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『超探偵事件簿 レインコード』における「死に神ちゃん」の役割とは? “メタ発言” と “狂気” によってプレイヤーの疎外感を埋め合わせてくれる存在だった

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 梅雨が明けたと思いきや、依然ジメジメとした天気の初夏である。私と言えば、6月30日にスパイク・チュンソフトから発売されたアドベンチャーゲーム、『超探偵事件簿 レインコード』を発売日からぶっ続けで遊んでいた。もう夏だというのに、なぜか雨に降られる毎日が続いているが、今作はそんな「雨」の日にぴったりのゲームである。

 スパイク・チュンソフトと言えば私が最も愛するアドベンチャーゲームの一つ、『街』を世に放った偉大な企業であるから(厳密にいえばスパチュンではなくチュンソフトだが)、私としても非常に期待値の上がった状態でプレイしていた。さらに、今作を手がけたチームはあの名作アドベンチャーゲーム『ダンガンロンパ』シリーズの制作を務めたチームらしい。これは私に言わせてみれば「アドベンチャーを作る上でとてつもなく優秀なチームが作ったゲーム」ということである。本作を評するうえで私にそのようなフィルターがかかっていることをまずはお伝えしておきたい。

 肝心のゲーム体験はどのようなものであったかというと、これは一言では表現し辛い。しかし、「魅力的なキャラクター達」や「謎解きのプロセス」、「ロンドンを模したサイバーパンクな世界観」など、どれも一級品の出来であったので、この記事ではそれらの魅力について、個人的な感想と共にお届けする。

 この記事では物語についても触れているため、ネタバレを絶対に避けたい方はお気を付けいただきたい。前置きが長くなってしまったが、早速本作の感想を語っていこう。

文/植田亮平


「死に神ちゃん」が可愛すぎる!

「死に神ちゃん」のポジション

 まずは本作で主人公「ユーマ」と常に行動を共にする相棒「死に神ちゃん」について語ろう。初めて彼女の声を聴いたときには思わず「『ぼっち・ざ・ろっく!』の虹夏ちゃん!?」と絶叫したものだが、クリアした今となってはすっかり鈴代紗弓さんの声も馴染んでいる。

 死に神ちゃんは本作の「マスコットキャラクター」と「メインヒロイン」という非常に美味しい役どころを一手に担う超重要キャラクターである。死に神ちゃんとしてもこのようなポジションを務めるのは大変だろうが、その分彼女の持つ魅力は他のキャラクターに追随を許さぬレベルに仕上がっている。もちろんセリフ量も他のキャラの比ではない。

 死に神ちゃんのキャラクター造形は『ダンガンロンパ』シリーズにおける「モノクマ」とどこか似ている。可愛らしい見た目に反して人間的な死生観や情緒を持っていない点をはじめ、世界観にそぐわぬメタ発言や、シリアスな場面でこそコミカルに演じて見せる特徴など、多くの要素をモノクマから引き継いでいる。犯人を突き止めた後の断罪シーンを引き受けるのも『ダンガンロンパ』と共通だ。

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可愛い。

 しかし、本作において死に神ちゃんは敵対するキャラクターではなく、終始相棒として描かれている。常にユーマのサポートに徹するという健気な一面もありつつ、時にはユーマに好意を抱く女性キャラクターに露骨に嫉妬する場面も用意されている。キャラクター造形の節々はモノクマと同様の路線であるが、その「ポジション」は大きく異なるというわけだ。

 故に、死に神ちゃんというキャラクターを総括するのであれば、「可愛くて、イかれてて、なおかつ常に自分の味方をしてくれるキャラクター」ということになる。……好きにならんわけないやろがい。

「死に神ちゃん」のビジュアル

 死に神ちゃんには「マスコットモード」と「ヒロインモード」の2つが存在する(私が勝手にそう呼んでいる)。

 マスコットモードの死に神ちゃんは丸々として幽霊のような姿である。

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可愛い。

 この状態の特徴は何と言ってもその豊富なイラストの種類にある。マスコットモードの死に神ちゃんはユーマとの掛け合いのなかで毒舌や下ネタ、パロディを織り交ぜた自由奔放な会話を繰り広げるわけだが、その最中画面左下には常に死に神ちゃんのオーバーな演技が2Dイラストとして表示されている。プレイヤーはかなり早い段階で、このイラストの差分がとてつもなく多いことに気づくだろう。

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可愛い。

 物語序盤から、毎回別のイラストの死に神ちゃんが画面左下に顔を出し、人が死んだとあらば欣喜雀躍のごとき暴れっぷりを披露している。そしてその暴れっぷりは物語が終わるまで間断なく続いていく……非常に眼福である。

