6月27日は『討鬼伝』が発売された日だ。
2013年6月27日、PSP・PS Vita向けに『討鬼伝』が発売された。コーエーテクモゲームスから発売された本作は、『真・三國無双』シリーズなどで知られるω-Force(オメガフォース)ブランドが開発を手がけている。
ジャンルは和風ハンティングアクションで、最大4人でのマルチプレイが可能となっている。
プレイヤーは「モノノフ」と呼ばれる“鬼を討つ鬼”となり、“鬼”の脅威から人々を守るのが使命だ。
モノノフは「鬼ノ目」(おにのめ)、「鬼祓い」(おにばらい)、「鬼千切」(おにちぎり)と呼ばれる能力を有しており、いずれも鬼との戦闘を有利に進めるために欠かせない要素となっている。
鬼ノ目はモノノフの特殊な眼力で、気力を消費して使用することで、部位破壊が可能な鬼のパーツを可視化することができる。白い部位は全くダメージを受けていない部位で、黄色はある程度ダメージが蓄積している部位、赤はもうすぐ破壊できる部位を意味する。他にも鬼ノ目は鬼の残りの体力を見ることもできる。
鬼は体力ゲージを2本持っており、上のゲージが表層耐力、下のゲージが生命力を意味している。鬼を討伐するには、生命力のゲージを削らなくてはならない。
そのために重要なのが「部位破壊」だ。鬼の生命力にダメージを与えるには、鬼の部位を破壊し、生命力がむき出しになっている「マガツヒ」部位を作る必要がある。部位を破壊された鬼は再生行動を取るので、再生を防ぐためにモノノフは「鬼祓い」を行う必要がある。
他に鬼の生命力にダメージを与える手段として、鬼の全身がマガツヒ状態になっている間に攻撃するという方法もある。表層耐力が尽きた鬼は、部位の再生行動を取る前に一定時間マガツヒ状態になるため、その間は部位破壊をしなくても生命力にダメージを与えることができる。
しかしマガツヒ状態の鬼は攻撃が苛烈になり、うかつに攻撃すると返り討ちに遭うため、注意が必要となる。マガツヒ状態が終わると、鬼の表層耐力は元に戻る。
鬼の部位は地道に攻撃を重ねることで破壊可能だが、武器ゲージを最大まで貯めた時に使用できる「鬼千切」を当てれば、表層耐力の残量に関わらず確実に鬼の部位を破壊することができる。鬼千切を使用すると鬼の部位が文字通り「吹き飛ぶ」ため、爽快感が非常に強い。
モノノフの武器は6種類から選ぶことが可能で、近接特化、空中戦主体、遠距離からのサポートなど、それぞれ異なる特色を持っている。
他にも「攻」「防」「癒」といった、任務中の立ち回りを大きく左右する「戦闘スタイル」も8種類から選ぶことができる。
戦闘スタイルは武器にセットしたミタマによって決定される。ミタマは過去の時代の英雄たちの魂のことで、モノノフたちと同様に“鬼”を討伐することに使命感を抱いており、自らの意志で鬼退治に力を貸してくれる。
『討鬼伝』にはミタマが200種類以上登場するのだが、その大半が鬼に喰われて閉じ込められているため、鬼との戦闘にはミタマを回収するという意義もある。
『討鬼伝』はメインストーリーに登場するNPCのモノノフが任務に参加し、共闘してくれる点も特徴として挙げられる。メインストーリー以外の任務にも連れて行くことができるため、オフラインでもAIと共闘プレイを楽しむことができる。
そして『討鬼伝』は、そのNPCのモノノフたちによって紡がれるストーリーが非常に良い点が大きな魅力としてある。メインストーリーはあまり長くなく、王道的な内容なのだが、「生きる」ことが脅かされている人々の儚さと理不尽さが描かれているため、モノノフたちが戦わなければならない切実さが胸に迫るものとなっている。
2014年8月28日、PSP・PS Vita向けに『討鬼伝 極』が発売された。2015年にはPS4、Steam向けにも発売されている。
『討鬼伝 極』は前作『討鬼伝』の続編で、前作のセーブデータがあれば引き継ぐことが可能となっている。進行状況だけでなく、鍛えた装備やミタマも持ち越してプレイすることができる。
