ついこの間、『ゼンレスゾーンゼロ』関係のもろもろでシンガポールに行ってきた。HoYoverseさんからお誘いがあって、『ゼンレスゾーンゼロ』がリリース前だから、インタビューとか、説明会とか……なんか色々やるらしい。
普段、私はこの手の海外での仕事には全くいかない。
なんならずっと断っていた。
だって……移動とか、なんかめんどくさそうだし……。
でも今回はホテルも飛行機も、全部HoYoverseが取ってくれるらしい。えっ、すごいじゃん。さっすが、お金持ってる会社は違うね。じゃあ行くしかない。という感じで、『ゼンレスゾーンゼロ』のためにシンガポールまで行ってきた旅行記……みたいなものを書いてみようと思う。
たぶん、いつも以上に「私日記」になっていると思う。
いつも以上に、メディアに私の日記が載ってるだけになる気がする。
お時間あったら、どうぞよろしくお願いします。
文/ジスマロック
『ゼンレゾーンゼロ』に酷使されすぎ問題
まず、自宅から羽田空港へ移動する。
「そこから!?」とか思うかもしれないけど、ここからだ。
だから言ったじゃん私日記だって。
現在の私が疲れているせいで、なんだかローテンションな文章になっているけど、当日は結構ドキドキして……一切眠れなかった。日曜の朝に飛行機を取っていたので、土曜の22時くらいには寝てみようとする。ドキドキして全然眠れない。
こういう時はラジオを聞くに限ると思って「星野源のオールナイトニッポン」やら「楠木ともりのこと。」を枕元で再生してみるけど、全然眠れない。最悪だ。いつもこうだ。一番大事な時に限って眠れない。もう諦めて、kindleで買ったブギーポップを読んでみる。
時刻は午前4時を回って、もうここまで来たらオールナイトして羽田に行った方がマシだな……みたいな思考がよぎり始めた途端、眠気がやってくる。本当に最悪だ。このままではシンガポールに到達することすらできずに旅が終わる。日本を出る前からゲームオーバーしかかっている。気合いだ、気合いで起きるしかない。
……で、なんかボロボロになりながら羽田空港に行った。
私、つくづく社会人に向いていない。
誰か介護してくれる人がいないと、海外にいけない。
あと、この旅に唯一の心残りがあるとしたら、「出発日が日曜だったので、ニチアサを見ることができなかった」ことだ。いや、今のニチアサほんとに面白いんだよ。
『わんだふるプリキュア!』、『仮面ライダーガッチャード』、『爆上戦隊ブンブンジャー』、『ひみつのアイプリ』。全部面白い。数年に一度やってくる「全部面白い時のニチアサ」なんだ。黄金打線なんだよ。
でも、流石に「うかうかして飛行機に乗り遅れたらヤバい」という気持ちが勝ち、ニチアサより早めに家を出た。空港に着いたら、1時間の余裕があった。つまり早く着きすぎた。クソッ、わんぷり見れただろこれ!
Tverで後から見ればいいじゃん……って、そうじゃないんだ。
ニチアサはリアタイすることに意味があるんだ!
シンガポールに到着した。
空港についたらピックアップしてもらえて、信じられないくらい豪華なホテルに連れていかれた。部屋に入ってみたら、信じられないくらい豪華なホテルだった。これ人生の勝者しか泊まっちゃいけないホテルなんじゃないの。ありがとうHoYoverse、一生ついていくね。ところでこの旅行、来年はやらないの?
しかしこうして考えてみると、私は『ゼンレスゾーンゼロ』というタイトルに酷使されすぎな気がする。結局仕事を受けているのは私の判断だから、「自分で自分を酷使している」と言えなくもないのだろうけど、にしたって『ゼンレスゾーンゼロ』とは異様な付き合いの長さである。
改めて、しっかりカウントしてみよう。
そもそも初めて『ゼンレスゾーンゼロ』をプレイしたのは、昨年のTGSだ。元々気になっていたタイトルだったので、結構嬉しかった。そこから少し経って開催された第2回目のクローズドβテストに参加。
色々あって「ゲームさんぽ」に出演することも決まっていたので、また『ゼンレスゾーンゼロ』を触る。それよりもっと前から『ストリートファイター6』との対談が動いていたので、アレのために少し触った。そして今回のシンガポール……累計5回。もう限界だ。
ちゃんと数えたら、もっとプレイしているかもしれない。リリース前にここまで『ゼンレスゾーンゼロ』に酷使されるなんて、思ってもいなかった。明らかに触りすぎ。少なくとも、10ヶ月くらいこのゲームと付き合ってる。もう「戦友」みたいな気持ちが湧いてくる。
だから今回シンガポールに行く時も、「すいません、私はもう書きすぎたので、なんか旅行記みたいな感じでもいいっすかね」みたいなナメたことを言ったのにも関わらず、ホヨバさんは快諾。それでこの待遇。なんか逆に落ち込んできた。こんなんで、こんなんでいいのか?
