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【今日は何の日?】初代『聖剣伝説』が発売された日(6月28日)。『ファイナルファンタジー』の外伝として始まり、美しい音楽とグラフィック、魅力的なキャラクターたちでファンを魅了し続けてきた

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 6月28日は初代『聖剣伝説』が発売された日だ。

 アクションRPGにはじまり、さまざまなジャンルへと発展してきた本シリーズは、美しいグラフィックや音楽、魅力的なキャラクターたちによって人気を確立してきた。本稿では、30年を超える歴史を持った『聖剣伝説』をあらためて振り返っていきたい。

聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-
(画像はスクウェア・エニックス公式サイト『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』より)

文/夏川77


『ファイナルファンタジー』の外伝作品として始まった『聖剣伝説』シリーズ

 シリーズの始まりは、ゲームボーイ向けに1991年6月28日に発売された『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』(以下、初代『聖剣伝説』)だ。
 本作のみ「ファイナルファンタジー外伝」と銘打たれているように、既に人気を博していた『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズの派生作品と位置づけられていた。そのため、作中にチョコボ飛空艇「ケアル」「ファイア」といった魔法が登場している。

 ゲームの内容としては、コマンドRPGの『FF』シリーズとは異なり、見下ろし型画面を縦横無尽に操作するアクションRPGとなっている。
 また、戦闘がエンカウント方式だった『FF』と比べ、『聖剣伝説』シリーズはアクションに重きを置くぶん、移動と戦闘がシームレスに繋がっている点が特徴だった。
 そして初代『聖剣伝説』にはジョブシステムも存在し、4種のジョブの選択によってステータスの上がり方に差が出るようになっていた。

聖剣伝説-ファイナルファンタジー外伝-
(画像はスクウェア・エニックス e-STORE『聖剣伝説コレクション』販売ページより)

 第2作は、スーパーファミコンで1993年8月6日に発売された『聖剣伝説2』。『聖剣伝説2』からシリーズ独自の要素が強化され、『FF』外伝という位置づけから独立したシリーズとして歩み始めることになる。
 そもそも『聖剣伝説2』は『FF』シリーズの4作目として企画されており、スーパーファミコン用のCD-ROM作品として、『クロノトリガー』の題で設計されていたものだった(出典:電撃オンライン)。諸般の事情により当初の案のまま発売されることは叶わず、『クロノトリガー』は形を変えて新しくプロジェクトを作り直し、『FF』を題さなかった本作は『聖剣伝説2』として世に出ることになる。

 『聖剣伝説2』はシリーズ初のマルチプレイ対応作品でもある。2Pコントローラによる2人プレイは勿論のこと、マルチタップを使用すれば最大3人での同時プレイが可能であった。
 また、『聖剣伝説』の特徴として広く知られる「リングコマンド」が誕生したのも本作からである。キャラクターの周りに円状にアイコンが登場するリングコマンドは、移動と戦闘がシームレスな本作に非常にマッチしたUIであった。

 本作の美しい2Dグラフィック、音楽、壮大なストーリー、感動のエンディングは、多くのプレイヤーの心を打った。そして、「マナ」が満ちる世界の破壊と創造という『聖剣伝説』の根幹を成すサーガが、本作以降のシリーズを通して描かれることになっていく。

聖剣伝説2
(画像は『聖剣伝説コレクション』公式サイトより)

 2年ほどの時を経た1995年9月30日、同じくスーパーファミコン向けに『聖剣伝説3』が発売。
 基本的なシステムは前作を踏まえつつ、美しい2Dグラフィックはさらなる向上を見せた。本作の最大の特徴は、ゲーム開始時に主人公と仲間2名の計3名を選択することでメインストーリーが大きく3つに分かれる「トライアングルストーリー」と呼ばれるシステムである。プレイアブルキャラクターは全部で6名登場し、選んだキャラクターによって発生するイベントや会話も細かく変化する物語の幅広さが魅力のひとつだ。

 また、本作ではクラスチェンジシステムが採用されている。各キャラに初期職にくわえ光3種・闇3種の計6種のクラスが用意され、サポート寄りか、アタッカー寄りか、といった戦闘時の性能が変化していく。
 また、シリーズで初めて昼夜と曜日のシステムを搭載したのも本作である。
 本作は主要なキャラクターの人気が非常に高いことでも知られる。『聖剣伝説』シリーズが今日に至るまで愛される背景には、世界に生き生きと息づくキャラクターたちの魅力が大きな役割を果たしていることは間違いないだろう。

