少女リリィが滅びた王国の謎を解き明かす2DのアクションRPG『ENDER LILIES: Quietus of the Knights(以下、エンダーリリーズ)』は、Steamで3万1000件以上のレビュー中94%が好評としており、圧倒的に高い評価を得ている作品だ。
そんな同作の続編『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist(以下、エンダーマグノリア)』は3月より早期アクセス版としてリリースされた。
同作はすでに3600件以上のレビュー中97%が好評とし、早期アクセス版ながら注目を集める作品となっている。
そんな『エンダーマグノリア』は、「2Dソウルライク」「メトロイドヴァニア」でありながら「親しみやすい」という一見矛盾する要素がなぜか両立している作品である。
さらに、ダークファンタジー調の世界を儚げな少女が旅するソリッドな世界観や、ダークなボスを打ち倒し、仲間にしながらステージを踏破していくというユニークなシステムも携えている。
「メトロイドヴァニア」の作品は数あれど、前述した本作ならではの要素から、明確に独自の立ち位置を確立したタイトルと言えるだろう。
このたび、欧州最大規模のゲームイベント「gamescom 2024」にて、本作を手掛けるアドグローブおよびBinary Haze Interactiveの代表・小林宏至氏へインタビューをする機会をいただいた。
インタビューでは、ゲーム開発において小林氏が重んじている“独自性”についてや、『エンダーマグノリア』の開発秘話、そして製品版の展望などを窺うことができた。
本記事を通じて、『エンダーマグノリア』から感じる親しみやすさの理由、優れたゲームの条件、そして開発にあたって「ほぼすべてのフィードバックに目を通した」と語る小林氏の情熱が伝われば幸いだ。
なぜ「2Dソウルライク」なのに心地よく、親しみやすいのか。
──本日はよろしくお願いいたします。
『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト』は、すでに3000件以上のレビューのうち98%が好評とする高い評価を獲得しています。早期アクセス版の反響はいかがでしょうか。
小林宏至氏(以下、小林氏):
そうですね。評価はとても高い評価をいただいていて、一安心しています。
ただ、現状ではまだ「早期アクセス版がリリースされている」ことの認知が足りていない印象もあります。その点に関しては、これから実施するプロモーションで高めていく予定です。
──ユーザーからの評価に関連して、前作である『エンダーリリーズ』は販売本数が150万本を突破した話題の作品です。
大ヒットを経て、改めて続編の開発に至った経緯をお伺いしたいです。
小林氏:
やはり、『エンダーリリーズ』の大ヒットにより「絶対売れる」という確信があったことも、続編を開発した理由のひとつではあります。
ですが、『エンダーリリーズ』と同じゲームとして「やり切れていない要素」もありました。なので、実は『エンダーリリーズ』がリリースされる前から続編を作ることは決めていました。
──かなり早い段階で続編の計画があったとは、驚きです。
小林氏:
続編の計画があったことが、『エンダーリリーズ』のDLCを作らなかった理由のひとつです。
また、DLCを出すよりも新作の続編を出した方がユーザーとしても嬉しいんじゃないかとも思いました。
ですので、『エンダーマグノリア』の開発は『エンダーリリーズ』が発売し、少し休んだ後に開始しました。
──今作『エンダーマグノリア』は、前作から数十年後の世界が舞台となり、ゲームシステム以外にもさまざまな要素が変化しました。続編を制作するにあたって、どのような意識で作風を決定しているのでしょうか。
小林氏:
続編を制作する際に「そのまま引き継ぐべき前作の良い要素」と「変える必要がある要素」の判断を絶対に間違えてはいけないという意識がありました。
まず、『エンダーリリーズ』の作風自体はユーザーさんに気に入って頂けている要素だと思うんです。
我々は第一に手触りの良さを重視して、そのうえでUIの親切さ、敵の手応えの丁度良さ、ビジュアルの良さも意識しています。
