2月15日は『レイトン』シリーズが誕生した日だ。
2007年に誕生した『レイトン』シリーズは、英国紳士の考古学者・レイトン教授を主人公に、助手の少年・ルークとナゾに満ちた事件を解決をしていく物語がメインとなっている。
ゲームの舞台は大半が架空の地名で、時代も現代とは少し異なっており、スチームパンクを彷彿とさせる世界設定となっている。そして登場人物たちは、レイトン教授やルークをはじめとして、全員「ナゾ」が大好きという共通点がある。
「ナゾ」とは『レイトン』シリーズの特有の呼び方で、パズルやなぞなぞ等の総称を指す。それらの作問のベースとなっているのは、多湖輝氏の書籍『頭の体操』シリーズだ。Nintendo DSと3DSで展開されたシリーズ作品では、多湖輝氏が監修として参加している。
『レイトン』シリーズのナゾ解きはDSや3DSのタッチ操作と非常に相性が良く、操作は直感的ながら、正解にたどり着くためには発想をひらめかせなければならないゲームバランスとなっている。
また、BGMも全編を通して落ち着いたものが多く、出題中に流れるBGMはゆっくりとナゾと向き合うことができ、聴き減りを感じない曲が揃えられている。
他にも第1作から続く『レイトン』シリーズの大きな特徴として、「メインキャラクターのボイスを俳優が演じている」という点が挙げられる。
主人公のエルシャール・レイトン(=レイトン教授)を演じるのは大泉洋さん。助手のルーク・トライトンは、堀北真希さんがボイス担当をしている。
声優が演じるキャラクターも数多く登場するが、各作品でメインとなるキャラクターには、著名な俳優が起用されていることが多い。
『レイトン』シリーズは、レイトン教授がナゾを解くことでストーリーが進む形式となっている。しかし必ず解かなければならないナゾの数は限られており、プレイヤーの任意で寄り道的に楽しめるナゾのほうが数が多く、バリエーションも豊富だ。
また、レイトン教授のかばん(メニュー画面)の中にはアイテム収集とミニゲームの要素もあり、メインストーリーで展開されるナゾとは異なる遊びごたえも用意されている。
そして寄り道のしすぎでメインストーリーを思い出せなくなることがあっても、再起動時にはストーリーのダイジェストが流れるようになっている。それだけでなく、次の目的地がいつでも画面上で確認できる点も、シリーズ各作品で共通している。
本稿ではそんな『レイトン』シリーズについて、第1作の『レイトン教授と不思議な町』から順に追っていきたい。
文/夏川77
第1作の『レイトン教授と不思議な町』は2007年2月15日に、Nintendo DS(以下、DS)向けに発売された。
著名な考古学者でありながら、不思議な事件をいくつも解決していることで知られるレイトン教授の元に、ある日1通の手紙が舞い込むところからストーリーは始まる。それは、亡くなった大富豪の遺産相続を解決する依頼だった。
解決の糸口となる「黄金の果実」は町のどこかに隠されているらしく、レイトン教授とルークは捜索のために不思議な町を訪れることになる。
第2作の『レイトン教授と悪魔の箱』は同じく2007年11月29日に、DS向けに発売された。
ある日レイトン教授のもとに、友人であり尊敬する師でもあるシュレーダー博士から手紙が届く。そこに書かれていたのは、「開けたら必ず死ぬ」という噂で有名な「悪魔の箱」を手に入れたという内容であった。レイトン教授とルークは博士のもとを訪れるが、時既に遅く博士は絶命しており、「悪魔の箱」は姿を消していた。
2人は現場から発見された「モレントリー急行」の使用済み切符を手がかりに、「悪魔の箱」を取り巻くナゾの解明に乗り出す。
第3作の『レイトン教授と最後の時間旅行』は、DS向けに2008年11月27日に発売された。
ある日レイトン教授のもとに不思議な手紙が届く。10年後の「未来のルーク」を名乗る人物が助けを求める内容で、未来のロンドンが大変なことになっているのだという。
タイムマシン完成式典の爆発事故を思い出したレイトン教授は、手紙が指定する時計店に足を運ぶ。そこで大きな揺れに巻き込まれたレイトン教授とルークが外に出ると、目の前には見たこともないロンドンの街が広がっていた。
『レイトン』シリーズは開発当初から3部作で展開することが想定されており、『レイトン教授と最後の時間旅行』の発売をもって、『レイトン』シリーズはストーリー上のひとつの区切りを迎えることになる。
第1作から第3作までが『レイトン』シリーズの「第1シリーズ」と呼ばれ、第4作から第6作は「第2シリーズ」と位置づけられている。
第4作の『レイトン教授と魔神の笛』は、DS向けに2009年11月26日に発売された。
第4作のストーリーは、時系列として第1作の3年前にあたる。
ある日レイトン教授のもとに、旧友のクラークから「謎の巨人が町を破壊している」という手紙が届く。助手のレミを伴い、霧の町「ミストハレリ」を訪れたレイトン教授は、クラークの息子であり「魔神伝説」の鍵を握る少年・ルークに出会う。
『レイトン教授と魔神の笛』は、本編クリア後に『レイトン教授のロンドンライフ』というおまけモードがプレイ可能になっている。
開発を『MOTHER3』などで知られるブラウニーブラウンが手がけており、キャッチコピーは「100時間遊べるおまけ」だ。内容は『レイトン』シリーズの多数のキャラクターが登場する「タイニーロンドン」で、オリジナルの主人公が生活を営むスローライフRPGとなっている。