聖剣伝説3
(画像は『聖剣伝説コレクション』公式サイトより)

 1999年7月15日、ハードウェアがプレイステーション(以下、PS)に変わり、『聖剣伝説 ~LEGEND OF MANA~』(以下、『LoM』)が発売。
 ナンバリングが付けられていない本作はシリーズの外伝的な位置づけであり、メインシナリオは存在するものの、多数のミニシナリオをプレイヤーの好きな順で攻略していける自由度の高さが大きな特徴であった。
 本作はワールドマップもプレイヤー自身で作る「ランドメイクシステム」が採られている。町や森、洞窟や海辺などを世界のどこに配置するかは全てプレイヤーに委ねられている。

 また、本作はゲーム開始時に主人公を男女のどちらかから選択するが、前作『聖剣伝説3』と打って変わって一言もしゃべることはない(一部例外を除く)。マナの樹をめぐるストーリーであることは変わらないが、本作では『聖剣伝説3』までのような壮大さは抑えられ、話の主軸は主人公ではなくマナの世界で生きる「人々」にある。本作は外伝として『聖剣伝説』の世界の見せ方を新しく提示したと言えるだろう。

聖剣伝説 Legend of Mana
(画像は『聖剣伝説 Legend of Mana HD リマスター』公式サイトより)

 そして2003年8月29日、ゲームボーイアドバンス向けタイトルとして『新約 聖剣伝説』(以下、『新約』)が登場。『LoM』から『新約』が世に出るまでの間に、開発会社のスクウェアは形を変え、スクウェア・エニックスという新しい会社へと生まれ変わった。『新約』はスクウェア・エニックスから出た「初」のゲームボーイアドバンス作品でもある。

 ゲーム内容としては、ゲームボーイ向けのモノクロ作品だった『1』をリメイクしたものが本作であり、ゲーム開始時に主人公を男女どちらかから選択できるようになった。
 男主人公のストーリーは原作の初代『聖剣伝説』に準拠しており、女主人公は『1』に登場したヒロインの視点からストーリーを掘り下げる内容となっている。また、『1』を「ファイナルファンタジー外伝」としてではなく、『聖剣伝説』シリーズとして、用語の整備などを含めてリメイクしている点が特徴だ。そして通信機能によってパーティメンバーを別のプレイヤーが操作できるマルチプレイにも対応している。

新約 聖剣伝説
(画像はスクウェア・エニックス公式サイト『新約 聖剣伝説』より)

さまざまなジャンルとプラットフォームで展開された「World of MANA」プロジェクト

 2006年は『聖剣伝説』にとって、ゲームとしては3作品、マンガ『聖剣伝説 PRINCESS of MANA』も含めると同時期に4作もシリーズ作品が登場した年であった。

 これは2005年のE3で発表があった「World of MANA」というプロジェクトによるもので、最初に発売されたのは2006年3月2日のニンテンドーDS用作品『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』(以下、『CoM』)である。

 携帯機向けの本作は4人までのマルチプレイに対応している。本作は独自の新たな装備品として「ジェム」システムを採用しているが、マルチプレイを行うことで強力なジェムを入手することができた。

 本作はゲーム開始時に4種類の主人公から1人を選べるが、ストーリーに大きな変化はなく、扱える装備品も変わらない。ゲーム内容としては、マップがランダム生成のダンジョンに潜っていき、戦闘内容によって変化するリザルトで高ランクを目指し、より良質なアイテムを求めるという内容になっている。短時間での周回が可能で、携帯機らしいライトな遊び心地が実現されている。

聖剣伝説DS CHILDREN of MANA
(画像は任天堂『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』公式サイトより)

 同年の年末、2006年12月21日に、PS2用タイトル『聖剣伝説4』が登場。シリーズ初のフル3D作品であり、丸太や岩などの「MONO(モノ)」と呼ばれるオブジェクトの動きを物理演算システムで再現している点が特徴であった。

