれらのゲームですが、この業績は、後続作品の中にジャンルを盛り上げ発展させるような名作がなければ成しえなかったものでもあります。
つまり、以前に発売されているゲームによく似た作品の中にも、名作となるゲームは存在するのです。たとえば、メトロイドヴァニアの王道的作品である『シャンティ』シリーズ、『ドミニオン』のようなデッキ構築型ゲームとローグライクを組み合わせた『Slay the Spire』、少し変り種ではありますが、『マリオストーリー』へのリスペクトが随所に見られる『バグ・フェイブルズ』などが、このようなゲームに当てはまる作品だと私は思っています。
そして、この記事でレビューさせていただくのは、“モンスター捕獲型ゲーム” の金字塔として、発売から現在まで世界各国で多くのファンを持つ『ポケットモンスター』シリーズへの大いなるリスペクトを持って作られた正統派後続作品である『Nexomon (ネクソモン)』。
PS4やSwitchでも販売されており、モンスター捕獲型ゲームを盛り上げる可能性を十分に秘めた本作の魅力について、お話ししていきたいと思います。
文/DuckHead
※この記事は『ネクソモン』の魅力をもっと知ってもらいたいPQubeさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
何から何までポケモンがチラつくゲームシステム
さて、早速『ネクソモン』をプレイしていきたいわけですが、その前にどうしても気になってしまうのが、この『ネクソモン』というタイトル。既にこの時点でポケモンのパチモン臭が立ち込めています。しかしながら、この潔すぎるタイトルからは、「正々堂々、ポケモンをリスペクトして、ポケモンに似たゲームを作ったんだぞ」という作り手の意志も同時に見て取ることができるので、個人的には非常に良いタイトルだと思います。
ちなみに、こちらの『ネクソモン』は、お値段が1200円(Switch版)と非常にお手ごろです。まぁ、安く手に入るというところも、パチモン感を増幅させる一因になってしまっている感が否めないのですが、この価格の安さは目を引くものがありますね。
主人公の性別、名前を入力したところで、ゲームスタート。
まず最初に、ナレーションによって人とネクソモンとの歴史が語られます。
この話をザックリとまとめると、こんな感じです。
ある日、ネクソモンの王 “オムニクロン” と名乗る巨大生物が天空から現れると、人類に対し宣戦布告。何世紀にもわたる長い長い人類とネクソモンの戦争が始まった。その長い年月の間に、一部のネクソモンを仲間にする方法を確立した人類は、ネクソモンと共にネクソモンと戦い続けた。
そして、ひとりの人間の戦士がネクソモンたちの力を借りてオムニクロンを打ち破り、戦争はようやく終結を迎えた。この戦いから更に数世紀が経過した現代、世の中は平和を取り戻していた……。
中々壮絶な歴史です。人類に友好的なネクソモンを仲間にして、ネクソモンと戦争をする。結構えげつないことをやってのけているような気もしますが、それだけオムニクロンの力が強大だったということなのでしょう。
昔話が終わると、ついさっき “数世紀前に打破された” と聞いたばかりのオムニクロンがいきなり登場。しかも、オムニクロンの目の前には主人公が横たわっています。これはかなりの急展開。
オムニクロンが高らかに勝利宣言をしたところで再び場面は切り替わり、時間は主人公の冒険の始まりにまで遡ります。
来客の対応で忙しくしている両親に促され、家から一歩外に出ると、主人公と仲の良い発明好きのエリーという少女が、見るからに怪しい男に襲われていました。その男は、エリーが作ったロボットのアトラスを彼女から奪い取ろうとしていたのです。
エリーもアトラスも怪しい男も全員初めましてな私からすると、これまたかなりの急展開。しかし、そんなこちらの事情はお構いなしに、主人公はエリーを怪しい男から守るため、彼が持っていたネクソモンを拝借し、戦いを挑むことを決意します。
怒涛の展開に圧倒されながらも、「最初のネクソモン候補になる3匹はどんな見た目なんだろう。どれにしようか迷っちゃうくらい魅力的なら凄く嬉しいんだけど」と考えていますと