第5作の『レイトン教授と奇跡の仮面』は2011年2月26日に、Nintendo 3DSの本体発売と同日に発売された。
ストーリーは、レイトン教授の旧友シャロアの助けを求める手紙から始まる。彼女の住むモンテドールの町では、どんな願いも叶うという秘宝「奇跡の仮面」が起こす謎の事件に人々がおびやかされているという。「奇跡の仮面」に浅からぬ因縁を感じながら、レイトン教授は、レミ、ルークと3人でモンテドールの町を訪れるのであった。
『レイトン』シリーズは第5作以降は3DSが主軸となり、DSでの展開はされていない。
『レイトン』シリーズのキャラクターは、第4作までは2Dのイラストで描かれていたが、第5作からはトゥーンシェーディングの3Dポリゴンで描かれている。それに伴い、会話の最中にキャラクターがリアクションを取るようになり、ストーリーの描写も深みが増している。背景もまた、従来は2Dイラストであったが、本作からフルポリゴンの3Dへと変化した。
キャラクターや背景のポリゴンモデルは、3DS本体の特色である「立体視」に対応している。そしてストーリーの合間に挿入されるアニメーションも立体視が可能なため、DSでは体験できなかった奥行きを感じることができる作品となっている。
続く第6作の『レイトン教授と超文明Aの遺産』は3DS向けに、2013年2月28日に発売された。
ある日レイトン教授のもとに、古代文明発掘の権威であるサーハイマン博士から「生きているミイラ」に関する調査依頼が届く。レイトン、レミ、ルークたちは、この不可思議な謎を確かめるために飛行機へと乗り込む。それは謎の古代文明をめぐる大冒険の始まりであった。
本作をもって、『レイトン』シリーズの第2シリーズは完結を迎えている。世界各地を訪ねて回るストーリーは、挑戦できるナゾの数もシリーズ随一で、最後を飾るにふさわしい大ボリュームとなっている。
レイトン教授が主人公を務めるシリーズ作品を、作中の時系列で並べると、4→映画『レイトン教授と永遠の歌姫』→5→6→1→2→3となる。記事執筆時点で、メインのストーリーラインとなる作品は合計7作品がリリースされている。
第6作の『レイトン教授と超文明Aの遺産』が、第1作『レイトン教授と不思議な町』にどのように繋がるのかは、ぜひプレイして確かめていただきたい。
他にも『レイトン』シリーズは、外伝的な作品を数多く展開している。
『逆転裁判』シリーズのメインキャラクター・成歩堂龍一と綾里真宵が登場し、「裁判」と「ナゾ解き」がコラボしている3DS向けタイトル『レイトン教授VS逆転裁判』。レイトン教授の息子が主人公のスマホ向けタイトルで、記事執筆時点ではウェブコミック『マンガ5』でコミカライズが連載されている、『レイトンブラザーズ・ミステリールーム』。他にもメインシリーズには登場しない事件を扱った小説やマンガ、謎解きゲームなどが展開されている。
また、DSで展開していた第1シリーズの『レイトン教授と不思議な町』、『レイトン教授と悪魔の箱』、『レイトン教授と最後の時間旅行』は、スマートフォン向けに移植がされており、画質が向上してHD化がされている。
記事執筆時点で『レイトン』シリーズの正式な続編となっている作品は、2017年7月20日に3DS、iOS、Android向けに発売された『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』である。本作は2018年8月に、追加要素を加えたNintendo Switch版『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀 DX』も発売されている。
ストーリーは、レイトン教授の娘のカトリーエイル・レイトンが「レイトン探偵社」を営み、日々ロンドンで起こる不思議な事件を解決していくものとなっている。
主人公と主要キャラクターは代替わりしているが、ゲームの流れは過去のシリーズ作品とほぼ同様となっている。主人公たちのボイスには俳優が起用されており、カトリーエイルを有村架純さん、助手のノアを坂口健太郎さん、探偵犬のシャーロを役所広司さんが演じている。
本作は2018年4月から2019年3月の間、『レイトン ミステリー探偵社 〜カトリーのナゾトキファイル〜』のタイトルでアニメ版が放映されていた。アニメ版では声優がそれぞれのキャラクターを演じている。
全50話の中にはアニメオリジナルの事件が数多く含まれているだけでなく、レイトン教授とルークによる、ゲーム中では語られなかった過去のエピソードも登場している。ゲーム版をクリア済みのプレイヤーにも、未視聴であればオススメしたい作品だ。
記事執筆時点で、『レイトン』シリーズは2025年に『レイトン教授と蒸気の新世界』をNintendo Switch向けに発売予定だ。
『レイトン教授と蒸気の新世界』は、シリーズ3作目『レイトン教授と最後の時間旅行』の1年後を描く作品となっている。舞台はアメリカで、万能蒸気機関によって発展を遂げたスチームバイソンという街だ。そこでルークは「街の名探偵」として名を馳せているらしい。
本作ではルーク役の声優を今井美桜さんが、ナゾ監修を東大発の知識集団 QuizKnock(クイズノック)が担当することが発表されている。
最新作ではどのようなナゾが待ち受けているのか、今後も注目していきたい。