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『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』は「負けそうなら、自分で刀を振るえばいい」アクションとストラテジーが融合した新しい作品。指揮や采配で足りない部分はアクションで解決、穢れを祓う儀式の遂行を目指す

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2023年の初報時から、その不気味な世界観で描かれる和の雰囲気が話題を呼んだカプコンの新作タイトル『祇:Path of the Goddess』。実は、本作に登場する敵「畏哭(いこく)」はさまざまなものが存在しています。

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この「畏哭」たちも本作の世界観を彩る不気味さを演出する要素のひとつであるのですが、不気味さだけが特徴ではありません。どこか憎めないかわいらしさがあるんですよね。

例えば、この「かまいたち」、ゴツい見た目のボスなのに鎌が地面から抜けなくなって焦ったり……。

だいぶ露骨に焦っている。

穢れを祓って人々を救うゲームなので最終的にはすべて倒す必要があるものの、戦いの激しさの最中で愛嬌を感じさせる姿はユニークで魅力的です。

本記事では、プレイして改めて感じた「アクションとストラテジーの融合」や、采配が問われる「転職システム」など、本作ならではの面白さをお伝えできればと思います。

また、記事後半には開発者への合同インタビューも掲載。先述の「畏哭」たちのデザインや、なんとも「粋」な本作のユーザーインタフェース、ジャンルが融合したゲームプレイなど、本作の気になるポイントに対する開発者の答えを聞くことができたので、あわせてご覧ください。

取材・文/Squ


アクションゲームとストラテジーゲームが融合した新たなゲーム体験「神楽戦略活劇」。昼は村を浄化して迎撃の準備、夜には異形を鎮めて、穢れを祓うための祭祀を執り行う

アクションゲームとストラテジーゲーム。一見相反する2つのゲームジャンルが融合する姿、想像できますか?

2023年6月に開催された「Xbox Games Showcase」で発表されたカプコンの新作タイトル『祇:Path of the Goddess』(くにつがみ)は、まさにそんな新ジャンルに挑む作品です。

まず、本作の魅力的な世界観について改めて紹介しましょう。主人公は護人の「宗」。プレイヤーはこの「宗」を操作し、山を覆う穢れをはらうために巫女である「世代」を要所まで送り届けます。さらに本作には昼夜の概念が存在しており、昼は村の浄化と迎撃の準備、夜には異形を鎮めます。幾つかの昼と夜を超えて巫女を護り抜き、「穢れを祓い、世の縺れ(ほつれ)を解き納める祭祀」を執り行うのです。

そして、本作のゲームプレイのもっとも大きな特徴は「アクションゲームとストラテジーゲームの融合」でしょう。

昼は村を探索して村人の穢れを祓う「アクション」、夜に備えて護衛に役立つ「仕掛け」を見つけて備える「ストラテジー」。夜は自ら剣を振るう「アクション」、村人を配置・指揮する「ストラテジー」。こうして両側面のプレイを楽しみながら、巫女を護り抜く「タワーディフェンス」のような要素も併せ持っています。

そして、ストラテジーゲームといえば一度選択した戦略は巻き戻せないことも多いのではないでしょうか。不利な状況に追い込まれていく自軍をもどかしい気分で見つめながら、その悔しさをバネに次の戦いに挑むわけです。

そんな中で、「じゃあ自分が介入できたらどう?」というアプローチから生まれたのが本作。自ら剣を振るうことで手の足りていない地点をケアするこができます。「戦略を潰されたら、アクションで切り抜けなければいけない」という緊迫感は、ありそうでなかった面白さを感じさせてくれます。

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▲画面右にいる屍肉侍はかなり強い。低級の畏哭を村人に任せ、主人公で優先的に倒すような立ち回りも出来る

先述のとおり、本作はアクション要素とあわせて「タワーディフェンス」のような要素を持った、ステージクリア型の作品です。村ひとつひとつがステージとなっており、村を浄化させるために儀式を執り行う巫女「世代」を穢れの根本である鳥居まで連れていくことを目指します。

