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いまもっとも「マリオ」で熱いのは「3Dマリオ」だ。「マリオ」ファンが新作を待ちきれないのでその理由と過去作の軌跡をものすごい勢いで振り返ってみた

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探索型の箱庭アクションゲームからコースクリア型へ「3Dマリオ」が変わった理由

 さてここまでの流れからおわかりいただける通り、「3Dマリオ」は探索型の箱庭アクションゲームから、誰もが遊びやすいコースクリア型の内容へと変貌しています。

 これは「2Dマリオ」シリーズのシンプルさが万人に受け入れられたのに対し、「3Dマリオ」シリーズ初期のややゲーマー向けの内容が多くの人に遊んでもらうには難しかったからではないでしょうか。

 筆者としては『サンシャイン』がそのターニングポイントだったのではないかと考えています。

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 先ほど紹介した通り『サンシャイン』は広々とした箱庭世界を軽快に駆け回ることができる作品。いまでも動かしていて楽しい「3Dマリオ」と言えば『サンシャイン』を挙げる人は多いでしょう。

 しかし操作性の敷居や難易度が高かったため、『スーパーマリオ』シリーズにしては万人向けとは言いづらい内容であったのも事実です。

 ニンテンドーDSとWii時代、任天堂は「5歳から95歳まで」というゲーム人口拡大を目指したキャッチフレーズを掲げていました。

 そして『ギャラクシー』が発売される1年前、2006年には「2Dマリオ」シリーズである『New スーパーマリオブラザーズ』が空前の大ヒットを記録。この作品は初めてマリオに触れる人のためにあらゆる調整が施されており、それらが多くのユーザーの心を掴んでいたと思います。

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誰でも楽しめることから大ヒットを記録した初代『New スーパーマリオブラザーズ』

 「3Dマリオ」がとても遊びやすいゲームデザインに変化したのは、この影響がかなり強いのではないかと感じています。

 はたしてその遊びやすいゲームデザインは今後も続くのか、それともゲーマーもガッツリ楽しめる「3Dマリオ」がまた誕生するのか。答えは2017年に発売した “あのタイトル” で明らかになりました。

縦横無尽に駆け回る『スーパーマリオ64』や『サンシャイン』に近い『スーパーマリオ オデッセイ』

 「2Dマリオ」寄りの「3Dマリオ」が好評を博し、シリーズの敷居は大きく下がりました。世間は「誰もが楽しめるマリオ」を求めている。それは『New スーパーマリオブラザーズ』シリーズの売上が物語っています。

 つまりこの流れは止まらない、次回作も2D寄りの「3Dマリオ」が続いていくんだ。そう考えるのは自然な流れではないでしょうか。しかし新しい「3Dマリオ」は我々の予想をはるかに超えて行きました。

 それが、2017年にSwitchで発売された『スーパーマリオ オデッセイ』です。

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 本作は現時点で筆者が最高傑作だと考えている「史上最高のマリオゲーム」です。縦横無尽に駆け回る『スーパーマリオ64』や『サンシャイン』に近い箱庭探索アクション。収集物を求めて広い世界を駆け回るゲームが帰ってきました。

 しかも従来の「3Dマリオ」と違い、今回は収集物である「パワームーン」を獲得してもゴールとはならず、そのままシームレスに次の探索を開始できます。

 「パワームーンを手に入れたけど、あっちにもなんかありそう!」と思ってしまったが最後。俗に言う「オデッセイ中毒」を発症し、ステージを探索し続けてゲームを終えることができなくなります。

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見つけても見つけても終わらないパワームーン探し

 そして、なんといっても世界設定。本作はいつもの『スーパーマリオ』の世界を逸脱したステージが多数用意されているのも特徴です。

 一番有名なのはニューヨークを思わせる都市の国「ニュードンク・シティ」。高層ビルがそびえ立つ中、リアルな人間である「ニュードンカー」たちが街中を歩いています。道路を走っているのはこれまたリアルなタクシー。

 マリオがリアルな現実世界のような都市を探索してしまうなんて。「こんなのワクワクしないわけないじゃん……ズルいよ……!」と感銘を受けてしまった私は、当時もういい歳だったにもかかわらず目頭を熱くしながら遊ぶこととなりました。

 ほかにも、深い森が広がる「スチームガーデン」や『ダークソウル』のような雰囲気の「ホロビア」など、これでもかといつもの「マリオ」の世界をいい意味で壊してくれたのが本作でした。

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国の雰囲気に合わせてお着換えもできます

 さらに「キャプチャー」という新要素にも注目です。マリオがトレードマークの帽子を投げ、当たった敵や物に乗り移って操作することができるというシステムなのですが、もうこれがなんでもあり!

