「川野さん、プロレス好きですよね?」
ある日、副編集長からいきなりこんな打診があった。
「大好きです、いや愛してますけど、どうしましたか?」
「今度、『WWE』の試合があるんですけど取材に入りませんか?」
もちろん、存じております。5年ぶりですよね。『WWE』の日本ツアー。って、マジすか。
電ファミはゲームメディアで、スポーツ(プロレス)メディアではない。ないのだが、オカダ・カズチカ選手が新日本プロレスを退団することを発表した際に、記事化していた(私が書いた)。
詳しく話を聞いてみると、WWEのスポーツゲーム『WWE 2K24』の紹介を兼ねての取材依頼が届いたとのこと。ゲームメディアに問い合わせがあったのもその影響らしい。
ちなみに、電ファミのスタッフの中でプロレス好きは営業の私のみ。記者では無い人間に白羽の矢が立つのは電ファミならではと言ったところだろうか。
前述した通り、私はプロレス好きだ。正確には、新日本プロレスのファンだ。
この話が進んでいる時に、新日本プロレスの真夏の最強戦士決定戦『G1クライマックス』の開幕直前公開会見を仕事の合間をぬって見るくらいと言えば伝わるだろうか(ゲイブ・キッドが素晴らしかった)。
好きなレスラーは新日本プロレスの矢野通選手、YOH選手、エル・デスペラード選手、上村優也選手。
気になるレスラーは現在、プロレスリング・ノアで武者修行中の大岩陵平選手とDDTプロレスリングの平田一喜選手。
女子で言えば、スターライト・キッド選手と渡辺桃選手…。多いな。
こんな感じで、日本のプロレスを中心に見ているタイプ。WWEをリアルタイムで追っている訳ではない(最近はABEMAで見やすくなっているので興味はある)。なので、「お前はWWEユニバース(WWEファンの総称)か?」と問われれば、すいませんという感じ。
ただ、スーパースターを一人も知らないのか?と言われたら、全く無知かというとそうでもない。
現在『WWE』で活躍しているスーパースターの中には、新日本プロレスのマットを席巻した“ガイジン”選手も多数在籍しているためだ。
今回、来日したスーパースターも新日本プロレスで活躍していた選手が多数。
『IWGPヘビー級』を2度戴冠したAJスタイルズや『The Elite』の一員として、本場の華を教えてくれた”アメリカン・ナイトメア”コーディ・ローデス。
フィン・ベイラー(元Apollo 55 プリンス・デヴィット)など。最近では、タマ・トンガ・タンガ・ロアとかね(全員バレットクラブ)。
日本人のスーパースターも忘れてはならない。イヨ・スカイとカイリ・セイン。欠場中だったが、ASUKAも来日していた。
そんな日本でも高い知名度を誇るスーパースターの中で、私が一度は生で見てみたいと思っていたのが、中邑真輔選手だ。
『キング・オブ・ストロングスタイル』。僕にとって憧れの存在と言えばいいだろうか。
私がプロレスにどっぷりハマったタイミングでは、すでに海を渡っていた。その代わりに、過去の試合を山ほど見た。書籍もほとんど買った。何度も読んだ。
そんな彼の試合を間近で見ることができるチャンスがやってきた。
『WWE』の公演に行く。新日本プロレスのファンが『WWE』の世界を堪能するとどんな気分になるのか。
今回、細かな試合内容や感想は割愛させていただく。そういったことはプロレスマスコミの仕事だ。私の感想文として受け取ってほしい。
ぜひ、読み進めていたただけるとありがたい。
文/川野優希
WWEの世界
『WWE SuperShow Summer Tour 2024』は2024年7月24日〜26日にかけて行われるツアーだ。
大阪を皮切りに東京(両国国技館)公演を2Days開催する。
開演の20分前になると、バイロン・サクストンと藤沢俊一郎氏が登場。とにかく煽る。盛り上げる。
これが世界一の団体『WWE』の世界か…!そんな気持ちにならざるをえないほど会場の熱気が凄い。
私も仕事柄、エンタメの現場には極力足を運ぶようにしているが、ここまで熱気がある空間もなかなか無いと感じた。
スーパースターが登場する度に、会場全体でチャント(合唱的なもの)が巻き起こる。
このチャントがやりたかったのだッ….!
