もしも“炎上沙汰”やら“人の闇”をウリにしているヤバすぎるSNSがあったら、皆さんはそこにアカウントを作りますか? ちなみに、私は作ります。
もちろん、私とてそんなところに入り浸りたいわけではありません。でもちょっと覗いてみるだけなら? なんなら絶対に自分に危害が加えられることはないゲームの中の話なら? そんな地獄のような場所に“怖いもの見たさ”的な魅力を感じるのは私だけではないんじゃないでしょうか。
このたびご紹介するオンラインリアル脱出ゲーム『サーチアカウント』は、SNS上での炎上や特定沙汰をテーマにした、まさに“闇のインターネット”を凝縮したような作品です。そしてゲームの舞台となるSNSの治安がとにかく悪い。悪すぎる。令和の蟲毒。
「トイッター」というどこかで聞いたことのあるようなこのSNSは、冒頭で書いた通り“炎上沙汰”や“人の闇”をウリにしています。このような前代未聞の無法地帯SNSを根城にしているだけあって、ゲーム中に出てくる登場人物も軒並みキャラが濃い。新キャラが現れるたび「また変な奴が出てきた……!」と目を見張ってしまうほどです。
そしてある日、ヤバいキャラクターたちの集まるヤバいSNSに、「殺人鬼」というド級の爆弾が投下。しかも、その殺人鬼はプレイヤーであるあなたを狙っています! 治安最悪のSNSで情報をかき集め、正体不明の殺人鬼を特定し、その魔の手から「脱出」する……そんなスリリングな体験を堪能できるのが、本作『サーチアカウント』です。
プレイヤーはこの地獄のSNS内を駆け回る中で、いわゆる“悪いこと”もするんですが、こっちはヤバい奴を相手に命がけで戦っているので気に病むヒマもありません。
この「必死で謎を解く緊迫感」は単なる推理ゲームではなかなか味わえない、まさに“リアル”の名に恥じない体験でした。というわけで今回はネタバレを極力避けつつ、先行プレイを通じてわかった『サーチアカウント』の魅力を語らせていただきたいと思います。
文/うきゅう
※この記事は『サーチアカウント』の魅力をもっと知ってもらいたいSCRAPさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
そもそも「オンラインリアル脱出ゲーム」ってなんだ!? 仕掛けるのは数々の体験型イベントを企画運営してきたSCRAP
さて本作『サーチアカウント』は公式サイトにおいて「オンラインリアル脱出ゲーム」という紹介をされています。正直なところ、私にはこの用語を見た瞬間に「なんか……回りくどくない?」という疑問が胸に湧き上がりました。「オンライン」と「リアル」という相反する言葉が並ぶ、ちょっと不思議な命名ですよね。
そこで本作を制作したSCRAPという会社を調べてみたところ、過去に「リアル脱出ゲーム」という体験型のイベントを数多く企画・運営されている企業だということがわかりました。
「脱出ゲーム」と言えば、仕掛けに満ちた部屋を探索し、謎を解いて外へ出るポイントクリックアドベンチャーの一大ジャンル。そんな脱出ゲームが、イベント会場などを使って本当に体験できてしまうのがリアル脱出ゲーム。
つまり「オンラインリアル脱出ゲーム」とは、そんなリアル脱出ゲームの楽しさに、ネットを介してどこからでも触れられるジャンルというわけです。
棘の生えた見た目から「トゲトゲ」と名付けられた虫のなかにトゲのない種が見つかり、「トゲナシトゲトゲ」と命名された昆虫学界の面白エピソードを思い出しますね。なにより「ネット上で調べ物をするゲーム」を相手にプレイ前からネットで調べ物をしたので、良い肩慣らしになりました。
治安悪すぎSNS「トイッター」を舞台に、殺人犯の正体を“特定”せよ!
オンラインリアル脱出ゲームというカテゴリーの謎も判明しましたので、本作の中身について触れていきましょう。本作においてプレイヤーは、オカルト研究会に所属する女子大生アカウント「ワカバ」を操作しながら、自らを狙う謎めいたアカウント「イラナイコ」の正体へと迫っていきます。
本作の舞台となるSNS「トイッター」では、ハッシュタグを用いて様々なアカウントが情報をやり取りしています。このハッシュタグを辿って事態の全容を把握したり、その話題に言及しているアカウントへアクセスして直接メッセージをやりとりしたりと、まさに現実のSNSさながらの行動を通じて情報を収集していくのが本作の大まかな流れとなるわけですね。
冒頭でも触れましたが、このトイッターというSNSがもうすごい……! ゲーム冒頭で確認できるトイッターへのログイン画面、サイトロゴに併記されたキャッチコピーがまず目を惹きます。
「あなたの知りたい、闇がある。」
ち、治安悪そう……!!