『討鬼伝 極』のメインストーリーは、ウタカタの里に新たなモノノフたちが来訪するところから始まる。ストーリーは前作のクリア後からそのまま繋がっており、作中の季節は秋へと推移している。
本作のストーリーでは、ウタカタの里だけではなく、霊山の百鬼隊やシラヌイの里など、モノノフたちの横のつながりが新たに登場する。また、モノノフたちがいつの時代から存在するのかといった歴史的な面にも触れており、モノノフたちに流れる縦の時間軸を知ることができる。本作のプレイを通して、日ノ本(ひのもと)の歴史とモノノフがどのように関わってきたのかが立体的に把握できるようになっている。
システム面では、新たな武器が3種類追加され、戦闘スタイルも2種類が追加された。
他にも共闘できるNPCや、敵となる“鬼”、ミタマなどが追加されている。ミタマの総数は300種類以上を数える。
本作で大きく改良された点として、ミタマのカスタマイズが行いやすくなり、スキルの付け外しが里にいる間は常時可能になった点が挙げられる。また、レベル最大のミタマが「極スキル」を習得するようになり、入れ替え可能な3種類のスキルとは別に、常時発動する4種類目のスキルを身につけるようになった。
前作に比べて様々なスキル構成を試すことが容易になったため、使いやすさや遊びやすさを試行錯誤しながら鬼との戦闘に挑みやすくなっている。
また、本作から新たなパラメータとして「共闘ゲージ」が追加された。ゲージを最大まで貯めることで、モノノフの新アクション「鬼千切・極」を発動することが可能になっている。
鬼千切・極はプレイヤーのうちの誰かひとり(オフラインであれば必ずプレイヤー自身)に使用権があり、鬼に当てることで複数の部位を同時に破壊することができるという、前作からある「鬼千切」の強化版のアクションとなっている。
2016年7月28日、PS Vita、PS3、PS4向けに『討鬼伝2』が発売された。その後Steamでも発売がされている。
本作のストーリーは、モノノフの里として長い歴史を持つ「マホロバの里」が舞台となっている。モノノフたちが“鬼”の脅威と戦う点は前作までと同様だが、モノノフの組織図や派閥の描写が増加しており、複雑な人間ドラマが描かれている。また、前作までと比較して、日ノ本の時間軸がさらに大きなスケールで描かれている。
本作はシステム面で、大きな変更がいくつか加えられている。その中でも目玉要素として挙げられるのが、マップがオープンワールドになった点だ。
前作までは任務ごとに領域が区切られていたが、本作では広大な1枚のマップとなっている。そしてエリアごとに瘴気の濃さが設定されており、“鬼”とモノノフの力関係に変化が生まれるようになった。
本作のモノノフは、新たなアクションとして「鬼ノ手」を使用することができる。鬼ノ手は伸縮性のある巨大な腕で、気力を消費することでいつでも発動することができる。
鬼ノ手を伸ばすことで、マップ上の特定の地点を掴み、跳躍では届かない距離を一足飛びに進むといったゲームプレイが可能になった。また、戦闘時に使用すれば、装備している武器種を問わず、空中攻撃へと繋げることを可能にしている。
他にも新たなモノノフのアクションとして、共闘ゲージを消費することで「鬼葬」(おにはぶり)を使用することが可能になっている。
鬼葬は“鬼”の特定の部位に命中させることで、その部位を「完全部位破壊」することができるアクションだ。完全部位破壊された部位は消えてなくなるため、たとえば空を飛ぶ“鬼”の翼に使用することで、空中に退避されることを防ぐなど、戦闘の展開を大きく変えることが可能になった。
本作では新たな武器が2種類追加され、ミタマの戦闘スタイルも1種類追加された。
そしてさらに、ミタマを武器に装備するだけでなく、防具と鬼ノ手にもそれぞれ装備することが可能になった。
防具に装備したミタマは「ニギタマフリ」と呼ばれ、特定条件を満たすと発動するパッシブスキルとなっている。鬼ノ手に装備したミタマは「アラタマフリ」と呼ばれ、攻撃を主体とした強力なタマフリを使用可能にしている。