 そんな愛すべきマスコットの死に神ちゃんだが、「謎迷宮」というダンジョンの攻略時にはゴスロリ衣装にピンクツインテという、いわゆる地雷系な風貌を備えたヒロインモードへと変貌する。これは私の気のせいかもしれないが、ヒロインモードにおける死に神ちゃんの言動もまた、見た目に合わせて若干コケティッシュなものへと変化する。もうメロメロである。

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可愛い。

 ヒロインモードの死に神ちゃんは、迷宮攻略時にはシナリオの都合上ポンコツキャラを演じることが多いのだが、そこもまた良い。ユーマが事件を解決する途中、隣の死に神ちゃんは余計な推論を立てる。

 これはユーマにサクサク解かれても困るという「シナリオ的な都合」によるものだと思われるが、これがまったく鬱陶しくない。むしろ快感さえ覚える。私はこういうミステリーもので登場人物が露骨に間違った回答をするとイライラする性分なのだが、死に神ちゃんなら許せる。みんなも許せるよね?

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可愛い。

死に神ちゃんとプレイヤーの距離感

 今気づいたことなのだが、私は本作を遊ぶうえで、どちらかというとユーマより死に神ちゃんの視点で物語を楽しんでいたような気がする。

 本作では殺人事件が起こる。そして殺人現場を見たユーマは恐怖や動揺で非常にネガティブな心情を独白する。ユーマは「探偵見習い」故に、死体を見たときに必ずといっていいほど拒否反応を示し、堂々と振る舞い事件を解決するという風格を備えていない。

 一方で死に神ちゃんは対照的である。死体を見るや否や生き生きとしだし、事件解決への手がかりを集めようと積極的にユーマに働きかける。これは「事件を解決したい」というよりも「はやく犯人をぶちのめしたい」という動機のように感じるが、この態度は私たちプレイヤーが事件に臨む態度とある意味共通している。

 プレイヤーはどこかドライな目で舞台となるカナイ区を俯瞰している。誰が死のうが、どのような動機があろうが、実際にはゲームなのでそれほど感情を動かされることがない。むしろ積極的に「誰か死なないかな」とさえ考えている。こういったプレイヤーのシニカルな視点を実際の物語の中で体現しているのが死に神ちゃんなのだとしたら、私が死に神ちゃんの視点に自分を入れ込んで物語を読むのも当然である。

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可愛い。

 全員が高慢な道徳と常識を持ち合わせているミステリーというのも確かに面白いが、どこか疎外感を感じる。死に神ちゃんはその疎外感を「メタツッコミ」と「狂気」で埋め合わせてくれる存在だ。そしてそのプレイヤーの視点を物語に入れ込む役割は『ダンガンロンパ』シリーズの「モノクマ」とポジションを異にすることで、同シリーズより一層強調されている印象を受けた。これもまた、私が死に神ちゃんを愛する理由の一つなのだろう。

事件の攻略はジェットコースターのごとし

詰まない謎解き

 ここからはゲームプレイについての感想を語ろう。
 本作のゲームプレイは日常パートを除けば、全編にわたってミステリーの王道である「調査パート」と「解決パート」で構成されている。調査パートでは仲間の超探偵の力を借りながら証拠を集め、集めた証拠を解決パートの謎迷宮で使うことで事件の謎を解いてゆく。

 どちらにも共通しているのは「答えへの導線が非常にしっかりと整備されている」ことと「マンネリにならないようバラエティーに富んでいる」ことである。詳しく説明しよう。

 まず、答えへの導線が非常にしっかりと整備されていることについてだが、これは既にプレイした方であれば誰の目にも明らかだと思う。

 本作の謎解きは、まず失敗しない。本作で私は一度もゲームオーバーにならなかった。しかしこれはミステリーのトリックがチープであるとか、犯人が「いかにも」すぎて分かってしまうとか、そういったことが理由ではない。むしろ本作のトリックはミステリーとして見ればそれなりに良くできているものだ。

 これらは謎解きの道筋がゲームによって整えられすぎていることに起因する。例えば謎迷宮の攻略時に発生する「推理デスマッチ」は、相手の発言の矛盾点を証拠である「解鍵」でたたき切っていくというものだが、1ミスすればほぼ答えと同等のヒントを死に神ちゃんが与えてくれる

 あるいは謎迷宮の道中に登場する選択式の問題の場合は、間違えても体力バーが少し減るだけで再度選びなおすことができるし、そもそもそこで提示される問題はそれほど頭を悩ませる問題ではない。しかも、その体力バーや解鍵の選択肢は、探偵ポイントで獲得できる「能力」要素によっていかようにも強化できる

