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『スト6』は通行人をブン殴りながら「第一歩」を踏み出せる、“クソ親切”な作品になっていた。初心者もすぐに格ゲーの“駆け引き”を楽しめるモダン操作がありがたすぎる…!

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 未経験の対戦ゲームに触れる時、すでにその道を歩んでいる「師」に該当する知人がいれば何も怖くない。

 そんな人が都合良く身の回りに存在するわけがない現実であるが、『ストリートファイター6』はゲーム内に「師匠」(と、それに代替するシステム)を搭載することで、対戦ゲームの大きなハードルを取り払ってくれている。

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 結論から先に述べれば、誰もが知る格闘ゲームシリーズの最新作『ストリートファイター6』は「格ゲーをこれから始めたい」というユーザーにいささか最適な作品になっている。なぜなら、かくいう筆者自身が「格ゲー初心者」であり、これまでに感じたさまざまな壁を超えることが出来たからだ。

 本記事では新たな操作タイプ「モダン操作」の初心者から見た「ありがたさ」を皮切りに『ストリートファイター6』のハチャメチャで大ボリュームのストーリーモード「ワールドツアー」、破壊的に親切になった「トレーニングモード」などの練習機能にフォーカスし、いかに「格ゲー初心者」を意識した設計になっているかを紹介する。

 吉田沙保里さんが出演したWEB CMなどにより「なにやら楽しそう」であることが話題を呼ぶ「ワールドツアー」では通行人をいきなり昇龍拳でぶん殴ったり、オンラインモードで操ることになる「師匠」たちとの交流により、「ガチの基本」を抑えつつ『ストリートファイター』シリーズの世界観の魅力にも気づかされる。

 そして「トレーニングモード」などの練習用の機能を利用すれば「YouTubeや攻略サイトでの勉強」をせず、ゲーム内で理論・実践コンボを学び“格ゲーの第一歩“をスムーズに踏み出せるはずだ。

 ちなみに、前述のとおり筆者は初心者であるため、本稿は同じく初心者に向けた筆者のモルモット的な体験に基づくレビューとなる。『ストV』などをかなり遊んでいるプレイヤーによるレビューに関しては下記関連記事を、「ガチ初心者だけど絶対遊ぶ!」という読者は練習機能に関する項目だけでもご覧いただければ幸いだ。


「モダン操作」ですぐに“格ゲー”をはじめられる。根本から遊びやすくなった『ストリートファイター6』

 格闘ゲームの最大のハードルは、言うまでもなく「コマンド入力」だ。すでに格闘ゲームに慣れ親しんでいるユーザーにとっては「やっていけば慣れる」と感じるかもしれないが、「コマンドの入力」ができなければ格闘ゲームならではの「駆け引き」は当然うまれない。

 しかし、『ストリートファイター6』では、初心者でも「駆け引き」をしたり、「格闘ゲーム」ならではのゲーム性に触れることができる。それを実現するシステムこそが本作より追加される新たな操作タイプ「モダン操作」だ。

 「師匠云々」の話の前に、まず根本的な“操作のハードル”が取り除かれていることを紹介しよう。

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 「モダン操作」は従来のようにコマンド入力をせず、用意された「必殺技ボタン」と十字キーひとつを入力することでリュウにおける「昇龍拳」「波動拳」といった必殺技と呼ばれる技を放つことができる新たな操作方法となる。

 また、「モダン操作」には「アシストボタン」というボタンが用意され、このボタンを入力しながら続けてボタンを入力すれば「自動でコンボを繋げてくれる」ボタンとなっている。結果として初心者でも“ちょっと複雑な『スマブラ』”といった感覚でゲームをプレイすることが可能だ。

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(ゲージがあればボタン連打で「スーパーアーツ」に至るコンボまで使用可能だ)

 従来の作品において、たいしてコンボが入力できないままゲームをプレイすれば、いわゆる“ガチャプレイ”をしたり、特定の技しか使えない“縛りプレイ”のような状態になる場合が多い。初心者であるがゆえに仕方がないものの、その段階のゲームプレイには駆け引きもくそもなく、“まだ格ゲーがはじまっていない”という感覚を強く感じざるを得ない。

