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スマホ向けゲーム『FFVII エバークライシス』は、オリジナル版やリメイク版となにが違う? 初代PSでオリジナル版を起動して違いをたしかめてみた

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1997年1月31日金曜日。昨日の晩ご飯でさえ何を食べたか記憶がおぼろげな日々を過ごしているが、その日の朝だけはそわそわしていた記憶が27年近くたった今でも頭の中に残っている。そう、この日は待ちに待ったシリーズ最新作『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)の発売日だった。

筆者も含めて、おそらく多くの人類がこのときに初めて体験したのではないかと思われるが、生まれて初めてコンビニでゲームを予約した本作を受け取り、そのまま職場へと向かった。ちょうど発売が週末だったということもあり、帰宅後はどっぷりと『FF7』の世界観にのめり込んでしまった。

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PlayStationの販売台数を大きく伸ばす起爆剤ともなった、オリジナルの『FF7』(筆者私物)

時は流れて2020年4月。待望のフルリメイク作である『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、FF7リメイク)がリリースされた。現代の環境に最適化された『FF7』のリメイク版が、なかなか登場しなかったことには様々な理由があったのだろうが、そこにはシリーズの中でも特別な本作を中途半端な形では出せないという作り手の意識も大きかったのではないかと思われる。

ひとつのソフトを3つの作品に分割してリメイクするというのも斬新だったが、それまでモブに近い扱いだったキャラクターにも焦点を当ててストーリーを盛り込んできたことにも驚かされた。2024年2月29日には、その続編となる『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、FF7リバース)も発売されるが……その前にもう1度振り返っておきたくなるのが、そもそもどんなストーリーだったっけ!? ということだ。

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『FF7』のリメイク版はなかなか出なかったが、その間スピンオフ作品はいくつか発売されている(筆者私物)

大まかな部分は覚えてはいるものの、オリジナル版は元より『FF7リメイク』をプレイしていても細かい部分は忘れてしまったという人も多いのではないだろうか。というわけで、ずいぶんと前置きが長くなってしまったが、それを補完してくれるようなタイトルが、今回レビューするスマートフォン向けゲームの『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』(以下、エバークライシス)である。

今回はそこから分かったゲームの特徴や、オリジナルの『FF7』あるいは『FF7リメイク』などとの違いなどにも触れていきたいと思う。

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文/高島おしゃむ


チュートリアルからいきなりクライマックス!

ゲームを起動してユーザーが最初に目にすることになるのは、主人公クラウドと宿敵セフィロスとの対決シーンだ。これがいわゆるバトルのチュートリアル的なものになっているのだが、いきなりクライマックスから始まるような興奮を味わえるのはさすがといったところである。

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激しい戦いが繰り広げられる中、セフィロスがクラウドにとどめを刺す! と思った瞬間、とっさにかわしたと思いきや、なんとその姿がザックスに切り替わるという演出も見事だ。バックに流れるBGMもゲーム中によく耳にしたものということもあり、この一連のシーンを見ているだけでもついつい涙腺が緩んでしまった。

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チュートリアルの途中から、主人公がクラウドからザックスに切り替わる。

チュートリアルが終わると『エバークライシス』のロゴマークが現れ、それが『FF7』のロゴへと変化を遂げる。ここからシームレスに映像が繋がっていき、エアリスのアップに。あとはおなじみのオープニングテーマが流れイントロムービーが流れる。映像としては『FF7リメイク』から流用したものだと思われるが、ゲームロゴなどがないノンクレジット版として観られるようになっており、これはこれでかなり貴重だ。

クラウドたちが乗った列車が駅に到着すると、後はゲームと同じ流れでアバランチのメンバーとともに行動し、壱番魔晄炉の破壊を目指していくという、『FF7』のストーリーをそのまま体験していくことになる。しかしここで注目したいポイントは、スマホ版ならではのアレンジだ。