よく見れば後ろに並んだハッシュタグも「炎上商法」だの「地雷女」だの「ネットのおもちゃ」だの、パンチの効いた文言がズラリ。もちろん現実のSNSでもこういった話題はよく衆目を集めていますが、わざわざ“闇”を売りにするSNSというのはなかなかありません。
そもそも、本作における敵役にして犯人・イラナイコは殺人犯であり、警察からの捜査をかいくぐって今もどこかに潜伏を続けている超危険人物なんです。そんな人物が犯行予告を出していてもお構いなし、発言の削除もアカウントの凍結も免れているわけで、トイッターの治安の悪さは筋金入りです。アナーキストが運営してるんでしょうか。
当然、こんなSNSを日常的に利用しているアカウントの皆さんも一筋縄ではいかない方ばかり。愚痴や不満を発散する“裏垢”の存在がバレてもお構いなしで開き直るスーパーモデルアカウント。お金配りアカウントから100万円を受け取り気が大きくなってしまった中学生アカウント。死者の霊を呼び出す“降霊術”を売りとして信者獲得に勤しむ新興宗教の教祖アカウント。
ほかにも、「確かにこういう人いたらSNSで話題になりそうだな」と思わずにはいられない個性的すぎるアカウントが勢ぞろい。平時であれば遠巻きに見ているのが適切な距離感かもしれませんが、わけのわからない殺人鬼に脅かされているとあってはそう悠長に構えてもいられません。
殺人鬼の正体を突き止め、我が身の安全を確保するために、プレイヤーはこれらデンジャラスな雰囲気満載のキャラクターたちと様々な方法でコミュニケーションを重ねます。なお、パッと見て異常なキャラクターが喋ってみると案外普通……なんてことは当然ありません。
むしろ一見しただけでは普通に感じられるキャラクターが、深くやり取りをしてみるとなかなか愉快な内面を持っていると判明することも多く、そんなキャラクターたちとのやり取りを通じて、意外性の塊みたいなストーリーがガンガン進行していく様は必見です。
こんなSNS使ってる人がまともなわけないだろ! という制作者の方の魂の叫びが伝わって来る気がするのは、私の思い込みではないはずです。なにせ公式ホームページに「SNS炎上タイプ診断」なんてものが用意されてるんですから。初めてですよ、SNSで炎上することを前提に分類わけされるなんて。
ちなみに私は「でっかい爆弾落とす型」だそうです。みんなは、どんなSNS炎上タイプだったかな?
謎解き系ではやや珍しい「ネタバレ可能」な配信ガイドラインに、とにかく手厚いヒント機能。抜け目のない気配りは他者と楽しみを共有するリアルイベント運営ならでは?
変人アカウントがひしめくSNSを右へ左へ駆け回り、時に犯罪に片足を突っ込みながら情報を収集し謎を解く本作ですが、この手のジャンルとしては珍しく、リリース開始の初日からネタバレ込みの生配信・動画投稿が許可されている点も、注目ポイントと言えるでしょう。
体験版や一部の範囲のみ許可という作品や、発売からある程度の猶予期間を設けて順次許可していく作品も多いなか、この思い切りのよさ。配信者界隈が隆盛した現代のインターネットシーンにしっかりと照準を合わせてきているなと感じます。一般公開を条件に収益化も容認されているほか、ガイドラインが個人だけでなく法人も対象としているので、企業や事務所に所属する配信者も安心ですね。
「Q&A」や「早わかり投稿手順」も併記し配信用の画像素材まで配布するなど、とにかくユーザー側の負担を減らす措置をこれでもかと詰め込んでいる点も好印象です。
ユーザーの負担を減らすという方向性はゲーム本編においても通底しています。本作には「ブレインノート」と呼ばれるヒント機能が備わっていて、ゲーム中に謎解きが詰まってしまった際や、そもそもの目的を見失った際にはこちらを確認することで進むべき道を再確認できるのですが、これが本当にきめ細やかなんですよ。
「これまで起きたこと」や「事件の関係者」というフォルダへアクセスすることで現在の状況を整理してくれるだけでなく、「もっと考える」ボタンを押すことで次にするべきステップを丁寧に一段ずつ教えてくれます。これはありていに言えば答えそのものみたいな情報が提示されるんですが、一度に複数の内容は表示されないため本当に自分が今抱えている謎をピンポイントで解消してくれるんですね。
色んな情報がいっぺんに分かってしまってしばらくゲームプレイが「さっき見た答えの再確認」となってしまうと、もちろんヒントに頼ってしまった自分の責任ではあるとわかっていても、気持ちがしぼんでしまうのは避けられないので、本作の細かく、それでいて切れ目のないヒント機能は非常にありがたいものでした。
気前のいい配信許可と言い、充実したヒント機能の柔軟性と言い、ユーザーへの気配りで作品内外を包み込むこのスタイルは、実際に複数人でイベント会場に訪れ、謎解きを始めとした「ゲーム体験」そのものを共有する楽しさを提供しているSCRAPの強みが出ているように感じられます。
特にヒント機能は一見の価値があります。今後の謎解きゲームジャンルにおいても、参考にされうるポテンシャルを感じましたね。
以上、軽くではありますが私が『サーチアカウント』を遊んでいて魅力的に感じた部分を、ネタバレ抜きでお伝えさせていただきました。
許されるならキャラクターのヤバすぎる言動の具体例や、ストーリーが進むにつれ次々に明らかとなる衝撃的な展開の数々を皆さんにお伝えしたいところなのですが……残念ながら発売日を迎えていないタイトルということもありますので、せめて私が作品に対して抱いたこの思いを、雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いです。
変人と殺人に揺れるSNSを舞台に、謎めいた犯人を“特定”する新時代推理ゲーム『サーチアカウント』はPC/スマートフォンのウェブブラウザ(Google Chrome、Safari)からプレイ可能です。税込価格は通常版2800円、パッケージ版3300円となっていますが、10月25日(水)までの期間限定で500円安い“早割”価格にて購入可能です。また、ゲーム序盤をプレイできる無料体験版も公開されています。
公式サイトの説明によると、推奨プレイ人数は1~3人とのことなので、興味のある方はお友達も誘って、危険で妖しいSNSからの「脱出」を目指してみてはいかがでしょうか。
※「リアル脱出ゲーム」は株式会社SCRAPの登録商標です。