巫女である「世代」を導くには、ステージ上で獲得できる「結晶」を使って「霊道」を引く必要があります。ですが、結晶にはもうひとつの使い道があります。ステージ中にいる村人を助け出し、結晶を使って彼らを「転職」させることで、共に戦う頼もしい仲間となってくれるのです。

つまりプレイヤーは「霊道」と「転職」どちらにどのくらい結晶を振り分けるか──というのを気にしながら攻略を進めなければなりません。

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こうして夜に備えていると、やがて日が沈み、敵である「畏哭」が出現するウェーブ制の耐久戦が始まります。早い日数でクリアしたほうが実質的な戦闘は減りますが、世代は先述の「霊道」で導いていく必要があります。

世代が目指す「鳥居」は畏哭の発生源の近くに設置されているので、無理して霊道を引いて鳥居近くに留まると敵のヘイトを集めてしまいます。このあたりのバランスも必要そうですね。

アクションを活用して早くクリアを目指すもよし、ゆっくり日数をかけて準備して職業持ちの村人と安全に戦うもよし。いろいろな選択肢を試しながら遊ぶことが出来るようですね。

村人に職業を割り振るユニークな「転職」システムでプレイヤーの采配が光る。リアルタイムに役職を切り替える柔軟性が攻略のカギ

今回プレイできた範囲では、地上での近接戦闘が得意な「杣人」など、個性豊かな7種類の職業が存在しています。もちろん強力な職になればなるほど使用する結晶の量は増加するので、所持している結晶の量と相談しつつ判断する必要があります。

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転職させた村人は、フィールド上のいたるところに配置が可能です。飛頭蛮などと相性の良い「弓取り」であれば高台に、耐久力の高い「角力」であれば分かれ道に……と状況に合わせた配置をしていくことで、世代への侵攻を食い止めていきましょう。

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ただ、実際に遊んでみると、予想していたのとまったく違う編成の畏哭が攻めてくることもしばしば。しかし、「せっかく準備した作戦が!」という歯がゆさを抱えながら指をくわえて見ている必要はありません。

本作ではリアルタイムの戦闘中にも、転職や配置換えが可能なんです。硬い敵が増えたから戦闘が得意な「杣人」を多めに配置してみようとか、村人の体力が危ないから回復ができる「巫術師」を入れてみよう、などといった柔軟なプレイングも楽しめるんです。

浄化した村をさらに「復興」させるやりこみ要素も。犬も撫でられる!

こうして儀式を執り行い、無事村も救えました。しかし、村を救っただけではこのゲームは終わりません。村人と協力して村を「復興」させるやりこみ要素も搭載しています。拠点復興の指示を出したまま、別のステージをクリアすることで村を復興させ、報酬を受け取ることが可能となっています。

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また、浄化後の村は非常に明るい光に照らされており、「浄化されたんだな……」と神々しいスッキリした気分に浸ることも出来ます。おどろおどろしい夜から一転、爽やかな浄化後の村に訪れてみるのもおすすめです。

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……なんかいますね。

だ……。しかも撫でられる。

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犬やシカといった動物の動きも細かく、スタッフの力の入れ具合が熱く伝わってきます。生命がこうしてのびのびと暮らせているのを見ると、異形を相手にした死闘にもより意義を感じますね。

人の心に縛りを作らないよう製作された自由なゲームプレイ、「儀式らしさ」を盛り上げる舞いはオリジナルで制作。ディレクター・川田脩壱氏とプロデューサー・平林良章氏が語る本作の魅力とは

──今回プレイさせていただいた『祇:Path of the Goddess』は新規IPということで、まだまだ多くの謎に包まれていると思います。早速にはなりますが、開発の経緯や本作の世界観についてお聞かせください。

川田脩壱氏(以下、川田氏)
まず、本作の世界観が日本のものに決まった理由についてお話します。きっかけは「和風」の世界観が自分たちの強みであったことが大きかったんじゃないかなと思います。僕自身、日本の文化がとても好きなんです。

──ゲームジャンルが決まったタイミングというのは、世界観が決定したのと同じ頃なのでしょうか?

