スクウェア・エニックスより、11月14日に発売されるHD-2D版の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、DQⅢ)。リリースに先駆けて、本作のメディア向け試遊会が都内某所にて行われた。なお、「東京ゲームショウ2024」(以下、TGS2024)のスクウェア・エニックスブースでも本作の試遊が用意されているが、今回体験できた範囲は同イベントで予定されているものとほぼ同じとなる。
『DQⅢ』といえば、『ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』と合わせて、「ロト三部作」とも呼ばれることもある、シリーズを象徴する作品である。筆者はリアルタイムでファミコン版を購入して遊んでいたのだが、特に後半の展開に大きな衝撃を受けたことが今でも心に残っている。おそらく当時少年・少女だった多くのファンは、同じような体験をしてきたのではないだろうか? その名作が、最新のHD-2D版としてリメイクされたのが本作である。
最初に伝えたいのは、本作は「おもてなしされている……?」と感じるほどに遊びやすく作られているということだ。もちろん、最新のプラットフォーム向けに音楽やグラフィックが進化しているということもあるのだが、それだけではなくゲームとしての遊びやすさも出し惜しみすることなく詰め込まれていた。
今回の試遊ではHD-2D版ならではの新たな要素も体験することができたので、それらも合わせてご紹介していく。
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魅力あふれるHD-2Dグラフィックにくわえて、ボイスやカットシーンが追加。演出が大幅に強化
まず最初に、ゲームを最初から15分間プレイ。本作はオリジナルや後のリメイク版と比べても、全体的に演出シーンが濃厚に作られているため、城や町の人々の会話まで聞いているとあっという間に時間がなくなってしまうかもしれない。そこで今回は15分間のプレイに収まるよう、パーティを組んで戦闘を2回したあたりまでプレイすることにした。
ゲームの冒頭は、スーパーファミコン版から導入された「性格診断」からスタートする。内容自体にそれほど違いはないものの、いきなりボイスが流れるなど演出が進化した点も確認できた。性格診断のときに聞かれる質問の内容も、ファミコン版以外の過去作をプレイしたことがある人ならば、すっかりおなじみのものだ。
この性格診断では、途中でプレイアブルになる場面も用意されている。そこでプレイヤーがどんな行動をするのか、といった部分も含めて性格の判断をしてくれるのだ。
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この性格診断で驚いたのは、これまでになかった要素として「ダッシュで移動することができる」というアナウンスが表示されたことだ。これ以降フィールド上も含めて利用できるため、従来よりも移動がスムーズになる。ちなみに、ゲームとしては特別チュートリアル的なものがあるわけではないものの、こうして細かくアナウンスが表示されるため、自然な形でシステムになじめるような作りになっている。
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性格診断が終わると、母親に連れられて王様の元に行くというおなじみの展開になるのだが、こちらも演出がいくつか追加されている。我が子の旅立ちを心配するあまり、ため息をつく母と過去に起きた出来事のフラッシュバックが流れるなど、物語の世界により感情移入しやすいようになっているのだ。
また、特定のキャラクターが話すセリフに関しては、ボイスが流れるようになっているため、それだけでもひと味違った体験をしているような気分にさせてくれる。
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王様に拝謁したときに、旅の支度としてお金や装備品をもらえるのだが、それにくわえてなんと本作ではいきなり地図も表示できることを教えられる。しかも、この地図は次に向かうべきポイントまで表示してくれるため、どこに行けばいいのか迷うこともなくなり、現代的な作品としてサクサクプレイすることができる。
また、重要な会話については記憶しておくことで、いつでもメニューの「おもいで」から確認することができるようになった。こちらもいちいちメモを取りながらゲームをするといったスタイルから解放されたと感じたポイントである。
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「ルイーダの酒場」で仲間探し。髪色まで変更可能なキャラクターメイキングを楽しんで、自分だけのパーティを作ろう
『DQⅢ』の世界をひとりで旅することは無理ではないかもしれないが、かなり大変。そんなときに必要になるのが、共に旅をする仲間たちの存在だ。旅立ちの地であるアリアハンの町には、冒険者が集う「ルイーダの酒場」と呼ばれる施設が用意されている。まずは、こちらで仲間を増やして最大4人でパーティを組むところから冒険がスタートすることになる。
ちなみに「ルイーダの酒場」では、あらかじめ登録されたキャラクターの中から好みのメンバーを選ぶことができるほか、自分の好みに合わせてカスタマイズしたキャラクターを登録することもできる。自分だけのキャラクターを登録する場合は、「ルイーダの酒場」の2階に設置されたカウンターに話しかけてみよう。
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実際にキャラクターを新たに登録するときは、最初に名前を決めて職業を選んでいく。このときに選べる職業は、戦士や武闘家、魔法使い、僧侶、商品、遊び人、盗賊に加えて、今作で新たに登場する「まもの使い」も用意されている。
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キャラクターメイキングでは、ルックスをAとBの二択から選択できるほか、見た目も4つのタイプから選べる。さらに、髪の毛の色も14色から選択できるため、見た目にもかなりこだわって作ることができるのだ。最後に、「ちからのたね」や「すばやさのたね」など6種類のたねを仲間に使ってパラメータを上げることで完成となる。ちなみに、たねは自分で設定できるほか、おまかせで割り振ってもらうことも可能だ。
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戦闘はおなじみのエンカウント方式。戦闘スピード「超はやい」でサクサクバトルもできる
ルイーダの酒場では、キャラクターを登録するとその場で仲間に加えていくことができる。4人のキャラクターでパーティを組んだら、いよいよ冒険の始まりだ。
ということで、「アリアハン」の周辺をぐるぐると回って初の戦闘に挑戦してみることにした。戦闘はおなじみのエンカウント方式で、敵と出会うと自動的に戦闘シーンに切り替わる。デフォルトの状態では、主人公である勇者以外はAIが操るオートバトルになっているため快適にプレイすることができた。
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もうひとつ、今回の『DQⅢ』でバトルを快適にする要素として「バトルスピード」を変更できるようになっていた。「ふつう」、「はやい」、「超はやい」の3段階で変更できるのだが、「超はやい」に設定することでサクサクプレイすることができる。むしろ、このスピード感に一度でも慣れてしまうと、通常の戦闘がかなり遅く感じてしまうほどだ。
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ちなみに、AIは戦闘時のメニューから「さくせん」を選ぶことで変更することができる。こちらはデフォルトでは主人公だけが「めいれいさせろ」になっており、ほかのキャラクターたちは「バッチリがんばれ」が選択されている。おおむねこの設定でも問題ないが、場面に合わせて「さくせん」を変更することで効率よく戦っていくことができるだろう。
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また、フィールドを移動しているときや戦闘中もそうなのだが、バックに流れる音楽はおなじみのメロディではあるものの、オーケストラのような豪華なサウンドに、いつまでも聴いていたくなるようなものとなっていた。
と、ここまでがゲーム冒頭からおよそ15分ほどのプレイ範囲となる。もちろん、人々の話などを聞いていると町の外に出る時間もないかもしれないので、東京ゲームショウで試遊するときはそちらも意識しながらプレイすることをおすすめする。