いま読まれている記事

リメイク版をプレイしたら元祖『バイオ4』の戦闘は「やっぱりすごい」と”わからせられた”。『バイオハザード RE:4』では「ナイフパリィ」などの新要素を加えつつ現代的で重厚な戦闘にチューンナップ

article-thumbnail-230317b

 レオン・S・ケネディチェーンソーをナイフで弾く姿を見てロマンや“面白要素”として解釈してしまうかもしれない。正直に述べれば、2022年10月21日の朝7時にお披露目された「ナイフパリィ」の映像を見て爆笑したことを確かに覚えている。

 しかし、そのファーストインプレッションは間違っていたと今では理解できる。『バイオハザード RE:4』をプレイすれば、容易に捌ききれない大量の敵や奇襲、強敵の猛攻により「ナイフで弾かなければならない時」が訪れるからだ。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_001

 向上した操作性と「機動力による誤魔化し」のきかないウェイトの重いアクション、そして圧倒的な敵の軍勢を前にガチで心もとない弾薬。これらを踏まえて多方向から迫りくる大量の敵を迎え撃つとき、ゲームシステムの的確な活用や正確な射撃など、紛れもないプレイヤーの技量が試されることとなる。

 『バイオハザード RE:4』はそんな重厚な戦闘、困難を超えることに興奮するゲーマーに最適なタイトルだ。ビデオゲームの“ヒリ付き”に取りつかれた方へ向けた“言い訳の利かない緊張”がもうじき発売されるのである。

 この度は『バイオハザード RE:4』を事前にプレイする機会を得たため、その詳細をお伝えしよう。

 無論、ガンアクションのみならず「サバイバルホラー」としての恐怖やドラマティックなキャラクターの掛け合いも充実している。『バイオハザード4』の魅力を維持しつつ、格段に進化した魅力が伝われば幸いだ。

オリジナル版から正統進化した『バイオハザード RE:4』

 『バイオハザード RE:4』は2005年に発売された『バイオハザード4』のリメイクにあたる作品だ。オリジナル版の魅力を維持しつつ、現代風に操作性をアレンジし、物語は過去の『RE:』シリーズの続編として再構築されたかたちとなる。

 本編では、ラクーン事件後に合衆国大統領直属のエージェントとなったレオン・S・ケネディが、誘拐された大統領令嬢であるアシュリー・グラハムを奪還すべく、わずかな目撃情報を元にとある辺境の村に潜入する様を描く。

 オリジナル版の『バイオハザード4』はシリーズで初めて肩越しの視点「ビハインドビュー」を導入し、当時のシリーズを大きく刷新。本作でも引き続き「ビハインドビュー」でキャラクターを操作し、リソース管理と敵の殲滅、そして生存を楽しめる。

 さらに『バイオハザード RE:4』はオリジナル版をベースとしているが、特定の登場人物の出番が増えているほか、完全に新規の要素も複数導入されている。リマスターではなく、まさに「リメイク」であることを強く感じさせる仕上がりだ。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_002

 ネタバレになってしまうため明言は控えるが、敵やアイテムの配置など細部における共通点もかなり多い。終盤につれて登場する手ごわく人気な敵キャラクターたちも登場し、しっかりとプレイヤーを再び苦悩させてくれるに違いない。かつて『バイオハザード4』をプレイした方はぜひ実際にプレイし、変更点の新鮮さを享受し、共通点を懐かしみ、そして刷新されたおなじみの強敵に恐れおののきながら楽しんで頂きたい。

「村」でのイニシエーション。“決して”村では終わらない「歯ごたえ」のある戦闘

 シリーズにおける『バイオハザード4』の特徴といえば「ビハインドビュー」も挙げられるが、同システムの導入と共に銃撃をはじめとするアクション要素を大幅に拡張した点も重要だ。

 『バイオハザード RE:4』も当然ながらこの要素を継承し、道中に存在する武器商人や探索を介して装備を充実させていく。進むほど武力を増していく敵の軍勢に、豊富な武器で対処できる仕様となっている。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_003