川田氏:
和風であることやタワーディフェンスの要素をゲームに取り込むこと自体は最初から決まっていたんです。ゲームのシステムと画作りという部分を同時に考えることが多いのですが、両方が噛み合ってちょうどいい塩梅が自分の中で紐づいていていました。

自分はストラテジーゲームがすごく好きなのですが、「神様を守りたい」というコンセプトから連想していくなかで、タワーディフェンスの要素を強めていくと面白いかと思いました。

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──本作は一般的なタワーディフェンスゲームとは異なった趣向の作品になっていますよね。

平林良章氏(以下、平林氏)
本作ではアクションとタワーディフェンスを融合させた、新しいゲーム体験を目指しています。タワーディフェンスで楽しめる戦略的な面白さと、「自分が介入できたら」という”もしも”の要素をアクションゲームのアプローチで実現する、ミックスジャンルとしてのゲーム体験を生み出したかったんです。

川田さんはタワーディフェンスが好きだからこそ、最後の最後で負けが決まった時に自分が戦況に介入できないことに対しての歯がゆさやモヤモヤを理解していた。そこにどうにかして介入できたら面白いんじゃないのかな?っていうひらめきから派生したアプローチなんです。

──本作に登場する「畏哭(いこく)」たちの異形さに驚きました。特に印象的だったのが「かまいたち」で、自身の鎌が地面に刺さって抜けなくなり焦るような描写があり、かわいらしさや愛らしさのようなものも感じます。畏哭たちにはそれぞれ性格やキャラクター性のようなものを感じたんですが、いかがですか?

川田氏:
パッと見だと異形っぽさが際立って強いかと思います。そこで行動や、畏哭を構成する部品単位のような部分にかわいらしく感じられる部分を意識して取り入れています。今回デザインするうえで気をつけたポイントです。

日本の妖怪文化を手に取ったとき、「どこかかわいらしい部分があってもいいのかな」というのは自分でも思っていたんです。なので、動きや見た目を刺激的にしすぎないよう、ギリギリを意識してデザインしていきました。畏哭たちをご自身で深掘りしていただくことで気づくことの出来る要素も多いと思います。

──おふたりが好きな「畏哭」を教えていただけますか。

平林氏:
僕も「かまいたち」が好きかもしれませんね。たとえば、飛行している状態から釜を使って降りてきて、地面に刺さった瞬間の「今だ行けー!」っていうゲーム的なメッセージと、鎌が象徴している要素が噛み合っているというのが感じられるんです。

ゲームの流れ的にも、対空を考えて弓取りにシフトしなければいけないというシグナル的存在でもあります。攻防の部分も考えさせてくれる、印象深いキャラクターですね。

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──川田さんはいかがでしょうか。

川田氏:
僕は一番最初にデザインした「餓鬼」ですかね。あとは「飛頭蛮」が気に入っています。

本作は三人称視点で遊ぶゲームなので、カメラが引いていても映えるような面白みのあるデザインを目指しました。パッと見た気持ち悪さの中にかわいらしさがあったり、顔がなくて舌が出ていたり、それから特徴的な色使いも気に入っていますね。

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飛頭蛮は手の中に顔があるようなデザインが印象的です。顔があることで、呪詛が唱えられているようなところもふくめて気に入っていますね。

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──プレイしていて、たくさんの選択肢が用意されたゲームだと感じました。序盤にオススメなプレイ方法はあったりするのでしょうか?

