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「一瞬で壁を消しちゃう」「オブジェクトをぜんぜん別のものに変える」『THE FINALS』の新スキルがやりたい放題すぎてすごい。破壊要素マシマシFPS、シーズン2でさらなる自由度を得る

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サイバーな雰囲気がカッコいいシーズン2の世界設定、ゲーム文化への愛を感じるバトルパス報酬も見どころ

さて、ゲームプレイの変更点はここまでとして、ここからはシーズン2で繰り広げられる世界観についてお伝えしていきます。

CNSがゲームを乗っ取る

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シーズン1では、ラスベガスを舞台に繰り広げられるエンターテイメントゲームショーというのが本作の舞台背景であり、主なストーリーラインでした。案外言及されていませんが、実は本作はゲームを舞台にしたゲームという珍しい構造なんですよね。ゲーム内には架空のスポンサー企業が登場し、ゲームはその企業の出資を受けながら運営されているという設定です。

しかしシーズン2では、そんなゲームショーが謎のサイバー組織、「CNS」にハッキングされるという事態に。そう、「SYS$HORIZON」はCNSがハッキングしたワールドという設定なのです。

CNSの手によって、サイバーでギーク的な世界観に一気に様変わりしたショー。その行く末はどうなるのか?CNSの目的は?様々な謎を追い求めながら、プレイヤーはゲームの中に身を投じていきます。

個人的な感想ですが、これはある種「ゲームそのもの」にまつわる非常に示唆的なテーマだと思います。
ゲームは今やサブカルチャーの域から外れ、大衆文化の代表的なものとなりました。eスポーツなどの興行的イベントが日常的に目に入る昨今のゲームシーンの延長線上には、シーズン1で描かれたどこか商業主義的な、ショービジネスの香り漂う世界に結びつくものがあるようにも思えます。

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ゲーム中においてCNSは、そのようなショービジネスの世界へのアンチテーゼとして描かれています。実際、彼らの作り上げた世界は常に80年代、90年代のサブカル・ゲームシーンへの回帰的側面を持っており、開発者であるロブ・ルネソン氏、スヴェン・グランドバーグ氏も明確に「これらの世界観は80年代、90年代にヨーロッパで隆盛したデモ・シーン文化に影響を受けている」とインタビューの中で述べています。

CNSがそのようなアングラ・ミニマルなコミュニティだった頃のゲームを「奪還」しに来たのかはさておき、一枚岩ではないゲームの世界観が明示されることによって、本作は非常に重層的な意味を持つゲームとなった感があります。

ゲーム文化への愛で溢れるシーズン2

世界観がガラリと変わったシーズン2ですが、それが最も反映されているのは何と言ってもシーズンパスでしょう。

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シーズン2で獲得可能なアイテムはどれも往年のゲーム文化・ポップカルチャーのリバイバルを目指したデザインに仕上がっています。

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ドットやボクセルで表現されたアクセサリー、ブラウン管に流れる荒い映像、派手で目を引く蛍光色に彩られた武器スキンたちなどは、どれも魅力的です。中には2D時代の格闘ゲームをオマージュしたエモートも!どこか懐かしい気持ちにさせる数々のアイテムには、制作者たちの「あの時代」への愛が詰まっています。

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『THE FINALS』開発者インタビュー

イベントの最後には、開発を手掛けるEmbark Studiosのロブ・ルネソン氏、スヴェン・グランドバーグ氏、グスタフ・ティレビー氏のお三方にインタビューが行われました。最後に、その模様の一部をお届けして締めさせていただきます。

──シーズン2の雰囲気はこれまでの『THE FINALS』から大きく変わるものでした。ハッカー集団・CNSなど、こうした設定を採り入れた狙いはどこにあるのでしょうか。

ロブ・ルネソン氏(以下、ロブ氏):
CNSの構想自体はゲーム開発の初期段階からありました。シーズン1の段階から、ゲームやトレーラーの随所に仕組まれたCNSのメッセージに気付いたプレイヤーもいるのではないかと思います。

CNSは彼らの理想に基づいて(作中で描かれる)ゲームを変えようとする集団で、その真の目的についてはまだここでは明かせません。

設定以外の部分で言うと、雰囲気はCNSのイメージだけでなく、日本の8ビット、16ビット時代のゲームの要素を取り入れたデザインにしています。私たちのチームの多くはこの世代のゲームが初めて遊んだゲームであることも多く、非常に思い入れがあります。

シーズン2の世界は、80、90年代への私たちからのラブレターでもあるのです。

──CNSの着想はどこから得たものですか?

ロブ氏:
彼らのモチーフは80年代、90年代のデモ・シーン、サブカルチャーから大きくインスピレーションを受けています。その中にはゲームをハック、クラックするような文化も含まれており、CNSはそのような文化をアイデアのもとにしました。

実は、私たちの出会いやゲーム開発も、そういったデモ・シーンカルチャーの延長にあるんです。なので、CNSには初期のDreamHackやアミーガ(1980年代に発売されたコンピュータ)など、当時の思い出への愛着を込めたつもりです。

──シーズン1を振り返って、ユーザーからの反応や手ごたえなどはどのように受け止められていますか?