手触りの良さをベースに好ましい要素が重なることで「世界観は切ないけど、なんだか心地が良い」と感じられる点が、我々として分析した『エンダーリリーズ』の作風だと考えています。
なので、そういった手触りの良さ──「切ないけれど、心地が良い」作風は、変えてはいけない要素として認識しています。
──本作のジャンルは前作に引き続き「2Dソウルライク」「メトロイドヴァニア」といった形式の作品です。それらのジャンルは難しい作品が多い傾向にある一方、本作は前作以上に楽しみやすいバランスになっています。
どのような経緯で、本作の親しみやすい作風が確立したのでしょうか。
小林氏:
我々の考えとして、優れたゲームとは「ゲームを攻略することに集中できる」作品だと思っているんです。
今作で言えば「ボス戦」に集中し、ボスをどうやって倒すか。その点を前作以上に重視しました。
──なるほど。「ゲームの攻略に集中できる」ようにするために、どのような工夫をなされたのでしょうか。
小林氏:
この点はいろいろな価値観があると思うのですが、あくまで僕はすごく膨大なボリュームのゲームを遊ぶと、ちょっと疲れてしまうんです。
もちろん、ボリュームの大きい作品ならではの魅力もありますし、そういった作品でも面白いゲームは沢山あります。
ただ、僕としては「早く次のボスと戦いたいな」と思ってしまうタイプなんです。
なので、今作では「次にどこに行くべきか分からず、途方に暮れる」ような難しさは撤廃しました。
──なるほど。たしかに、本作では探索においても不必要なストレスを軽減する姿勢がうかがえました。
迷い過ぎてしまうことがないからこそ、ボス戦や、ボス戦までのプロセスに集中できると。
小林氏:
たとえばダンジョンを探索するとき、なんとなく頭の中で探索した範囲を記憶していますよね。
そのなかで、探索しなければいけない範囲が「記憶できる範囲」を超えてしまうと不快さを感じてしまうと思うんです。
だからこそ「ここは全て探索した。あっちは未だ探索していなかったな」と、自分で覚えられる範囲で迷うことは心地よい。
今作では、そういった“一番心地いいバランス”を意識してレベルデザインを行いました。
──そういった遊びやすさに関して、本作では「ガードカウンター」や連射遠距離攻撃の「バラージショット」など、キャラクターの立ち回りを強化するスキルをかなり序盤のうちに入手できます。
プレイヤーのできることが増えていくテンポの良さは、どういった背景を元に実現されたのでしょうか。
小林氏:
この点は、アーリーアクセスの時点でユーザーになるべく多くの体験をしてもらいたいという狙いがありました。
いっぽうで、本作は前作以上の制作期間や制作費があるため、アーリーアクセスの範囲以外でもさまざまな新要素が用意されています。
前作は限られたリソースを適度な距離感で配置することで「ユーザーさんを飽きずに楽しませる」という意識がありました。今回は序盤からリソースを増やしても尽きることがないため、かなりリッチな仕上がりになっていると思います。
──メトロイドヴァニアといえば、新たな能力によって探索範囲やプレイヤーができることが増えると大きなカタルシスを感じます。そういった体験が増えるのは、まさに豪華な仕様ですね。
小林氏:
そうですよね。「こんなにテンポよく新スキルを提供しても良いのか」という疑問も浮かぶかと思いますが、本編ではご満足いただけるようにたくさんのリソースを控えているため、ぜひ安心していただきたいです。
──BitSummit Driftで実施されたSIE・ 吉田修平氏との対談にて「ほぼすべてのフィードバックに目を通している」と仰っていたのが印象的でした。フィードバックの意見を受けて改善したポイントはありますか。
小林氏:
基本的には自分たちも感じていた問題点が多かったのですが、とくに「敵のボリューム不足」という前作の問題は重要なポイントでした。「後半にまたコイツが出てくるのか」という感覚は、やはり改善すべきです。
この点は、先ほどお話させて頂いたようにリソースが増えていることと相まって、かなりバリエーションが増えていると思います。
──なるほど。開発期間や予算などの大きさが、明確にゲームの魅力に活きているんですね。