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 好意的に解釈するのであれば、これらはとてもありがたい「詰み防止」システムとして効果的に機能している。推理アドベンチャーゲームで最も致命的な欠点は「謎が解けない」というものだ。どれだけ良質なテキストを用意しても、謎そのものが解けないならテキストを読むべくもない。この問題点を本作は「回答への筋道を出来るだけ明瞭に提示する」ことによって解決している。

 無論、この救済法は骨太の推理ゲームを求めるコアゲーマーからすれば物足りなく感じる可能性もあるが、それに対して本作は「回答の制限時間を短くする」「回答を間違えたときのリアクションをオーバーなものにする」といった手法で回避させようと努力している。
 「答えるのは簡単」でありながら「間違えるプレッシャー」の緊張感を失わせない。この2つの目標を達成しようと懸命に努力した結果が本作の難易度になっている、そんな印象だった。

決して飽きさせないという意気込み

 では、ゲーム全体の難易度をやや犠牲にしてまで本作は何を成し遂げたかったのか。私は「プレイヤーを絶対飽きさせない」ことなのではないかと思う。

 本作の謎解きのバラエティーは常軌を逸している。「調査」→「解決」というフローは一貫しているが、そこでプレイヤーが行うあらゆるゲームプレイは事件によって全く異なる。特に顕著なのは謎迷宮に入ってからだ。本作は「解決に至るまでのゲームプレイ」を謎迷宮によって非常に多様化させている。それらは『ダンガンロンパ』シリーズの各システムを踏襲しつつ、より小気味良く迫力のあるものにアレンジメントしている。

 いくつかそのレパートリーを紹介しよう。

・推理デスマッチ
 謎迷宮に登場する「謎怪人」と議論を行うゲームパート。プレイヤーは謎怪人から放たれる発言をアクションでかわしながら、矛盾を含んでいる発言を解刀で切ってゆく。『ダンガンロンパ』シリーズの「ノンストップ議論」に近いシステム。

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・死に神ちゃん危機一髪
 事件の確信に迫るキーワードを死に神ちゃんのヒントを得ながら推測してゆくゲームパート。死に神ちゃんが入った樽に表示された文字を一つずつ選択して正しいキーワードを導いてゆく。クリアすれば死に神ちゃんのサービスショットが見られる。

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・選択問題
 3つ以上提示される選択肢の中から、正しい選択肢を選ぶゲームプレイパート。事件の前提となる事実や、既に手に入れた証拠から確定する状況を推理する。

 複雑になった事件の全体像をいったん整理するために、改めてプレイヤーに確認をもとめるパート(な気がする)。ちなみに謎迷宮ごとにこのパートのビジュアルは異なり、トロッコのビジュアルはさながらネ〇リーグである。

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・大進撃 死に神ちゃん
 謎迷宮の必須パート。犯人の発言を、巨大化した死に神ちゃんと粉々に粉砕していく。QTEと「推理デスマッチ」を合わせたような内容になっており、最後の解鍵を突き付けたときのカタルシスは言わずもがなである。ちなみに死に神ちゃんは素で身長が183cmある。

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 上記以外にも複数のゲームプレイパートが存在しており、真犯人を告発するパートや、事件現場を再調査して新たな証拠を発見するパート、謎迷宮ごとの固有パートや「超推理フィナーレ」という事件の全貌をまとめるパートなど、非常にバラエティーに富んでおり、中には往年のクイズ番組を想起させるものもある(実際いくつかのアイデアはクイズ番組から取ったものだろう)。

 これらのパートが謎迷宮ごとによって不規則に私たちの前に現れるので、プレイヤーがこのゲームでマンネリを起こすことはまずないと言っていいだろう。また、一つ一つの謎迷宮のロケーションは事件のテーマに沿ったものになるうえに、そこで登場するキャラクターも毎度異なる。一言で言えば「飽きさせない」のだ。

 謎迷宮では特定の場面で、長寿アニメのような「バンク」ムービーが毎回挟まれるが、これは謎迷宮が無秩序になって破綻しないようにするためのものだろう。雑然とした謎迷宮に一定の一貫性を持たせる意図が見て取れる。このムービーを含め、解決パートにこれほどのリソースを注ぎ込んでいるゲームはおそらく本作以外にないと言っていいだろう。

ジェットコースターのような感覚

 この「答えへの導線が非常にしっかりと整備されている」ことと「マンネリにならないようバラエティーに富んでいる」ことによって、本作の解決パートはさながら遊園地のジェットコースターに乗っているような気分を私たちに与えてくれる。途中で詰まることがないが故に立ち止まって考える時間も少ないが、結果的にそれが事件の解決にスピード感を生んでおり、えも言われぬ爽快感に繋がっている。