李さんに会いすぎ問題
翌日。人生の勝者しか泊まってはいけないホテルの、人生の勝者しか通ってはいけない廊下を抜け、人生の勝者しか味わえなさそうなバイキングを食べ、エレベーターで移動すると……『ゼンゼロ』コーナーがあった。
豪華ホテルに突如出現する『ゼンゼロ』のビジュアル。
なんかすごいな。写真で伝わるかな?
まず、HoYoverseのグローバルPR担当の方から「HoYoverse社の沿革」について説明されたりした。
『崩壊3rd』などを含めた現時点で動いているタイトルを紹介したり、会社の理念を説明したり……なんか本当にホヨバで働かされてる気持ちになってきた。名誉ブリタニア人ならぬ名誉ホヨバ人な気がしてきた。やってることを考えると片足を突っ込んでいる気がしないでもない。
そして『ゼンレスゾーンゼロ』のプロデューサーを務める李さんから直接今作の説明があって、そのまま李さんとのインタビューに……で、それが掲載されたのがこの前のインタビューです。まだ読んでない方、よかったらどうぞ。インタビューはちゃんと真面目な内容なので。
よくよく考えると、私は李さんに会いすぎじゃないか。
ちなみに『ストリートファイター6』での対談がこの1ヶ月くらい前にあったので、その時にも李さんにお会いしている。当日、李さんとご飯に行ったりした。1ヶ月後、またシンガポールで李さんにお会いしている。朝食バイキングの時にたまたま遭遇して「あ、久しぶりー!」くらいのノリで握手したりした。もはやマブダチだよ。李さん開発のトップやぞ?
しかし、そんな方と何度もお会いできて光栄だったのは事実。李さん、また機会があったらお会いしましょう。またご飯行きましょう。ねぇ、やっぱりこれ来年もシンガポールでやらない?
そこから、『ゼンレスゾーンゼロ』の試遊が始まった。
今回触ったのは、もちろん最新ビルドである。つまり、私がこれまで触ってきたイベントでの試遊版やクローズドβテストとは違い、「(一部分を除き)ほぼリリース時にこれで行く」状態のビルドなのだ。
で、これまた面白いのが……いざ触ってみると、結構違いに気づく。
正直「(もう……俺はゼンゼロ遊び尽くしたよ……)」と思いながら遊び始めたけど、試遊版やクローズドβテストからは明らかに進化している部分がいくつもある。細かなUIやライティングに結構なアップデートが入っていて、「ちゃんと進化している」ことが感じ取れた。
まぁ……何回も遊んだのも無駄じゃなかったのかな……と、思ったりした。
きっと『ゼンレスゾーンゼロ』を触ったことがない方が大半かもしれないけど、今のすごい完成度に至るまでに、緻密なバージョンアップが重ねられてきたんだと思います。どんな大作だって、最初から完璧だったわけじゃない。同じタイトルにずっと付き合うと、こんな発見があったりする。
HoYoverseのシンガポールオフィスに行ってきた
そこから、HoYoverseのシンガポールオフィスにも行ってきた。渋谷にある日本オフィスには何度か行ったことはあったけど……さすがにシンガポールは初めて。一応、「HoYoverseの」本拠地はシンガポールだったりする。
ロビーに入ってみると、『ゼンレスゾーンゼロ』や『崩壊:スターレイル』のグッズがドドンと置かれていたり、ブロックで作られたパイモンがあったり……。日本オフィスも結構素敵なオフィスだったんだけど、シンガポールも中々に気合いの入ったオフィスです。
ここで何をしたのかは……内緒ですね。
内緒ばっかりですね。「内緒以外にしたこと」がシンガポールオフィスの見学だったのだから、もう仕方がない。とにかく内緒。良いオフィスでした。
ただ、「シンガポールオフィスに行きました、以上。」で終わるのも、なんだか忍びない。うーん、なんか書くことあるかな。前々から感じていた、「HoYoverseという会社の独特な空気」について書いてみようか。