小林氏:
あとひとつ、これは僕としては気になっていた前作の欠点なのですが、「四角い背景」が多かったんです。
この問題の根本は、「キャラクターが平面しか歩けない」という点でした。キャラクターが歩ける所は平らにせざるを得ないため、結果としてステージがカクカクとブロックで作られているような形になってしまう。この点の改善は前作ではできませんでした。
ですが、今作の開発においてはキャラクターが斜めに上ったり、下ったりするキャラクター制御が可能になったため、「ステージがカクカクする」問題が解消できました。
──スクショやPVを見る限りではあまりカクカクしているような印象はありませんでしたが、やはりプレイしていると気になる部分も解消できたと。
小林氏:
とくに、開発の初期バージョンでは如実にゲームの欠点が見えるため、開発者はその欠点に気付くんです。装飾などでなんとかカバーしようと試みたものの、「画面が四角になってしまう」点を指摘していたユーザーレビューもありました。
──つまり、今作ではユーザーからのフィードバックを受けたポイントを、かなり開発の初期段階で改善したんですね。
小林氏:
全てに対応できた訳では無いのですが、自分たちも気になっていて、ユーザーさんからもご指摘を頂いたポイントはできるだけ改善しようと試みました。
──かなりフィードバックも取り入れつつ作り上げた『エンダーマグノリア』において、特にユーザーの皆さんに楽しんで欲しいポイントはありますか。
小林氏:
まず、前作における「悲壮感があり過ぎて辛い」作風よりは親しみやすくなっていると思います。
前作の冷徹な世界が好きだった方には寂しいと感じるかもしれませんが、本作の世界では人間が生存しています。ですので、より多くの人が作品の世界を楽しめると思います。
また、今作では仲間との会話が可能になりました。
前作では皆さんが想像の中で楽しんでもらっていた仲間との関係性が、今回はある程度作品を通じて楽しめると思います。
──前作である『エンダーリリーズ』からボスが仲間になることは大きな魅力のひとつでした。その賑やかさを一層楽しめるのは素敵ですね。
小林氏:
あとは、難易度選択で「ハードモード」が選べる点もぜひ注目して頂きたいポイントのひとつです。
早期アクセス版では「ノーマルモード」のみであるため、「ちょっと簡単すぎるんじゃないか」という意見もいただきました。その点、製品版に実装される「ハードモード」は前作をクリアした方に最適な難度となっています。
──前作をクリア済の方であれば「ドンと来い」という歯ごたえになっているんですね。
小林氏:
前作をプレイした方には、ぜひ「ハードモード」で遊んでいただきたいです。
ただ、この点は「前作の難度が中途半端だった」ことの反省でもあるんです。
──というと?
小林氏:
前作の難度は、難しいゲームを遊びたい人にとっては「簡単すぎる」一方で、「ストーリーを楽しみたい人には難しすぎる」というバランスになっていてしまったんです。
だから中途半端な難度でした。この問題を解決すべく、ハッキリ住み分けられる難易度の選択を設けました。
──確かにさまざまな作品において、「作風が好きだけど難しすぎる」と感じている方は少なくない印象です。
小林氏:
そうですね。やはり前作においても「世界観」をきっかけに遊んでくださる方が結構多かったと感じたんです。であれば、そういった方にも気持ち良くエンディングを迎えられることが好ましいと思います。
ただし、やはり『Hollow Knight』と比較されるケースも多いため、もう少し手応えが欲しいという意見がありました。ですので、「難しいゲームに慣れている人」に向けて、製品版には難易度選択を用意したかたちになっています。
──何気なく親しんでいる「難易度選択」ですが、それが存在する意義は明確にあるんだと理解しました。
小林氏:
やはり、本作では他のメトロイドヴァニアと比べると、世界観やキャラクターの魅力を感じていただけている人がかなり多いと思うんです。
そういった背景が『エンダーリリーズ』にあるからこそ、作品の難度について考えました。
「メトロイドヴァニア」だけど高く評価される世界観/ビジュアル。素敵な作品に感じる「独自性」
