シリーズ外伝である『龍が如く7外伝 名を消した男』の昂奮も冷めやらぬ年の瀬に今回セガさんからご招待いただいたのは『龍が如く8』の試遊会。
今回の試遊会では、TGS体験版で楽しむことのできたハワイ探索やクレイジーデリバリーといったアクティビティのほか、先日発表されたサブコンテンツ「エンディングノート」、巨大サメや巨大イカとのバトル。さらには、待望のドンドコ島開拓などが体験可能となっていました。
ということは……?
ギャァァァー!!カメのばけものおおおぉ!?
……ではなく、ガチャピン。ドンドコ島には本当にガチャピンとムックがいます。なんでだよ!!!
記事後半では、『龍が如く』シリーズのチーフプロデューサーである阪本寛之氏へのインタビューもお届けします。『龍が如く8』でのバトルシステムについてや、ドンドコ島の裏話などが掲載されているので興味のある方はあわせてチェックしてくだされ~(ムック)。
文/Squ
『龍が如く8』はPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Windows)向けに、2024年1月26日(金)の発売予定となっています。
実質メインコンテンツ?あまりにも自由な「ドンドコ島」を開拓せよ!
TGSですでに情報が公開されていたこともあり、ユーザーの間で話題になっていたドンドコ島。今回の試遊会ではここから挑戦していきます。
カメを助けたお礼(?)としてドンドコ島にやってきた春日一番。第一島民としてガチャピンとムックに出会います。この「ドンドコ島」は、悪質なごみ処理業者による不法投棄で廃れてしまった南国の島。一番は一晩お世話になった島への恩返しとして復興を手伝うことになりました。
前述の通り島はゴミまみれ。そこで、バットを持って駆け回り、まずはゴミをどんどんと壊していきます。こうすることで開発できる土地が広がっていくことになります。ただし、土壌汚染などの概念も存在しているようで、実際に区画を広げるためにはある程度お金が必要とのこと。
一番の大きな目標は、「五つ星リゾート」を目指して補助金を獲得すること。そうなるとゴミの撤去以外にもDIYや採集などやることは多く、最終的に「観光客の獲得」に繋げていかなければなりません。
充実度や人気度を上げていくことで観光客獲得につながりますが、景観を維持するためにはやはりお金が必要。ストーリーをある程度進めていればそれなりにお金持っていそうなのですが、どうやらドンドコ島では一般的な通貨が使えないようです。
ゼニー、ゼニー。ツッコむべきなのか、スルーすべきなのか。ゼニーはドンドコ島専用通貨のため、コツコツ貯めていく必要がありそうです。といっても、DIYにはお金がかからないので安心してください。リストを見てみると不思議な家具もたくさんありました。
とりあえず目についた「指詰めセット」を作成し……、
入場口を置いて……、
こんなに手軽に「指詰め体験コーナー」を設置することができました。ちなみに『龍が如く』は過去作からしっかりチェックを受けて「CERO:D」の評価を受けているとのことでレーティング周りでトラブルが発生することはないそうです。
今回は床材や柵などを活用してエリアを埋めて行きましたが、島の開発が進んでいくにつれて神室町のゲートや九州一番星、雑居ビルといった大型のアイテムも登場するようです。ビルや地面パーツ、家具などをパズルのように組み合わせて「自分だけの歓楽街を作る」というプレイングも可能とのこと。
残念ながら今回の試遊会では出会うことができませんでしたが、過去に公開された動画などにはNPCキャラクターが登場。彼らにプレゼントをしたり、彼らが自分が設置した建造物に反応を示すことで収益が発生します。
これらの収益は最終的に換金できるとのことなので、『龍が如く7 光と闇の行方』における会社経営をさらに拡張したコンテンツとも言えるかもしれません。
また、開発を進めていくことで登場する「オンラインコ」というキャラクターを通じてほかのプレイヤーが開発している島を見学することが可能になります。同時にプレイすることはできませんが、アイテムをもらったりスジモンバトルを挑むことができるとのこと。
シングルプレイやストーリーが重要視される『龍が如く』シリーズにおいて、ほかのプレイヤーと交流ができるのは新たな魅力となり得るかもしれません。
試遊会では時間が限られていたためドンドコ島のほんの一部しか体験できませんでしたが、自由度の高さに驚きました。それでは皆さんご一緒に〜!ドンドコしようぜー!
