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『ロックマン』好きなら絶対刺さる傑作2Dアクション『グラビティ サーキット』をオススメしたい!栄養たっぷりの名作オマージュに加え、独自の“ステゴロ”バトルも素晴らしい

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あらゆる技と特殊効果のフル活用から、それらに頼らないスタイルにも完全対応!

「バーストスキル」は「ブースターチップ」と並行して、自分だけのカイを作り出すカスタマイズの楽しさも演出。どちらも数が豊富で、性能面でも大胆かつ破天荒なもの揃いなのである。

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「バーストスキル」なら発動中無敵の空中ダッシュにバリア、足場生成から一時的な機動力アップなど。「ブースターチップ」なら二段ジャンプ、フックショット吸着効果付与、ダメージ変換(体力の消耗をエネルギーの消耗に変更させる)といったものが象徴的な一例だ。それもあって、入手すればするほど、ステージ攻略の幅が広がると同時に、難易度の劇的な変化まで生じる。組み合わせ次第で、自分なりの遊びやすさと攻略法を追求できるのだ。

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どちらも装備数に限界があるため、常時万能なカイは決して作れず、動かし続けることも難しいのもカスタマイズの面白さを引き立てている。加えて、スキル発動に用いるエネルギーも、いくらパワーアップアイテムを回収して最大値を増やしたところで、枯渇しやすさは変わらない。こうした制約を踏まえ、どうやって状況に適した組み合わせを作るか? あるいは、カスタマイズは最低限にし、己の腕を頼りにする方針で攻めるか? こうしたさまざまな戦術が組み立てられるのもあり、プレイヤーそれぞれの好みが顕著に現れる。そしてどのステージもボスとの戦いも、初見では掘り尽くせないほどの深みがあるのだ。

なにより素晴らしいのが、『ロックマン』の醍醐味たる「答え探し」の遊びを本作ならではの形で作り上げていること。制限下でベストなカスタマイズをして困難を乗り越えやすくしたり、自分なりのボスにダメージを与えやすいスキルを厳選するといった、本作の戦闘スタイルおよびシステムならではのものに仕上がっている。装備の組み合わせにプレイヤーの好みが顕著に現れるのもそのひとつである。

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特にボスに大ダメージを与えるスキルが存在するという、安易な模倣に走らなかったことを高く評価すると同時に、大きな拍手を送りたい。仮に存在していたら、本作の魅力は格段に落ちていた。そんなのがあれば、「本家本元で十分でしょ」となる。そもそも「それってこのゲームでしか得られない栄養?」と言われたら、違うと言わざるを得ないだろう。

そうした安易な方向へと走ることなく、独自の道を選んで貫き通したのが素晴らしい。しかし実は発売後、Steamコミュニティに掲載された開発チームのQ&Aによると、制作初期には存在したという。だが、最終的に出来上がった「バーストスキル」が格闘ゲームの必殺技に近いものになったため、不採用になったようだ。結果的にそれが本作独自の遊びと”栄養”を生み出していることを見れば、大変よい判断だったと言えるだろう。

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チップもスキルも個別に購入する必要があり、全種類が揃う頃にはゲームが終盤に突入しているという、宝の持ち腐れ感もある。だが、そこも本作はクリア特典として、強化要素をすべて引き継ぐ「ニューゲーム+」を用意し、様々な答えを追求する余地を設けている。

あえて何も購入せず、己の拳と腕前だけを頼りにする“俺より強い奴に会いに行く”スタイルで全ステージ攻略に挑むもよし。それによる攻略も想定してか、全ステージにスキル、チップの使用を強制する場面がいっさい無いことも特筆に値する。

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このどんな遊び方にも広く耐えうる作りには、本家本元たる『ロックマン』が好きな人ならその崇高な精神性に感銘を受け、アクションゲーム好きなら圧倒的なやり甲斐と極め尽くす楽しさに魅了されるだろう。

そうした部分からも本作はフォロワー作品としても、ひとつの新作アクションゲームとしてもハイレベルなまとまりを見せている。ただのフォロワー作品として完結していない面白さと体験が凝縮されているのだ。

素晴らしい打撃音が生み出す抜群の手触り。爆裂マニア垂涎のド派手な演出にも注目!