そんな気概が会場をビンビンに包んでいることが肌で分かる。日本の『WWEユニバース』にとって5年ぶりのショーであるのは間違いないのだが、ここまで熱狂の渦というワードがしっくり来る空間も珍しいと思う。
試合を見ていて改めて感じたことなのだが、日本のプロレスと異なり、明らかにベビーフェイスとヒールが明確に別れている印象があった。
現在の日本プロレス(新日本プロレスと書いたほうがいいか)は、ヒールが歓声を受けているケースも珍しくない。
反体制側の存在だが、ファンの支持を集めている。ヒールというよりも、ダークヒーローが多く存在しているといえば伝わりやすいだろうか。
私はこれが当たり前の印象だったのだが、『WWE』ではそんなこともなく、バキバキに歓声を浴びるベビーフェイスとブーイングしか飛ばないヒールが明確に分かれていた。
ベビーフェイスがヒールに攻撃すれば、大歓声。
ヒールがベビーフェイスに反撃すれば、大ブーイング。
この明確に分かれている完全調和な世界は、
最もアンダースタンダブルで、最もエクスタシーで、そして最もエキセントリックな世界だったと言っても過言ではないだろう。
特にブーイングという状況が堪らなくいい。現在の新日本プロレスでは、『バレットクラブ(特に『HOUSE OF TORTURE』)』にのみ浴びせることが許されたブーイング。
ブーイングを声で発するということがこんなにも快感だったのかと再認識させる時間が何度もあった。
プロレスは日常のストレスや嫌なことを忘れさせてくれる魔法のような力があるとは使い古された表現だが、まさにそれを体現しきっている印象を受けた。
※実際はベビーとヒールの逆転現象も起こっているようなので、今回の日本ツアーはそうだったという受け止め方をしていただきたい
はじめて見た中邑真輔
さて、ここからは初めて生で見た中邑真輔選手について書いていく。
今回の東京公演初日では、第1試合でいきなり登場した。いきなりだ。新日本プロレスなど日本の団体でメインイベンターが第一試合にエントリーすることはまずあり得ない。
※これもう約3000万再生とかいってるのか
現在の入場曲『The Rising Sun』がヒットすると、日本武道館から怒号のような大歓声が鳴り響いた。
SHINSUKE NAKAMURAが来るぞ!!いきなり来たぞ!!!!と。
「一番スゲェのはプロレスなんだよ!」
「いや、大好きだったんですよ。ガキの頃」
「生きたいように生きる. なりたい自分になる. それがプロレスラーだろ」
などの超名言たちが脳内でフラッシュバック。
これまでの日本人が『WWE』でデビューする時、新しいリングネームがつくことがスタンダードだった中で、SHINSUKE NAKAMURAとしてデビューを果たすなど、前人未到の道を切り開いてきた中邑真輔選手。
彼を生で見た感想は一言でいうと。カッコよ過ぎるだった。
とにかく華が凄い。同じ日本人ですか?と思わず息を呑むほどに。
スタイリッシュでオリエンタルな出で立ちに目を奪われていた。
指先から足先にいたるまで、全て計算されているようで、脱力された自然体。
殺気をまとっているように見えつつ、会場全体を手のひらの上に乗せるほどの余裕がある。これが本物のスーパースターなのかと、何度も鳥肌が立った。
レヴェルが違う。
職業はスーパースター。この言葉が本当にしっくりくる。プロレスファンで今の中邑真輔選手を生で見たことがないという方は一度絶対に見たほうがいい。一目見るだけでチケット代の価値がある。そう思わせてくれる存在だった。
WWEのゲームが絶賛配信中
『WWE』のショーは人生で一度は見たほうがいい。そう思わせるほどのインパクトがあった。
では、『WWE』のゲームはどうか。
現在、『WWE 2K24』は、PC(Steam)・PS5・PS4・Xbox Series X|S・Xbox Oneで配信されている。
正直、英語が苦手な日本人がプレイするには少々ハードルが高い。日本語表記がなく、全て英語で遊ばなければならないためだ。
ただ、普段から『WWE』を追っているユニバースであれば、言語の壁なんてひょいっと超えられるはずだろう。YouTubeをちょっと検索すれば、解説・攻略動画もあるわけだし。
このハードルさえ超えてしまえば、その先に待っているのは、『WWE』の魅力をゲームとして再構築した世界である。
『WWE 2K24』は些細な動作までこだわり抜かれているので、文字通り、あなたが好きなスーパースターをあなたの手で動かすことができるのだ。
過去のレジェンド含めて40年のWWEの歴史が詰まっている本作は感嘆深い一面も備わっている。この感動や興奮は一度、体験してみて損はないと思う。
・【『WWE 2K24』クレジット】
対応プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC
発売元:2K
開発元:Visual Concepts
発売日:2024年3月8日発売
価格:『WWE 2K24』レッスルマニア40周年エディション ¥16,170 『WWE 2K24』デラックス エディション ¥14,800 『WWE 2K24』 ¥7,700
対象年齢:CERO C 15才以上対象
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