不思議な生き物に次元移動の旅。独特すぎるサバイバル生活に気付けば夢中になっていた
それでは続けて、こちらも『ナイチンゲール』における重要な要素、サバイバルについて見ていきましょう。
プレイヤーが探索するエリアは “境域” と呼ばれる、全くもって未知な土地と世界。この場所ではどういった現象が起きるのか、生き残るためには何をすればいいのかといったサバイバル知識は、ゲームプレイを続けていく中で少しずつ学んでいくこととなります。
例えば、本作ではゲーム中に天候が変化していくのですが、時折、雹が降ってくることがあります。
実は本作における悪天候は、主人公にとっての敵とも言える存在であり、普通の雨であったとしても、しばらく当たっていると “濡れ状態” という、ゲーム中に何かしらの行動を取る上で必要不可欠なステータスであるスタミナの回復が遅れてしまう状態異常にかかってしまうのですが、雹の場合はこれ以上に酷いことになり、ほんの少しの時間当たっているだけでも体力がゴリゴリと削られていきます。
これらの事態を避けるためには屋根のある場所で雨宿りをしたり傘をさしさえすればOKなんですが、最初に特に何の説明もなしに体力がみるみる減っていく主人公の姿を見た時には、まったく事態が飲み込めず、とても驚きました。
何度か同様の事態に遭遇し、主人公の身に何が起きているのかをなんとなく理解したとき、この世界で生き延びるためには、人から話を聞くだけでなく、自分の頭で考えて見識を増やしていく必要もあると感じ、ここからこのゲームに対する向き合い方が明確に変わったように思います。
その後、雹のときのようなパターンで得たサバイバル知識のひとつが、食事に関する見識です。
本作では、自生している植物や襲い掛かってくる野生動物を倒して剝ぎ取った肉などの食材から料理を作って食事をとるんですが、これをしばらくの間忘れていると、いつの間にか飢餓状態に突入し、これまた体力……ではなく体力の最大値がゴリゴリと削られていきます。
そのスピードは毒性の雨に当たっているときの比ではなく、気が付いた時には3ケタもあったはずの体力が1ケタ台に突入しているなんてこともよくある話。食事をとりさえすれば、すぐに体力の最大値は通常に戻り、時間が経過すれば体力も全快するので、主人公の状態には常に気を配っておく必要があります。
どうでもいい話ではありますが、『ナイチンゲール』における私の初死亡はこの飢えが原因でした。飢えによって体力の最大値が低下し、空腹状態が極限にまで達したとき、主人公を待ち受けていたものは死だったのです。
ゲーム中で食事の重要性については説かれるものの、実際にどういった実害があるのかという情報にはあまり触れる機会が無かったので、何をするでもなくただただ森の中を歩いていただけなのに、唐突に死亡画面が映し出された時には、あまりのことに無言で口を半開きにしたまましばらく画面を見つめ続けてしまいました。
結局この時には原因を特定することはできず、「バグでも起きてたんじゃないか」と疑っていたのですが、後々になってから、食事をとらずにいるととんでもないことになるということに気がついた次第。
真相が解明されるまでの間は「何もしていないのに死ぬってどういうことだ!」と文句を言っていたんですが、何もしていなかったという事実こそが死亡の原因だったのですから、世の中分からないものです。
さて、話は変わりますが、本作では野生動物以外にもクリーチャーが登場し、主人公たちに襲い掛かってきます。その種類は、動物のような見た目をしたものから機械仕掛けのものまでさまざま。
境域を旅していると、クリーチャーによって占拠された場所やダンジョンも登場しますし、彼らの中には主人公を見つけただけですぐに襲い掛かってくるものも多いので、サバイバルにおいて彼らとの戦いは避けられません。
時には、敵なのか味方なのかすらよく分からない生き物に遭遇することも。その一例が上の画像の生物……かどうかすら怪しい存在。これは、主人公が近づいても攻撃してこないばかりか、その体は半透明で、普通に歩いてすり抜けることができます。
この神秘的な生物が嘶くと周囲の植物がざわめき、彼が通過する場所にある木がたちどころにして崩れ去ってしまう様を見て、「『もののけ姫』のシシガミ様みたいな感じなのかなぁ」と勝手に思っているのですが、これまでのプレイでは真相の究明には至れず、謎は深まるばかりです。