なんと、最初のネクソモン候補は7匹。ポケモンのように3匹の中から最初のネクソモンを選ぶものと勝手に思い込んでいたため、予想以上の選択肢の多さに困惑してしまいましたが、ここは非常に大事な選択、大きな分かれ道です。
「3匹だけでも大いに迷う優柔不断な私をあまりナメないほうがいい。日が暮れても知らんぞ。」などとくだらないことを深夜テンションで口に出しつつ、最高のパートナーを見極めるため、じっくりと熟考を重ねることにします。
ちなみに、それぞれのネクソモンの右下に表示されているアイコンは、そのネクソモンのタイプを示しています。本作で登場するタイプは、ノーマル・ファイヤー・ウォーター・プラント・ウィンド・エレクトリック・ロック(ミネラルと呼ばれる場合も) の7種類。つまり、この7匹のネクソモンは、各タイプを代表するネクソモンであるというわけですね。
せっかくなので、ポケモンでは最初に選べないタイプのネクソモンを選びたいと思い、
ウィンドタイプのFETHRAと、
ノーマルタイプのVULAZYの2択にまで絞り込み、
最終的に、より見た目が好みだったFETHRAを最初のネクソモンに決定。いやー、かなりの時間を費やしてしまいましたが、有意義で楽しいひと時でした。
こうして、どうにかこうにか最初のネクソモンを選ぶと、怪しい男とのネクソモンバトルが始まります。
選んでる間ずっと待っててくれてありがとうね、怪しい男さん。
戦闘画面に突入したことで、いよいよポケットモンスターの波動が高まって参りましたが、それはそれとしまして、本作のバトルシステムについて簡単に説明しておきましょう。
本作のバトルはターン制で、ターンの最初にネクソモンのスキルを1つ選び、お互いのネクソモンがそのスキルを発動したら、ターン終了となります。これを繰り返していき、どちらかの手持ちのネクソモンが尽きたところで雌雄は決し、バトルは終了となります。……要はポケモンと同じです。
また、バトルでネクソモンが使用するスキルには、それぞれ、攻撃力・命中率・特殊効果・タイプが設定されており、これらの情報は、戦闘中に画面左上で常に確認することができます。
そして、ネクソモンのタイプには相性があり、相手のネクソモンの弱点を突くタイプのスキルを繰り出すことが、効率的に勝利を掴む鍵となります。……要はポケモンと同じです。
先ほどからポケモンと同じポケモンと同じと言っていますが、本作には、ポケモンと大きく異なるバトルシステムも存在します。そのシステムとは、ST(スタミナ)。
これは、ネクソモンがスキルを発動する時に消費していく値で、0になるとそのネクソモンはスキルを出すことが出来なくなってしまいます。威力の高い攻撃を無闇に繰り返していると、すぐにスタミナがなくなり、スキルが発動出来なくなるといったこともあるため、ネクソモンバトルでは、スタミナの管理も重要になってきます。……要はRPGのMPと同じです。
さて、怪しい男を難なく倒すと、世界最強のネクソモンテイマー “ネクソロード”が、これまた唐突に主人公の目の前に姿を現します。
ネクソモンテイマーとは、いわばポケモントレーナー、デジモンテイマーのようなもので、ネクソモンを使って戦う人を指します。世界最強のネクソモンテイマーであるネクソロードは、ポケモンでいうところのチャンピオンにあたる人物なのでしょう。
さて、態度が非常に大きく、常に相手を見下しているという、逆に清々しさを感じるほどの嫌な性格の持ち主であるネクソロードは、研究者である主人公の両親に会うために、この町を訪れていました。更に、ネクソロードは先ほど戦った怪しい男のボスであり、主人公が拝借したネクソモンは、実は彼のものだったということが判明します。
そして、主人公が自分のネクソモンを1匹奪ったことを知ったネクソロードは激怒し
いきなり地面に穴を開け、主人公を罵倒すると、突如出現したワープホールに入り姿を消します。どうやらここは、想像よりも遥かに人間の人間離れが進んでいる世界だったようです。こんなパワーがあるなら、別にネクソモンを使わなくても、生身のありのままの自分で十二分に戦えるんじゃ……?