グスタフ・ティレビー氏(以下、グスタフ氏):
プレイヤーからの反応は、これまでの開発者経験の中で最もポジティブなものでした。ゲーマーの皆さんからの厳しい意見も覚悟していた中で、ここまで大きな反響を頂けたのは驚くべきことであり、とても感慨深いです。プレイヤーの皆さんにはとても感謝しています。

これから実現したいことはまだまだ沢山あり、新たなことを実験したり、実装するのがとても楽しみです。今回の新スキンやゲーム内コンテンツはすべてシーズン1から学んだものを活かしています。『THE FINALS』は巨大なサンドボックスのようなものであり、誰しもが楽しめるゲーム体験をお届けできるよう、これからもプレイヤーからの声に応えていきたいと思います。

──シーズン2ローンチ以降のゲームについて、どのような展開を考えていますか?

グスタフ氏:
シーズン1と同様、定期的アップデートに加え、ゲーム内イベントなども引き続き開催される予定です。どのようなものになるのかはまだ言えませんが、ユーザーが楽しめるイベントを計画しています。

また、シーズン2からは新モードやランクシステムの変更やプライベートマッチなど多くのゲームモードが変更・追加されます。それら変更に基づくバランス調整にも力を入れていくためにも、単にゲームを増やすだけでなく、プレイヤーのフィードバックを注視していく予定です。

──シーズン2では「感覚強化」が削除され、「非実体化装置」に変更されます。この変更についてメタがどのように変わると予想していますか?

グスタフ氏:
ゲーム内のメタは開発のビジョンとプレイヤーからのフィードバックが合わさったものであり、その中でもメタの変化はゲームの重要な要素だと考えています。シーズン2で私たちが目指すのは、よりバリエーションに富んだプレイスタイルを確立することであり、特定の武器やスキルを強制されることなく、プレイヤーが自分のスタイルで個性的にプレイできる環境を整えることです。

挙げていただいた「感覚強化」は今回のアップデートで一時的に削除されますが、プレイヤーのフィードバック次第ではゲーム内に再度実装することも視野に入れています。

──新マップの「SYS$HORIZON」はどのような点にこだわりましたか?

ロブ氏:
シーズン2の世界観と合わせるために、新マップの全体的な質感は、「ロード中で止まってしまったマップ」というコンセプトを押し出しています。街の設計はシーズン1の中で好評だったいくつかのマップを再現しました。ハッキングされたゲームの中という設定なので、これによりマップデザイナーはより実験的で斬新なアイデアを実現することが可能になりました。作り手としては非常に楽しいマップになったと思います。

実は「SYS$HORIZON」も他のマップと同様、現実に存在するロケーションをモデルにしているのですが、それがどこなのかについては、今の時点ではまだ秘密です。

──新モードの「パワーシフト」はシーズン2以降も継続的にアップデートされていく予定でしょうか?人気を博した場合はパワーシフトのランクも実装する可能性がありますか?

グスタフ氏:
パワーシフトの今後についてはまだ分かりません。まずはプレイヤーの反応を見て、このモードが継続して楽しめるモードなのかをしっかりと議論したいと考えています。不評であればゲームモードから削除する可能性もあります。

チームとして重要なのは、どのようなプレイヤーにとっても楽しめるゲームを実現することです。パワーシフトは誰でも楽しめるカジュアルなゲームモードとして実装しましたが、このモードが今後どのような展開になるかは、すべてプレイヤーの反応次第です。

──パワーシフトで遊べるマップは現状「モナコ」と「スカイウェイ・スタジアム」のみですが、これから新たなマップが増える予定はありますか?

グスタフ氏:
パワーシフトのマップは本来すべてのマップで遊べるようにしたかったのですが、ゲームルールとの相性の問題から、今回は「モナコ」と「スカイウェイ・スタジアム」の2つのみとなりました。しかしこれはあくまで「お試し」のためであって、これから相性のいいマップが見つかれば随時追加していく予定です。

──最後に、日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いいたします。

グスタフ氏:
シーズン2は愛とパッションを込めて作ったシーズンなので、ぜひ皆さんにプレイして頂きたいです。そしてプレイする中で、本作が持つ可能性を是非感じてほしいと考えています。本作は巨大なサンドボックスのようなもので、ゲームプレイはシーズンを通して大きく変化していきます。これからのシーズンでどのようなものが出るのかについても、その可能性にご期待いただけると嬉しいです。

ロブ氏:
PCゲームはとにかく楽しいものでなければなりません。本作はリリースされてまだ間もないですが、Embark Studiosのチームはこのゲームに愛とパッションを込めて精一杯作っているので、それを感じてもらえたら嬉しいです。競技志向のプレイヤーにも、カジュアルなFPSを求めるプレイヤーにも楽しんでもらえるよう設計したつもりなので、ぜひ楽しんでくださいね。

こうしてファンやメディアの方とお話をするのも大好きです!ぜひ私たちのコミュニティにいつでも参加してください。


シーズン2で大きな変化を遂げた『THE FINALS』。自由な破壊と環境利用、それらから生まれる多彩な戦略が本作の大きな魅力ですが、「非実体化装置」をはじめとする新たなスキルにより、戦略の幅はこれまで以上に広がりそうに思えました。

また、ゲーム文化への愛を感じるアイテムの数々やシーズン2の世界設定も見どころのひとつ。どこか懐かしさもあるアイテムやエモートを身に着け、サイバーな雰囲気漂う戦場に降り立つのも一興というものでしょう。

昨年12月に正式リリースを迎え、まだまだ始まったばかりである『THE FINALS』の旅がこれからどのようなものになっていくのか、今後の展開にも注目です。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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