巨大サメに巨大イカ!自然法則をガン無視したファンタジー世界はまだまだあるぞ!?
つづいて挑戦したのは大迫力のボスバトル。相手が「サメ」と聞いて反応せざるを得ませんでした。しょうがないね。
登場したのはメガロドン級ビッグサイズのホオジロザメによく似たサメ。特徴的な背びれが一番たちに迫ります。なんとなくサメ映画というよりも近年の『ゴジラ』みがある演出。非常にカッコいい……。
背びれのシーンはたっぷり堪能することができ、絶妙~な焦らされ感がたまりませんでした。サメ映画も見習ってほしいです。
来るぞ来るぞ……!ザッパァーン!
戦闘では各自がもつスキルのほかに、道端に転がっているアイテムも活用していきます。近くに転がっていたのは……ガスタンク!! これは!?
もちろん、お口にスローイン! サメ映画リスペクトもバッチリ収録。これならサメ映画学会員でも満足ですね。
サメには弱点などもしっかりあるようで、電気攻撃でうまく弱点を突くことができました。『シャーク・ショック』ってこと……? 電気ザメにはなりませんが、絶妙な塩梅で現実とファンタジーが混ざっているように感じます(感覚麻痺)。
もうひとつ体験することができたボスは巨大イカです。こちらは先ほどのサメより強力で、状態異常(デバフ)攻撃を中心に襲ってきます。デカいボス多すぎません!?
このイカ、なんと腕が別々に動くんです。これがまた厄介でした。キャラクターを個別に狙ってくるため、うまく処理できないとこのように捕まってしまい……、
ど、どうなっちゃうんだ~~! せっかくなのでぜひここから先は本編をお手に取って確かめてみてください。
試遊会では1時間30分ほどプレイできたのですが、用意されていたコンテンツを遊びきることはできませんでした。このほかにも「エンディングノート」やハワイでのジョブチェンジ、自由にハワイを歩き回れる「プレミアムアドベンチャー」などさまざまなコンテンツが用意されています。
特にサブコンテンツである「エンディングノート」では、シリーズの顔ともいうべき存在、桐生一馬の半生を追うことができます。今回プレイしたかぎりでも、なぜ桐生が「『龍が如く7』以降のバトルシステムに適応できているのか」という秘密もわかりそう……なやりとりが展開されていました。
また初代『龍が如く』から追っていく内容とのことなので、『龍が如く7』から本シリーズを始めた方にとって「桐生一馬」という人物を知るきっかけにもなるかもしれません。要チェックです!
『龍が如く8』はバトルシステムの改良から始まった? シリーズのチーフプロデューサーへ直撃インタビュー
試遊会後には『龍が如く』シリーズのチーフプロデューサーをつとめる阪本寛之氏へのインタビューも実施されました。このインタビューでは『龍が如く7 光と闇の行方』から『龍が如く8』で大きく変わった点やドンドコ島の詳細などさらに深堀りしていきます。
——『龍が如く8』は戦闘周りの印象が体験版をプレイしたときとは大きく違っていて、特に『龍が如く7』とは戦略性なども大きく変わっていると感じました。意図して変更している部分はあるのでしょうか?
阪本氏:
『龍が如く8』での戦闘はただのコマンド入力ではなく移動しながら戦うため、バックアタックや連携攻撃の恩恵を感じられるシステムになっています。『龍が如く7』と比べると「うまくコツをつかんで進めていく」といったプレイングが必要なバトルシステムになっているかなと。
一方で、自分よりレベルの低い敵との戦闘をスキップできる「クイックバトル」も実装しているので、全方位に調整することはできたように感じています。ジョブもかなり個性豊かなので、遊びごたえや戦略性は上がっていると思います。
——ジョブは前作から異なるものが多いですよね。舞台がハワイということで、ジョブの開発にも変化があったのでしょうか?