ネクソロードが立ち去った後、「ネクソロードは悪いことを企んでいるに違いない」と息巻くエリー。主人公は、ネクソロードの企みを突き止めて阻止するために、長い冒険の旅に出発することとなります。
そんな主人公の旅のお供は、エリーが作ったロボットのアトラス。先ほど怪しい男に奪われそうになっていた時にはほとんど喋っていなかったのですが、実は結構なお喋りで、個人的にはかなり好きなキャラクターです。
まずはここから近い町にいるイワン総督に会いに行き、ネクソロードについて話を聞いてみることに。 “総督” とは、ネクソロードから指名された特別なネクソモンテイマーのことで、世界の各地域に配置された彼らは、その地域を統治する権限を持っているんだとか。ポケモンで言うところのジムリーダーに近い存在なのでしょうか。
さて、町までの道中では、ネクソモンを捕まえながら進んでいきます。野生のネクソモンは、草むらを闇雲に歩いていればランダムで出現するというわけではなく、ゆれている草むらに触れることで出現します。好きなタイミングで野生のネクソモンと戦うことができるこの仕様は、プレイが円滑に進むのでありがたいですね。
ちなみに、洞窟などのような草むらが存在しないダンジョンでは、例外的に、歩いているとランダムで野生のネクソモンが出現します。
ネクソモンの捕獲方法は非常にシンプルで、野生のネクソモンの体力を削ってから、“ネクソトラップ” というアイテムを使用するだけです。
このネクソトラップには “ノーマル” と “ゴールデン” の2種類が存在し、ゴールデンネクソトラップは、ネクソモンを必ず捕獲することができる優れものですが、中々手に入らない貴重な逸品となっています。
さて、話は戻りますが、道中で出現するネクソモンの種類はかなり豊富で、新たなネクソモンを見つけては捕獲を繰り返していると、ネクソモンテイマーが連れ歩ける最大数である、6匹のネクソモンがものの数分で集まりました。
即席も即席で、ここからチームメンバーが大幅に変わっていくであろうことが容易に想像できましたが、ひとまず6匹のネクソモンで構成されたチームが完成。案の定、数分後にはメンバーが入れ替わっていましたが、これもまた一興というものです。
また、道中には、主人公が視界に入るとネクソモンバトルを挑んでくるネクソモンテイマーが時々出てきます。このようなネクソモンテイマーの上には、いかにも戦いを求めていそうなボクシンググローブのアイコンが表示されているので、容易に判別することができます。事前にネクソモンバトルに備えることができるのは嬉しいポイントですね。
ネクソモンを捕まえながら、ネクソモンテイマーを倒しながら進んでいくと、何者かに襲撃され焼き払われてしまった町に到着。
ここは、イワン総督が統治している町ではありませんでしたが、住人に話を聞くと、その強力な力を使って世界を荒らすネクソモンテイマーがたくさんいるとのこと。節々で感じてはいましたが、ストーリーは中々シリアスな気がします。
焼き払われた集落を後にし、さらに先へ進むと、イワン総督が治める町に到着。まずはここまでの道中で傷ついたネクソモンを癒すために、“ヒーリングセンター” と呼ばれる施設へ。
各地域に存在するヒーリングセンターでは、既視感のある装置でネクソモンの体力を回復してもらうことができ、施設内に設置されたパソコンを使えば、チームとして連れて行く6匹のネクソモンを選ぶことができます。ポケモンセンターと同様、戦力を整えるための非常に重要な施設ですね。
さて、探し人であるイワン総督について町の人に話を聞いてみると、彼の評判はすこぶる悪く、ネクソロードが彼をこの地域の総督に指名してから、世の中はどんどん悪くなっているとのこと。なんでも、イワン総督はボディービルダー軍団を引き連れていて、体を鍛えることにしか興味がないんだとか。なるほど。濃いキャラクターの妖気をビンビンと感じますね。
また、街中には他の地域の総督の悪口を言っている人もチラホラ。どうやら、総督はジムリーダーのように民衆からの尊敬を集める存在ではなく、かなりの嫌われ者のようです。
その後も町でイワン総督の捜索を続けていると、
ありました。ポケモンジムのような見た目をした、イワン総督のトレーニングジムが。あー、なるほど。これがほんとのネクソモンジムってことですね。
颯爽とイワン総督の前に姿を現したいところではありますが、ほぼ間違いなくネクソモンバトルが控えているだろうと思い、まだ捕まえられていないネクソモンを片っ端から捕まえて、改めてチームメンバーの厳選をすることにします。
しかし、ここで問題になってくるのが、ネクソトラップの消費が激しいということ。
新しいネクソモンが次々と出てくるので、すぐに手持ちのネクソトラップがなくなってしまうのです。
