すべてがかわいすぎるゲーム『シューフォーズ』はキュートなだけじゃない…! 超シンプルな操作とルールなのにプレイスキルが物を言う“ガチ”バトルが楽しめる

 かわいいは正義だ──。

 かわいいものというのはとにかく目を引く。そして覚えていたくなる。商品としてのコンテンツを考えるとき、多くの人に「かわいい」と思わせるデザインはそれだけでもひとつの強力な武器になる。何だかんだと理由や根拠を並べて言葉を飾ることはできるが、直感による「かわいい」に勝る感情はそうそう存在しない。

 そして『シューフォーズ』はかわいい。キャラクターはもちろん、ステージの背景も、メニュー画面も、落ちているアイテムさえかわいい。実際、Steam上のレビューや弊誌・電ファミニコゲーマーの記事においてもそのビジュアルに心惹かれたユーザーの反応は多い。

 本作はクレーンゲームをモチーフにした作品で、お互いに散らばったアイテムを奪いあう対戦ゲームとなっている。ゲーム中でもいきなり実銃を引っ張り出して血みどろの撃ち合いを始めたりすることはなく、かわいいテイストのままバトルは進行していく。

 『シューフォーズ』はかわいい。もうこれは自明の理であり、決定事項であり、トートロジーだ。筆者自身、初見でかわいいと思ってしまったのだから、この部分に関してこれ以上の主張は生まれない。かわいいからかわいい。それでいい。

 ではその一方で、対戦ゲームとして見た『シューフォーズ』はどうなのか?

 極端な話、この魅力的なグラフィックと音楽を全部取っ払い、白黒の線と点だけで本作を表現したとき、そこにはどんな魅力が残るのか。普段から格闘ゲームやFPSといった対人戦を主体としたゲームを愛好する筆者としては、そういった面を考えずにはいられなかった。

 結論から言えば『シューフォーズ』は「対戦ゲーム」に求められる要素にしっかりと向き合った作品である。ごくシンプルな操作とルールの上で、しっかりとプレイスキルが物を言うゲームバランス。それでいて、最後まで諦めず戦う価値を感じる逆転要素。思わず熱くなる異色のバトルを、最高にかわいいグラフィックで彩ったのが本作だ。

 そういうわけで、本稿ではその圧倒的なかわいさは前提条件としたうえで、システム周りの紹介もかねて、対戦ゲームとしての長所を語り尽くしていきたい。

文/久田晴

※この記事は『シューフォーズ』の魅力をもっと知ってもらいたいPhoenixxさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


超シンプルな操作と単純明快なルール、そしてゲームの根幹を支える動きの自然さ

 本作『シューフォーズ』は1対1の対戦がメインの作品であり、その操作は非常にシンプル。使うボタンは敵をスタンさせたりカプセルを破壊するのに使う「ブッコワシ」(攻撃)と、アイテムを吸い上げる「シューシュー」(吸引)のふたつだけ。この単純明快な操作系統はすべてのキャラクターで共通しているため、最初に覚えるべきことが非常に少ない

 ルールも分かりやすく、画面中央上に表示されているアイテムを自分のゴールに入れた方が勝利。もちろんほかのアイテムが役立たずのガラクタというわけではなく、入れた数に応じてゴール手前のバー「ぼうえいライン」が上下し、多くアイテムをゴールしておいた方が有利になるといった形だ。

アイテムを入れることで「ぼうえいライン」が上下

 このように、ルールも操作もシンプルな『シューフォーズ』。にもかかわらず、巧みに調整されたシステムはキュートな見た目に反して熱くなれる対戦を作り上げている。その理由は、少ないアクションとステージギミックが組み合わさることで生まれた高い戦略性にあると言えるだろう。

 まず、ゲーム中ではもっとも使用頻度の高い「ブッコワシ」こと、攻撃アクションは基本的に上から下へ行う。一部例外はあるものの、下に位置するプレイヤーは満足な抵抗もできず殴られてしまう形だ。ちなみにスタン後にはわずかながら無敵時間があり、ひたすら殴られ続ける、いわゆる“ハメ”は起こらないことは明記しておこう。

 さて、上を取った側が一方的に攻撃できるのであるから、もちろん相手より上に位置していた方が有利に思える。しかし、本作のルール上アイテムを集めないことには始まらず、それらは重力に従って下に落ちていく。散らばったアイテムを拾うためには「下降」という手順を踏まないわけにはいかないのだ。

 そして「シューシュー」でアイテムを落とさないよう運ぶ際にはどうしても機動力が犠牲になってしまう。特に「ターゲット」の奪い合いは勝敗に直結するのだから、奪われた側は一目散に上を取ってスタンを狙いにくる。1対1でほかの邪魔が入らないこともあり、かわいい見た目に反した血の気の多い対戦風景になることも少なくなかった。