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『エバークライシス』でのジェシーとの会話シーン。

本作はどちらかというと『FF7リメイク』に近い印象もあったが、移動中のキャラクターの見た目はオリジナル版に近く、等身が低くなっている。スマホゲームに限った話ではないが、ここのところリリースされるゲームの多くは、会話シーンはフルボイスというのがデフォルトの場合が多い。しかし本作ではあえてそうしているのか、会話はテキストのみの表示となっている。

ボイスが流れている場合、途中で飛ばしてしまうと少し心が痛んでしまうが、テキストのみの表示なら気を使うこともない。そもそもスマホゲームの場合、あまり音を出さずにプレイすることも多いので、理にかなっているともいえる。

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こちらは、上記と同じシーンをオリジナルの『FF7』でプレイしたときのものだ。

『FF7リメイク』では、オリジナルではあまり触れられなかったアバランチのメンバーたちとのストーリーが盛り込まれるなど、3本に分割された分内容も手厚くなっていた。これはどちらかというと足し算の発想だが、『エバークライシス』ではその真逆の引き算の発想でゲームが作られているという印象だ。

先ほどのテキストのみの会話シーンなどもそうなのだが、ストーリーに関してもオリジナルにあったものを1から10まですべて順番になぞっていくといった作りになっているわけではなく、ポイントのみを抽出したような流れになっている。そのため、ストーリー自体もサクサク進んでいくのだ。

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「あのシーンはこうなったのか」とか、「こんなシーンあったっけ?」と思い出しながらプレイ出来るのはかなり楽しい。

『エバークライシス』をプレイすることの目的のひとつには、『FF7リバース』が発売される来年2月までざっくりとストーリーをおさらいしておきたいというものも含まれていると思うが、本作はまさにそうした需要を満たしてくれるようなタイトルになっている。

『FF7』では幼いときのティファとクラウドが交わした約束や、クラウドが女装する場面など、いくつか印象的なシーンが登場する。そうした場面でも大仰なムービーが流れるのではなく、コンパクトなシーンとしてうまくまとめられているのだ。そのため、オリジナルの『FF7』や『FF7リメイク』と比較して、どのようにアレンジされているのか? という部分にも注目して物語を楽しんでいくことができるのである。

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途中のカットシーンなども、コンパクトな作りになっている。

これ1本で『FF7』関連作品の物語が網羅できる!

たしかこのゲームでは『FF7』に加えて、前日譚の『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』(以下、クライシスコア)やオリジナルストーリーも楽しめると聞いていたけど、いつになったらプレイ可能になるのだろうか? と思いながらゲームを進めていったのだが、途中でメインメニューに『クライシスコア』のストーリーの「挑戦」ボタンが表示されるようになった。

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本作では、ひとつの作品のストーリーをずっと続けていくというよりも、ある程度の区切りまでプレイすることで別の作品のストーリーが楽しめるような作りになっているのである。ちなみにストーリーで『クライシスコア』を選択すると、やはりこちらでもゲームと同じオープニングムービーが流れる。『FF7リバース』では『クライシスコア』の主人公であるザックスがフィーチャーされるという話もあるので、こちらの物語もおさらいしておくことができるのはありがたい。

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『クライシスコア』でも、おなじみのオープニングムービーが楽しめる!

ストーリーの『クライシスコア』でも、コンパクトさは同じだ。どれぐらいにコンパクトにストーリーがまとめられているのかというと、オープニング直後に列車を降りてアンジールと会話を交わしたあと、即ベヒーモスとのバトルが始まるといったレベルだ。そのため、こちらもストーリーがサクサクと進んでいき、心地よい爽快感がある。

ちなみにバトルについては後ほど詳しく触れるが、オリジナルの『クライシスコア』にあったスロット要素の「D.M.W」などは残念ながら省略されており、基本的には『エバークライシス』で共通したものとなっている。

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途中にあったザコキャラとのチュートリアル的なバトルはざっくりと省略され、いきなりベヒーモスとのバトルに突入する。

