ゲームメディアに勤めていると、発売前のゲームに触れる機会をいただくことが多々あります。今回はソニックシリーズ最新作の『ソニックフロンティア』を6時間ほど試遊させていただきました。
なぜか、
ハワイで……!!!
セガ・オブ・アメリカによって世界中から約30ものメディアがハワイに招待され、美しい海が目の前に広がるオーシャンビューのホテルにて『ソニックフロンティア』を朝から晩まで試遊するイベント「Sonic Frontiers Preview Event」が開催されたのです。
自分の国でできるであろう試遊をなぜハワイで……? というかせっかくハワイにいるのに朝から晩までゲームを……?
おそらくこのイベントに参加した全員がそう思っていたはず。しかしながら夢のような招待を断る理由はひとつもありません。筆者も期限の切れていたパスポートを急いで申請し、ハワイまで行ってまいりました。
本稿では、セガ・オブ・アメリカ主催のイベントにて『ソニックフロンティア』を第1島から第3島まで6時間ほど試遊させていただいた感想を正直に書いていこうと思います。ハワイに招待してもらったからって、思ったことは包み隠さず書かせていただきますからね。
文・写真/柳本マリエ
必ずしも音速で走る必要がないから初心者でも怖くない
まず最初にお伝えしておかなければならないこととして、筆者はソニックシリーズをほぼやったことがありません。おそらく小学生くらいのころに、友人宅で軽く遊んだことがある程度。
『ソニックフロンティア』に関しては、2カ月ほど前(2022年8月)に1時間ほど試遊させていただきました。しかしながらそこで上達することはいっさいなく、ドがつくほどの初心者です。
そんな初心者の筆者が今回のイベントで6時間ほど試遊させていただいた結果、「『ソニックフロンティア』は初心者に優しいタイトルなのではないか」と思うことが多々ありました。
なぜなら、広大なフィールドを自由に駆け回ることができるため「ちょっと難しそうだな」と思うところは避けてしまえばいいからです。また、必ずしも音速で走る必要もありません。初心者にとってソニックの速さは「怖さ」でもあるので、そういうときは小走り程度で進めばいい。
少なくとも第1島から第3島までの試遊で、ソニックに対する知識や技術が乏しくても特別に困ることはありませんでした。それだけでなく、初心者の筆者でさえ興奮してしまうところがたくさんあったので、そのあたりを中心にご紹介したいと思います。
先に言ってしまうと、「SQUID」というボスとのバトルにめちゃくちゃ興奮しました。
「サイループ」と「ホーミングアタック」さえあればなんとかなる
『ソニックフロンティア』は広大なフィールドを縦横無尽に駆け回る「オープンゾーン」と、従来のソニックらしいステージを駆け抜ける「電脳空間」の二部構成となっています。
謎解きでマップを解放させながらサイドクエストでソニックの能力を強化して島にいる “神兵” や “守護神” と呼ばれる敵を倒しつつ電脳空間に挑む、というのが大まかな流れ。
私のような初心者に向けて、序盤はいわゆるチュートリアルがあるので安心です。未知のことを前にしたときはアクションを練習できる空間に行くことができるため不安な場合はそこで練習をすればOK。もちろん、慣れている人はスキップすることも可能です。
囲む対象によって反応が異なる新技「サイループ」がめちゃくちゃ役に立つので、上記の「ホーミングアタック」と合わせて使えばだいたいのことはなんとかなりました。
このような調子で「NINJA」、「TOWER」、「ASURA」というボスを撃破。
謎解きも、パズルのようなものからタイムアタックのようなものまでいろいろありますが、序盤は比較的シンプルで優しいものになっているため順調に進んでいきました。そう、あのボスと出会うまでは。
ソニックのアクションが凝縮された「SQUID」とのバトル
順調に進んでいた矢先、倒し方が “わからない” ボスが現れました。それが「SQUID」です。今回の6時間の試遊の中で筆者がもっとも興奮したのはこの敵でした。
突如として目の前に現れた「SQUID」は、ソニックを煽るように浮遊しています。
上空から煽りに煽られるも、ソニックには届く術がないので手も足も出せません。初心者の筆者は、サイループとホーミングアタックくらいしかできませんから。
スピードもけっこうあるので、陸から追いかけるのもひと苦労。いったいどうすればいいのでしょうか。けっきょくこのあと「SQUID」を見失ってしまったため、月でも眺めることにしました。
えっ、月めっちゃ綺麗……!