 3月10日からはゲーム冒頭を楽しめる本作の体験版「Chainsaw Demo」が配信されている。この体験版をプレイした方はご存じのとおり、本作ではゲームの最序盤から容易に弾丸が底を尽いてしまうほどの大量の敵と戦うことになるのだ。

 戦闘の開始地点に留まっていては弾丸の消費が悪戯に早まり、また危険性も高まっていく。よって的確な射撃や敵を巻き込む近接攻撃(メレー)を活用しながら逃げ回り、戦うことが好ましい。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_004

 つまり、冒頭に突然乱戦が巻き起こる暴力的なこの設計は、「ボッ立ちして銃撃てば勝てるゲームではない」というメッセージを伝えるイニシエーションの機能を担っている。現に「村での乱戦」以外にも本作では数々の乱戦が待ち受けており、終盤へ向かうほど「村の教訓」を強く意識しなければならないだろう。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_005
(画像は『BIOHAZARD RE:4』 3rd Trailer – YouTubeより)

 正確な射撃を基調としながらも、接近している敵の位置や間合いの判断、比較的に所要時間の長いリロードのタイミング、そして弾薬の確保、燃料タンクをはじめとする環境キルの活用などが同時に重要となる。『バイオハザード RE:4』では、これらの要素を使いこなしたプレイヤーの操作こそが美しい勝利を導き出す。

 与えられた試練を乗り越えた末の勝利の美酒は、たまらなくウマいのである。

 なお本編では重厚な戦闘が待ち受けるものの、本作の低難度モード「アシストモード」を使えばコンシューマ機でのパッド操作が苦手な人やリソース管理に自信がない人でも充分に「歯ごたえ」を感じつつ楽しめるため、安心されたい。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_006

パリィとともにリニューアルされた「ナイフ」で命を繋げ

 接近すればメレーで複数の敵をあしらい銃撃でカタをつけるという、近接と射撃の双方を活用する立ち回りは、オリジナル版『バイオハザード4』の特徴とも言える。

 そして『バイオハザード RE:4』はオリジナル版に続き「メレー」が存在するが、本作での「近接戦闘」はナイフにまつわる新要素によりリニューアルされている。

 まず、前述のとおり「ナイフパリィ」は度々訪れる乱戦において、ふと敵に接近されてしまったタイミングでの有効な防御手段となる。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_007
▲敵の攻撃を受ける直前に、画面右下のナイフアイコン付近にパリィのタイミングと入力ボタンが表示される。

 くわえて、敵の種類によってはナイフでカウンター攻撃を仕掛けたり、ひるんだ際に急接近して確殺攻撃を行えるほか、敵に気付かれていない状況で至近距離まで接近すればステルスキルを行うこともできる。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_008

 本作ではオリジナル版ほどメレーのヒット判定が大きくないことから、倒し損ねた敵からの攻撃をパリィすることや、カウンターの重要性が高まっている。またステルスキルを使えば、乱戦の前に敵数を減らしたり、弾薬を節約することができる。

 ちなみに、体験版の時点でのナイフの消耗の早さから、パリィやナイフを活用することへのデメリットを感じた方も多いかもしれないが、その心配は無用だ。ナイフは修理ができるほか、コンバットナイフ以外のナイフを道中で獲得することも可能となっている。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_009

 つまり、ナイフの新要素は敵の接近時に身を守る手段のみならず、敵を殲滅する際の手段でもあり、結果としてオリジナル版の戦闘の「近接と射撃」の関係性を継承しつつ発展させる役割を果たしていると言えよう。

 時に敵に接近して間合いを操作し、時に銃撃で敵をあしらい、命綱である残弾を管理し自らの命を繋ぐ。周到にゲームシステムを活用し、掌握したものが生き延びる本作の戦闘は、歯ごたえのある戦闘を求めるビデオゲームの“ヒリ付きの虜”を充分に満足させてくれるに違いない。