もちろん、ネクソトラップは町にあるショップへ行けば購入することができるのですが、序盤においては結構高価な商品となっています。「新しいネクソモンを捕まえたいけど、お金がなくてトラップが買えないのは困るなぁ」と思っていたのですが、野生のネクソモンを倒すことでもお金が手に入るということに、ここでようやく気がつきます。
ゆれている草むらに突撃し、新しいネクソモンが出現した場合は捕獲、もう捕獲しているネクソモンが出現した場合は倒してお金を回収。これを繰り返してネクソトラップを補充し、どんどんネクソモンを仲間にしていきます。
こうして順調にネクソモンが増えてくると、また新たな問題に直面することになりました。それは、どのネクソモンをチームに入れるべきなのかということ。嬉しい悲鳴ではあるのですが、選択肢が増えてくると、どうしても判断に迷いが出てきてしまいます。見た目重視でいくか、ステータス重視でいくか、タイプのバランス重視でいくか…
そんな時、1つの指標となったのが、ネクソモンの “レアリティ“。画像では少し見えにくいかもしれませんが、ネクソモンの体力を示す枠の下に記載されているのがそれです。
このレアリティには、コモン・アンコモン・レア・メガレアなどの種類が存在し、文字通りネクソモンの珍しさを表しています。これはポケモンにはないネクソモン独自の要素の1つであり、これによって、ネクソモンの出現しやすさや捕まえやすさが変わってきます。捕まえやすさに関しては体感なので、ただの気のせいという可能性もありますが、出現率は明確に違っており、メガレアにもなると、そのご尊顔を拝むことすら難しくなってきます。
ちなみに、最初のネクソモンであるFETHRAのレアリティはスペシャル。これはかなりランクの高いレアリティです。
不思議なもので、このようにレアリティがハッキリと示されると、レアリティが低いネクソモンは育てても強くならないんじゃないか?レアリティが高いネクソモンは他のネクソモンが持っていないような強いスキルを覚えるんじゃないか?などと考えてしまい、自然とチーム内のレアリティが高くなっていきます。
こうして、現段階における理想のチームを目指してネクソモンの乱獲を続けていると、
なんと、最初のネクソモンに選ぶかどうか迷っていたVULAZYが出現しました。「いや、最初のネクソモン候補も普通に野生で出てくるのかよ!」と思いましたが、冷静に考えてみれば別に野生で出てきても何もおかしくはありません。
ポケモンでは最初のポケモン候補となる3匹は野生で出てこないので、そのイメージに引っ張られてしまっていましたが、このゲームはポケモンによく似たネクソモンであって、ポケモンそのものではないのですから。
無事にVULAZYの捕獲に成功したところで、機は熟したと判断。イワンのジムでトレーニングをしているボディービルダー軍団のリーダー、イワン総督にネクソモンバトルを挑みます。
予想通り中々の濃さと暑苦しさと筋肉量だったイワン総督。果たして彼の実力やいかに。
思っていたよりもイワン総督のネクソモンのレベルが高く、全く機が熟していなかったという事実をバトル開始直後に突きつけられました。とはいえ、バトルから逃げ出すこともできないので、そのままバトルを続けて相手の手の内を探ることに。
今回のバトルを通じて改めて思ったのは、状態異常がかなり強いということ。たとえば、バインドという状態異常にかかると、ネクソモンは束縛され、スキルを発動することができなくなってしまい、相手から一方的に攻撃され続けることになります。
その他の状態異常には、相手ではなく自分自身を攻撃してしまう「こんらん」や、体がしびれて動けなくなる「まひ」などがあるのですが、これらの効果は、一定の確率で発動するのではなく、毎ターン必ず発動するため、非常にやっかいです。
基本的に状態異常はアイテムを使うか、ネクソモンを交換することで治すことができるので、すぐに対処するのが良いでしょう。
そして、純然たる総力戦となったこのネクソモンバトル。本当にギリッギリのところでイワン総督に勝利することができました。
ネクソモンバトル終了後、イワン総督は、総督たちよりもはるかに強いチャンピオンと呼ばれる人たちがいることを教えてくれました。「ってことはチャンピオンはポケモンで言うところの四天王なんだろうな。チャンピオンが四天王で、チャンピオンがネクソロードってややこしいな」と思っていると、
突如出現したワープホールからチャンピオンのフェンリルが現れ、主人公に敗れるという失態を犯したイワンを吹き飛ばしました。イワン総督に対し圧倒的な戦力差を見せ付けたフェンリルは、火柱を出すなど、非常に人間離れしています。やっぱり、ネクソモン使わなくても十分に戦えるんじゃ…?
