ド派手な破壊表現と多彩なガジェット、そして独創的かつ魅力的な世界観で人気を博している基本プレイ無料のFPS『THE FINALS』。昨年のリリースから今年3月のシーズン2アップデートを経て、いよいよ6月13日(木)からシーズン3が開幕します。
シーズン3の舞台はなんと日本!京都を舞台にした和風な世界観を始め、刀や槍、弓矢など新たな武器の追加、ワイヤーによる引き寄せやサーマル掘削弾などユニークなガジェットやスキルも登場します。
そして、シーズン3ではゲームモードも新たに刷新され、シーズンを通して行われる「ワールドツアー」モードのほか、リスポーン無しのタクティカルなモード「ターミナルアタック」もランクモードに追加されます。
今回、筆者もこのシーズン3を体験する機会をいただいたので、その感想をお届けしたいと思います。和風全開のシーズン3はどのような姿を見せてくれるのでしょうか。
文/植田 亮平
文化財級の建物をゲーム内に再現。畳や屏風、窓、庭園に至るまで作り込まれた建築物を、もちろん破壊可能
シーズン3の目玉となるのは、やはり何といっても新マップ「KYOTO 1568」でしょう。日本がテーマとなるシーズン3を象徴する存在であり、マップ全体の作りこみは屋内、屋外を問わず非常に優れたものに仕上がっています。
マップに立ち並ぶ建物のモデルは京都の有名な観光名所たち。清水寺や東寺の五十塔、伏見稲荷の千本鳥居を意識したロケーションなど、さまざまな文化財が取り入れられています。もちろん、一部の例外を除きほとんどが破壊可能です。
建物の内装にもこだわりが見られます。畳はもちろん、屏風や襖、窓などに見られる建築様式もかなりしっかりと再現されているように見受けられます。
先ほども書いたように、これらは戦闘中にすべて破壊されますが。
これらの再現度の高さは、日本の庭園を意識した特定のロケーションや、寺社仏閣にあるいくつかの建造物まで及びます。高性能なマシンであれば室内照明の明るさから木や瓦の質感まで、より細やかな部分も楽しめると思います。
ゲーム自体に興味が持てなくても、日本を舞台にしたこのマップを歩いてみるだけでも価値があるかと思いますので、日本を舞台にしたゲームが好きな方にもぜひ探索していただきたいです。
バトルパスは侍の甲冑や板前装備、狐のお面、般若など日本要素がこれでもかと詰まった内容に。新武器「双刀」は近距離特化で敵をザクザク切り刻める
シーズン3のコンセプトはバトルパスにも色濃く反映されています。侍や忍者はもちろん、虚無僧や板前風、般若や狐のお面など、日本要素がこれでもかと詰まった内容になっています。
シーズンごとに世界観がガラッと変わるのが本作『THE FINALS』の特徴ですが、後述する武器も合わせれば、FPSというよりもむしろ「侍となって敵を倒すアクションゲーム」のような体験を味わうことも可能になっています。
シーズン3でもこれまで同様多数の武器、ガジェットが追加されますが、その中でもっとも注目するべきは何といっても中量級ビルドに追加される「双刀」の存在でしょう。個人的に侍の持つ刀は一振りが好みでしたが、実際に双刀をみたらとてもカッコよくてそんなことは吹っ飛びました。
この双刀は近接専用武器なので、銃のように遠距離から相手にダメージを与えることができません。
「近づく前に倒されるんじゃないの?」と思われる方もいるでしょうが、この武器はデフォルトで機動力が高く、前方へダッシュしながら切り裂くことも可能なうえ、前方からの銃弾を弾くこともできるという、かなりの優れモノとなっています。
攻撃力も高く、大体3回切り刻んだら相手を倒すことができます。正直言ってシーズン3の武器の中ではトップクラスの性能なのではないでしょうか。立ち回り次第ではありますが、かなりオーバーパワーなイメージを受けました。
その他にも、重量級では「スピア」が、軽量級では「リカーブボウ」がそれぞれ追加されます。
残念ながらあまり試す時間が無かったため詳しいことについては不明ですが、「スピア」は攻撃範囲の伸びたスレッジハンマーという印象です。もともと近接で戦うことが可能だった重量級ですが、ここにきてリーチも伸びたのでこれまで以上に個性的な立ち回りが出来るようになったと思います。
「リカーブボウ」は軽量級に追加された武器で、弓を引く長さによって射程と威力が変動します。弓と言えば山なりの軌道と偏差撃ちのイメージがありますが、自分が見ていた感覚では直線の、かなり素直な軌道で矢が飛んでいたので、FPSの弓の中では癖が少ない方ではないかと感じました。それでもやはり遠距離は厳しいかな……とも思います。
今回追加された武器は全体的に近距離、中距離での戦闘を志向したものになっていますが、これには先ほど紹介した新マップと、後述するゲームモード「ターミナルアタック」が強く関わっている気がします。
