カワバンガ!!
この掛け声でお分かりの方も多いでしょう。今回取り上げますのは人気アメリカンコミック『ミュータントタートルズ』のゲーム、『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』です。
ベルトスクロールアクションである本作の魅力は、何と言ってもアクションの爽快感。
あの大好きなキャラクターがゲーム画面上で美麗に華麗に飛び回る!
これだけでも否応なしにテンションが上がってしまうというものです。タートルズ最高!
……とかなんとか言ってはいますが、実は私、『ミュータントタートルズ』の筋金入りの大ファンというわけではありません。
幼少期にアニメを毎週楽しみに見ていた記憶がなんとなくある程度で、アニメの終わりと共にタートルズとは疎遠になってしまっていて、本作をプレイするまでタートルズのメンバーの名前すらろくに記憶に残っていなかったという体たらく。一応、「タートルズは4人組」という最低限の知識は残ってたんですけどね……。
しかし、裏を返せば、そんなミュータントタートルズガチ無知勢であった私が、本ゲームの魅力をお伝えするべくキーボードの上で指を踊らせているのは、この作品がそれほどまでにゲームとして面白かったからに他なりません。
つまり本作は、キャラゲーという立ち位置でありながら、原作の内容をほぼ知らなくても楽しめる作品なのです。
そこで今回は、このゲームを機に四半世紀ぶりに再びミュータントタートルズ沼に足を踏み入れてしまったため是非ともその魅力をお話しできればと思います。
文/DuckHead
美麗なアニメーションで描写される華麗なアクション
それでは早速、『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』の魅力についてお話ししていきたい……ところなのですが、その前に『ミュータント・タートルズ』とテレビゲームの歴史を軽く振り返っておきましょう。
実は彼らとテレビゲームの関係性は深く、家庭用ゲームソフトとしてはファミリーコンピュータの時代からソフトが存在していまして、最初に日本で発売された家庭用タートルズゲームのタイトルは、『激亀忍者伝』。
この『激亀忍者伝』という、『ミュータントタートルズ』にかすりもしていないゲームタイトル名からもその片鱗が見え隠れしていますが、この『激亀忍者伝』は、実は日本でミュータントタートルズのアニメが放送される前に発売された作品。つまり、この『激亀忍者伝』こそが、タートルズの日本デビュー作なんだとか。
その後のタートルズは、日本でTVアニメシリーズも放映され、スーパーファミコン、ゲームボーイ、Xbox360などの様々な機種から家庭用ゲームソフトが発売されています。特に、Xbox360の『Teenage Mutant Ninja Turtles: Out of the Shadows』は、タートルズのメンバーがかなりリアル路線で描かれているのも注目ポイント。結構しっかりカメです。コワイ!
また、長年にわたって展開されてきたミュータントタートルズゲームは、その作品数が非常に多く、2022年にはレトロタートルズゲー13タイトルを1つにまとめた、『Teenage Mutant Ninja Turtles: The Cowabunga Collection』がリリースされています(PS5 / PS4 / Steam / Nintendo Switch / Xbox One / Xbox Series x/s)。
このコレクションに収録されているタイトルたちに目を通してみますと、その多くがベルトスクロールアクション。
そして、今回ご紹介する『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』もまた、ベルトスクロールアクション。
つまり本作は、長い年月の中で進化し続けているタートルズのベルトスクロールアクションの集大成であるということが伺えます……ということで、ここからがようやく本題です。
さて、キャラゲーをプレイする場合、多かれ少なかれ、原作の作品についての知識がなければなりません。そして、その比重はゲームによって様々ということになるわけですが、本作ではその部分が非常に軽くなっています。
そのため、無謀にも「カメの4人組が敵と闘う話」という程度の原作知識しかない状態でプレイした私のような人間であっても、本作の魅力を存分に味わうことができたのです。
この「原作を知っていても知らなくてもいい」という点こそが、本作の魅力の1つと言えるでしょう。ゲームから原作へ新たなファンを取り込む。これもまた、キャラゲーにおいては大事なポイントなのではないでしょうか。
そして、先ほども少し触れましたが、原作初心者にも楽しみやすい本作の最大の魅力は、アクションの爽快感。
本作はとにかくアクションのアニメーションが綺麗で、適当にキャラクターを動かしているだけでも楽しいのです。