これだけの力を持っているからこそ強いネクソモンを操ることができるのか、それとも、強いネクソモンを操ることができるからこそこれだけの特殊能力を持っているのか……謎は深まるばかりです。
そして、なんやかんやあって、ネクソロードの企みを突き止めるために、次の町の総督を訪ねることに。こんな感じで、町から町へ、総督から総督へ、主人公の旅は続いていきます。
親切すぎるゲームシステム
新たなエリアに突入するということは、新たなネクソモンが出現するということ。個性的かつ魅力的なネクソモンが次々と目の前に現れるため、チームのメンバーがコロコロコロコロ、目まぐるしく入れ替わっていきます。
旅の進行と共に、手持ちのネクソモンのレベルもアップ。ネクソモンは一定のレベルに達することで、新たなスキルを覚えていきます。ネクソモンが覚えるスキルの数は、全部合わせて12種類。この数字は、(私が見てきた範囲では) 全てのネクソモンで共通しています。
そして、その12種類のスキルの中からバトルで実際に使用する4つをカスタマイズするのですが、この作業は、メニュー画面を開けばいつでも実行可能です。ネクソモンを捕まえたい時にはあえて威力の低いスキルを装備させて、ネクソモンを倒しきらないようにするといったような戦法を取ることができるというわけですね。
そして、道中でネクソモンバトルを挑んでくるネクソモンテイマー。その数は少ないのですが、誰も彼も非常に手ごわく、総力戦になることが多いです。単純に私がクッソ下手なだけなのかもしれないですが、ほぼ毎回、死闘と呼ぶに相応しいバトルを繰り広げることになります。
さて、次の町のレムス総督は、意外にも人々から慕われている総督でした。彼は町を守るために仕方なく総督をやってるそうで、総督にもいろいろな人がいるようです。
彼は主人公に対して友好的ではありますが、いずれ戦闘になるであろうことは想像に難くありません。先ほどのイワン総督ではかなりの苦戦を強いられたため、ネクソモンのレベル上げ作業に入ることにします。
一般的に、レベルアップ作業は時間がかかるもので、どうしても単調になりがちですが、本作では、野生のネクソモンとのバトル1回だけでレベルが上がっていくことも多く、かなりレベルが上がりやすい印象です。更に、レベルアップするとネクソモンの体力とスタミナが全回復するという仕様のおかげで、ヒーリングセンターに戻る手間が省けるため、レベル上げ作業の効率がかなり良いのではないかと思います。
レベル上げ作業が簡単なおかげで、チームの組み直しもしやすく、気軽にネクソモンを入れ替えながら冒険を薦めていくことができるというのも、本作の長所の1つです。
こうして順調にネクソモンたちのレベルを上げていくと、今か今かと待ちわびた時が遂に訪れます。
そうです。進化です。最初のネクソモンが進化するレベルに達したのです。
思ってたよりは微細な変化というのが第一印象での正直な感想ではありますが、改めて進化前と進化後を見比べてみると、正当進化という趣があっていいですね。
次の進化では、ハクリューがカイリューになるくらいの劇的な変化はあるんだろうか?と期待に胸を膨らませつつ、丁度キリのいいタイミングなので、レムス総督に挑むことにします。
すると、風のチャンピオン、ナディーンが姿を現します。完全に宙に浮いています。やはりチャンピオンは全員何かしらの特殊能力の持ち主なのでしょうか。
そんなナディーンは、イワン総督を破った主人公を潰すため、レムス総督に対し、主人公と戦うように指示を出します。チャンピオンの命令は絶対なので、レムス総督は主人公と対峙することに。
唐突ですけど、やっぱりオッサンキャラっていいですよね。
やはりレムス総督のネクソモンは強力で、回復アイテムを使っても、その直後に回復量以上のダメージをもらってしまうといった局面も多く、結局総力戦になってしまいました。レベル上げをしていなかったら確実に負けてましたねコレは。
レムス総督に勝利したところで、VULAZYが進化するレベルに到達。
君も見た目そんなに変わらんな!
