ド派手な破壊表現、ヒーローシューターを思わせる多彩なスキルやガジェット、そして遊び心と独創性にあふれた世界設定。2023年12月にリリースされた基本プレイ無料のFPS『THE FINALS』は、そうした要素が広く注目を集め、ベータテストの段階から多くのプレイヤーが集まりました。
そしてリリースから約3か月の期間を経て、3月15日(金)にはとうとう「シーズン2」が開幕。謎のハッカー集団・CNSの侵入を受けたという設定のもと、従来とは路線を変えたサイバーな雰囲気の新マップが登場するほか、「オブジェクトをまったく別のものに変えてしまう」「壁や天井を“非実体化”させてしまう」などの効果を持つ非常にトリッキーな新装備が現れ、なんとも『THE FINALS』らしい大胆な変化を見せています。
今回はシーズン2でさらなる変化を遂げた『THE FINALS』をひと足早くプレイできる機会をいただきましたので、さっそく新マップの感触や新ガジェットの使用感をお届けしていければと思います。
また、記事末尾には開発元のEmbark Studiosのロブ・ルネソン氏、スヴェン・グランドバーグ氏、グスタフ・ティレビー氏へのインタビューの模様も掲載していますので、先行プレイのレポートと合わせてご一読いただけますと幸いです。
文・取材/植田亮平
電脳空間が舞台の新マップ。おなじみの破壊表現もボクセル調になるこだわりがすごい
それではさっそく、シーズン2での各種変更点や新マップ・新武器などを、実際の先行プレイの感想を交えつつご紹介していきましょう。
・新マップ「SYS$HORIZON」
まずはシーズン2から登場するクイックキャッシュ(メインモード)用の新マップ、「SYS$HORIZON」(シスホライズン)について。
これまでは特定の国を舞台にしたフォトリアルな戦場が舞台でしたが、今回追加される「SYS$HORIZON」は、従来のマップとは打って変わったサイバーでグリッチな電脳空間がイメージされています。これはシーズン2で描かれるストーリーと密接に関係しているわけですが、それについては後ほど。
特にこだわりが見られるのは、ライティングの部分です。「SYS$HORIZON」は通常のマップと異なり、太陽など屋外の自然な光源が存在しないマップとなっています。そのため、屋内に入ると屋外とはまた違った幻想的な雰囲気を楽しむことが可能に。緑や赤などの鮮烈な光に包まれて、戦場はさらに興奮を増していきます。
そしてもうひとつの特徴が、このマップ特有の建物の破壊表現。土煙をあげてド派手に壊れる点はこれまでと同様ですが、破壊した箇所はボクセル調の断面となってサイバー空間へと消えていく表現になりました。
また、マップ上のオブジェクトもインターネット黎明期のハッカー文化にインスパイアされたものが多く、古い年代のコンピューターやポリゴン表現など、随所に開発者たちのこだわりが見られるものとなっていました。
・新モード「パワーシフト」
次はシーズン2から登場する新ゲームモード、「パワーシフト」について。
パワーシフトはこれまでの3人1組で戦うクイックキャッシュとは違った体験を味わえる大規模なパーティモードです。
プレイヤーたちはそれぞれ5人一組の2チームに分かれ、マップ中央に存在するプラットホームを奪い合います。プラットホームは確保されると少しずつ敵陣地方向へと前進し、このプラットホームを先に目標地点に押し込んだチームが勝利となります(時間切れの場合はその時点でよりプラットホームを進めた側が勝利)。ルールとしては『スプラトゥーン』シリーズの「ガチヤグラ」を想像していただければ分かりやすいかと思います。
遊んでみた感想としては、やはり5対5の大規模な戦闘が魅力的な、迫力満点のモードとなっていました。見た目も効果もとにかく派手な武器やガジェットが多数登場する本作ですが、それらがひとつのエリアを奪い合うために使用されるため、非常にカオスな戦場が生み出されます。
特にRPGやグレネードランチャー、火炎瓶など、広範囲に影響力を持つ武器が非常に映えるモードという印象でした。プラットホーム上に様々な投擲物が投げ入れられ、足の踏み場すらなくなってしまう状況もしばしば……。
また、プラットホームに乗らずとも、近づいてくる相手を遠くから狙撃するプレイや、周りの敵を小火器でせん滅するプレイ、あるいはスレッジハンマーを携えてプラットホーム上の敵を殴りつけていくプレイなど、非常に多くのプレイスタイルが活躍できるモードとなっています。より多様性のある、バラエティに富んだゲームプレイが楽しめることでしょう。
また、戦場の中心となるプラットホームは、あらゆる地形や建物を無視しながら目標地点まで移動し続けます。進路上の障害物はただただプラットホームに破壊されるのみ。プラットホームが建物を飲み込んでいく様は、さながら巨大なハリケーンが町をなぎ倒していく光景のようです。
さらに屋内を突き進んでいるときのビジュアルは、『Portal2』序盤のオープニングシークエンスを思わせるような迫力あるものとなっています。これが意図的なものかどうかは置いておくとして、往年のゲームファンに「ゲームはここまできたか」と思わせるような、インパクトあるビジュアル表現でした。