もうひとつ、本作を語るに当たって外せないもので、手触りのよさがある。

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パンチにキック、投げ技とフックショットまで、どれも敵に命中させれば、それはもう痛快極まりない効果音が鳴り響く。思わずコントローラのボタンをギュッと力強く押し込んでしまうほどだ。それらの攻撃を叩き込まれた敵も、やられる際には大変見事な爆発四散を見せてくれる。もちろん、それと共に鳴り響く爆発音もパーフェクトな仰々しさと重々しさだ。

よいアクションゲームというものは、手触りの良さも欠かせない。それが最終的には動かすだけでも楽しい魅力へと繋がってくる。本作はそうした基本中の基本もバッチリ。これぞアクションゲームと言わんばかりの素晴らしい手応えが得られる。

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そうは言っても、肝心のボスのやられ様はどうなのよ……と思うかもしれないが、ご安心あれ! 厳しい戦いを見事乗り越えたプレイヤーを讃えるかのような素晴らしい大爆発を見せてくれる。その派手さには、爆裂マニアもウットリ間違いなしだ。

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ボスに関しては、その戦闘内容も一進一退の攻防に終始する、火傷確実の熱すぎる仕上がりとなっている。そもそも、接近戦主体だけあって、ものすごく激しい!ボス自身の動きも多彩で、ダメージが一定量まで減ると専用の「バーストスキル」を解禁して攻めてくるようになるため、まさに息つく暇がない。「アクションゲームと言えば、手に汗握るボス戦!」と豪語するプレイヤーも大満足の手応えが得られるはずだ。

ちなみに本作は「イージー」「ノーマル」「ハード」の難易度が選べ、「ハード」であればより過激で、一瞬の油断も許さぬスピードで攻めてくるボスとの戦いが楽しめる。もし、アクションゲームの腕前に自信のあるなら、ぜひ初見プレイ時には「ハード」を選んでいただきたい!きっと手にしたコントローラがグショグショになってしまう、驚愕にして心が震えあがる戦闘を堪能できるだろう。

なお、本作はどの難易度でも共通してエンディングを迎えられる。ストーリーが変化したり、特定の難易度にしか登場しないボスと戦えるといった限定的な要素はいっさい無いのでご安心いただきたい。イベント分岐とエンディングの変化もないので、素直に遊び通せるぞ。

16ビット機のゲームらしさへのこだわりが光る音楽と魅力的な設定が秘められたストーリー

さらなるセールスポイントとして挙げられるのが音楽だ。

全体的にスーパーファミコンに象徴される、16ビット機のゲームらしいアレンジを施した楽曲中心で構成されている。

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SteamEpic Games Storeではサウンドトラックも販売中。

それでいて、曲それぞれの完成度も高く、道中や戦闘と言った様々なシチュエーションをこれでもかと言わんばかりに盛り上げる。筆者イチオシにして要チェックなのは「パワー・サーキット」ステージ、最終ステージ1のボス戦、そして最終ステージ2の3曲だ。

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『マイティ・グース』(PC、Nintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One)

そんな本作の音楽を手がけたのは『ライバル・メガガン』『Blazing Chrome』『マイティ・グース』などのインディーゲームでも同ポジションを担当されているDominic Ninmark(ドミニク・ニンマーク)氏。元々、16ビット機を意識した曲制作を持ち味としているコンポーザーであり、代表作として挙げた3作でも”それらしい”楽曲を作り上げている。

本作の楽曲もそれらの流れを汲んだものとなっている。ただ、今までの氏が関わった作品と異なるのは、音楽だけに限らず、原作(ストーリー、世界観)とキャラクターデザインも担当していること。そのためか、本作はメロディラインの主張が強めであると同時に、それぞれのステージで待ち受けるボスのイメージを意識した楽曲に仕上げられているのだ。