その動きの描写は、リアリティがあるというよりはコミカル。コミックやアニメがそのままゲームになったようなクオリティで、そのグラフィックにはどこか懐かしさも感じられます。
ここまで散々単語だけ出しておいて何を今更という話ですが、ベルトスクロールアクションとは、次々に出現する敵キャラたちを倒しながら横に長いステージを突き進み、最奥に待ち構えるボスを撃破していくゲーム。『ファイナルファイト』シリーズや、『戦斧』シリーズが有名でしょうか。
出現する敵を倒さずに無視して先に進むことが可能な場面の多い横スクロールアクションに対し、ベルトスクロールアクションは、画面内に出現した敵を全て倒さなければ次のエリアに進めないことがほとんど。そのため、ベルトスクロールアクションではキャラクターたちの繰り出す戦闘アクションと向き合う時間が必然的に長くなってきます。
となると、キャラクターのアクションの爽快感が、ゲームの面白さの根幹をなす重要な要素の一つということになってくるのは自明と言えるでしょう。
そして、本作の基本となる攻撃アクションは、4連コンボ。この基本攻撃を軸に敵と戦いゲームを進めていくわけですが、まずこの基本攻撃に、かなりの爽快感があります。
その他のアクションには、コンボを決めることで蓄積される “ニンジャパワー” を使って繰り出す、高い攻撃力で広範囲の敵を攻撃可能な必殺技があります。
『ストリートファイター』シリーズで言うところの昇龍拳のような性質の攻撃であり、空中にいる敵に対して効果的な、ライジングアタック。
そして、敵を掴んで豪快に投げ飛ばす、投げ技などがあります。
この投げは敵を掴んだ後に入力する方向キーによって技の中身が変化し、なんと敵を画面に向かって投げ飛ばし、強制退場させるなんてこともできます。いわば一撃必殺でもあるので、どんな敵にも使うことができるというわけではないのですが、決まった時の画面映えはかなりのもの。この爽快感は何物にも代えがたく、プレイ中は意味もなくこれを狙い続けてしまい、瞬く間に残機を減らされました。
「ベルトスクロールアクションもここまできたのか……!」と、この投げ技を始めて見た時には思っていたのですが、後に昔からあるシリーズお馴染みのアクションであるということを知りました。大事な知識をありがとう、『Teenage Mutant Ninja Turtles: The Cowabunga Collection』。
ただ、この「敵が投げ飛ばされるグラフィック」は確実に進化しています。
ちなみに、ここまでご紹介してきたアクションたちは、その種類こそ多いですがコマンドは単純で、簡単に繰り出すことができます。複雑でなく直感的に操作しやすい。これもまた、ゲームの楽しさをより強くする嬉しい心遣い。コマンドが複雑な場合、咄嗟のタイミングで技を出せなくてストレスが溜まってしまうことも多いですからね。
そして、本作のアクション性を更に高めてくれているのが、回避の存在です。
これはそのまま敵の攻撃を回避するアクションのこと。回避から即座に攻撃へとアクションをつなげる事もできるので、駆使することによって戦闘をより一層スタイリッシュに進められます。攻撃と同じくらいに使用頻度が高いアクションで、他の攻撃アクションと同じようにボタンを1つ押すだけというシンプルな操作方法なのも好印象です。
さて、これらのアクションのアニメーションの素晴らしさは先ほどもお話した通りですが、本作ではタートルズたちが敵からの攻撃を食らう描写もアニメチックで楽しいものとなっており、思わず技を受けてしまいたくなるような雰囲気すらあります。アクションだけでなく、リアクションの面白さもあるというのが非常に良いんですよね。
そんな思わず受けたくなってしまうような敵キャラクターの攻撃モーションにも、主人公勢と同じように強いこだわりが感じられます。そのため本作は、似たような敵が多くなりがちなベルトスクロールアクションというジャンルにあってもなお、飽きがその訪れをプレイヤーに告げることはないのです。
多彩なプレイアブルキャラクターとボスキャラクター
さて、アクションの美しさが際立つ本作で操作できる初期キャラクターは6人。
まずはミュータントタートルズのメンバーである、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエル、ドナテロ。改めて言う必要もないかもしれませんが、タートルズのメンバーの名前の元ネタは、ルネサンス期の高名な芸術家たちです。
そして残る2人は、タートルズの協力者かつヒロイン的な立ち位置であるエイプリルと、
タートルズの師匠である、ネズミの姿をしたミュータントのスプリンター。あとは彼らの他にも隠しキャラがいたりします。
さて、これら6人のキャラクターたちは、それぞれ使用する武器や戦闘スタイルが大きく異なるわけですが、そうなってくるとキャラクターを選ぶのも一苦労。
