『オーバーウォッチ』のアニメ、観たことありますか? ない人は今すぐ全部……じゃなくてもいいので観てください。これ、最高です。
特に上のPVは『オーバーウォッチ2』を発表するときのものでして、マジで激アツの一品でした。一度は解散した「オーバーウォッチ」を再建すべく起ちあがった“ウィンストン”と、その窮地に次々と現れる歴代のメンバーたち。初めて観たときは「ゲンジが服を着てるぞ!!!」とフレンドと大盛り上がりしたのを昨日のことのように覚えています。
そう、昨日のことのように……
昨日の……
2019年!?
そうなんです。こんな最高の予告を見せられた上で、僕たちは約3年間『オーバーウォッチ2』を待ち望む刑に処されていました。特に2022年の上半期なんかは、もはやお預けされすぎてゼニヤッタのような顔でゲームを遊んでいたと思います。リリース後も目玉要素のPvEは2023年って言われちゃってたし……。
しかし今回、ついに新シーズン「インベージョン」でついに「ストーリー任務」が登場、『オーバーウォッチ』シリーズの物語が本格的に動き出したんです!
待ってたぜェ!! この瞬間(とき)をよぉ!!
しかも「インベージョン」は新ヒーロー「イラリー」、新ゲームモード「フラッシュポイント」も追加と盛りだくさんの内容。いきなりの大量供給に毒ガス訓練が始まらないか心配になるほどではありますが、本稿ではその先行プレイの模様をお届けしていきます。
※本稿の内容はメディア向けの先行プレイ段階のものです。正式リリース時や後のアップデートで内容が変更されている場合があります。
嬉しい要素盛りだくさんのPvEモード「ストーリー任務」
まずは何より、ついに動き出した『オーバーウォッチ』の物語を描く新PvEコンテンツからお話していきましょう……!
「インベージョン」で実装される大規模な協力プレイコンテンツ「ストーリー任務」は大きく3ミッション。新たに「オーバーウォッチ」にくわわるヒーローや、かつての仲間との出会いを通じて『オーバーウォッチ2』の正史が描かれていきます。ちなみに、このほかにもストーリーに関わる「イベント任務」が用意されていました。
この『オーバーウォッチ』というシリーズ、もともとPvPがメインのゲームであるにも関わらず、ストーリーとキャラクターの設定のこだわり具合が異常です。映画にしても良かったんじゃないか? と思うレベルで作り込まれていますし、どいつもこいつもそれぞれ違ったカッコよさがあるんですよね……。
ざっくり設定を紹介すると、人間とオムニック(ロボット)の戦争が勃発した中、人間側の切り札として結成されて平和を取り戻したのが「オーバーウォッチ」というヒーロー組織でした。しかし平和が訪れたのち、さまざまな謀略やメンバー間での衝突を経て組織は解体、ヒーロー活動は違法と定められてしまいます。
しかし、一度は訪れた平和も長くは続かず、テロ組織「タロン」やオムニックの過激派集団「ヌルセクター」によって、世界はふたたび混沌へ足を踏み入れようとしていました。初代『オーバーウォッチ』の起動時に流れるムービーは、そうした世界の状況を見かねて「オーバーウォッチ」を再結成しようとするウィンストンからのメッセージとなっていました。
そして冒頭にも紹介した「Zero Hour」で描かれたように、ウィンストンの望み通り「オーバーウォッチ」は再結成に向けて動き出していく……というのが『オーバーウォッチ2』の本筋。今回のストーリー任務はおもに、新たに「オーバーウォッチ」にくわわる“ルシオ”や、復帰する“ソジョーン”などに焦点を当てた内容となっています。
とりあえず、初代『オーバーウォッチ』でウィンストンだけが暮らしていた拠点「ウォッチポイント・ジブラルタル」に新旧のヒーローが集まるシーンにグッと来ました。
あと“ラインハルト”と“トールビョーン”のジジイコンビが最高です。旧「オーバーウォッチ」メンバーが結構な年齢になっているため、一部では「老人会」とか言われたりもしているゲームですが……強くてカッコいい老兵、良いじゃんね!