──やはり、ユーザーの反響のなかでも世界観やビジュアルが好きな方が多いのでしょうか。
小林氏:
あくまでも僕の体感ですが、ゲーム画面や世界観に惹かれて手に取ってくれた方が多い印象です。
「メトロイドヴァニアとして良くできている」という評価もあるとおもいつつ、レビューなどでは明らかに世界観やビジュアルを褒めていただいている場合が多いですね。
──絵作りに関しては、今作『エンダーマグノリア』は前作から変化し、かなり文明色が強化されたように感じます。
小林氏:
絵作りに関しては、また前作と同じゴシック調のダークファンタジーではなく、新たなスタイルを採用したいと思ったんです。
また、私はもともとスチームパンク的な情報量の多い絵作りも好きなんです。ですから、『エンダーマグノリア』ではそういった作風を採用し、前作をプレイしたユーザーさんにも新鮮な魅力を感じて頂きたいと考えました。
そういった経緯で、今作の世界観はすんなり決まりました。
──インディーゲームのプロジェクトとして「ビジュアル」や「世界観」を軸に真正面から勝負をするのは、かなり覚悟がいると思うんです。本作が特に世界観やビジュアルに力を入れている点に、凄みを感じます。
小林氏:
それは、元々自分が世界観やビジュアルを好きであることも理由のひとつだと思います。気付けばそうなっているような。
──BitSummit Driftで実施された対談では、「彩度の低いビジュアルのゲームが増えたため、グラフィックの作風を調整した」と語られていました。
ビジュアルやアートワークにおいて、やはりインディーズゲームシーンの動向は意識されているのでしょうか。
小林氏:
やはり、絵作りにおいては「彩度の低いゲームが増えている」ことは意識しました。
ただ、「彩度が低いからダメ」ということではなく、彩度の低いビジュアルでも独自性を持っている作品が輝いていると思うんです。
たとえば、『ノー レスト フォー ザ ウィケッド』や『ヘルブレイド』、未発売ですがフランスのSandfall Interactiveが手掛ける『Expedition 33』など、どれも凄く素敵ですし、独自性を持っていると思います。
「彩度」と関係ない作品で言えば、『Inscryption』や、同作から影響を受けていると想像される『Buckshot Roulette』など、話題を呼ぶ作品には独自の魅力がありますよね。
──なるほど。
小林氏:
つまり、開発において大事なのは「独自性のある絵作りができているか」という点に尽きます。
ですので、純粋に「彩度の低いゲームが増えている」という動向への意識だけでなく、よりリッチな表現を目指すうえで前作よりも色数の多いアートワークになったかたちです。
とくにゲームの企画や開発においては、他社の動向と関係なく、やりたいことを重視して頑張ろうと考えています。
独自性とは何なのか。横から殴られるような体験と情熱、そして地道なクオリティコントロール
──抽象的な質問で恐縮なのですが、小林さんとして、あえてゲームにおける「独自性」を言葉にするなら、どのように説明しますか。
小林氏:
たとえば、『アンダーテイル』にも独自性があるし、『ブラッドボーン』にも独自性がある。だからひとつの言葉で言い表すのは難しいですね(笑)。
あえて言葉にするならば、独自性のある作品とは、プレイをすることで「横から殴られる」ような作品であると、言えるかもしれません。
というのも、自分が既に知っている表現の延長上にあるような、既存の作品を模倣した作品では「こんな作品があるんだ」という感動を与えられないと思うんです。
むしろ、完全に想定外の角度から「楽しい」とか「優れている」と感じさせられると、唯一無二の感動がありますよね。そういった力を持つ作品には、独自性があると思います。
──そういう意味では、「儚いけど、どこか心地よい」という不思議な感覚や「ボスを仲間にして武器にする」ゲームプレイは、『エンダーリリーズ』および『エンダーマグノリア』の独自性ですね。
小林氏:
やはり先ほど名前を挙げたタイトルと我々の作品は全然違いますが、独自性で勝負をするという点では、我々も同じ考えで開発を望んでいます。