 クリボーやキラーなどいつものザコ敵に乗り移れる以外にも、こんなリアルな恐竜を操作することもできます。

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この画だけでもういつものマリオじゃない

 そしてその帽子投げ自体を使った新アクションも目が離せません。
 あらゆる方向に帽子を投げられるほか、帽子を踏み台にしてジャンプをすることも可能に。今までつねにマリオと共にあったあの赤い帽子が、まさかこんなに活躍する日が来るとは……。

 じつはこのなんでもできちゃう帽子は生きており、「キャッピー」といいます。やたらと愛嬌のあるやつで、一緒に旅をしているととにかく楽しい。ときには悲しんだり、ときには笑ったり、マリオのよき相棒として描かれています。

 このゲームを最後の最後まで遊んだ人には、きっと思い入れのあるキャラになっていることでしょう。ちょっとマニアックな話をすると、特殊な行動をとった際に専用の台詞が用意されているのも好きです。

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ニュードンク初来訪時、バイクに乗ったまま最後まで進むとこんなレア台詞が

 そして本作ではなんと『スーパーマリオ64』以来の「幅跳び」と「ボディアタック」が復活しています。『3Dランド』で登場した「転がり」や『3Dワールド』で登場した「ヒップドロップジャンプ」も大活躍。

 シリーズでもっともあらゆるアクションができる「究極のマリオ」を操作することができます。

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ヒップドロップ着地後にジャンプすると高く跳ね上がる!どこでも手軽に大ジャンプできます

 なお本作で「2Dマリオ」路線から従来の箱庭型へと回帰してきた「3Dマリオ」ですが、初心者向けの配慮も忘れていません。それが、「おたすけモード」というもの。

 このモードでは、どこへ行けばいいのかわからないプレイヤーを次の目的地までガイドしてくれるほか、通常は「3」のライフが最初から「6」となっており、さらにしばらく待機していると自動回復も発生します。ステージから落下してもすぐに帰って来ることが可能。

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これなら道に迷うことはありませんね

 そして最後にもう一点だけ注目ポイントを挙げるとすれば、やはりシリーズ初のボーカル曲の登場でしょうか。

 今までのマリオシリーズは基本的にボーカル曲は採用しておらず、いつもの愉快なBGMや『ギャラクシー』のような雄大なオーケストラ演奏が流れていました。
 そんな中、本作ではボーカル曲が2曲ほど採用されており、どちらもゲームの大事なシーンで流れます。

 しかも歌っているのはあの「ポリーン」
 彼女はマリオが誕生した作品である『ドンキーコング』に登場していたヒロイン。じつはダンスの振り付けには原作のアニメーションを思わせる箇所もあったりします。

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マリオ本編に出たことは一度もなかったポリーン
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『ドンキーコング』時代は「レディ」という名前でした

『フューリーワールド』はオープンワールド化に向けての実験作なのでは…?

 『オデッセイ』の衝撃から4年が経とうとしていた2021年。この年にはWii Uで発売された『3Dワールド』にさまざまな調整を施した移植作『スーパーマリオ 3Dワールド+フューリーワールド』が登場しました。

 ん? 「+フューリーワールド」? なんかうしろに新タイトルがついているぞ?

 じつはこのゲーム、ただの移植+αではなかったのです。本作『フューリーワールド』は簡潔に言えば「3Dマリオ」初のオープンワールド風ゲームです。

 筆者は昔から妄想していました。「1-1から1-2にシームレスに移動できるマリオで遊んでみたい」と。「画面が暗転せず、全てが繋がったマリオの世界を見てみたい」と。それこそ先ほど紹介した『サンシャイン』の遠景に見えていたように「ほかのステージにそのまま泳いで行きたいな」と。

 その願いはいきなり叶いました。そう、『フューリーワールド』で。

 本作は各島にアスレチック風のステージが点在しており、島と島の間をそのまま渡り歩くことができます。つまり本当に1-1から1-2にシームレスに移動することが可能になりました。