肝心のゲームプレイについては、従来の『オーバーウォッチ』で期間限定のイベント的に行われてきたPvEと比べるとかなり気合が入っているな、という印象です。
まず何よりもマップが広く、一部はPvE用に新規で制作されていることもあって非常に新鮮。特にストーリー任務のひとつ「アイアンクラッド」ではトールビョーンの工房を訪れるなど、旧来のプレイヤーとしてはいっそう『オーバーウォッチ』の世界に踏み込めたような、とても嬉しい体験となりました。
敵のバリエーションも増え、一部にはギミックボス的な存在も登場。さらにミッションを攻略していくとアーカイブ的な要素も解放されていき、カットシーンだけでなくテキストからもキャラクターや世界設定の掘り下げが行われていきます。
個人的に『オーバーウォッチ』はストーリー部分をもっともっと打ち出して欲しい! とずっと考えていましたので、ようやくその願いが叶いつつあって嬉しい限りです。また今回のストーリー任務には過去のアニメを観ておくと嬉しくなる要素が満載なので、未見の方はぜひ! 下の動画は中でも筆者イチ押しの作品です。
くわえて、ストーリーとはまったく関係ない要素ですが、ひとり用の練習モード「ヒーロー・マスター任務」が本シーズンから実装されます。こちらは各ヒーローのアビリティ、キャラクターコントロールの練習ができるモードとなっており、初心者にはもちろん、操作や感度を変えたタイミングやランクマッチ前の“あっため”にも良さそう。
先行プレイ時点で体験できたのは一部のヒーローのみでしたが、今後もシーズンごとに新しいチャレンジが順番に実装されていく見込みです。オンラインランキングも用意されるので、腕に覚えのある方はぜひ上位を目指してみてください。
素直で使いやすそうと思いきや、実は職人気質? 新ヒーロー「イラリー」の登場
『オーバーウォッチ2』プレイヤーなら、やっぱり嬉しい新ヒーローの登場。今回の新ヒーローはサポートロールの「イラリー」です。ペルー出身で“太陽”の力を使うキャラクターとなっており、扱いやすいメイン攻撃、回復用サブ攻撃、範囲回復が行える設置物に三次元的な移動アビリティも……となかなか器用なヒーローに見えました。
そして前回登場の新サポート「ライフウィーバー」がめちゃめちゃクセの強い性能だったのに反し、今回の「イラリー」はかなり素直。メイン、サブ攻撃がいずれもヒットスキャン【※】のため、FPSに慣れている方ならばすぐにある程度扱えるようになるかと思います。
※ここでは発射と同時に着弾する攻撃を指す。射撃時にいわゆる“先読み”をする必要がないため扱いやすいが、同時に純粋なエイム力が如実に表れる。
特に「ソーラー・ライフル」のメイン攻撃は、ヘッドショットできれば単発で100以上のダメージが出せます。ただし発射後はエネルギーが低下し、連射すると2弾目以降は大きくダメージが減少してしまうので、一発一発を大事に狙って撃つタイプの武器となりそうでした。
サブ攻撃はエネルギー回復式で、メイン攻撃とは弾数が完全に差別化されています。エネルギーの仕様は『オーバーウォッチ2』の“オリーサ”のメイン攻撃に近く、エネルギーを使い切ってしまうと2秒間程度のオーバーヒートが発生してしまうので、味方のHPとエネルギーを並行して管理する必要があるでしょう。
こちらも素直で使いやすい回復アビリティですが、撃ってみると思った以上に射程が短い! タンクの回復を請け負うのであれば、かなり前線に近い位置で戦う必要がありそうです。また、この特性を考えるとダイブ構成にあわせるのは難しそうな気もしました。
アルティメット「キャプティブ・サン」はロケットランチャーのような爆風のある攻撃で、当たった相手は動きが鈍り、その後に一定のダメージを受けると爆発してさらに追加ダメージを受けます。敵に直接ダメージを与え、なおかつ味方を回復するなどの効果は一切ないという、サポートロールには珍しいほど攻撃的なアルティメットとなっています。
アルティメットの発動中はゆっくりですが空中浮遊が可能になり、上空から敵を撃ち下ろすような運用もしやすくなります。一方でHP等のバフは受けられず、移動速度もそれほど速くないため、思い切って前に出るのには敵スナイパー等の射線に気を使う必要はありそうです。
また爆風の効果範囲は10メートル近くあり、かなり敵を巻き込みやすくなっています。追撃ができないと価値の薄いアルティメットなので、カウンター的に使うよりも自分からウェーブを取りに行くような動きが強そう。