 これまでの推理アドベンチャーゲームが「熟考型」だとすれば、本作は間違いなく「アトラクション型」に分類されるであろう。そしてこのようなアトラクション型の推理アドベンチャーゲームは、まだそれほど世にはない気がする。

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カナイ区に住むキャラクター達

サイバーパンク×ロンドンが生み出すディストピア

 次は本作の世界観についてだ。本作はカナイ区と呼ばれるエリアを舞台にした物語だが、カナイ区は雨とネオンライトというゴリゴリのサイバーパンク的世界観を有している。しかし、建造物をよく見てみるとそれらは霧の町ロンドンをモチーフとしたものが多く、本作の「探偵」というテーマも引き立てることに成功している。

 カナイ区の特徴は何と言っても「雨」にある。この地区は決してやむことのない雨が降り続けており、都市自体もその気候を前提とした作りになっている。

 例えば排水のインフラがめちゃくちゃ整備されていたり、ドローン型の傘が存在するなど、世界観がかなりしっかり練られている。このような設定を活かすべく、ビジュアルにおいても、特に水と光の表現にはかなり力を入れている印象を受けた。地面のタイルの細かい濡れ具合や水たまりにネオンの光が反射する表現等、リッチな表現を惜しみなく使っており、プレイヤーがこの世界に没入するための工夫が街の随所に凝らされている。

 こうしたビジュアル表現の負荷がときおり長大なロード時間となって襲い掛かってくることもあるが、ハードスペックの問題上ここは目をつぶろう。

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 また、カナイ区は「アマテラス社」という超巨大企業が支配するディストピアでもある。この地区では法も経済も全てアマテラス社が牛耳っており、住民はアマテラス社の圧制と監視に怯えながら日々を暮らしている。このカナイ区を事件解決によって「世直し」していくのが本作のメインストーリーの根幹でもあるのだが、その結末がどうなるのかは遊んでみてのお楽しみである。

 個人的に面白かったのは、カナイ区が一枚岩の都市ではないというのが随所で描写されていることだ。各マップは基本的に立体構造をなしており、「治安のいい場所、悪い場所」というグラデーションが視覚的にも、そして物語の構造的にも分かりやすくなっている。

 もちろんそこに暮らす住民の中にも「ディストピアを変革しようと息まく人間」や「ディストピアの中でもそれなりに幸せそうに生きている人間」が混在している。エリアやNPCに多様性を与えることでカナイ区という街の雑多さを表現しようと試みており、私の見立てではそれは成功しているようだった。

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個性豊かなキャラクターたち

 死に神ちゃんについては前の文で語ったので、主人公ユーマを支える超探偵たちについても軽く紹介しよう。

 本作でユーマは「夜行探偵事務所」という世界探偵機構の支部に派遣され、仲間たちと様々な事件に挑むこととなる。それぞれの超探偵たちが活躍するのは主に事件の調査パートであり、超探偵たちが持つ「探偵特殊能力」を借りながらユーマは調査を進めていく。

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 それぞれの超探偵は「過去視」等の能力でユーマの調査をサポートしてくれる。また、サポートしてくれる超探偵は章ごとに異なり、なおかつキャラクターの能力が、それぞれ調査時におけるゲームプレイのバリエーションに直結しているので、プレイヤーは調査パートにおいてもマンネリとなることはないだろう。

 初めてプレイしたときは「どんな名前やねん」とツッコミそうになる名前のキャラクターしかいないが、多分これはSNS等で検索しやすくするための開発側の故意じゃないかと思う。

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 「ハララ=ナイトメア」って、どんな名前とも被りようがないですからね。そう考えれば死に神ちゃんが「死神ちゃん」じゃない理由も何となくわかる気がする。


 以上が本作の感想である。
 本作を遊んでみた総評としては、非常に体感時間の短い作品だったなあと改めて思う。謎解きで詰まることもなかったし、アクションで躓くこともなかった。しかし最も驚くべきは、まったくそこに「飽きがこなかった」ことである。

 章立ての物語で、なおかつ推理アドベンチャーゲームでここまで休憩なしで遊べる作品というのはそうそうない。そしてその理由には物語の面白さも当然あるが、何よりも「ゲームプレイの内容もテンポも一定ではなかった」ことが大きかったように感じる。

 この記事で書いたようないくつかの要素、すなわち死に神ちゃんの魅力やジェットコースター的なゲームプレイが生み出す爽快感、美しいビジュアルの世界観が、私を40時間の間ずっと楽しませてくれたのだ。そしてその40時間の旅は、このゲーム以外では決して味わえない体験として私の中に記憶されている。

 死に神ちゃんに会いたい方、推理アドベンチャーゲームをアトラクションとして楽しみたい方、そしてなにより雨の降るサイバーパンクが好きな方は、本作を間違いなく楽しめるユーザーであろう。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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