川田氏:
開発スタッフの中でもプレイスタイルは人それぞれだったので、一概に何かをオススメするのは難しいかもしれません。本当に自由な作品なので、僕がクリアしたあとに他の人のプレイを見ていても、人間性が感じられるほど違いが出るんです。

なので、序盤の数ステージを遊んでいただいたうえで、ご自身にあったプレイスタイルを見つけていただくという方が、このゲームの考え方としてはマッチしているかなと思います。

平林氏:
特定の攻略方法みたいな部分に縛られずに、フラットな気持ちで挑戦していただければと思います。

──ストラテジー的な要素を併せ持ちながらも、リアルタイムの要素を取り入れた経緯があれば教えて下さい。

川田氏:
準備ができたから終わりというわけではなく、「限られた時間の中で、いかに自分で最適解を見つけていくか」という部分が問われる、タスクマネジメント的な側面もゲームデザインとしては踏み込んでいるつもりです。

また、リアルタイムでゲームが進行することで、進行に合わせた音楽構成や景色の移り変わりも表現できるようになりました。

同じ長さのステージでも、音楽の組み合わせで緊張感を生み出せますし、朝から夕方、夕方から夜といった面白みのある画作りをすることができるので、リアルタイムにした大きな利点だったと思います。

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──戦い方によって1ステージあたりにかけるゲーム内日数が変わってくると思います。はやくクリアすることで報酬があったり、逆に長くプレイすることでタイムリミットが迫ってくるような要素はあるのでしょうか?

川田氏:
どの様なユーザーさんにも遊んでいただきたいので、特段有利不利になるような要素はありません。ただ、日数部分に関してはやりこみ要素として何かしら用意はしていますよ。

平林氏:
人それぞれという部分でいくと、本作は皆さんのプレイスタイルのままに「世代」と旅をしていくコンセプトのゲームとなっています。

なので「日」の概念をリワードと紐づけしすぎてしまうと、早くクリアすることが答えかのように感じてしまう懸念があったんです。なので、彼らは何日くらいかけて山を旅したのだろうか?という部分だと考えてもらえるといいのかなと思います。

──その辺りのコンセプトも、企画段階から構想されていたんでしょうか?

平林氏:
人の心に縛りを作らないよう、仕様を策定していきました。

川田氏:
今回アクションとストラテジーというミックスジャンルである関係上、両方得意な人もいればどちらか一方が苦手な人もいらっしゃるはずです。その中ですべての方たちに楽しんでいただけるような調整していますので、どの様なプレイスタイルであれクリアできるかと思います。

時間をかけてクリアすると村人の雇用に使用する結晶を多めに獲得できる一方で、戦略の工夫を凝らすことにより最小限のリソースで速度感を持った攻略をすることもできます。どれが正解というのはないので、いろいろな気持ちで挑戦していただければと思います。

──ストーリーや世界観の見どころを教えてください。

平林氏:
このゲームでは、主にゲームプレイの楽しさを提供したいと考えています。そのため「山が穢れに覆われ、その穢れを払う巫女を要所のところまで守り導く」という比較的シンプルなストーリーとなっています。

また、ディレクターの想いとして大きいのが「ゲームが終わった後の読後感はプレイヤーそれぞれで異なる」というものです。物語が進む中で具体的な展開もありますが、詳細はプレイヤー自身がゲームを通じて見つけていただきたいです。

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──やりこみ要素などで考察していくような形を想定しているのでしょうか。

平林氏:
そういった部分もありますね。敵を倒していくことやリワードで手に入る絵巻などを通じて、皆さんの中で物語のつながりなどを構築していただければと思います。

川田氏:
一応、なぜ畏哭が襲ってきて穢れてしまうのか、なぜ儀式をやっているのかっていう部分まではハッキリと感じてもらえるようにはなっています。そこからさらに深堀りしてもらえるようなものも用意している形になります。

──時間が水盆に映りこむ月と太陽であらわされていたり、紙や巻物、扇子といった様々な和の要素が織り込まれたインターフェースに魅力を感じました。最近のゲームと比較してみても、シンプルさよりもリッチさを意識しているような印象を受けたのですが、どのようなコンセプトがあるのでしょうか。

川田氏:
コンセプト的なところで行くと、「徹底して和の雰囲気を作ろう」という想いを持って進めた形になりますね。

扇子が降りてくる演出を始めとしてスタッフの発想力で生まれたものもあるのですが、日本人が見て面白いと感じたモノが多いので全世界の方に楽しんでいただけるかなと思います。