それもあってか、プレイするとボスと楽曲が連動して印象に残りやすい。同時にプレイヤーそれぞれ、曲とセットで“推し”のボスも出てくるという、ちょっとした魅力が備わっているのだ。それを狙ってか、ボスたちも攻撃パターンや台詞などで独自の個性を描いている。

どんな“推し”が出てくるか、あるいは楽曲が耳に残ってしまうかはプレイしてからのお楽しみだ。おそらく、大半のプレイヤーは「ウェーブ・サーキット」こと「メドレー」が最も印象に残るかもしれない。

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また、ストーリーの中身も終盤以降に驚きの展開があるなど、なかなか見逃せない仕上がりだ。そして、気になる方が少なからずいるかもしれないので紹介しておくと、ちゃんと完結する。それでいて、続編を作れそうな魅力的な設定もあるので必見だ。

なお、テキストは日本語にも対応。翻訳も良好で機械的な感じはほとんどないので、素直に一連の展開を楽しめるはずだ。

実は日本語版は様々な不具合と課題が解消された最新にして最高のバージョン!

見所の多い本作だが、気になる点も少なからずある。
とりわけ目につくのは、ステージ構成がやや窮屈ということ。

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これはフォロワー作品なりに元に沿った形と思われるが、反動で本作独自の打撃で暴れまわる立ち回り、忍者のごとくステージを駆け抜ける爽快感が殺がれやすい。穴やスパイク(トゲ)のトラップも多く、カイ自身の当たり判定もやや大きめに取られていることから、意図しない接触に至ってしまうことがあるのも気になるところではある。

せめてもの救いは本作、穴にせよスパイクにせよ、落下したり接触しても大ダメージ扱いになること。即ミスとはならないので、ある程度の安心感を持ってステージ攻略に臨められる。残機制もないため、何度でもコンティニュー可能なのも嬉しいところだ。

さらに一部のステージでは、フックショットを斜め上方に射出して天井に突き刺し、その反動を利用して宙を舞うワイヤーアクション(スウィングアクション)が要求されてくる。

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これもフックショットの射出方向がデフォルトだと直線固定で、斜め方向に出すにはコントロールスティック(方向キー)の入力も必要になることから、操作ミスによる事故が頻発しやすい。その負担と事故率を軽減させるためにも、斜めへの射出を固定させる操作が欲しかった限りだ。

他にも1ステージ当たりのボリュームが大きく、ノーミスクリア系の実績達成が煩わしいといった粗が見受けられる。デザインこそ新規に描き起こされているとはいえ、一部オマージュ元”そのまんま”な雑魚敵が出てくるのも人によっては気になるかもしれない。

また、本作の家庭用ゲーム機版は海外では先行してPC版と同じ7月14日に発売された。

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筆者はPC版を先に遊んだ後、我慢できなくなってNintendo Switch版を買ったのだが、正直申すと、当時は購入を控えた方がいいと忠告したくなるほど厳しい出来だった。随所で処理落ちと操作遅延が生じるほか、ボス戦の最中にブルースクリーンが発生してゲームが遊べなくなるという、致命的な不具合が存在したのだ。

しかしながら、この不具合は8月に実施されたアップデートで解消された。さらに10月4日には大型アップデートも実施。当初、PC版でも会話単位によるスキップしかできない問題を抱えていたイベントを丸ごと無くす「スピードランモード」、スキルとチップのセットの組み合わせを保存する機能などが追加され、より一層遊びやすくなった。
 
つまりどういうことかというと、今回発売される日本語版は発売当初に存在した課題の多くを解消した最新にして最高のバージョンであるということである!

本作のことを7月のPC版発売当時より知るプレイヤーの中には、家庭用ゲーム機版が海外先行になったことに不満を抱いた人も少なからずいたかもしれないが、嬉しいお知らせだ。日本語版は不具合の多くが潰され、さらに新機能が追加されたものになる!