 島に入ると島の名前とステージ名が画面上部に表示され、一切足を止められることなく冒険が始まります。もうこの時点で今までのマリオシリーズになかった新たな風を感じられますが、個人的に驚いたのは既存のマリオ要素がオープンワールドにぴったりハマっていたこと。

 オープンワールドといえばやはり高い場所に登ったり、作品によっては滑空して空を飛んだりできるのが楽しい要素ですよね。本作ではそれが「ネコマリオ」で壁を登る、「タヌキマリオ」や「プロペラボックス」で滑空するなど、既存のマリオ要素で行えることが衝撃的でした。

 オープンワールドのマリオ、あまりにも違和感がないぞ!?

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初のオープンワールドもそうなくこなすマリオさん

 そして島の間を移動する手段として「プレッシー」の存在もユニークです。

 彼は『3Dワールド』の一部コースでのみ活躍していたのですが、今回泳げる要素を買われたのかガッツリ冒険のお供になりました。プレッシーは軽快なジャンプアクションができたり、湖には沢山のギミックが敷き詰められているので、移動中も飽きることがありません。

 さらにこの広い世界を飽きさせないのが「フューリークッパ」の存在です。彼は一定時間が経過するたびに本作の舞台である「ネコ湖」に現れる、超超超巨大な黒いクッパ。

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 出現した際には雰囲気がガラリと変わり、周りに新しいギミックが追加されたりなど遊びにも変化が起きます。
 ただ単にマリオをオープンワールド化しただけではなく、しっかりメリハリのある要素を持たせているのがさすがだと思いました。

 さてここまで本作を褒めちぎるように書いておいてあれなのですが、この作品のボリューム自体はやや短めです。数時間あれば通常クリアができますし、10時間もあれば完全クリアも狙えてしまうほど。

 個人的な感想としてはあくまでも『3Dワールド』に挑戦的でインパクトのある追加ゲームが登場したという印象です。つまり、「本作は次回作に向けての実験作なのでは…?」とも考えられる。

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 「マリオ」をオープンワールド化したらどうなるのか。これは多くの人が考えたことがあると思います。それを追加要素として落とし込んだのが『フューリーワールド』なのではないでしょうか。

 ということは「3Dマリオ」の未来はやはりオープンワールドなのかも? じつはこの記事で書きたかったのが、この『フューリーワールド』から感じた「3Dマリオ」のさらなる可能性についてでした。

 本作では滑空こそできるものの、「はねマリオ」のように自由に飛び回る変身は実装されませんでした。もしかしたら次回作ではさらに広大でさらに飛び回れる「3Dマリオ」が見られるかもしれません。

 高所から敵が密集している場所にファイアボールを投げたり、ワイヤーアクションなどで飛び回るなどの、いままでにない「マリオ」の可能性に期待が膨らみます。

 もちろん、次回作はオープンワールドではなく『オデッセイ2』という可能性もあります。『オデッセイ』の帽子アクションやキャプチャー能力は、まだまだ多くのアイディアや可能性が眠っているようにも感じていますから。

 今までのアクションが継承されたように、いくつかの要素は次回作へ引き継がれるかもしれません。


 まだまだ語り足りないのですが、このゲームをすべて語ろうとすると日が暮れちゃう……。 

 『スーパーマリオ』はつねに進化と挑戦を続けてきたシリーズ。いつもの「2Dマリオ」もワールドマップや新アクション、マルチプレイの追加など、大きな進化を遂げてきたシリーズですが、とくにタイトルごとの変化が激しいのは「3Dマリオ」シリーズだと感じています。

 ゆえに「次回作もとんでもない挑戦をしてくるのではないか……」と、「マリオ」ファンとしてずっとドキドキしている状態です。

 間もなく『オデッセイ』発売から5周年。2021年は新たな可能性を提示してくれた『フューリーワールド』が登場しました。「3Dマリオ」の次なるチャレンジを、私はとても楽しみにしています。 

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ライター
生まれた時からマリオが大好きなマリオファン。年がら年中マリオの話をしている。20代のサラリーマン期間を経て現在はYouTubeチャンネル「ロジー&マリオファンの集い」を運営中
Twitter:@7Roggie
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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