もちろん、扇子の案を見せられたときは「多言語化どうするんだろう……」なんて思ったりもしたんですけどね(笑)。

平林氏:
僕も思いました(笑)。

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川田氏:
徹底して日本のモチーフを感じていただけるような雰囲気で制作していきました。視認性とデザイン性の落としどころには苦心をしましたが、楽しむという点で考えると思い切って突き進んだほうが体験への価値も生まれるのかなと思い今の形に落とし込んでいます。

例として水盆についてなんですが、チーム内での意見も色々出ましたが、侘び寂び的な部分も感じてもらいたかったので拘らせてもらっています。

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──職業ごとに用意された細かな衣装の違いも印象的でした。仮面を始めとした独特な衣装や彼らの職業はどのようにして生まれていったのでしょうか。

川田氏:
本作には杣人(木こり)をはじめとした様々な職業が登場しますが、基本的には舞台となる山で村人たちが生業としているものになります。さらに、これらの職業や人々を神として祀る文化も反映されています。彼らが儀式で神になりきるために仮面を用意していたり、仮面を奉納しているといったイメージが近いかもしれません。

祀るべき対象や力の象徴をテーマとして、それに沿って能力を振っていくという順番で考えていきました。

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──宗の武器を刀にした、という部分にも意図があったのでしょうか。

川田氏:
「厄を払う」という要素を考えたとき、神主さんが持っている大幣(おおぬさ)を記号化したかったんです。そこから考えを練っていき「刀を振り回して穢れを祓」うという部分に落ち着きました。なかなかアップにして見れる機会は無いと思うのですが、実は宗の刀自体に大幣の彫り込みが入っていたりもします。

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──そこまで詳細に考えられているんですね。アクション部分にも何かしらの意味が込められているのでしょうか?

川田氏:
アクションに関しては「何かの儀式の最中である」というところが前提として存在します。儀式の最中なので、一口に剣術で攻撃すると言っても踊りで見せるような部分をかなり意識して、エフェクトもできる限り飽きのこない派手なものにしたりした上でアクションを組み立てる。「何この動き!」と思ってもらえるようなアクションとして、舞や踊りという部分にフォーカスして動きを考えています。

なので、戦闘中にNPCを見ていただくと、優勢の時や準備中の時間に踊っていたりするんですね。そういったところもある種の見どころかなと思います。

──踊りですか!振り付けは独自に考案されたものなのでしょうか?

川田氏:
今はネット社会ですから、それぞれの神社さんだったりが神楽の様子をアップロードされてるんですね。そういった映像だったり地元のお祭だったりを見てインプットを続け、そこから振り付けの意味を理解して、再構築してゲームに落とし込むといった流れで組んでいきました。

アクション担当のスタッフと相談を重ねて、自分たちの作った世界観に合う踊りとは何かを研究して作ったものになるので、かなりオリジナリティのある舞いに仕上がったのかなと思います。

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──村人の豊富な職業も魅力的ですよね。今回体験できた以外にもたくさんの職業が用意されているのでしょうか。

平林氏:
もちろんいます。

純粋な上位種のような位置づけの職業というよりは、みなさんの戦略にバリエーションを持たせられるような職業をたくさんご用意していますので楽しみにしていただければと思います。

川田氏:
戦闘中の状況に応じてリアルタイムに職業を切り替えていくことも出来るゲームシステムにもなっています。ウェーブごとに異なる職業を採用する必要性も出てくると思うので、状況に応じて適切な職業を選択する臨機応変さも面白さになるかなと思います。

──たしかに、杣人だけで飛頭蛮に対応するのは大変でした。

川田氏:
プレイヤー側も敵側も役割という部分を非常に意識したゲームになっているので、ピンチに陥った時にどう対処するかといった複雑さが生まれているかなと思います。

──村人たちは名前がついている一方で、それとは対照的に仮面があったり職業を自分で決めたり、キャラクター性を自分で構築していくような要素が印象的でした。村人たちに名前が用意されているのにはどういった意図があるのでしょうか?