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大型アプデ後に追加された「スピードランモード」はセーブファイル選択画面で切り替えられる。

なので、当時から発売を楽しみにしているなら迷わず突撃を!ここまで紹介した魅力を存分に味わえることを保証する。

ただし、前述したフックショットの操作にまつわる課題はアップデート後も残されたままである。さらにNintendo Switch版に関してはロード時間が長い(10~15秒ほど)という独自の難点がある。これは海外版の発売当初から存在していて、大型アップデート後も解消されていない。しかしながら、発生するのはステージ開始前に限られており、ゲーム本編(プレイ中)にはそのような時間が生じたりはしないのでご安心を。

最高のライバルにして、”進化の可能性”を追い求めて欲しいヒーローが誕生した

最後の最後で難点も紹介してしまったが、本作が完成度の高い作品であることにはなんら揺るぎはない。繰り返しになるが、2Dアクションゲームが好きならば、ぜひともプレイいただきたい傑作である。同時に『ロックマン』を意識したフォロワー作品としても、元ネタのらしさがありながら、戦闘スタイルによって独自の味と栄養を確立した大変見事なものに完成されている。

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一通り遊び終えて、筆者がしみじみ感じているのは、本作および主人公の「グラビティ・サーキット」は、『ロックマン』最高のライバルにして、お互いに”進化の可能性”を追い求める未来が到来して欲しいと心から応援したくなるヒーローであるということだ。

話は変わるが、筆者個人のお気に入りインディーゲームのひとつで、『フリーダムプラネット』というアクションゲームがある。

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『フリーダムプラネット』(PC、Nintendo Switch、PlayStation 4)

この『フリーダムプラネット』は当初、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(以下、ソニック)のファンゲームとして制作が始まり、最終的にオリジナルの作品として世に出ることになったという経緯がある。そのためか、作中には随所に『ソニック』まんまなネタが散見されるのだが、3人それぞれ違った性能を持つプレイヤーキャラクターを始め、アクションゲームとしては独自の個性を確立しており、ここでしか得られない栄養を持った内容に完成されていた。

そうしたこともあって『フリーダムプラネット』は好評を博し(奇しくもSteamの評価は『グラビティ サーキット』と同じく、「圧倒的に好評」を獲得している)、後に続編『フリーダムプラネット2』が発売。

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『フリーダムプラネット2』(本稿執筆時点ではSteamでPC版が販売中)

前作の魅力はそのままに、よりオリジナルのアクションゲームとしての魅力を高めるに至った。
同時に『ソニック』のライバルに近しい存在感を持つに至っている。

『グラビティ サーキット』もそんな『フリーダムプラネット』と近い精神を感じられ、「1作で終わらずに続いて欲しい!」「より多くの2Dアクションゲーム好きに遊ばれて欲しい!」との思いに駆られるのだ。

前述の通り、本作のストーリーは単体で完結しているのだが、続編が作れそうな余地は残されている。これがさらなるシリーズ化を意図しているのかは、ドミニク氏を始めとする開発チームのみぞ知るところである。
だが、もしも続編の発売と同時にシリーズ化が決まったのなら応援したいし、『ロックマン』とは方向性の異なる“答えのあるアクションゲーム”を突き詰めていってもらいたい。

『ロックマン』シリーズのいちファンとしても、このようなとても素敵なライバルが現れたことを大変うれしく思う。ひとつの2Dアクションゲームとしても、戦闘スタイルと90年代の良さを突き詰めた仕上がりが実に見事だ。

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繰り返すが、2Dアクションゲームはお好きですか?
ステージクリア型の王道アクションゲームを欲していないか!?

ならば、この『グラビティ サーキット』に挑むのだ!そして、“答えのあるアクションゲーム”を求める第二のヒーローにして、最高のライバル誕生の瞬間を見逃すな! 

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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