そのうえで、我々としては絵作りのクオリティが高いという点で、より魅力的な作品を作りたいですね。
──インタビューを通して、Binary Haze Interactiveでは開発において、自分たちの好みや「やりたいこと」を非常に重視して開発していることが印象的でした。
小林氏:
当然ゲーム開発の根っこには、自分たちの「それが好きなんだ」という思いがあります。やはり、好きだからこそ追求できる。
ゲーム開発は、元々答えが無いものだと思うんです。だから、マーケットや数値だけを見ても優れた作品を作れない。
だからこそ、「自分が好きなこと」を重視せざるを得ないし、最後はその思いが全てだと思います。それは、全てのディレクターやプロデューサーが大事にしているのではないでしょうか。
あとは、その好みが「ユーザーさんの好きなもの」と重なっているとラッキー、ですかね(笑)。
──昨今では特にインディーズゲームシーンが盛り上がっていますが、それはやはり「作家の好きなもの」が色濃く表現されることで、横から殴られるような「独自性」を体験できる作品が多いからだと思うんです。
小林氏:そうそう。インディーズはやはり「独自性」を重視する感覚が一番ありますよね。クリエイター目線でも、ユーザー目線でも、「独自性」があることを非常に大事にしている。
だから1個欠点があるとすれば、ものすごく面白いインディーゲームで遊んだ時に、似たようなゲームがほとんど無いってことですね。
メジャーのゲームなら似た作品はひとつくらいあることが多いですが、インディーゲームだと「1点もの」のようになってしまう。見た目は似てても、全然違う作品になっている場合が多いように感じます。
──先ほど『Inscryption』の話をされていましたが、やはり同作と同じ体験ができる作品は無いですよね。
小林氏:
その分、ジャンルやゲームシステムといった表面的な要素じゃなく、どの作品も情熱があふれ出ていると思います。それが凄くいい。
──いっぽう、『エンダーリリーズ』および『エンダーマグノリア』の人気ぶりも踏まえると、小林さんはご自身の好きなものを、より普遍的な魅力として表現することにも長けていると思うんです。
小林氏:
自分はまだ2~3本ほどしか手掛けていないので大きなことは言えないですが、絵作りにおける品質を絶対に保証できることが、作品に普遍性を与えているのかもしれません。
自分は元々絵描きだったため、その点はクオリティの水準を確保することができます。つまらない言葉で言えば、品質管理がとても大事だということですね。
独自性が高いほど、むしろユーザーさんに届けるための工夫が必要であり、それがなければ独自性の魅力も伝わらなくなってしまう。
だからこそ、作家性以上に、地道な作業による品質作業が重要であると言えるかもしれません。
──ちなみにですが、『エンダーマグノリア』の開発状況は、現状はどのような段階なのでしょうか。
小林氏:
開発の段階としては終盤で、9月にはほぼ完成すると思われます。その後はバランス調整などを行う予定で、開発は順調に進んでいます。
ですので、早期アクセス版への大型アップデートを実施する予定は無く、製品版を一日でも早くリリースするべく頑張っています。
──新たな「独自性」を携えた『エンダーマグノリア』製品版を楽しみにさせていただきます。本日はありがとうございました。
「2Dソウルライク」「メトロイドヴァニア」なのに心地よく、親しみやすい。
この不思議な作風は、自身の作品を丁寧に振り返り「ほぼ全てのフィードバックに目を通す」という小林氏の誠実なスタンスこそが実現している。
そしてなにより、同氏が語る独自性の正体、優れたゲームの条件からは、『エンダーマグノリア』を含むインディーズゲームシーンそのものが有している魅力の本質が伺えた。
ひとまずは、独自性と普遍性を兼ね備えた作品としての『エンダーマグノリア』製品版に期待したいところだ。
『エンダーマグノリア』はPC(Steam)向けに早期アクセス版を配信中。開発中の製品版はNintendo Switch、PS4、PS5、Xbox Series X|Sにも対応する予定だ。
本作の世界観が気になったなら、ぜひ「死にゲー」への耐性に関わらず「切ないけど、心地よい」戦いに挑んでみよう。