それはさておき、このレムス総督とのバトル後、いろいろと謎の尽きないストーリーは大きな展開を見せるのですが、ひとまずプレイはここまで。ここからは、本作をプレイして感じたところをつらつらと書き連ねていきたいと思います。
モンスターを捕獲し、コレクションすることに特化したゲームデザイン
まず、本作を語る上でどうしても避けて通れない話題が、ポケモンと非常によく似ているということ。
この点については、プレイをせずに画像を見ているだけで、タイトルを聞いただけでも感じ取れるかと思います。下手をするとポケモンのパクリと言われてしまいかねない本作ですが、これはポケモンへの深い愛が生み出した結果なのではないかと感じます。
実は、本作ではゲームシステム以外にも、ポケモンへの愛を感じる場面が随所にあるのです。例えば、“敵組織の下っ端が空の彼方へ吹き飛ばされ星になる”というシーンが、本作には何度か登場するのですが、これはアニメのポケモンのロケット団をオマージュした演出なのではないかと思います。
そして、実際にプレイをしていると感じるのが、本作はポケモンをかなり簡素化したシステムで構築しているということ。非常にポケモンに似ているからこそ、この点はかなり際立って感じられます。
たとえば、現在のポケモンは18種類のタイプが存在し、それぞれの相性を考えて技構成や攻撃を組み立てる必要があります。あまりにも幼少期からポケモンに触れてきたおかげで、この相性表が脳裏に刻み込まれているために気が付きませんでしたが、改めて考えてみると、今からポケモンを始めようという人がイチから覚えるには、これは中々膨大な情報量です。
それに対して、『ネクソモン』で登場するタイプは全部で7種類。種類が大幅に減っていることでも簡素化されていることが分かりますが、更に、1匹のネクソモンが複数のタイプを有することは(私が見てきた範囲では)ないため、タイプの相性が非常に覚えやすいものとなっています。初めてこの手のゲームをプレイする人でも、かなりすんなりと理解することができるのではないでしょうか。
また、連れて歩けるチームが6匹で、登場するタイプが7種類なので、ほぼ全てのタイプのネクソモンを手持ちに置くことができ、様々な局面にバランスよく対応することが可能となっています。チームの組み立てで悩んだ場合は、とりあえずこの点を意識すれば問題なくゲームを進めていくことができるはずです。
まぁ、見た目を最重要項目としている私のようなネクソモンテイマーの場合は、タイプの偏りで苦戦を強いられることもあるのですが、それはそれで1つのプレイスタイル。『ネクソモン』のプレイに正解はないのです。
さて、話は戻りますが、このシンプルさ、分かりやすさはバトル画面でも確認することができ、タイプ・威力・命中率・体力・スタミナなど、バトルにおいて必要な情報は、この画面に全て揃っています。戦う相手のネクソモンのタイプも表示されるため、新たに目にするネクソモンに対して有効な戦略をその場ですぐに考えることができるというのも、本作をプレイしやすいものにしている重要な要素の1つだと思います。
その他にも、ネクソモン捕獲用のネクソトラップが2種類だけだったり、ネクソモンのステータスはネクソモンごとに固定で、個体差が存在しなかったりするなど、ポケモンのシステムを簡素化した部分が、『ネクソモン』には数多く存在しています。
もちろん、複雑だからポケモンはよくないということではなく、ポケモンの楽しさがその複雑さの中にあることは明白です。新しく登場したポケモンのタイプを予想して技を出したり、さまざまな種類があるモンスターボールを使い分けるのは非常に楽しいですし、ポケモンガチ勢の友人は、「タマゴから能力値を厳選して、手塩にかけて育ててきたポケモンが、自分が計算した能力値ピッタリになってくれた時が一番嬉しい」と、複雑さの高みから下界の私に向かって言葉を降ろしてくれました。