 ゲームの内容としては、剣・ムチ・パチンコの3種の武器を活用しながら、フィールドに存在するMONOを利用したアクションでステージをクリアしていく内容となっている。主人公のレベルアップは各ステージで区切られており、新たなステージに行くとレベルがリセットされる点が、従来の経験値や熟練度によるRPG要素の強いゲームデザインと一線を画している

 ストーリーとしては、聖なる島イルージャの樹の村が強国に侵攻されたことをきっかけに、世界と大樹の成り立ちが解き明かされることになってゆく、『聖剣伝説』シリーズの「はじまり」の物語である。このストーリーは前述の『CoM』と繋がっており、『4』の10年後の世界が『CoM』となっている。

『聖剣伝説』シリーズは6月28日誕生。『ファイナルファンタジー』の外伝として産まれる_001
(画像は日本ゲーム大賞 受賞作品ページより)

 『CoM』発売から『4』発売までの間に前後して、2006年10月18日にはシリーズ初のフィーチャーフォン向けアプリ『聖剣伝説 FRIENDS of MANA』が配信されている(2011年2月28日サービス終了)。
 こちらは世界設定が『LoM』と共通しており、作中の年代は「『LoM』の数年前」を想定した外伝作品であった。フィーチャーフォン向けながら『聖剣伝説』らしいアクションは健在であり、2Dグラフィックも美しく再現されている。

聖剣伝説 FRIENDS of MANA
(画像はスクウェア・エニックスの公式プレスリリースより)

 続いて2007年3月8日にはニンテンドーDS用タイトル『聖剣伝説 HEROES of MANA』が登場。本作は従来のアクションRPGからジャンルを変え、シリーズ初のリアルタイムストラテジー作品となっている。本作では、従来の作品で「ペット」として連れ歩くこともあったモンスターたちが、「MOB(モブ)」と呼ばれる戦闘ユニットとなって登場する。MOBを配置して指示を出し、ステージ開始時に表示される勝利条件を満たしてクリアを目指すのが本作の流れだ。

 ストーリーとしては『聖剣伝説3』と繋がっており、同作で古代遺跡として登場する「ペダン王国」の物語が主軸となっている。まだペダン王国が滅亡していない、『聖剣伝説3』の19年前の世界だ。

聖剣伝説 HEROES of MANA
(画像は任天堂『聖剣伝説 HEROES of MANA』公式サイトより)

 その後『聖剣伝説』シリーズは多機種への移植を展開し、新作の登場までしばらくの時を要することになる。

 2013年3月5日、フィーチャーフォン、iOS、Android向けアプリとして『聖剣伝説 CIRCLE of MANA』が登場(2015年9月30日サービス終了)。こちらは過去作で人気を博したキャラクターたちが登場する、デジタルカードゲーム的な作品であった。カードでデッキを組んでバトルに挑み、強力なボスと対戦するのが本作の流れである。

聖剣伝説 CIRCLE of MANA
(画像はグリー公式ニュースより)

 続いて2014年3月6日にiOS向けに『聖剣伝説 RISE of MANA』(以下、『RoM』)が登場(2016年3月31日サービス終了)。のちにはAndroidやPS Vita向けにも配信されている。
 フル3D作品で、明るい色使いによる絵本のような可愛らしい画面でありながら、マナの樹をめぐるアクションRPGであり、等身の低いキャラクターの軽快なアクションがあり、『聖剣伝説』シリーズのエッセンスを集約させた作品となっていた。

歴代の名作たちが次々にリメイク

 そして2016年2月4日には、iOS、Android、PS Vita向けに『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』フル3Dリメイク作品が登場(欧米版のタイトルは『Adventures of Mana』)。初代『聖剣伝説』のリメイク作品としては既に『新約』が存在するが、本作ではあまり大きなアレンジを加えておらず、女主人公編は存在しない。かつて容量的な問題でカットされた演出を新たに採用する、といった方向性でのリメイクとなっている。

 本作は敵のモデリングなどを『RoM』から流用している部分があり、対応ハードも共通させ操作感を大きく変えないことで、『RoM』を遊んだプレイヤーにも親しみやすい作りとなっていた。

聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝- リメイク
(画像はAmazonアプリストア『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』販売ページより)

 続く2017年6月1日には、Nintendo Switch向けに『聖剣伝説コレクション』が登場。ゲームボーイ・スーパーファミコンで展開されたナンバリング3作を移植した作品であり、本作で初めて『聖剣伝説』シリーズをプレイすることが叶ったプレイヤーも多かったと思われる。