攻撃的な対戦

 また、アイテム同士の干渉や移動は非常に自然に見えるよう作り込まれていることも『シューフォーズ』のバトルの楽しさを支えている。

 例えば、吸引中のアイテムを勢いをつけて離すことで放り投げ、慣性で任意の方向に大きく飛ばすというテクニックがある。勢いで「テクニック」と呼んでしまったが、実際のところ技術的な難しさはほぼない。「このスピードで持ち運んで、いきなり離したら飛んでいくだろうな」という、しごく現実的な感覚をそのままゲームに持ち込み、実際にそう処理される、という話である。

リアルな動きをするオブジェクト
頭の上に乗せて運ぶのもまたひとつの道である

 筆者としては、この「現実的な感覚に基づいたアクションをゲーム中で自然にできる」というのは結構すごいことなのでは? と主張したい。なにしろ、この「放り投げる」というテクニックの習得には練習も攻略情報も必要なかったからだ。

 ストアページに「放り投げたり」という記述はありつつも、その方法は特段レクチャーされない。あえてプレイヤーのために書き起こしてあげる必要がないとも言っていいだろう。というのも、こうしたテクニックはゲームを遊んでいる内に自然に気づいて習得できるよう、プレイヤーの感覚にフィットしたシステムの土台が整えられているからである。

 『シューフォーズ』はアクションもルールもシンプルでありながら、プレイヤーの発想次第でテクニックや戦略性が生まれてくる奥深さを備えた対戦ゲームだ。あわせて、自然と新たな技術を思いつき、習得できるよう整備された土台のおかげで、プレイヤーは自ら考えて成長する楽しみを味わうことも可能となっている。

アイテムのランダム性とステージギミックから生まれる逆転劇

 シューフォーズのアイテムは「ガチャ」を思わせる見た目のカプセルを破壊することで現れる。そのガチャのイメージ通り、中身は開けてみるまで分からない。うっすらと見えるシルエットから特定するというやり込み要素もあるのでまったく予想できないというわけではないが、少なくともターゲットがいつ現れるかにはランダム性がともなうのである。

 もちろん自分のゴールの近くでターゲットが出現した方が、輸送距離が短くなるため有利なのは間違いない。しかし同時に、本作全ステージの共通ギミックである「ワープパイプ」による逆転要素が用意されているのが『シューフォーズ』の魅力。予測不可能な状況に振り回される「にぎやかさ」を楽しめるようデザインされているのだ。

 「ワープパイプ」に放り込まれたアイテムは、逆側の画面上側に配置された出口から落ちてくる。つまるところ自分のゴールの目の前で落としてしまうと、一気にターゲットが相手ゴールに近づくピンチに陥ってしまう、という形である。

「ワープパイプ」付近での攻防
ワープパイプ周囲の攻防

 この仕様と吸引中の機動力低下があわさり、一見非常に不利に見える状況からでも、急いで相手の上を取ってスタンさせれば瞬く間に劣勢を覆すことが可能。いつターゲットが現れるか分からないランダム要素の中でも理不尽さを感じにくいのは、こうした逆転劇のベースがしっかりと整えられているからだろう。

 一方で、上述した「放り投げる」ようなアクションによって勢いよく吹っ飛んでいくアイテムは、時にプレイヤーの予想をはるかに超える軌道を描く。というのも、ターゲットが登場してからもカプセルは降り注ぎ続ける反面、両プレイヤーがターゲットに集中するため、アイテムがゴールされにくく、画面内の情報量がどんどん増えていくからだ。

長引くにつれて混乱する対戦フィールド

 プレイヤーに当たらなかった攻撃で新たなカプセルが開かれ、ワープパイプに入ってそのままゴールインしていつの間にかバーが上下していたり、アイテム同士がぶつかってあらぬ方向へ飛んでいったりと、ターゲットの争奪戦が長引くほど画面はカオスになっていく。もともと状況が停滞することは多くないスピーディな作品だが、ターゲット登場後のバトルはいっそう熾烈を極める

 そんな中での対戦はまさに予測不可能。ある意味ではこちらもランダム的と言えるかもしれないが、上述の通りその動きが自然であるからこそ、そこに理不尽は感じにくい。本作の強い魅力であるかわいいグラフィックと、軽やかなノリが作り出す賑やかさもまた「ゲームに振り回される」ことを許容させてくれるように思えた。

テクニカルなキャラクターに代表される「やり込みたくなる」要素も充実

 さて、筆者は2021年9月に開催されたオンラインテストでも『シューフォーズ』を遊んでいたのだが、そのテストからの大きな変更点が「ストーリーモード」の追加とキャラクター数の増加である。