阪本氏:
『龍が如く7』では夜の職業からの発展というイメージでホストやキャバ嬢といった部分を埋めていったのですが、今回は舞台がハワイのためアクティビティと絡めたものを実装していきました。おかげさまで海外からの評判も上々です。
また、今回は転職時にかかるパラメーター低下が少なくなっていたり、過去のジョブの技を一部引き継ぐことができるので、カスタマイズ性や自由なレベルアップという観点では自由度は上がっているかもしれません。
——となると、『龍が如く7』から『龍が如く8』に開発が移るにあたり、最初に改良を加えたのはバトルシステムだったのでしょうか?
阪本氏:
その通りです。「バトルをどうグレードアップしていくか」という課題から開発を進めました。『龍が如く7』はシリーズを初めて遊ぶ人に向けては及第点ではあったと思うのですが、調整不足な点や運要素が強すぎたりといった問題が残っていたんです。そのため、「どうしたらコマンドバトルにオリジナリティを持たせられるか」「どうしたら運を戦略に変えられるか」が最初のミッションでした。
最初は自由に動けるアクションRPG寄りのシステムなども考えたのですが、そうするとターン制である意味が薄れてきてしまう問題も出てきたので、いろいろな要素を足し算引き算しながら現在の形に落ち着きました。
——そういった点で見ていくと、追加攻撃だけだった『龍が如く7』に比べて連携のバリエーションが増えていたように思えました。こちらも変更を加えているのでしょうか?
阪本氏:
そうですね。今回の『龍が如く8』では『龍が如く7』での追加攻撃に対して「絆ゲージ」による連携の拡張を試みています。作中で絆を深めていくと、絆の高いキャラクターに近づいたときに最初から「連携攻撃」のオプションがでるようになっています。
うまく「移動」という要素と噛み合ったと感じているので、戦略性は上がっているはずです。
——「万人がプレイしておもしろいと感じるバトルシステムの調整」という観点で苦労した部分はありますか?
阪本氏:
敵の強さや戦闘の長さはプレイヤーごとに感じ方が変わってくる部分なので「新しいルール」を作る必要があると思いました。
今回の場合「風邪デバフを与えると電気属性の攻撃が通りやすくなる」といった属性同士の相性を、プレイしていく中でユーザーさんが理解できるように工夫しています。そこが「バランスがいい」と呼べる部分ではないかと思っています。
——そういった中で、桐生一馬にだけ従来のアクションが残っているのはなにか理由があるのでしょうか?
阪本氏:
桐生一馬のアクションを入れることで破綻してしまうシステムではなかったので、「スペシャル要素」として導入しました。導入することでキャラクターへの愛が深まったり、プレイヤーのテンションが上がったらいいなと思い、実装しています。
——今回体験できたボスバトルの中には戦略が重要となる敵もいたりするのでしょうか?
阪本氏:
イカはまさにそうですね。『龍が如く7』ではパワーショベルと戦わせているので、そのノリでサメやイカを出したのですが(笑)。ボスだから難しいというのはなくて、ノリや派手さで楽しく戦ってもらえたらと思っています。
——日本人の春日一番をハワイで活躍させるにあたって、言葉の壁や文化の違いはどのように乗り越えたのでしょうか?
阪本氏:
そこについては開発初期に問題視していた部分ですね。
しかしフルボイスで多言語の吹き替えをするということを考えたときに、些細な問題であることに気づきました。「言葉が伝わらない」という前提は割り切りとして無視することになりました。
——今作ではハワイが舞台とのことですが、舞台とストーリーはどちらが先に決まるのでしょうか?
阪本氏:
よく聞かれるのですが、私たちはストーリーありきで舞台を決めています。『龍が如く8』の場合は、春日一番が「自分の母親を探しに行く旅」という物語になっています。
ではその母親はどこにいるのか?と考えたときに「日本中を逃げていた」という部分から「日本人が潜伏できて、ようやく見つかる場所」だとすればハワイではないかと決まりました。
さらに、ハワイを舞台にするうえでどこを楽しんでもらいたいかと考えて「ワイキキビーチは必ず入れたい」や「ゲーム的に裏社会もいるから第5地区」といった具合に足していきました。
ガチャピンなら「なんでもやってくれる」と思った
——本作ではまさかのガチャピンとムックが出てきます。驚いたプレイヤーも多いと思うのですが、どういったきっかけでオファーしたのでしょうか?