川田氏:
村人たちはそれぞれが固有の名前を持っていて、特定の村に居住しています。この狙いとしては、プレイヤーの皆さんの中で個性を広げていってほしいという思いがありました。実際にスタッフの中では「この名前のやつは絶対角力にするんですよ」みたいな人もいましたね。

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──プレイヤー間の話のタネになりそうですね。

川田氏:
そうなんです。まずは想像で「強そうな名前だな」みたいなことを思っていただければと思うのですが……。実は拠点内では村人の紹介文をご用意しています。「思ってたのと違う性格じゃん!」みたいなギャップも楽しんでいただけるかなと思います。

──村人同士で性能の差みたいなものはないのでしょうか?

川田氏:
特にご用意はしていません。「この名前いいよね」とか「この人なんか好きだな」といった部分から、キャラクターに愛情を持って一緒に戦う楽しさをご提供できれば幸いです。

──ストラテジーでありつつもアクションもあるという部分で紆余曲折あったかと思います。試行錯誤の過程についてお聞かせください。

川田氏:
会社でもストラテジー派よりはアクション派の人は多くではあるんですが、それぞれの意見を話し合いながらなので調整していく過程で自然と落ち着いていった部分があります。僕自身がアニメーション制作を以前やっていたという所もあり、宗の操作感やアクションについては触って気持ちよいプレイ感を目指しています。

触って気持ちよくてドンドンと敵を倒したくなるようなプレイ感を意図的に目指しています。ただ、気持ちいいからといってアクションで攻めすぎてしまうと、いつの間にか敵に圧倒されてしまうような状況も発生するので、自分自身でアクションをコントロールしてほしいです。

──ストラテジーゲームが好きなユーザーによるプレイも想定されているとのことですが、アクション部分ではどの程度の複雑さがあるのでしょうか。

平林氏:
操作面に関しては複雑すぎない、シンプルなボタン処理にしています。

攻撃面では2つのボタンの組み合わせだけで簡単にコンボが発生しますし、とはいえアクションとしての駆け引きはキープするために1ボタンで発動可能なアクションとしてパリィであったり、弓を利用した遠距離攻撃、緊急回避といった要素も存在しています。

川田氏:
弊社の品質管理チームでもいろいろな嗜好性の人にプレイをしてもらい「アクションと戦略性の具合」についてのフィードバックを多く頂いていました。

それらのフィードバックを軸として調整を続けてきたので、アクション好き・ストラテジー好き両方のユーザーさんに楽しんでいただけると思います。

──最後に、本作を楽しみにしている読者に向けて一言ずつお願いいたします。

川田氏:
こういうゲームを作らせてもらえる機会が貰えてよかったと思います。初報時にみなさんが思ってくれたこと、徐々に情報を公開していく中で理解を得られたことが非常に嬉しかったです。

自分たちでも面白い作品に仕上がったと思っていますので、一人でも多くの方に、このゲームが持つアクションやストラテジーの融合という絶妙な感覚を楽しんでいただければと思います。

平林氏:
少しでも新しいゲーム体験という部分にご興味がありましたら、本作をお手にとっていただければ幸いです。(了)


ストラテジーゲームを好きな人、アクションゲームを好きな人それぞれが満足できる、そんなゲームを作りたかったという川田氏らの熱い思いが「神楽戦略活劇」という言葉に詰まった本作『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』は2024年7月19日発売予定。

対応ハードはXbox One/Xbox Series X|S、PS4/PS5、Windows/Steamとなっています。なおXbox Game Pass加入者は発売日より同サブスクリプション内でのプレイが解禁される予定となっています。

また、7月2日午前7時から開催予定のカプコンデジタルイベント「CAPCOM NEXT – Summer 2024」にて本作の最新情報が公開されるとのこと。ぜひあわせてチェックすることをお勧めします。

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