聖剣伝説コレクション
(画像はスクウェア・エニックス e-STORE『聖剣伝説コレクション』販売ページより)

 そして2018年2月15日にPS4、PS Vita、Steamで『聖剣伝説2 SECRET of MANA』が登場。『聖剣伝説2』のフル3Dリメイク作品である。アクションは初代『聖剣伝説』の3Dリメイクと同様見下ろし型で、キャラクターにはボイスが付き、より臨場感が溢れるドラマが紡がれている。

聖剣伝説2 SECRET of MANA
(画像は『聖剣伝説2 SECRET of MANA』公式サイトより)

 2年ほど月日を経て、2020年4月24日にはNintendo Switch、PS4、Steamで『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』が登場。こちらは『聖剣伝説3』のフル3Dリメイク作品だ。
 元々人気の高かった『聖剣伝説3』のキャラクターたちが3Dグラフィックで新たに描かれたことで、旧作プレイヤーたちからも再び好評を博した作品である。アクションパートは見下ろし型ではなく3人称視点になったが、キャラクターの等身が上がっている本作ではよりプレイの没入感を増す役割を果たしている。

聖剣伝説3 TRIALS of MANA
(画像はニンテンドーeショップ『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』販売ページより)

 続いて2021年6月24日、Nintendo Switch、PS4、Steam向けに『聖剣伝説 Legend of Mana HD リマスター』が登場。後にはiOSやAndroid版も発売された。
 かつてPSで発売された本作をHD画面向けに再構成し、絵本のような美しい2Dグラフィックはそのままに、設定から「エンカウントなし」を選択できるなど、より遊びやすさが向上した設計になっている。

聖剣伝説 Legend of Mana HD リマスター
(画像は『聖剣伝説 Legend of Mana HD リマスター』公式サイトより)

 2022年4月27日、iOS、Android向けに『聖剣伝説 ECHOES of MANA』が配信された。
 本作の特徴は、新しい主人公による新規のストーリーが展開されながら、各章で過去のシリーズ作品に登場したキャラクターとストーリーがクロスする点であった。
 横スクロール画面のアクションパートは遊びごたえがあり、楽しくて爽快な『聖剣伝説』らしさを継承していた。現在はサービスを終了している。

聖剣伝説 ECHOES of MANA
(画像は『聖剣伝説 ECHOES of MANA』公式サイトより)

 2022年は他にも、『聖剣伝説 Legend of Mana』のメディアミックス作品として「宝石泥棒編」をアニメ化した『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』が放映された。2023年現在、各種ストリーミングサービスで視聴が可能だ。

 ちなみに『LoM』は発売当時の約20年前にも既にメディアミックス展開がされていた。それぞれ原作のゲームとは多少異なる味付けがされているが、そのような内容でも「楽しい」「こういうのもアリ」と思える自由度の高さが『LoM』という作品の懐の深さを物語っている。

『聖剣伝説 Legend of Mana』のメディアミックス
筆者の所蔵品

 発売から20年以上が経過していても、アニメ化が驚きと喜びをもって受け入れられた下地には、『LoM』ならびに『聖剣伝説』シリーズが色あせないマスターピースとして人々の心を打ち、脈々と愛されてきた歴史がある。

 シリーズ第1作の登場から30年以上の月日の中で、アクションRPGとしてだけではなく時代ごとの進化を遂げてきた『聖剣伝説』シリーズ。その魅力はアクション操作やリングコマンドに代表される没入度の高い作り込みであり、美しいグラフィックや音楽であり、キャラクターたちを真摯に掘り下げたストーリーにあった。

 多機種に移植され、新旧ファンを獲得している『聖剣伝説』シリーズは、この先どのような展開を見せてくれるのだろうか。32周年を迎えたシリーズの今後に期待したい。

ライター
『討鬼伝』シリーズを3000時間やり込んでいる元麻雀プロ。家を出て5メートルで職務質問されたことがある。中世ヨーロッパ風ファンタジーが好きで『ファイナルファンタジータクティクス』が最も好きだが、三国志など古代~近世の東洋も好き。好きな武将は細川政元。
Twitter:@natsukawa77tem

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