 この“ゲームがはじまらない”という苦痛はとにかく不快であり、ある程度練習していても「今このコマンドが入力できれば勝てたのに」「コンボを勉強していれば勝てたかもしれない」といったフラストレーションに苦しみ続ければ、“はじまる”前にゲームをやめてしまうユーザーも存在して当然だと感じる。

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(筆者は「全然こんなコンボも無理だったなぁ」と思わず涙を流した)

 モダン操作のシンプルな操作は、この“なかなかゲームがはじまらない”感覚をなきものとする。FPSにおける左クリックのように必殺技が出せることで、いきなり「飛び道具でジャンプを誘発させ対空で狩り殺す」といった「読みあい」や「駆け引き」に興じることができる。

 すでに格ゲーに慣れ親しんでいるユーザーにとっては、コマンド入力をしないことで「醍醐味が消える」と感じるかもしれない。しかし、駆け引きや読みあいは対戦において「自身の判断が敵を倒した」と感じさせる決定的な要素となり、決定的な成功体験の喜びを味わうことができる。

 この喜びに初心者がハイスピードで触れられることの恩恵と偉大さは計り知れないと、『ストV』にてラシードのイーグル・スパイク※を連打していただけのガチ初心者(筆者)は強く感じる。例えるなら「モダン操作」のありがたさだけでご飯3倍いける、といった具合だ。

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画像は『ストリートファイターV』より※ピョンと飛び上がり、いきなり相手に接近しジャンプキックをかます技。個人的に、初心者を翻弄するのに最適であった。プレイ時間はわずか14時間ほどで、まさしくカスである。

 なお、「モダン操作」ではボタン単位でパンチとキックの判別がなかったりと、予め複雑な選択肢を持っていない。とはいえ、従来の操作方法である「クラシック操作」と同様にコマンド入力を行うことで必殺技の強弱を切り替えることもできる。

 これにより少しずつ「クラシック操作」に切り替えたり、引き続き「判断に集中」すべく「モダン操作」を使用しても問題なくゲームをプレイできるだろう。

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 また、ゲーム性に関しては新要素「ドライブゲージ」「ドライブインパクト」「ドライブラッシュ」「ドライブパリィ」が追加されており、全体的にガードで守り続けることのリスクが向上している。結果として「頑張ってガードしなきゃ」という意識以上に「頑張って攻め倒そう」という感覚が前景化している。プレイヤーの攻撃的な精神性をむき出しにできるゲームデザインも理解しやすく感じた。

 相手の攻撃をアーマーで2発まで受け止めつつ攻撃できる打撃技「ドライブインパクト」も、初心者帯においては「良くわからないけどハメ殺されて負ける」状況を打破してくれそうだ。

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 ちなみに、「モダン操作」は一部の技が最速で出せるといったメリットがあるものの、必殺技やスーパーアーツなどのダメージがクラシック操作に比べて80%ほどに減少する調整が施されるため、いわゆる“ぶっこわれ”になることがない配慮がなされている。

 「コマンドが出せない」ことで遊ぶのをやめてしまった方や、「なんだか難しそう」という理由でプレイしていなかった方は、もはや本記事を読む必要はないだろう。ブラウザを閉じて『スト6』をダウンロードし、是非プレイして頂きたい。

通行人をブン殴りながら『スト6』の世界を堪能。ギャルゲー要素?でキャラも好きになる「ワールドツアー」

 ゲームを起動していきなり座学をするより、ひとまず楽しみたい。ところが、従来の作品におけるひとり用コンテンツ「アーケードモード」をプレイするにも、作品の設定やキャラクターの出自が分からなければイマイチ楽しみ辛いかもしれない。

 なにかワチャワチャしながら『スト6』の世界観を味わったり、操作に慣れたり、好きなキャラクターを見つけられるコンテンツは存在しないのだろうか。そんな初心者プレイヤーのモチベーションに苛烈な炎を灯すコンテンツこそが「ワールドツアー」だ。

