突然だが、『春の声』という曲をご存じだろうか。1882年、オーストリアの作曲家であるヨハン・シュトラウス2世が作った曲とされており、現代でもワルツ、ひいてはクラシックにおける代表的な楽曲の一つとして親しまれている。
穏やかなウィーンに訪れた春を祝福するような開放的なメロディー、美しく響くソプラノの伸びやかな歌声。それは聴く者の耳を癒し、優雅で壮麗なヨーロッパの風景へと誘ってくれる……。はずだった。
なぜこんなクラシック音楽の話を突然始めたかと言うと、今回紹介するゲームに『春の声』が用いられていたためである。ゲームのタイトルは『ももっとクラッシュ』、ジャンルはリズムゲーム(音ゲー)である。
そんなクラシックの名曲『春の声』を使った音ゲー、『ももっとクラッシュ』の実際のゲームプレイ画面がこちら。
ふとももで挟む、ただそれだけ。一転突端なスタンスに圧倒されるリズムゲーム
正直記事として伝えたいことは以上なのだが、「それじゃあどんなゲームか分からないよ!」という読者の方もいるであろう。
もちろん私とて本心では「どんなゲームって……こんなゲームだよ」と思ってはいるが、これが全てではないのもまた事実。なので、このゲームについての簡単な解説をしようと思う。
本作は画面上に流れてくる敵に合わせてタイミング良くボタンを押す正統派のリズムゲームである。ゲームに使うのはふとももを挟むためのボタンただ一つだけ。ちなみにジャストタイミングの「良」判定をとると、ふとももの「ふにっ」というSEがちゃんと鳴る。
コントローラーを魔改造してウケを狙った動画を取るもよし、ハイスコアを狙ってガチでゲームに挑むもよし、万人が楽しめる素晴らしいゲームデザインである。個人的にはネットで話題のバカでかいEnterキーを使って遊んでみたい。
ちなみに、楽曲開始前にはキャラクター選択が可能である。
キャラクター選択画面にステータス等は見当たらないため、これはもっぱら「ふともも」の好みで選ぶのがよろしいかと思われる。ちなみに今回遊んだ範囲ではいわゆる“地雷系ファッション”っぽい服をきた左の女の子しか選択できなかったが、私的には画面右側のガーターストッキングを履いたシスター服の女の子で挟まれた……プレイしたい。
本作のの開発を務めるのは、アニメ作家を交えた開発体制が特徴のインディーゲームスタジオ・SKOOTA GAMESだ。ウェブメディア・SKOOTAにて公開された記事によると、『ももっとクラッシュ』の作者は「太ももを描くのが大好きなアニメーター」であり、「可愛い女の子の太ももを存分に描きたい」という思いで制作しているという。
今回ゲームを遊ばせていただいた「BitSummitDrift」の会場では、同スタジオに所属する個性あふれるクリエイターの方々が暖かく試遊を見届けてくださった。もちろんブース内にはこの『ももっとクラッシュ』以外にも多くの素晴らしいゲームが展示されていた。が、今回は記事のテーマが散逸しないように本作のみに絞らせて頂きたい。
挟んで癒して倒す。ただそれだけ—―—―。(公式)
『ももっとクラッシュ』の公式サイトには以下のようにある。
「リズムに合わせて、挟んで癒して倒す。ただそれだけ——――。」
至言である(というかやっぱりそれだけのゲームじゃねえか!!)。
数多のゲームがより多くのシステム、より多くのゲームデザインを一つの作品に詰め込もうとする趨勢の中、自らのゲームデザインに対し自信を持って「それだけのゲームです」と言える本作の背中、いや、ふとももはあまりにも大きい。ボタンが一つだけでも、1種類のゲームプレイしかなくても、ゲームは成立するのである。
むしろ、これこそがプリミティブな「遊び」の在り方かもしれない。このゲームを遊べないという人間はいないだろう。老いも若きも、ふとももで敵を挟むというゲームプレイを楽しむことができるのである。ゲーム画面を観た母親が「操作が複雑すぎて何をやっているか分からない」と言う心配はこのゲームには無用である。
このゲームを母親の前で遊ぶこと自体がある種禁忌であることを無視すればの話だが。
最後に、本作の公式サイトに記載されている本作の説明を引用してこの記事を終わりたいと思う。本作の公式サイトはかなりこだわりの入った面白い作りとなっているので、『ももっとクラッシュ』が気になる方は是非とも訪れてみてほしい。
ふとももに挟まれたい、そんな欲望を持ったことはありませんか?
あのふともも、このふともも、すべてが素晴らしい!
あぁ、癒しのふともも、そんな夢の街がここにあるのです。
さあ、今こそ!その欲望を解き放つとき!もう抑える必要などありません!ありったけの、ふとももをあなたに—―――。