シンプルに強そうだな、と思ったのは“ザリア”のアルティメットである「グラビトン・サージ」との併用。バリアで守ってもらえればアルティメットの発射前に撃ち落とされるリスクも減り、「グラビトン・サージ」で捕まえた相手をしっかり倒しきるのに大いに役立つのではないでしょうか。
また、ヘッドショットができれば単発で100以上のダメージを与えられるヒットスキャンのメイン攻撃を持つため、サポートロールの中では“ファラ”や“エコー”とそれに付随する“マーシー”など空中系のヒーローに対する圧力も高め。単体で高台に移動できるアビリティも持っており、やはり「器用」という印象が目立ちます。
一方で、通常アビリティには“アナ”の「バイオティック・グレネード」ほど一瞬で敵チームに大きなプレッシャーを与えるものは見当たらず、“キリコ”の「鈴のご加護」のように瞬間的に味方を救えるものもありません。
アルティメットを除けば、自分で試合の流れを変えるというよりは着実に仕事を果たして少しずつ有利を作っていく、職人気質なヒーローと言えるかも。
新たな戦略の誕生に期待したい新ルール「フラッシュポイント」
さて「インベージョン」の目玉要素はもうひとつ、新ゲーム・モードの「フラッシュポイント」がありまして。こちらは「SURAVASA」と「NEW JUNK CITY」のふたつのマップでローンチとなる見込みです。
ルールをシンプルに紹介するとマップ中の拠点の制圧戦を3点先取で競うというもので、簡単に言えば現存の「コントロール」モードをひとつのマップに収めたといった具合です。公式サイトの開発ブログで公開されているマップのデザインを見るとイメージしやすいでしょう。
※実際のゲーム中に実装されるマップの構造とは異なります
最初に争奪戦を行う拠点はマップ中央に固定されていますが、その後はランダムで決まります。各拠点でどちらかが100%に達するまでバトルし、先に3回ポイントを確保したチームが勝利。拠点ごとに「オーバータイム」も発生するため、もつれ込むとかなり長い試合になりそうでした。
また、拠点の数が多いだけにマップ自体はかなり広大。オブジェクトが多いのも相まってひとりで歩いていると迷子になりそうな感覚を抱きますが、いつも通り争奪中の拠点は画面上にも表示されるので実戦では心配なさそう。パッと見た感じの印象ですが、極端なロングレンジの戦闘が連発するようにも思えませんでした。
ひとつ特徴的な要素を挙げるのであれば、「コントロール」のようなラウンド制ではないため、アルティメットの状況が常に引き継がれ続けていきます。そうした要素を加味した上で「ポイントに急行して粘るか・諦めてリグループするか」、「アルティメットを使うか・温存するか」などといった判断を下していく必要があるでしょう。
モード自体の楽しさというのはこれから本格的にプレイを積み重ねていかなくては何とも言えないところですが、なんやかんや『オーバーウォッチ2』らしいゲームプレイから逸脱はしないんじゃないかな……という感触です。
ちなみに「フラッシュポイント」はオープンキュー、ロールキューのいずれでもプレイできるようになり、シーズン開始から数週間を待ってライバル・プレイにも登場するとのこと。もちろん「SURAVASA」や「NEW JUNK CITY」に続く新しいマップも追加されていく予定となっています。
以上、『オーバーウォッチ2』の中でも最大規模のアップデートとなる新シーズン「インベージョン」に関するおもな要素のご紹介でした。なんだかんだと言いながら約5年を『オーバーウォッチ』と暮らしてきた筆者ですが、今回は特に大好きな要素であるストーリー部分に大幅な飛躍がみられたのが特に嬉しいポイントでした。
これは何度でも繰り返し言いますが、『オーバーウォッチ』シリーズのキャラクターはマジで魅力的だと思っています。これまでも例の3Dアニメやゲーム内でのボイス、イベント的に行われたPvEモードで掘り下げは行われてきたんですけど……やはりメインはPvPのゲームでしたので、届いていない人も多かったんじゃないかなと思っています。
しかし今回、本格的なPvEモードが実装されるとともに、各ヒーローの練習に最適な「ヒーロー・マスター任務」も登場します。なので「『オーバーウォッチ』(とそのプレイヤー)は怖いんだよなぁ……」とか思っている方もぜひこの機会に『オーバーウォッチ』沼にハマってください。
そしてかつてのヒーローたちへは……多くの言葉は必要ないでしょう。
「帰ってくるのなら、今がその時です」