そして、こういったクリーチャーたちに攻撃されるなどして主人公の体力が0になると
厳密には負傷状態になり、マルチプレイをしていれば仲間に救出してもらうことができるのですが、今回はソロプレイで楽しんでいたため、負傷は即ちゲームオーバー。こうなると、それまでに獲得していた装備していないアイテムは全て失われてしまいます。
ただ、ゲームに復帰すると、ロストしたアイテムたちを全て収納した箱が主人公が倒れた地点に置かれているので、この場所に辿り着ければ、すべてのアイテムを取り戻すことができます。箱が置かれている場所がゲーム画面内に大きく表示されているのも、リカバリーがしやすくてありがたいですね。
そして本作を象徴する目玉要素のひとつが、ポータルを使っての次元移動。この時プレイヤーは次元移動に使用するポータルを展開する装置に対して、森林・沼地・砂漠などのベースとなる地形を示すカードとその探索難易度を指定するカードをセット。これにより、境域の状態が変化します。
また、プレイヤーが訪れる境域は、“境域変換装置” と呼ばれる機械にカードをセットすることで、その特性を変えることができます。
境域の特性を変えると言ってもあまりピンとこないかもしれませんので、具体例を挙げさせていただきますと、例えば食事効率が上がってお腹がすきにくくなったり、レアアイテムを入手しやすくなる代わりに体力の最大値が下がるといった具合。境域というよりは主人公自身の性質が変わっている感じもありますが、このカードを使うと、森の木々が色鮮やかな花を咲かせるなど、周囲の環境にも四季折々の変化が見られるのが面白いところ。
……ちなみにですが、これらのカードたちもクラフトで作成します。すべての道はクラフトに通ず。
ここまでご紹介してきましたように、『ナイチンゲール』には非常にさまざまな要素がふくまれています。ですから、本作を楽しむためには、ある程度の時間をかけてこの世界のことを知っていく必要があります。
つまり、『ナイチンゲール』はプレイを進めていけば進めていくほど面白さに深みが増していくスルメのようなゲームになっているというわけなんですが、本作のすごいところは、プレイを進めると面白さの深さだけでなく種類も変わってくるということ。
最初は、それこそ石器時代のような装備品を作ったり設備を整えたりしながら少しずつ技術を発展させていく面白さがあり、その後には、整えた装備で境域を旅してクリーチャーによって占拠された施設やダンジョンを攻略する面白さが続きます。最初は白紙に近い状態だった地図を埋めていく作業も、本作の醍醐味のひとつと言っていいでしょう。
そしてこの先には、銃をはじめとする高度なツールを使えるようになり、他のプレイヤーとマルチプレイで共闘して巨大な敵と対峙するという楽しさが後に控えているわけですから、ワクワクが止まりません。
私がプレイ前に抱いていた印象とは異なるゲーム性を持っていた本作、プレイを始めたばかりのころは「思ってたんと違う!」などと喚き散らしていたのですが、気が付いた時には銃を使えないことに対する不満もどこかへ消え去り、境域でのサバイバル生活を普通に楽しんでいる自分がいました。そのくらい、本作には魅力的な部分が多かったのです。
焦らずに異世界ライフをじっくりと楽しむというのも乙なもの。あと何時間プレイすれば銃の鈍色の輝きに手が届くのかは分かりませんが、引き続きその光を目指して本作をプレイしていきたいと思います。
ちなみにですが、本作は現在早期アクセスの段階であり、プレイヤーから集められた意見を反映していく予定だそう。
さしあたり私がプレイをして気になったのは、マルチプレイではなくソロプレイの時にもネットワークに接続しなければならないということなんですが、この点についても近日中に対応予定とのこと。現時点でも楽しいポイントが多く、気がつけば時間が溶けてしまう本作ですが、それと同時に伸びしろしかない作品でもあるのです。
『ナイチンゲール』はPC(Steam、Epic Games Store)向けに早期アクセス版を配信中。ぜひ本作のプレイを通して、ヴィクトリア朝時代から石器時代にまで、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。