上の画像は、『T.M.N.T. 2 ザ マンハッタン プロジェクト』のキャラクターセレクト画面ですが、こちらをご覧いただければ分かりますように、タートルズの4人は、そのデザインにだけ着目すると、持っている武器以外にはバンダナとバンドの色くらいにしか違いがありません。
無論、彼らの性格はそれぞれ違うのですが、その部分をこの静止画だけを頼りにして感じ取ることは難しいもの。つまり、過去のゲーム作品のキャラセレ画面には、タートルズのメンバーの性格を判断しにくいという難点があったのです。
そのため、原作知識が今以上にスッカスカだった頃の私がレトロタートルズゲームで遊ぶ際には、「青が好きだからこのキャラで」とか、「ヌンチャクが好きだからこの子で」といった具合に、キャラの性格や性能は考慮せずに使用キャラを決めていたというのが実情。
改めて言う必要はないかもしれませんが、それらのレトロゲームのキャラセレがこういった仕様になっているのは、「皆さんご存知の、あのキャラクターですよ!」という大前提があるから。これがキャラゲーをプレイする際のハードルを上げる一因となっているのは間違いありませんが、このことを追及するのは難しいでしょう。相手がキャラゲーである以上、原作知識を持っていない方が悪いというのもまた、紛れも無い事実なのです。
しかし、それらのレトロゲームに対し、本作のキャラクターセレクトで使われているキャラクターグラフィックは、各キャラクターの性格までもがハッキリと分かるようなものとなっていて、タートルズのメンバーそれぞれの個性が光って見えるのが素晴らしいポイント。
そして何より、このキャラセレ画面では、各キャラクターのステータスを表すパラメータが、射程・速さ・パワーの三要素で丁寧に表示されているのです。
キャラの性格が伝わってくるようなグラフィックと、詳細なステータス。これを見れば、キャラクターの設定をよく知らなかったとしても、自分の手と感性に馴染むお気に入りのキャラクターを見つけることができるでしょう。実際、初見プレイの時にはこの2つの情報が非常に参考になりました。
また、キャラクターごとに戦闘スタイルとステータスが変わるということは、使うキャラクターを誰にするかによってプレイ感が大きく変わるということ。そのため、たとえ遊ぶのは同じステージであったとしても、何度でも新鮮な気持ちでゲームを楽しめるのです。
そして、本作ではステージ最奥にてタートルズたちを待ち構えるボスたちも個性的。
新作映画『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』にも登場したミュータント、ビーバップとロックステディのコンビや、
レザーヘッドとウィングナットも登場。ビーバップとロックステディは映画でも同じような雰囲気でしたが、レザーヘッドとウィングナットは映画でかなりアレンジが加わった印象ですね。日本語吹き替えではメチャクチャ声がかわいくなっています。まぁ、吹き替えの声がかわいいのはドナテロもなんですけれども。
少々話が逸れてしまいましたが、ステージボスの中には、カエルが主人公のファミコンの名作ゲーム『バトルトード』を思い起こさせる、プレイヤーがあっと驚くような攻撃でタートルズたちを打ち崩そうとしてくる敵も登場。あの手この手でプレイヤーを楽しませてくれます。
分かりやすいストーリーと奥深いステージ
さて、本作のサブタイトルが『シュレッダーの復讐』となっているところからも分かりますように、物語の最後でタートルズたちを待ち構えているのは、タートルズの宿敵シュレッダー。彼がタートルズ最大の敵の1人であることは間違いないでしょう。
本作のストーリーは、シュレッダー率いるフット団がニューヨークの放送局を乗っ取ったところから始まります。
そして、ゲーム本編ではタートルズとシュレッダーの戦いの様子が描かれるわけなのですが、本作のストーリーパートの中でセリフがあるのはオープニングとエンディングくらいのもので、基本的にはステージクリア時の一枚絵のみで物語の流れが説明されていきます。
この一枚絵がまた素晴らしいクオリティで自然とテンションも高まるのですが、こういったセリフの無い形で話の流れを説明するということは、本作のストーリーは言語依存性が低く、言葉をあまり必要としないシンプルなものであることを意味します。これもまた、原作知識を必要とせずにゲームを楽しめる理由の1つ。誰が味方で誰が敵なのかが分かれば大体OK!……と、私は解釈しています。
そして本作には、ベルトスクロールアクションの基本と言えるような構成のステージがあるのは当然のこととして、空飛ぶ乗り物で移動しながら敵と戦うステージや、
時折檻から脱走した動物たちがタートルズに向かって突進してくるというギミックのあるステージ、
背景にクスリとくるような小ネタが仕込まれているステージがあったりと、ゲームを単調にさせない工夫が随所に見られます。
更に、本作はティー・ロープス氏の作曲によるBGMがメチャクチャにカッコよく、しっかりとタートルズのカッコいい部分も演出されているのが特徴的。「Rumblr In The Zoo」や「Mall Meltdown」がオススメです。