 『ストリートファイター6』のストーリーモード「ワールドツアー」は、今作のメインキャラクター「ルーク」に弟子入りした主人公となり、ほぼオープンワールドのフィールドを舞台に「強さ」を追求する旅を描く格闘ゲームRPGだ。

 プレイヤーはオリジナルのアバターを操作し、「強さ」を求めてニューヨークの中枢を想起させる「メトロシティ」や、他のファイターと出会えるイギリスやインドブラジルなどの国々、メインシナリオの舞台となる発展途上国「ナイシャール」などを飛び回り冒険していく。

 格闘ゲームのストーリーモードといえば、お手軽に遊べる短編コンテンツを想像するだろう。しかしながら本モードのプレイ時間は約20時間ほどの大ボリュームであり、本モードだけで中規模のゲーム1本分は遊べてしまうコンテンツとなっている。

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 まず本モードを起動するとアバターの作成をすることとなるが、その際に設けられた異常なカスタマイズオプションの量に圧倒される。

 顔や胴体はかなり細かいパーツに区分されており、太さや長さのみならず、日常ではあまり耳にすることがない筋肉の大きさもカスタマイズできる。おおよそ従来の格闘ゲームには必要とされることのない豊富なパラメーターの物量は、それだけで「とにかく楽しませたい」という気迫を感じさせる。

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 アバターの作成においては吉田沙保里さんが出演するTVCMのようにプレイヤーそっくりのビジュアルにすることや、好みのビジュアルのキャラクター、強そうで異常な”何か”を作成することができる。

 本モードでカスタマイズした腕の長さや体の大きさは「当たり判定」や「技のリーチ」にも影響を及ぼす。カスタマイズの自由度が、格闘ゲームならではの影響を本編に及ぼすこだわりの仕様だ。

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(お洒落?の自由度もかなり高い)

 そして、物語が幕を開けると「ルーク」や「春麗」といったさまざまなキャラクターに師事することができるが、それにより会得した必殺技をオープンワールドのフィールド上でブッパなし、通行人や町のNPCにいきなり殴りかかることができる。

 ストリートパフォーマンスをしている人や、職務に勤しんでいる警官、どこか目的地へ向かっている通行人をいきなりぶん殴ることは、心地よい。くわえて、彼らは決して殴られたことに怒らない。どれほど武術が浸透すれば本作のような世界に到達するのかは不明だが、シュールゆえに愉快である。

 殴ると2Dの戦闘が開幕するのだが、思わず何かに熱中している人をみかけるとつい殴ってしまい、楽しく操作慣れできる印象だ。

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 また、前述のとおり本モードではさまざまなプレイアブルキャラクターに師事することができるが、彼らとはメインシナリオサブストーリーの道中で出会えるため、必ずイベントシーンを経てかっこよく登場してくれる。

 師事したキャラクターはプレゼントをあげることで親密になるという恋愛ゲームを彷彿とさせるシステムが設けられており、仲よくなればキャラクターの思わぬ一面を知ったり、フォトモードでの新たなポーズを獲得することができる。

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 ジュリが幼き頃のエピソードや、ダルシムがカレー作りに凝っていたり、リュウが春麗に選んでもらったスカジャンを大事にしていたりと、各エピソードはどことなく可愛らしいものが多いほか、「これまでに何をしていたか」もしれっと紹介してくれる。

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 これらの要素により、「ワールドツアー」は通行人を楽しくぶん殴っているうちに「プレイアブルキャラクターの魅力」と「世界観」を自然にプレゼンテーションするコンテンツに仕上がっていると言える。

 オールドスクールなストリートカルチャー風のアートワークを軸とするムードを纏い、現代風の“おしゃれ”なビジュアルに刷新されたキャラクターたちの背中を追いかけよう。

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(春麗は自分自身のスタンプを使用しているようだ。)

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編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。
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オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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