怖い場面はとことん怖い。リメイクで拡張された雄弁な恐怖

 『バイオハザード RE:4』では場面ごとのテーマを強調するリメイクが実施され、アクションが面白い場面はアクションを、恐ろしさを表現する場面では恐ろしさを強調する設計になっている。

 これまでは本作の戦闘に関する要素を紹介したが、リメイク版で進化した「恐怖」の表現も魅力的だ。

 本作では最新の技術を駆使した高精細なグラフィックが採用されているが、これにより実現する些細な血痕の表現や昼夜問わず不気味な雰囲気は、プレイヤーを悍ましい作品の世界へ引きづりこむ。道中に存在する「動物の死体」をはじめとする一部の不穏なオブジェクトはインタラクトすることで凝視でき、状況を解釈したり、禍々しいアートワークを存分に堪能することも可能にしている。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_010

 同時に、「村」へ向かう山道においても確認できる要素だが、マップの形状が絶妙にプレイヤーの死角を作り出し、「いつ、どこで」敵が出てくるかを常に警戒する必要がある。マップによっては随所にトラバサミが設置されており、グイグイと前に進むことが許される機会も限られる。

 結果として恐ろしい状況をじっくりと歩き進行しなければならない状況も多く、恐ろしさは加速していく。暗所のステージはフラッシュライトで探索していく形式となっているが、日中でも恐ろしい探索は更なる牙を剥き“未知”という根源的な恐怖でプレイヤーにイヤな汗を噴出させる。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_013
『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_014
(画像は『BIOHAZARD RE:4』 3rd Trailer – YouTubeより)

 さらに、強力な敵キャラクターが登場する恐怖演出も格段に進化している。こちらもネタバレになってしまうため明言は避けるが、強敵が登場する場面ではフレーバーテキストによる予告に留まらず、遠方から猟奇的な呻き声が聞こえてきたり、あからさまに不穏な空間に引き込まれたりと視覚、聴覚の双方からプレイヤーを恐怖のどん底へ陥れてくれる。

 また、PS5でプレイすれば、専用コントローラー「DualSense」から音声が再生されたり、“チェーンソー男”のチェ―ソーをはじめとする「場面の悍ましい音」を再現した振動が繰り出されるといった演出も用意されている。些細な演出ながら、じわじわと手先から知覚する表現は無意識のうちに作品への没入感を高めている印象だ。

 死と隣り合わせのアクションで緊張し、描かれる恐怖でも緊張。そして緊張で全身に力が入る。緊張で力むあまり筆者は生活に支障をきたしたため、窮地を乗り越えればしっかり休憩して頂きたい。

『バイオハザード RE:4』プレイレポート。『バイオ4』に新要素を加え戦闘チューンナップ_019

 本記事では本作の大きな見どころである乱戦と「ホラー」要素について紹介したが、オリジナル版のように『バイオハザード RE:4』ではテーマパークのように多彩なコンテンツがリメイクされ、収録されている。

 アトラクションのような派手で愉快な演出や、指定された条件下で行う因縁の人物との戦闘、敵を殲滅できない無力な状況での探索など、ボリュームのある冒険はプレイヤーを飽きさせない工夫に溢れている。

 また、シナリオの再構築と共にキャラクターの人物像も深堀され、レオン・S・ケネディらが困難に立ち向かう物語も確実に魅力を増している。その進化や変化の正体を、ラストシーンに至るまで刮目して見届けよう。

 『バイオハザード RE:4』はPS4、PS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに2023年3月24日(金)に発売予定。

 ゲームの冒頭部分をプレイ時間やプレイ回数の制限なく体験できる「Chainsaw Demo」もPS4、PS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに配信中だ。

 『バイオハザード RE:4』はオリジナル版をプレイした方も、本作からプレイする方も満足させる作品となっているため、“ヒリつき”を求めるゲーマーはぜひ本作をプレイしてみてはいかがだろうか。

ライター
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年4月26日15時~2024年4月26日16時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