また、基本的にインストゥルメンタルな本作のBGMですが、中にはボーカルのついた曲もあり、これがまた素晴らしい。ボーカル曲では「Mutants Over Broadway!」や「Panic In The Sky!」がオススメです。
柔軟な難易度と高いリトライ性
さて、アクションやストーリーの話から少し内容が変わりまして、『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』の難易度は、その他の多くのベルトスクロールアクションがそうであるように、しっかりと歯ごたえのあるものとなっています。
とは言うものの、本作のメインモードであるストーリーモードには、古き良きベルトスクロールアクションではあまり見られなかった難易度の設定ができるため、難しすぎると感じた場合には難易度を下げてプレイすることができます。
更に、レトロなベルトスクロールアクションの場合、一定の残機数でゲーム開始からゲームクリアまで中断せずに一気に駆け抜けていくというシステムのものが多いのですが、本作のストーリーモードは、1つのステージをクリアすると、その都度マップ画面へ移行します。
これはつまり、1ステージごとにゆったりと時間をかけて攻略していけるということを意味しており、ストーリーの途中でゲームを中断することが容易である上に、ゲームオーバーになってしまった時のやり直し区間も必然的に短くなるためリトライ性も高く、ダレることなく一気にクリアまで進めらるのです。
このように、本作はベルトスクロールアクション初心者にも優しいシステムとなっているため、タートルズは大好きだけど、ベルトスクロールアクションはちょっと……というプレイヤーでも気軽にゲームを楽しめます。
ちなみに、ストーリーモードの途中で操作キャラクターを変えたとしても、ストーリーの進行度に影響は何一つとしてないため、ステージごとにキャラクターを変えながらゲームを攻略することも可能です。この遊び方だと、全員で共闘している感が出せるので、個人的にはかなりオススメ。
そして、本作のストーリーモードにおける特徴的な要素の1つが、敵を倒していくと経験値が蓄積されていき、その数値が一定数に達するとパワーレベルがアップしていくということ。
このパワーレベルがアップすると、体力やパワーゲージの上限増加、新必殺技の習得、更には1ステージにおける残機数の増加といった恩恵があります。つまり、本作はベルトスクロールアクションでありながら、RPGのようなキャラクター育成要素もあるのです。
また、各キャラクターの経験値はステージを攻略している最中にゲームオーバーになったとしても蓄積されていくため、難しいステージに直面した時には、同じステージを繰り返し遊んでパワーレベルを上げながらクリアを目指すという方法を取ることもできます。
ちなみに、パワーレベルは10が最大なので、そこまでレベルを上げてもクリアが難しい場合は……気を強く持ってください。
それはともかくとして、好きなキャラクターを使い込めば使い込むほど、そのキャラクターが強くなり、これまで以上に使いやすくなる。この正のスパイラルが、やりごたえのあるキャラゲーを生み出す礎となっていることは明白であり、本作を魅力的にしている一大要素であると言えます。
なお、「成長要素などいらぬ」「ステージごとにやり直せるなど言語道断、最初から最後まで一気にクリアしてこそベルトスクロールアクション」という硬派でストイックなプレイヤーの皆様には、ストーリーモードの全てのステージを中断セーブ無しで一気に駆け抜けるという、「ゲームを走り始めたら最後、最後まで走り切るかゲームオーバーになるまでプレイを続けなければならない」という古き良きベルトスクロールアクションを思わせるアーケードモードも実装されています。ベルトスクロール初心者からヘビーユーザーまで、様々なプレイヤー層への配慮が感じられます。
ちなみに、本作のステージ数はベルトスクロールアクションとしては中々のボリューム。アーケードモードでクリアを目指す場合、その挑戦は熾烈を極めるものとなるでしょう。
そんなアーケードモードですが、このモードでは設定を自由にカスタマイズすることもできます。
そのカスタマイズ内容は、コンティニューが無制限になる “フリープレイ” や、ニンジャゲージの最大値が上昇する “ラディカルニンジャ”などといったプレイヤーの攻略を助けてくれるものから、敵の速度が速くなる “快速”、倒されたプレイヤーが復活しない “蘇生不能”、敵が倒された時に出す爆風に攻撃判定が発生するようになる “発破体” など、プレイヤーにより一層きつい縛りを設けるものまで様々。
更には、通常はニンジャゲージを消費して発動する必殺技を、体力を消費しての発動に切り替える “昔懐かしの必殺技” というカスタマイズもあります。これは、『ファイナルファイト』や『バーニングファイト』でも見られる、往年のベルトスクロールアクションをプレイされたことのある方にとってはお馴染みの伝統的なシステム。本作は、キャラクター以外の部分でもゲームプレイヤーの心をくすぐってくるので困ります。いいぞ。もっとやれ。