前作までと同様に使用できる戦闘スタイルに加え、ニギタマフリとアラタマフリを立ち回りに組み込むことが可能になったため、ミタマの育成やスキル構成の試行錯誤がさらに奥深く楽しめるものとなった。
2017年3月30日、PS Vita、PS4向けに『無双☆スターズ』が発売された。後にSteamでも発売された『無双☆スターズ』には、『討鬼伝』シリーズから桜花、ホロウ、時継が出演している。
本作は、過去にコーエーテクモゲームスが手がけたタイトルのキャラクターが領域横断的に登場し、『無双』シリーズの1作品として共闘するコラボタイトルとなっている。
本作は『真・三國無双』や『NINJA GAIDEN』のように、元の作品でもアクション操作が可能だったキャラクターが出演しているだけでなく、『遥かなる時空の中で』といったアクション要素が存在しないタイトルのキャラクターも操作できる点が大きな特徴として挙げられる。
『討鬼伝』シリーズはそもそもアクションタイトルではあるが、桜花・ホロウ・時継はいずれもAIがNPCとして共闘してくれるキャラクターだ。プレイヤーが本編のNPCを実際に操作できるという点に、本作でしか体験できない遊び心地がある。
本作はさまざまなタイトルからキャラクターが参戦しているが、メインストーリーは本作のオリジナルキャラクターたちによって紡がれる。
本作はマルチエンディングとなっているが、エンディングに至るまでの随所で、タイトルの垣根を超えたキャラクター同士のかけ合いが見られる点も大きな特徴となっている。
他にも『討鬼伝』シリーズにはスマートフォン専用のタイトルがあり、それぞれにオリジナルストーリーを展開していた。現在はいずれもサービスを終了している。
『クイズバトル討鬼伝』はクイズジャンルのタイトルで、問題の正解を重ねて“鬼”にダメージを与え、討伐し、ストーリーを進めるのがゲームの流れとなっていた。
本作で語られた「アカツキの里」は、『討鬼伝』のオリジナルプロモーションアニメで名前だけが登場する里だったのだが、本作のストーリーでどのような災厄に見舞われたのかなどが明かされていた。また、本作の主人公は、他の『討鬼伝』シリーズとは一線を画す設定となっていた。
『討鬼伝モノノフ』はタッチ操作で鬼と戦闘し、最大4人でオンラインマルチプレイができたアクションタイトル。ガチャなどで得られるミタマや装備を充実させて、鬼を倒して素材を集め、プレイヤーキャラクターを育成するのが主なゲームの流れであった。
ストーリーは「シノノメの里」という本作独自の里を舞台にしており、時系列としては『討鬼伝極』の数カ月後を描くものとなっていた。『討鬼伝』シリーズ本編には登場せず、本作だけで戦闘できる“鬼”に「アデダキニ」がいた。
2023年2月17日、枝川拓人氏、平田幸太郎氏らがディレクターを務め、オメガフォースが開発した『WILD HEARTS』(ワイルドハーツ)がEA Originalsから発売された。対応機種はPC、PS5、Xbox Series X|Sで、ジャンルは和風ハンティングアクションだ。
両名は『討鬼伝』シリーズの開発に参加しており、その後枝川氏は『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』で、平田氏は『進撃の巨人』シリーズでディレクターを務めたという来歴を持つ。
『WILD HEARTS』は様々なシステムが『討鬼伝』とは異なっており、「からくり」を利用して戦闘や探索を有利に進めるという、全く新しいゲーム体験が可能となっている。
本稿執筆時点で『討鬼伝』シリーズの新たな情報はないが、『WILD HEARTS』のような新たなタイトルは生み出されており、オメガフォースの歴史の一部として『討鬼伝』を感じることはできる。
この先もオメガフォースの新規タイトルや、『WILD HEARTS』に続くアクションタイトルの今後に期待したい。