『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』だからこそ楽しめる各種要素
ということで、非常に長くなってしまいましたが、以上が『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』の主な収録タイトルになります。
それぞれのゲーム作品のシステムや魅力については、これまでお話してきた通り。やはり名作ゲームが色褪せるということはなく、変わらぬ面白さがそこにはありました。正直、シリーズファンとしては過去の『METAL GEAR SOLID』シリーズ作品を最新機種で遊べるという事実だけでも非常に嬉しかったりします。
なお、本コレクションに収録されている『METAL GEAR SOLID 2』と『METAL GEAR SOLID 3』は、HDエディション版となっていて、これらは以前にもPlayStation3、Xbox360、PSVITAにて発売されていますから、今回の目玉は何と言っても初代『METAL GEAR SOLID』でしょう。
今回コレクションに収録されている『METAL GEAR SOLID』はPlayStation版の移植となっているのですが、通常版の『METAL GEAR SOLID』、VRトレーニングが収録された『METAL GEAR SOLID VR MISSIONS』と『METAL GEAR SOLID SPECIAL MISSIONS』、難易度設定などの機能が新たに追加された『METAL GEAR SOLID INTEGRAL』という4本の中から好きなものを選ぶことができます。
これらのうち、ゲーム本編を日本語音声で楽しむことができるのは、『METAL GEAR SOLID』なので、ソフト選択の際には注意が必要です。
ちなみに、『METAL GEAR SOLID INTEGRAL』の高難易度では、ソリトン・レーダーがオフになるなど、結構大変な縛りが設けられています。なお、これによれば日本版『METAL GEAR SOLID』の難易度はEASY。
さて、今回収録される『METAL GEAR SOLID』でゲームを楽しむ上で、既に本作をプレイしたことのあるシリーズファンの方には、気になるポイントがいくつかあるかと思います。
例えば、サイコ・マンティス戦。
サイキック能力を持つ彼は、スネークに対し様々なパワーを見せつけてくるのですが、そういった能力の中の一つに、スネークの趣味を当てると言って、プレイヤーが過去に遊んできたゲームをズバリと当ててくるというものがありました。
タネを明かしてしまえば、当時のPlayStationでゲームをセーブするためには必要不可欠だったメモリーカードの中に入っているデータを読み込んで、そこに記録されているゲームソフトに合わせたコメントをマンティスがするというものなんですが、こういった演出のゲームはあまりなく、初プレイ当時はその試みの面白さに感心した記憶があります。若い世代のゲームプレイヤーにはメモリーカード自体がピンと来ない人も多いかもしれませんね。
さて、このマンティスの能力をどうやって再現するんだろうかということが1人のファンとしてずっと気になってはいたのですが、自分の中で勝手に「まぁ、そういうネタ要素はあそべないんだろうな」と結論付け、マンティスのパワーを最大限に感じ取るにはPlayStatiionの『METAL GEAR SOLID』で遊ぶ以外に方法は無いんだろうなと半ば諦めていました。
しかし、本コレクションはやってくれました。
今回の『METAL GEAR SOLID』では、ゲームを開始する前に、仮想メモリーカードモードに入ることができるのです。これを使えば、マンティスが反応を示してくれるゲームタイトルのセーブデータを入れた状態のメモリーカードを作成することが可能となり、この仮想メモリーカードを読み取ったマンティスが、ゲームに合わせてコメントを残してくれるというわけです。
これにより、本作のネタ要素を最大限に楽しむことができるようになっているのです。
また、サイコ・マンティスと言われて多くのファンの方が思い浮かべるであろう事柄が、マンティスの倒し方。これは先ほどもお話した内容と重複してしまうのですが、あまりにも荒唐無稽で前代未聞の攻略法となっています。
実際に本コレクションで『METAL GEAR SOLID』をプレイする前には、どうやってこの攻略法を現行機種で再現するんだろうかということがずっと気になっていたのですが、驚くくらいPlayStation版と変わらぬ攻略法でした。
まぁ、本コレクションの『METAL GEAR SOLID』はPlayStation版の移植なので当然と言えば当然なのですが、その状況を今回プレイさせていただいたSteam版で再現することは難しく、ひょっとするともっと賢いやり方が用意されているのかもしれませんが、かなり強引な形で突破することになってしまいました。まさか、10年前に友人に半ば強制的に買わされたアケコンがこういった形で役に立とうとは。
そして、サイコ・マンティスの他にも、ダウンロードソフトとして購入した場合どう考えても詰んでしまうような解決方法が取られているメリルの無線の周波数の謎解きを如何にして再現するのかが、私の中で気になるポイントの1つでした。
本コレクションに関しては、少々手間はかかりますが、ダウンロード版であったとしてもメリルの無線の周波数を確認する方法がちゃんと用意されています。
今のご時世ですから、手間をかけずとも検索さえかけてしまえば、すぐにメリルの無線の周波数を知ることができるでしょう。しかし、そうすることで、せっかく用意された意欲的な謎解きを楽しめないというのはもったいありません。ゲーム内のどこかに隠されたその答えを、是非とも自力で探しだしてみて頂ければと思います。