この『クライシスコア』もどこまでストーリーが楽しめるのか気になったのだが、この記事を書いている時点では比較的序盤のウータイでボスを倒した後、イフリートと戦うところでひとまず終了となった。ここからどんどん濃い話が語られていくのだが……続きは、配信を楽しみに待つということになる。とはいえ、この段階でも濃厚な内容になっており、ウータイ統治者の娘でもあるユフィが少女姿で登場するなど、なかなか見どころも多い。

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ウータイでは幼い頃のユフィが登場する。

『クライシスコア』がひと段落付くとプレイ可能になるのが、オリジナルストーリーの『ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー』である。元になったタイトルはストーリーのないバトロワだったが、こちらでは全く知らない物語が語られるため、かなり新鮮な気分でプレイすることができた。

ちなみに『エバークライシス』では、この3本に加えて『ビフォア クライシス ファイナルファンタジーVII』に『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』、『ダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII』といった『FF7』関連のストーリーも今後追加されていく予定である。

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『ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー』では、グレン、ルティア、マットといった3人のソルジャー・クラスPOたちが登場する。

メンバーを強化しながらバトルをクリアしていこう

本作では、最大3名までパーティメンバーを設定して戦っていくことができる。とはいっても、ストーリーをメインにプレイするときは最初に選ばれているキャラクターを使っていくことになるため、あまり意識する必要はないかもしれない。ストーリー以外にも挑戦しがいのあるコンテンツが多数用意されているので、必要に応じてメンバーを選んでいけばいいだろう。

3名いるキャラクターのうち、実際にプレイヤーが操作するのはリーダーのみだ。パーティ編成のときに、中央に配置したキャラクターがリーダーとなる。操作できるキャラクターは最初のうちは変更できないのだが、ゲームを進めていくうちに機能が解放される。それ以降はアイコンをタップすることで、バトル中でもプレイアブルなキャラクターを変更することが可能だ。

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バトルに突入すると、ATBゲージが伸びていくので、アビリティを選んで攻撃を仕掛けていく。また、コマンドシフトと呼ばれるもので、攻撃と防御を切り替えることも可能だ。たとえば敵が強力な攻撃を仕掛けてくるときに、「DEFENSEシフト」に変更することでダメージを抑えることができる。ふたたび攻撃に転じる場合は「ATTACKシフト」に切り替えるといった感じだ。

少しだけややこしく感じるかもしれないが、このバトルに関してはある程度ゲームを進めるとオートでも戦わせることができるようになるのであまり意識しなくても問題ない。だが、オートで戦わせる場合であっても、強力な必殺技である「リミットブレイク」だけは手動で行う必要がある。

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ゲージが溜まっていくと、それぞれのキャラクターの右側に黄色く光るアイコンが表示され、リミットブレイクが発動可能な状態になる。ひとりでも発動することは可能だが、複数のキャラクターのリミットブレイクを同時に発動させることで、さらに大きなダメージを与えることができるなど相乗効果が生まれる。

だからといって、必ずしも他のキャラクターが発動可能になるのを待つ必要はない。例えばティファは、クラウドやバレットよりも早くゲージが溜まりやすい。リミットブレイクで与えられるダメージ自体はそれほど多くないものの、回転が速いのでどんどん使っていったほうが効率的なのだ。

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3人ともリミットブレイクが発動可能に!
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リミットブレイクでは大きなダメージを敵に与えることができる。

やりこみ要素も満載! FF7の世界を思う存分堪能しよう

というわけで、本作の魅力をいくつかお伝えしてきたが、これらはゲームで用意されている要素のほんの一部に過ぎない。キャラクターや武器の育成要素や、様々なチャレンジ要素などこれでもかといってもいいぐらいに、『FF7』の世界観を活かしたモードが多数用意されている。

ちなみに、このレビュー用にプレイしていた間にも新たなシナリオが追加されていたが、ストーリーも今後続々と充実していく予定だ。オリジナルの『FF7』を知っている人はもちろんだが、全く知らない人でも楽しめる内容に仕上げられているので、まだ遊んだことがない人はぜひ挑戦してみてほしい1本である。

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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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