『METAL GEAR SOLID』シリーズの原点、『METAL GEAR』&『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』
気を取り直しまして、最後にご紹介します収録タイトルは、『METAL GEAR』と『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』です。
壮大かつ有名な『METAL GEAR SOLID』シリーズの影に隠れてしまいがちなこの2作ではありますが、シリーズの礎を築いた作品であり、メタルギアサーガの中でも非常に重要なタイトル。『METAL GEAR SOLID』の物語は、この2作品の上に成り立っています。
ちなみに、メタルギアサーガ内における具体的な時系列としては、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の後、『METAL GEAR SOLID』の前に当たる作品です。
そんなこれらの作品が発売された機種は、MSX2。あまり聞き馴染みのない機種かもしれませんが、このMSX2というのはパソコンの規格の名称。つまり、メタルギアサーガはパソコンゲームとしてその歴史がスタートしたわけです。
以前の作品においては、『METAL GEAR SOLID 3』の完全版であるSUBSISTENCE や、『METAL GEAR SOLID | HDエディション』に収録されています。
そして、『METAL GEAR』と『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』の基本も、敵に見つからないようにして敵地に潜入するという隠密行動。
冒頭でもお話ししましたように、このゲームシステムはこれまでのゲームには見られなかった全く新しいものであり、ゲームの歴史を変えた一作と言っても過言ではないでしょう。
その画期さと人気の高さを物語るかのように、『METAL GEAR』に関しては、移植作としてファミコン版が存在しています。最初の作品の移植先がファミコンだったという事実からも、改めてメタルギアサーガの長い歴史が感じられますね。
……まぁ、ファミコン版の『メタルギア』は、MSX2版のスタッフがほぼ関わっていないらしく、『METAL GEAR』とはほぼほぼ別物だったりはするんですけれども。
さて、『METAL GEAR』で描かれるのは、「アウターヘブン蜂起」と呼ばれる事件。
南アフリカ奥地にある武装要塞アウターヘブンで開発されている兵器の情報収集のために潜入した特殊部隊FOXHOUNDの隊員であるグレイ・フォックスが、「メタルギア……」という言葉を残して消息を絶ったことから、FOXHOUNDの新人隊員であるソリッド・スネークが、総司令官であるビッグボスの命でアウターヘブンに送り込まれたところから物語が始まります。
本作の敵兵や監視カメラの視野は思いのほか広く、画面の端から端まで届きます。そのため、『METAL GEAR SOLID』と同じ感覚でプレイすると普通に発見されてしまいます。ここまで敵兵の視野が遠くまで届いているのは、歴代作品でも『METAL GEAR』だけな気もしますね。
ただ、その広い視野は完全に一直線になっているため、スネークの立ち位置を敵兵から少しズラすことができれば視認されることはありません。
また、本作では、ゲームの仕様上、セーブをしていたとしても、ゲームオーバーになるとコンティニューポイントまで戻されてしまいます。
ゲームオーバーによるやり直し作業がプレイヤーにのしかかってくるシステムとなっているため、敵兵に見つからないことが非常に重要になるのです。
このように、『METAL GEAR』の面白さが、敵に見つからないように行動することにあるのは言うまでもありませんが、本作がシリーズ作品の中でも異彩を放っているのが、階級システムが存在しているということでしょう。
これは、ゲーム中に何人の捕虜を救出したかによって上昇するものであり、この値によってスネークの弾薬とレーションの最大所持数が変化します。
そして、本作はストーリーがしっかりしていて見ごたえがあるというのも特徴的。事件の黒幕の正体など、プレイヤーをあっと言わせるような展開はメタルギアサーガ第一作である『METAL GEAR』から健在です。
ちなみにですが、シリーズお馴染みのダンボールは、この時から既に登場しています。ダンボールをかぶっていれば、動かない限り、敵の視線に入ったとしても発見されることはありません。ここから長い年月スネークを支え続けてくれるシリーズの代名詞とも言うべきアイテムになるかと思うと、非常に感慨深いものがあります。
そして、『METAL GEAR』の続編、『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』で描かれる事件は、「ザンジバーランド騒乱」。
「アウターヘブン蜂起」以降、軍人を退役したソリッド・スネークは、特殊部隊FOXHOUNDの作戦司令官であるロイ・キャンベルから、核武装の噂もある中央アジアの小国「ザンジバーランド」に拉致された、高純度の石油を精製することができる微生物 “OILIX” の開発者であるチェコの天才生物学者マルフ博士の奪還を依頼され、再び潜入任務に赴きます。
そんな本作は、ゲームシステムが『METAL GEAR』と比較して飛躍的に進化していて、新たに匍匐前進による移動が可能になったり、画面右上に敵の位置を表示した動体反応レーダーが導入されたりしています。
ちなみに、本作では敵に発見されると音楽の変化と共に危険モードに突入し、動体反応レーダーが敵の妨害により見られなくなってしまいます。敵から身を隠し続けたり、襲い掛かってくる敵を排除したりすると通常モードに戻り、
レーダーも再び見ることができるようになります。
更に、敵兵に聴覚の概念がシステムとして強く組み込まれており、スネークの足音を感知するだけでなく、壁を叩いたりわざと音を立てることで敵兵をスネークの近くまで誘導することができるようになりました。ゲーム攻略の幅がかなり広がっていると言えるでしょう。
ただ、前作では一直線だった敵兵の視野の幅が本作では広がっていたり、前作では一画面だった敵兵の移動範囲が本作では広がっていたりするため、潜入の難易度も上がっているように思います。
これらのシステムは『METAL GEAR SOLID』でも見られるもので、『METAL GEAR 2』の段階でステルスゲームとしてかなりシステムが完成されているということが伺えますね。『METAL GEAR 2』には、『METAL GEAR SOLID』シリーズと比べても遜色ないくらい、潜入に緊張感があるように思います。
更に、本作ではシステム面だけではなくストーリー面も強化されており、登場するキャラクターが増えた他、戦う場所を失った兵士の末路なども描かれています。
あと、これは蛇足的な情報ではありますが、『METAL GEAR 2』ではキャラクターグラフィックにも違いが見られまして、前作の若々しさも感じられるソリッド・スネークと比べると、
同一人物とは思えないくらいにハードボイルド感が増したように思います。それどころか、『METAL GEAR SOLID』シリーズの中でも最大級に渋い顔つきをしているように思えてなりません。
今回のコレクションが『METAL GEAR SOLID』シリーズに重心を傾けていることから、紹介順は最後になってしまいましたが、実際にプレイをする時にはいの一番にプレイしていただきたい作品です。
ちなみに、もったいない話ではありますが、とりあえずストーリーを知れればそれでいいやという方がもしいらっしゃれば、『METAL GEAR SOLID』のPREVIOUS OPERATIONSを見ることで、テキストベースで『METAL GEAR』と『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』のストーリーを知ることができたりもします。