そんなポケモンに対して『ネクソモン』は、複雑さを排除したところに新たな魅力を打ち立てているのです。では、システムの複雑さを排除した先にあるものは何なのか。それについては追々触れていきたいと思います。
そして、本作をプレイしている中で気になったのが、ネクソモンテイマー同士によるネクソモンバトルがあまりないということ。
先ほど、道中には勝負を挑んでくるネクソモンテイマーがいるという話をしましたが、その数は非常に少なく、体感では、ポケモンの道中で登場するポケモントレーナーの10分の1くらいしかいないような気がします。もしかすると、後半になればネクソモンバトルの機会も増えるのかもしれませんが、基本的にネクソモンバトルは、ストーリー上重要な局面で発生するものというのが、これまでのプレイでの印象です。
これは私の勝手な推測になってしまいますが、これらの要素を踏まえると、『ネクソモン』は、ネクソモンを戦わせるというよりは、ネクソモンをコレクションするというところに重点が置かれているゲームであるように感じます。
先ほど紹介した、ネクソモンの珍しさを表すレアリティがその最たる例で、この概念の存在は、プレイヤーのコレクション欲を刺激します。
そして、ゆれている草むらに突入することで野生のネクソモンが出現するというシステムは、ネクソモンを捕まえる作業を効率化してくれていますし、ネクソモンデータを確認すれば、そのネクソモンが進化するのかどうかがすぐに分かります。
プレイヤーは、いくらレベルを上げてもネクソモンが進化しないという悲しみを背負う必要がなくなり、より一層効率的にネクソモンをコレクションしていくことが可能となっているのです。
更に付け加えると、レベル上げ作業がやりやすいという点も、ネクソモンの進化系をコレクションしていく作業を効率的にする要素のひとつであると言えます。
『ネクソモン』は、モンスターのコレクションに重きが置かれた作品である。そんな風に考えてみると、本作のゲームシステムが複雑さを排除したものとなっているのは、コレクションの楽しさをプレイヤーに存分に味わってもらうためなのではないかと思います。
そして、このコレクションの楽しさは、仲間にしてきたネクソモンから自分好みのチームを作り上げ、ここぞという局面で一緒に戦うという過程で更に昇華されます。
たまにしかないネクソモンテイマーとのネクソモンバトルには特別感があり、ネクソモンバトルに発展するだけでも、「ついにこのチームでネクソモンバトルができる……!」と、ついついテンションが上がってしまいます。
また、コレクションに重きを置いているということになると、モンスターのデザインの良し悪しが最重要項目になってきます。本作に登場するネクソモンは、海外のカートゥーンのような雰囲気を持つものから、初期の頃のポケモンのテイストを持つものまで、さまざまなものが揃っており、そのデザインはどれも洗練されています。個人的には非常に好みのデザインです。
捕まえて、コレクションして、育てて、進化させて、バトルする……ポケモンというゲームのモンスター捕獲型ゲームとしての面白さをしっかりと抽出し、その楽しさをプレイヤーに存分に味わってもらうために、システムを分かりやすく効率的なものにしている『ネクソモン』は、ポケモンシリーズのファンはもちろん、このようなゲームにあまり触れていない人でも気軽に楽しめるゲームとなっています。
“ポケモンのパチモン”。その一言で片付けてしまわずに、ポケモンを新たな角度から展開させたゲーム、“ネクストポケモンゲーム”として『ネクソモン』の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。