 「ストーリーモード」については、何度かの敗北を経てもおおよそ1時間程度でクリアできるもの。攻略していくことでステージ、キャラクターが解放されていく仕様なので、チュートリアル後はこちらに臨んでいくのが良いだろう。登場人物の人となりも把握できるので、性格やバックボーンを重視してキャラクターを選ぶ方は必見だ。

ストーリーモードの会話パート
会話パートもしっかり用意

 難易度に関しても、もともとの操作がシンプル極まることからゲームを始めたばかりのプレイヤーでも楽しめると思われる。オンラインの猛者たちに揉まれる前に、自分の気に入るキャラクターを探しつつ操作に慣れていくという意味では、非常に触れやすい一人用モードとして仕上げられていた。

 そして、ストアページでも計5人が登場しているキャラクター。上でも紹介した通り、本作の操作は全員に共通しており、使うボタンは2つのみ。それにも関わらず性能の差異ははっきりと感じられ、各キャラクターが強い個性を発揮できるようデザインされたことがうかがえる。

 例えば筆者愛用の「アダムス」はパンチの一撃が重く、カプセルを簡単に割り、相手を長時間スタンさせることができる。吸引力も強く、一度攻撃を当てられれば大きな有利を築けるキャラクターだと感じた。その反面スピードはそれほど速くなく、高威力の攻撃も連射性能が低いので、正確な動きが求められるような性能となっている。

「アダムス」による強力な一撃

 また、練習してみたい! と筆者が強く思わされたキャラクターが「ニンニン」。移動している方向にあわせて攻撃と吸引の方向が変わるという特性を持っており、ストーリーモードで初めて触れた際にはまったくと言っていいほど満足に動かせなかった

 攻撃で使うクナイも「ヒットしたアイテムを重くし、動かしにくくする」というユニークな性能を持ち、素の機動力が高いこともあり、ポテンシャルを強く感じさせる。実戦経験を積み、移動とアクションを華麗にシンクロさせられればかなり強力だと思ったのだが……残念ながら記事執筆時点の筆者では少しおよばなかった。

独特の性能を持つ「ニンニン」
左右に偏るという独自の性能の「ニンニン」

 『シューフォーズ』におけるテクニカルなキャラクターの代表として「ニンニン」を取り上げたわけだが、彼にせよ結局使うボタンはふたつだけ。性能を把握すること自体は決して難しくない。

 にも関わらず「難しい」そして「使えるようになりたい」と思わせる調整の細やかさは、本作の長所として主張しておきたいところだ。ごくシンプルな操作の中で、キャラクターごとの個性を存分に表現しつつ、プレイヤーのやり込みが試されるようなテクニカルな面もあわせ持つ。対戦ゲームが好きなユーザーなら、つい頑張りたくなってしまうキャラクターデザインが行われている。

最高にかわいい、でもそれだけじゃない『シューフォーズ』

 『シューフォーズ』の大きな魅力のひとつに、とにかく「かわいい」という、感覚に訴える方向性の強みがある。ポップな色使いのグラフィック、楽しく耳に残るBGM、素直で明るいキャラクターたちが織りなすまっすぐなストーリー。対戦ゲームというコンテンツに付随しがちなシビアな雰囲気からは少し距離を置く、にぎやかな雰囲気は非常に親しみやすいものだ。

対戦スタート画面
どの瞬間を切り取ってもかわいい『シューフォーズ』

 しかしその一方で、1対1の対人戦に筆者のようなプレイヤーが求めてしまいがちな“ガチ”なゲームとしての要素もしっかりと備えているのが本作の強みである。

 これはひとりのプレイヤーとしての意見だが、対人戦におけるバランス感覚は非常に難しいと思っている。逆転要素がなければ一方的な試合ばかりでつまらないし、運の要素が大きすぎれば理不尽に感じる。適度に実力の差を生みつつ、適度に劣勢を逆転できる可能性を残しつつ、思った通りの動きがしやすいよう操作面も整え……と、遊ぶ側が求め続けてしまえば切りがない。

 『シューフォーズ』を遊んでいて、そうした「求められるもの」に対して真摯に向き合った作品だと感じた。それは本稿で紹介してきた、ごく自然な機体やアイテムの挙動、「ワープパイプ」の逆転要素、テクニカルなキャラクターの存在などといった要素を見てきたからこそ生まれた感想だ。

ゴールシーン

 もちろん、本作こそが完全無欠の対戦ゲームだと主張するわけではない。ただ筆者としては『シューフォーズ』はかわいいだけの作品ではないぞ、と改めて強調しておきたくなったという話である。

 そういうわけで、『シューフォーズ』は「かわいい」を求める方も、熱い対戦ゲームを欲する方も、どちらにもおすすめできるタイトルだ。本作はNintendo SwitchとPC(Steam)間でのクロスプレイにも対応しているので、クレーンゲームをモチーフにした異色のバトルを、ぜひひとりでも多くの方に触れてみていただきたいと思う。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。
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