阪本氏:
ドンドコ島は本編と切り離されたコンテンツで「南国の島で遊びましょう」という要素だったので、キャッチーでインパクトのあるものがほしかったんですね。地味なシミュレーションゲームにはしたくなかったんです。
なので、世界観ド返しのキャラクターがいれば未知数なものができるのではないかと思いました。いろいろアイディアがあるなかで「この流れでいきなりガチャピンとムックが出てきたらおもしろいんじゃない?」となり、オファーした次第です。
ガチャピンはスキューバーダイビングなどなんでもやるので、そういうイメージから「オファーも受けてくれるのではないか?」と(笑)。
——春日がガチャピンとの初遭遇で驚いているのは「ひらけ!ポンキッキ」を子どものころに見られなかったから、などのバックストーリーがあるのでしょうか?
阪本氏:
さすがにそこまでメタではないですけれど(笑)、ハワイの渚でいきなりガチャピンが出てきたらだれだって驚くでしょうという感じです。
——『龍が如く8』にはいろいろなコンテンツが登場しますが、プレイ時間はどれくらいを想定しているのでしょうか?
阪本氏:
なにを基準とするか定義しづらいのでプレイ時間の想定が難しいのですが、コンプリートするわけでもスキップするわけでもなく普通にメインシナリオを遊ぶと80時間や、場合によっては100時間くらいかもしれません。ドンドコ島のデバッグだけで20時間から30時間は遊んでいるので……。
——ドンドコ島だけで1作品作れてしまいそうですね。
阪本氏:
本当にそうなんです。作り込みすぎと言われています(笑)。
——エンディングノートでは、今まで見ることのできなかった桐生一馬の一面を見ることができ、桐生に親近感がわきました。そういった部分も意識して制作されているのでしょうか?
阪本氏:
桐生のパーソナリティ自体も、エンディングノートの中で変わりつつあります。今まで寡黙に語らなかった部分を初めて……みたいな部分でのファンサービスでもあるので、桐生に愛着を持ってもらえたらうれしいです。
また、初代『龍が如く』の内容も拾っているので『龍が如く7』から始めたプレイヤーの皆さんも桐生のことを知ることができると思います。
——いきなり『龍が如く8』から挑戦するというのもひとつの手でしょうか?
阪本氏:
『龍が如く7』もそうでしたが、『龍が如く8』から始めていただいてももちろん大丈夫です。ただ欲を言うとですけど、我々としては『龍が如く7』からの『龍が如く7 外伝』からの『龍が如く8』というのが理想的で、すべてを楽しめるフルパッケージではないかと考えています。
とはいえ『龍が如く』シリーズ全般に言えることですが、いきなり遊んでみて興味があれば過去にさかのぼるというプレイでも、ファンになってくれればありがたいです。
——最後に本作の発売を待っている読者に向けてメッセージをお願いいたします。
阪本氏:
いよいよ『龍が如く8』が発売されますが、要素が多すぎて語りつくせないんです(笑)。プレイすると本当に止まらなくなるし、メインストーリーを見終わったあとの感動は『龍が如く7』以上だと思います。
遊び終わったあとに「このゲームを遊んでよかった」という満足感や心に残る部分はシリーズ屈指の出来だと思うので、ぜひ最後までプレイしていただきたいです。やりこみ要素もとことんやってもらえれば、お買い得な1本だと思いますので、そこは信じてください。(了)
まとめ
ガチャピン・ムックにイカやサメ、指詰めセットなどのやばい家具……。処理しきれない情報の洪水に流されそうになりますが、そこには開発陣の「ただゲームをおもしろくしたい」という魂がこもっているように感じられました。
遊び切れるかわからない膨大な量のコンテンツを誇り、シリーズ屈指の品質を自負する『龍が如く8』に期待が止まりません。
『龍が如く8』はPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Windows)向けに、2024年1月26日(金)の発売予定となっています。
『龍が如く8』はPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Windows)向けに、2024年1月26日(金)の発売予定となっています。