せっかく自由に探索できるオープンゾーンなんだから「SQUID」なんかに振り回されないで、こうしてゆっくりした時間を過ごすことも醍醐味のひとつですよね。
そんな登場の仕方ある?
この瞬間、筆者はこの「SQUID」を絶対に仕留めると心に誓いました。しかし倒し方がわからない。というか物理的にどうやっても届かない。こうしている間にもまた逃げられてしまう。
……ん、いや、ちょっと待って!? これもしかしていま立っているところから飛べばいいんじゃない!? あのヒラヒラに乗れるんじゃない!?
ほらあああ!!!
あとは走って本体に近づけばいいってことでしょ? ここまできたらもう、ね?
はっは〜ん。そう簡単には本体まで行かせてくれないってわけか。おもしろいじゃん。
ちなみに画像だけ見ると華麗に回避しているように見えますが、ちゃんと食らっていて左上のリングの数がものすごい勢いで減っています(ダメージを受けるとリングが減る)。
というかこれって電脳空間(コース)を走るソニックと同じ動きでは……?
なにこれ! バトルなのにコース走ってる!
う゛っ……!!!
あっさり負けてしまったものの、バトルとコースの融合には大興奮でした。負けたにも関わらずこんなに「楽しい」と思えるバトルはなかなかないと思います。月夜にフレームインしてきたときは「こんちくちょう」と思いましたが、いまはむしろ「SQUID」に敬意を示したい。
この勝負については、ゲーム発売後に製品版を買って決着をつけようと思います。
初心者の手にかかればソニックですら疾走感を失ってしまう
最初に書いたとおりオープンゾーンは自分のペースで進められるため筆者のような初心者でも思いのほか進めることができました。一方で従来のようなステージクリア型である電脳空間はテンポが大事。
電脳空間は思わず変な声が出てしまうくらい苦戦したので、こちらはぜひ動画でそのままご覧ください。これが初心者ですよ。
しかしながら救いとしては「同じコースを複数回プレイするとスコアが著しくよくなる」ということ。初回こそだいぶ不安定ですが、なんとなくでもコースを把握しているとスコアが上がりやすくなるためモチベーションが落ちにくい。
このあたりは初心者だからこその伸びしろというところでしょうか。とはいえ筆者はレール間の移動が本当に下手くそで、いつもヒヤッヒヤ。こればっかりは場数を踏むしかないですね。
釣り場の癒し空間とシンプルな操作は中毒性が高い
さきほどまでの第1島は「クロノス島」という緑豊かな島でしたが、第2島は「アレス島」という砂漠が広がる島、第3島は「カオス島」という火山が噴火している島がつづきます。
第3島の「カオス島」を探索していたときに、ふと気になる離島を見つけました。ちょっと行ってみましょう。
近づいてみるとレールがあったので飛び乗ります。
なんとか落ちずにたどり着くと、そこにあったのは釣り場。
じつはこの釣り場は各島ごとにあるらしく、筆者は第1島でも第2島でも見つけることができませんでした。「シンプルだけどおもしろい」と聞いていたので見つけることができて感激です。さっそく遊ぼう。
釣りの方法は、ウキを投げたら赤い波に合わせて竿を引くだけ。聞いていたとおりシンプルですが、これがなかなかの中毒性。20分くらい夢中で釣ってしまいました。
魚を釣りあげるともらえる「トークン」はアイテムと交換ができるとのこと。しかし、単純に釣りが楽しい。
このとき釣りあげた魚はざっと下記。
・カニ
・サケ
・フグ
・ワニ
・ヒトデ
・どんぐり
・古代石板
・大きな小枝
・クマノミ
・長老の巻物
・仙人の巻物
・イシガレイ
・オタマジャクシ
・カミツキガメ
・ブラックバス
・マンボウ
・ニシキゴイ
・アイテムボックス
・スプリング(黄)
・チョウチンアンコウ
・リュウグウノツカイ
・レアなゴールドカード
中でも「大きな小枝」が気になりました。大きいの? 小さいの? どっちなの……?