私も、ゲーム関係のお仕事を始めたのはここ2~3年のことなので、そんなに業界全体に詳しいわけではないのだけど……HoYoverseのオフィスは、ちょっと特殊な雰囲気がある。
実のところ、「ゲーム会社」だからといって、その会社のゲームのグッズやら商品やらが、オフィスのあっちこっちに置かれているわけではない。だってそれはそう、ゲーム会社だって、ちゃんと「会社」なのだ。そこで働いている人たちだって、ちゃんと「会社員」なのだ。
あ、もちろんグッズがいっぱい置かれている会社もある。
でも、日本オフィスとシンガポールオフィスを含め、HoYoverseのオフィスはなんかもうあちこちにホヨバのキャラのグッズやパネルが置かれまくっている。実際に働いているところを見せてもらったこともあったけど、その人たちのデスクも、なんだかグッズがいっぱいあった。
要するに「自社愛がある」ってことなんだろうけど……にしたって、国が変わってもこの空気感が一貫しているのは結構すごい気がする。HoYoverse、愛の会社だね。これからも、この雰囲気を大切にしてほしい。自分は何目線なんだろう。
『ゼンレスゾーンゼロ』のリリースが近づくと眠れない
最近、個人的な悩みがある。
自分の関わったゲームのリリースが近づくと、不安になる。
別に開発に参加してるわけでもないクセに。
これは、『学園アイドルマスター』の時に結構感じていた。
自分自身が「これは間違いなく面白い、間違いなくヒットする」と判断してリリース前からいろいろと参加したけど、いざリリースが近付いてくると「これは……本当にみんな面白いと思うのか……?」と不安になってくる。
まさに、その現象が『ゼンレスゾーンゼロ』で発生している。
初めは「これは確実に2024年の話題をかっさらう」と確信していたし、実際にこうしてガッツリ関わらせていただいて「なんて光栄な!」という気分でもある。ただ、徐々に徐々に「これは本当にヒットするのか……?」という不安が上回ってくる。
別にゲームの完成度に不安があるわけでもなく、プロモーション的に致命的な何かがあったわけでもない。むしろ、盤石とすら言える気がする。だけど、『ゼンレスゾーンゼロ』に付き合いすぎてもう訳が分からなくなってきた。このゲーム、本当に人気なのだろうか?
そして、この気持ちに対するアンサーは特に何も出ていない。
豪華なセットで対談を撮ったり、ゲームさんぽを収録したり、シンガポールに行ってみたりしたけど、むしろ指数関数的に「不安」が増大している気がする。分からん、逆に自信がなくなってきた!!
もう、7月4日のリリースを座して待つしかない。
『崩壊:スターレイル』もリリース前からいろいろ一緒にやらせていただいたけど、「リリース前に付き合った期間の長さ」で言えば『ゼンレスゾーンゼロ』の方が上かもしれない。
はぁ……ここ1年くらいの結果が、いよいよ出てしまうわけですね……つくづく、開発に関わってはいないクセに偉そうな態度だ。でも、私みたいな末端の人間すらこう感じるのだから、運営チームはもっとプレッシャーがすごいはず。本当に多くの人間が関わって作り上げられた『ゼンレスゾーンゼロ』、とうとう7月4日に正式リリースです。
みなさん、事前DLはお済? スマホの調子は? PCのスペックは? PS5のコントローラーの充電は大丈夫? よし、なら行ってOK。『ゼンレスゾーンゼロ』の正式リリース、一緒に楽しみましょう。
……つーか、この記事は一体なんだったんだ?
別にこれ、「旅行記」でもないじゃん。どっちかっていうと正式リリースが不安すぎて眠れない私の日記じゃないか。こんなの日本国内で完結してないか? 支離滅裂にも程があるのでは?
まぁ、そのくらい『ゼンレスゾーンゼロ』はたくさんの人の思いと頑張りで送り出されるタイトルだってことを、どこかに書き残しておきたかったのさ……って言うと、いいオチになるのかな。とにかく、明日リリース開始の『ゼンレスゾーンゼロ』、どうかよろしくお願いします。