新マップ「KYOTO 1568」は日本の古い建物を再現している為、かなり道幅や屋内の空間が狭く、必然的に敵との交戦距離が近くなりがちです。また、部屋の間に仕切りが多いので敵の姿が視認し辛く、接敵するまで敵がどこにいるか確認できなくなっています。
これらの要素を勘案すると、「狭い空間で起こる急な戦闘を楽しむ」というのが本マップの、ひいてはランクモードの追加でさらに戦術的になった「ターミナルアタック」の醍醐味だと思われます。戦闘のレンジが大幅に縮まったのはその醍醐味を最大限に活かすためと私は解釈しました。
さらに、ガジェットも新たに追加されます。シーズン3で追加される新ガジェットは軽量級の「サーマル掘削弾」と、重量級の「ウィンチクロー」の2つです。
サーマル掘削弾は壁を掘り進む弾を発射するガジェットで、破壊用武器として活躍し、軽量級が扱うことのできるリカーブボウと併用して扱うことが想定されているようです。ガジェットで気軽に射線を通せるようになるのはかなりありがたいのではないでしょうか。
そしてもう一つのウィンチクロ―ですが、こちらは敵を引き寄せこちらに引っ張るという豪快なガジェットです。敵をフックするということで、使い方としては『オーバーウォッチ』のロードホッグとほとんど同じような感じになるかと思います。先ほど紹介したスピアには敵の銃撃を弾く性能が無いので、そのための救済措置という位置づけでしょうか。
5vs5で競い合う「リスポーン無し」のタクティカルモード「ターミナルアタック」と新マップの相性も抜群
シーズン2後半から追加された新モード「ターミナルアタック」は、5vs5で競い合う「リスポーン無し」のタクティカルモードですが、新マップ「KYOTO 1568」の追加はこのモードの面白さを際立たせています。
建物それぞれに独自の構造があり、襖などの仕切りにより部屋の数が多くなったことで、より立体的な攻めや、柔軟な突入経路が選択できるようになりました。
さらに、シーズン3からは新たにテキストチャットが追加され、より気軽にチームメイトと連携を組むことが可能に。「ターミナルアタック」はこれまで以上に奥深いモードとなりそうです。
これらの追加要素は「ターミナルマップ」がランクモードになったことと無関係ではないでしょう。ランクモードへの”昇格”は、本作が『VALORANT』や『レインボーシックスシージ』のようなタクティカルFPSを踏襲したことが、ユーザーからかなり好意的に受け入れられたことを意味しています。
もちろん、本作のスタンダードルールである「クイックキャッシュ」も忘れてはいけません。シーズン3からはメインモードの一つとして「ワールドツアートーナメント」が登場します。
このモードはいわゆる「イベントモード」的な立ち位置のもので、シーズン3を通してランキングを駆け上がっていくことが目的です。
2〜3週間ごとにルールやアリーナが変わり、リーダーボードを確認して自身の現在のランキングを確認することができます。ランキング上位者はワールドツアーのメニュー画面でアナウンスされるほか、イベントに参加すればプレイヤーカードなどの報酬も獲得できます。
自由だからこそ、幅広い世界観を見せてくれるタイトル。フットワーク軽くプレイヤーの声を取り入れて進化していく姿に期待高まる
シーズン2が実装される際にも先行プレイをさせていただきましたが、そのときに私は「自由なゲームだな」と感じました。世界観からゲームプレイまでガラッと変えてしまう懐の深さがこのゲームには確かにあるなと感じたのです。
そして、その感覚はシーズン3によってほとんど確信へと変わりました。シーズン2のギークカルチャー・サイバーポップな世界観から打って変わって、シーズン3で世界観は和風へと様変わりし、忠実かつロマンチックに再現された京都はこれまでとは全く違った体験を私たちに与えてくれます。
また、これまでド派手な破壊劇が魅力だった本作が、ランクモードにプロ志向のタクティカルシューターを追加したことも衝撃的です。ともすれば本作のコンセプトから逸脱しかねないこのモードを実装から一か月しか経っていない段階ですぐにランクモードにしたことは、本作がユーザーの声を実直に受け入れる姿勢を持っていることの証左ではないでしょうか。
これらの変更が、より多層なシューターファンへの訴求に繋がることは間違いないでしょう。そしてこのフットワークの軽さと世界観の自由度には、シューターファンのみならず多くのゲーマーに愛されるゲームとなるポテンシャルを感じます。
次々と建物が倒れていくダイナミックな戦場と同じように、シーズンを重ねる度に目まぐるしく変化する『THE FINALS』。今作がこれからのアップデートでどのように進化していくのか、これからも注視していきたいと思います。シーズン3はいよいよ6月13日(木)から開幕です。