それと、これは少々細かいお楽しみ要素にはなりますが、『METAL GEAR SOLID』では、画面両端に表示される壁紙を変更することもできます。私の一番のお気に入りは、上の画像にあるソリッドとリキッドが描かれた壁紙が一番お気に入り。本当を言えば、今回の記事でもこの壁紙でプレイしたかったんですが、あまりにも目が散ってしまうので使用を自重しました。皆様も、それぞれにお気に入りの壁紙を見つけてプレイを楽しんでみてください。
そして、本コレクションでは、収録されている各タイトルのシナリオブックを拝むこともできます。
これは、それぞれの作品のシナリオが脚本形式で書かれているもので、いくつかの作品では書籍化もされました。今回は書籍未発売の『METAL GEAR』と『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』のシナリオブックが収録されたほか、他の作品についてもレイアウトやデザイン面での変更が行われています。
ややマニアックであることは否めませんが、人によっては宝石のような煌めきを持つ資料に見えるはず。少なくとも私はかなりテンションが上がりました。文字のフォントの指定や、選択肢によって分岐によるセリフの変化を見ることができるとあってはたまりませんよ、もう。
更に、各タイトルからは、「マスターブック」と呼ばれるメタルギアサーガ全般に触れる資料を熟読することも可能です。
その性質上、この資料にはネタバレが非常に多く含まれているのですが、そのネタバレの多さは、マスターブックを選択するとページを開く前にネタバレ注意の文言がわざわざ出てくるほど。
当然の理ですが、マスターブックはシリーズ作品を全てプレイしてから読むことをオススメします。
そして、今回このコレクションをプレイしていく中で私が驚いたのが、先ほど少しだけ触れたファミコン版の『METAL GEAR』が、ボーナスコンテンツとして収録されているということ。
かなり渋いサプライズではありますが、まさかこの『METAL GEAR』も収録されるとは思いもよりませんでした。
このコレクションの発売を聞いた後すぐに、ファミコン版『METAL GEAR』が収録されることはないだろうと他のソフトに先駆けて遊んでいたんですが、完全な読み違いでしたね……。これは嬉しい誤算というやつなのでセーフです。
更にボーナスコンテンツとして、海外向けに発売された『METAL GEAR』の続編、『SNAKE’S REVENGE』も収録されています。
ソフトの存在そのものは風の噂で聞いていましたが、まさかこういった形で初の邂逅を果たすことになるとは思いませんでした。いい時代になったものです。
また、本コレクションには、デジタルサウンドトラックも収録されています。
ここで聞くことができるのは、さきほど少しだけ触れさせていただいた『METAL GEAR SOLID 3』のテーマソング『Snake Eater』や、
『METAL GEAR SOLID』のとある名シーンで流れる神曲『ENCLOSURE』など20曲。どれも文句のつけようのない曲たちばかりで、テンションが否応なしに上がりました。
まぁ、「あの曲が入っていないじゃないか!」と思ってしまったというのも事実としてはあるんですが、それはメタルギアシリーズに神曲が多すぎるが故の悲劇。このラインナップ自体に文句は一切ありません。
ちなみに、このデジタルサウンドトラックの収録曲の中で私が一番感動したのが、『Snake vs Monkey』。これは、『METAL GEAR SOLID 3』のオマケゲームとして収録されていた、ソリッド・スネークがピポサルのゲッチュに挑むという内容の、『METAL GEAR SOLID』と『サルゲッチュ』のコラボゲーム、『猿蛇合戦』のBGMです。
コラボゲームという特質ゆえか、『METAL GEAR SOLID 3』以降の移植作品において『猿蛇合戦』は収録されていないので、こういった形での参戦には感慨深いものがありました。欲を言えば、『ガイサベージ』の方が好きなんですが。
そして、DLCにはなりますが、『METAL GEAR SOLID: BANDE DESSINÉE』といった映像作品も楽しめます。
『METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS』のムービーシーンなどに見られたコミック調の演出にも言えますが、
BANDE DESSINÉEシリーズはどれもとんでもなくスタイリッシュでカッコいいんですよね。
『METAL GEAR SOLID | HDエディション』2: BANDE DESSINÉE』では、『METAL GEAR SOLID 2』の「プラント編」が雷電ではなくスネークの視点から描かれているので、必見です。
さて、しつこいようですが、『METAL GEAR SOLID』シリーズの大きなテーマは、「次の世代に何を伝えていくのか?」ということ。MGSでは、そのテーマが遺伝子(GENE)という側面から語られ、MGS2では、遺伝子情報には乗らない因子である、思想・言葉・芸術・文化などに代表される、いわゆるミーム(MEME)からそのテーマが語られ、MGS3では、GENEやMEMEを選択する上で重要な基準となる時代(SCENE)が作品のテーマとなっています。
そして、GENEとMEMEとSCENEの3つの体験を通じて初めて「反核反戦」という『METAL GEAR SOLID』シリーズの大きなテーマに辿り着くだろうと小島監督は語ります。
このように語られていますように、3つの作品を通してプレイすることでそのテーマの全体像が見えてくるという壮大かつ重厚なストーリーを持つメタルギアサーガですが、それ故に初心者層が取っ付きにくいというのも事実としてありました。
しかし、この傑作シリーズをプレイせずにいるのは、余りにももったいないです。
このコレクションが発売されるタイミングこそ、『METAL GEAR SOLID』シリーズを一気に体験する絶好の機会。是非遊んでみてはいかがでしょうか。
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