チェコ共和国のWarhorse Studiosが開発したオープンワールドRPG『キングダムカム・デリバランス2』は、累計販売数が500万本を突破、Steamでは10万超のレビューが集まり82%から高く評価されている(執筆時時点)『キングダムカム・デリバランス』の続編だ。
本作の舞台は、15世紀に実在した神聖ローマ帝国の領邦のひとつ「ボヘミア王国」。歴史家が監修を行い、当時の文化や歴史を忠実に再現しているのが特徴の作品である。当然、ドラゴンや魔法は登場しない。
プレイヤーは、前作同様に鍛冶屋の息子であるヘンリーとして、ボヘミアの争乱に巻き込まれていくことになる。
主人公のヘンリーは若く、プレイヤーの選択次第で彼の倫理観や性格は大きく変わっていく。善人にも悪人にもなれる。それが本シリーズの醍醐味となっている。
電ファミ編集部では、2024年8月21日から8月25日にかけてドイツ・ケルンで開催された巨大ゲームイベント「gamescom 2024」のPLAIONブースにて『キングダムカム・デリバランス2』をプレイさせていただいた。本記事では、プレイした感想をお届けしていく。
取材・文/竹中プレジデント
先行プレイ開始直後、「盗み」のミッションが発生する程度の治安の悪さ
冒頭でも触れたが、15世紀に実在した「ボヘミア王国」(チェコの前身となった中央ヨーロッパに位置した王国)の史実を重視して再現されたのが本作の世界だ。
治安が悪化し、盗賊やリンチが横行した時代背景からか、主人公であるヘンリーの運命は難易度「ルナティック」と言える。前作では、挨拶代わりに、故郷を焼き払われ、両親を奪われる絶望を投げつけられる始末だ。
今作でもそれは同様のようで、先行プレイではゲーム序盤を体験できたのだが、いきなり街中で決闘(斬り合い)が行われたり、盗みのミッションが課せられたり、治安は世紀末さながら。「ヒャッハー」と叫びながら暴れまわる軍団が現れても不思議ではない世界に感じた。
そんな世界で、プレイヤーは主人公のヘンリーを通してさまざまな選択をしていくことになる。戦って血と痣だらけになった姿を見せれば批判を受けることもあるし、住民の味方を斬れば避けられるリスクもある。逆に犯罪を犯したとしてもバレなければ問題にならない場合もある。
プレイに際して、現地スタッフからも「盗むなら夜」というアドバイスがあった。綺麗ごとだけでは生きていけない世界なのだろう。
ちなみに、盗みのミッションでは、途中で発生する鍵を開けるミニゲームがあまりに難しく、時間内にミッション達成はできなかった。プレイ時間が30分と短かったのもあるが、序盤の序盤でこの難易度なことに驚いてしまった。
ただ、前作でも「最初は村人と喧嘩しても勝てない」といったコメントがSteamレビューに寄せられており、このシビアさが『キングダムカム・デリバランス』らしさなのかもしれない。
5時間以上のカットシーンが待っている壮大なシネマティックストーリー
前作で約3時間だったカットシーンは、今作では5時間以上にパワーアップ。冒険できるフィールドの広さも前作の約2倍と、スケールが大きくなっているのも、本作の特徴である。善人にも悪人にもなれる自由度の高さも、前作同様に健在だ。
前作で旅する土地はひとつだったが、本作ではふたつの土地が収録されており、その世界には、大自然はもちろん賑やかな街が存在する。トロスキー城や、銀の採掘町クトナーホラ(ユネスコの世界遺産)など、美しきボヘミアン・パラダイスを探索できるとのことだ。
先行プレイでは、その世界の広さを体感できるまでには至らなかった。しかし、恐らくチュートリアル的な役割となるミッションを放置して、街の探索が可能なくらいには自由なゲームだったのが印象に残っている。
とはいえ、先行プレイで味わえたのは、本当に極一部のエッセンス程度。オープンワールドの冒険、街の人たちとの交流、本格的な戦闘など、全容が見えない部分は多い。このあたりは続報に期待したいところだ。
リアルすぎる中世ヨーロッパの世界を再現した『キングダムカム・デリバランス2』は、2025年2月11日発売予定。対象プラットフォームはPS5、Xbox、PC(Steam、Epic Games Store)だ。