なにより釣り場はBGMもいい。釣りの楽しさはもちろんのこと、BGMを聴いていたいがために釣っていた部分もあるかもしれません。
『ソニックフロンティア』のサントラが大作すぎる(全150曲)
それでは最後に6時間の試遊で特に耳に残った楽曲をいくつか紹介して終わりたいと思います。ソニックシリーズの楽曲といえば大谷さん【※】が担当されていますが、先ほどの釣り場のBGMといい神曲だらけでした。
※大谷智哉氏
1999年セガに入社。ソニックシリーズの楽曲を担当し、『ソニックフロンティア』でもサウンドディレクターを務める。
筆者はまず『ソニックフロンティア』のメインテーマ「I’m Here」の解禁時に衝撃を受けすぎて、それから毎日欠かさず聴いているのですが(もちろんハワイでも)、試遊時のお気に入り楽曲は下記。
カオスエメラルドを手に入れたあとのクロノス島BGMは、雨がやんで晴れ間が見えるにも関わらずピアノの旋律が物悲しいので、その対比が孤独感を誘います。一方で電脳空間BGMは一瞬で気分を変えてくれるので、家だったら踊ってた。
そしていちばん刺さったのは巨神戦BGMです。メインテーマ「I’m Here」よりもややメタル寄りなサウンドと、ボーカルのハイトーンボイスは1回聴いたら耳に残る名曲。
筆者は12月7日発売予定の『ソニックフロンティア』のサントラもめちゃくちゃ心待ちにしています。なんとサントラは全150曲(CD6枚組)というとんでもない大作。これは釣りのBGMも巨神戦のBGMも収録されているのではないでしょうか。さらに作家陣による楽曲解説もついてくるらしく、読みたいけど開封してしまうのがもったいない気もしています。
大好きなメインテーマ「I’m Here」を作中で聴いたら筆者はどうなってしまうんだろうか。そこも含めて楽しみです。
以上が、ハワイでの6時間におよぶ『ソニックフロンティア』試遊レポートになります。
今回この取材の招待をいただいたとき、ロケーションを含めてあまりにも待遇がよかったので「これからデスゲームでも始まるのではないか」と思っていました。しかしながらもちろんデスゲームが始まることはなく、ただただ主催のセガ・オブ・アメリカによる粋な計らいだったという今回のイベント。
今回ハワイが開催地となった理由は、『ソニックフロンティア』の舞台が「島」であることや、第3島が「火山」であることも関係しているとのこと(ハワイ州ハワイ島には地球上でも最も活発な活火山のキラウエア火山がある)。
最初に書いたとおり『ソニックフロンティア』は初心者に優しいタイトルだと思います。自分の得意なところや興味のあるところから進められるのはありがたい。
初心者でもソニックは怖くありませんでした!
『ソニックフロンティア』は11月8日にNintendo Switch、PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PCにて世界同時発売予定。ビジュアルが美しいのでPS5はもちろんですが、隙間時間に携帯モードでプレイできるNintendo Switchもおすすめしているとのこと。筆者はSwitch版を買う予定です。
【あわせて読みたい】
桜井政博氏も「絶対に買う」と話題になった『ソニックフロンティア』は最初は“厳しい意見だらけ”だった。 「目的地に向かうまで退屈」「なにも起こらない」「草原だけ」を解決した本作の新要素について聞いてみたTGS会場にてソニックチームの代表を務める飯塚隆氏と『ソニックフロンティア』ディレクターの岸本守央氏にお話をうかがう機会をいただいた。