終わりに ~DLCを添えて~
さて、ここまで色々と『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』の魅力についてお話ししてきました。再三申し上げていますように、本作は原作ファンから原作を知らないプレイヤー、ベルトスクロールアクション初心者からヘビープレイヤー、レトロゲームファンから現代のゲームファンと、様々なバックボーンを持つプレイヤーが楽しくゲームを遊べるような工夫が至る所に見られます。
そういった工夫の中で特に細かい要素として、オプションでゲームプレイ画面にフィルターをかけることができるというものがあります。
このフィルターを使えば、いつものプレイ画面をアーケードゲーム筐体や、今ではめっきり見かけなくなったブラウン管テレビのような風合いにすることができるというもので、ゲームプレイそのものにはほぼ関係がありません。
このようなフィルター機能は『メガドライブミニ2』などでも見られるものですが、この機能がプレイヤーのノスタルジー、懐かしさに訴えかけるものは多く、本作のレトロ作品へのリスペクトが大いに感じられます。
そんな本作は、ミュータントタートルズゲーム、引いてはベルトスクロールアクションゲームの名作と言って遜色ないクオリティを誇ります。
原作を知らなければキャラゲーに手を出しにくいというのは事実としてありますが、このゲームを1つのキッカケとして原作を知っていくというのもいいのではないでしょうか。
……みたいな感じで記事をまとめようかなと思っていたんですが、本作のダウンロードコンテンツ(DLC)が配信され、多くの新要素が追加されました。
まず大きなところとしては、2人の新キャラが登場。その内の1人が、ウサギ・ヨージンボー。タートルズがニンジャならば、このウサギ・ヨージンボーはサムライ。あとはゲイシャさえいれば日本っぽさ満載と言ったところですが、サムライうさぎのモーションもまた非常にカッコよく、使っていて爽快感があります。
そして2人目の追加キャラは、カライ。シュレッダーの娘である彼女は、タートルズよりもニンジャらしい攻撃で敵と戦います。ちなみにですが、有識者によると本作の下敷きとなっている1987年のアニメ版には登場しないキャラクターらしいです。
そんな彼女、『T.M.N.T トーナメント ファイターズ』などの対戦格闘ゲームでは、ラスボスとしてタートルズの前に立ちはだかります。何故か看板悪役であるシュレッダーを差し置いて。
本作をプレイするまでタートルズの名前すらろくに言えなかったガチ無知勢としては、どちらもいよいよ本格的に初めましてなキャラクターではあったんですが、一度使ってみればその魅力が手に取るように分かるあたり、本作のキャラクターの作りこみのクオリティの高さを改めて実感しました。
そして、これまでにいたキャラクターたちの限定版カラーもアンロック。素直にかっこいいカラーもたくさんあるのですが、個人的にはゲームボーイを思わせるレトロゲームテイストのカラーがお気に入り。
更には、このDLCによって新たにサバイバルモードが実装。このモードでは、次元の歪みを修正するべくタートルズたちが奔走するという新たなストーリーで物語が展開します。
そしてその中身は、たった1機だけという非常に限られた残機数の中で、江戸やコミックの世界などといった6つの次元でクリスタルを集めるというもの。
このモードにも経験値とレベルアップの概念があり、ストーリーモードと同様、繰り返し繰り返しプレイをすることでキャラクターが強くなっていきます。
また、このモードではゲーム攻略中にアイテムを取得することで、シュレッダーをはじめとするストーリーモードに登場する敵キャラクターに一時的に変身することもできたりします。
このようなお楽しみ要素以外にも、このモードには世界中のプレイヤーと競うことができるランキング機能が搭載されているため、かなりのやりごたえ。
これらの新要素の登場に合わせて、ティー・ロープス氏の作曲による新たなBGMも追加収録されているため、かなり充実したDLCになっているように思います。
無論DLC無しでもハチャメチャに面白い本作ですが、この大ボリュームのDLCを標準搭載したパッケージ版、『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐 アニバーサリーエディション』が、11月30日にNintendo Switchで発売されました。この機会に是非、DLCと共に本作を遊んでみてはいかがでしょうか。
……それと、2023年8月に公開されたタートルズの新作アニメ映画『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』も面白かったので、そちらも配信やレンタル等で是非。