ソニック生誕15周年記念作品『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
さて、続いてのシャドウの主要タイトルは2006年に発売された『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』。
これまで紹介してきたタイトルはXboxやPlayStation2で発売されていたものですが、この作品から『ソニック』シリーズも新世代機のXbox 360とPlayStation3へ移行しています。
メガドライブで発売された初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と同じタイトルであり、ソニック生誕15周年記念作品である本作のテーマは「原点回帰」。ソニックのスピード感やクールさを感じることができるといいます。
本作の舞台は美しい水の都ソレアナ。王国の若く美しい王女エリスがDr.エッグマンに誘拐されてしまうところから物語が始まり、Dr.エッグマンが狙う『災厄の炎』の秘密を解き明かすためのソニックの新たな冒険が幕を開けます。
本作ではソニックとシャドウに続く形で、“シルバー”という超能力を使うソニックによく似た新キャラクターが登場。彼ら3人のシナリオがザッピングするようにしてメインストーリーが進行していきます。
シャドウがストーリーの中心にいるのはもちろん、新キャラクターの登場。『ソニック』シリーズの世界はこの作品で更に広がったのです。
ボスとしてソニックの前に登場『ソニック ジェネレーションズ』
続いてのタイトルは2011年に発売された『ソニック ジェネレーションズ』。最新作の『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』にも新要素を追加する形で収録されているタイトルですね。
据え置きゲーム機だけではなく携帯ゲーム機でも展開された本作は、PS3・Xbox 360版は『白の時空』というサブタイトル、ニンテンドー3DS版では『青の冒険』というサブタイトルがそれぞれつけられていて、ゲーム性が少々異なります。
ただ、ストーリーのあらすじはほぼ同じで、謎のバケモノに突如襲われたソニックが周囲の全てが真っ白な世界へと飛ばされたところから始まる、時空を駆け巡るアドベンチャーとなっています。
”ハイスピードメモリアルアクション” と名付けられた本作の面白いところは、3Dアクションになってからお馴染みの “モダンソニック” と、メガドライブ時代の昔ながらの2D横スクロールアクションの頃の “クラシックソニック” が夢の共演を果たしているということ。
まさにメモリアルな作品であり、時空を駆け巡るアドベンチャーの名に偽りなしと言ったところでしょう。
過去作のステージがリメイクされて登場するなど、シリーズファンの心をくすぐる要素が盛りだくさんな本作において、シャドウはボスとしてソニックの前に登場します。
厳密にいうと『白の時空』と『青の冒険』では彼らが戦う経緯やその対決方法も少し異なるのですが、今回は割愛。『白の時空』でのソニックは、シャドウと走りながら激闘を繰り広げます。
プレイをした正直な感想として、ハイスピードで走り回るソニックを制御しつつシャドウを相手にする必要があるため、シャドウに注意を向けている余裕はありません。ただ、それほどまでの速さであるからこそ、この戦闘には突き抜けた面白さがあるのです。
レジスタンス軍の活躍を描く『ソニックフォース』
次の作品は、2019年発売の3Dアクションゲーム『ソニックフォース』。本作は、謎の敵であるインフィニットといつもの敵であるDr.エッグマンによって世界の99%が支配されようとしている状況下で、レジスタンス軍を結成したソニックたちが反撃の狼煙をあげるというストーリー。
文字通り “ソニックフォース(軍隊)”の活躍を描いているというわけですね。
そんな本作をプレイして印象的だったのは、自分で作ったキャラクター・アバターをソニックと共に戦わせることができること。理想のキャラクター作りにしばし時間を費やしてしまったことを覚えています。
そして、『ソニックフォース』の主人公は、このアバターとモダンソニックとクラシックソニックの3人。そこにシャドウの影はありません。彼はかつてソニックを苦しめた強敵のひとりとして、Dr.エッグマンが率いる軍隊に参画しています。
……しかし実際のところ、この時にソニックと対峙したシャドウは「インフィニットが仮想現実によって生み出した偽物」。本物のシャドウは、物語の途中からソニック率いるレジスタンス軍に加わります。
メインストーリー上では操作キャラクターではないシャドウですが、本作のダウンロードコンテンツ「シャドウストーリー」を導入することで、シャドウ専用のエピソードを遊べるようになり、モダンソニックのステージをシャドウでプレイすることができるようになります。
まさかのレースゲーム『チームソニックレーシング』
さて、シャドウの歴史を巡る旅も終わりの時が近づいてまいりました。最後にご紹介するタイトルは、2020年発売の『チームソニックレーシング』。そのタイトルからおわかりいただけますように、これまでのアクションゲームたちとは毛色の異なるレースゲームです。
そのストーリーは、ソニックたちのもとにドドンパという謎の人物から、彼の用意したレーシングカーで開催される「グランプリレース」の招待状が届き、ソニックがテイルスとナックルズとともにチームを結成し、この危険なたくらみの香りしかしないレースへ参加するというもの。
上下の概念のない立体的なコースが楽しい本作。そのタイトルに “チーム” という言葉があるように、個人戦ではなく3人1組のチーム戦でレースを勝ち抜いていくゲーム性であることが、ほかのレースゲームとは大きく違うところです。
そのため、前を走る仲間の轍を踏むことで加速する “ラインブースト” があったり、レースを助」けてくれるアイテムをチームメンバー間で受け渡せたりするなど、チーム戦であるからこそのシステムがレースを盛り上げます。
いちばんつらいのは、自分が1位でゴールしたのにチームメンバーの成績が振るわずにチーム総合順位では下位に沈んでしまうこと。本作では団体戦の苦しい部分も体感することができるのです。
そして、本作でのシャドウはルージュとオメガを率いてチームダークとして参戦。『ソニックヒーローズ』と同じメンバーで構成されたチームですね。その雰囲気と言動から一匹狼感の強いシャドウではありますが、仲間とのつながりがしっかりしているところも魅力。寡黙なキャラから見えるこういう部分は、否が応でも惹かれてしまうものがあります。
また、ストーリーでは「見え透いた挑発だ」と言いながらもソニックの挑戦に対し真っ向勝負を挑むなど、ソニックとのよいライバル関係も見られます。キャラクターとしてこれだけさまざまな側面を見せてくれたら、そりゃあ人気も出るってもんですよね。
これは余談ですが、ソニックのレースゲームが出るという話を聞いた時、私の友人は「いや、走れよ」と心の声を外に漏らしていたのですが、『ソニック』には他にもレースゲームが存在していて、『ソニックライダース』というゲームでは、隠しキャラクターとしてシャドウが登場します。
また、『ソニック』シリーズとは少々趣は異なりますが、『クレイジータクシー』のB.D.JOEや『ゴールデンアックス』のギリウスといったセガのオールスターキャラクターが一堂に会し、果てにはディズニー長編アニメ映画『シュガーラッシュ』の主人公ラルフも登場するレースゲーム『ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED』にもシャドウが登場。彼はパーティーゲームにおいても欠かすことのできないキャラクターであると言えるでしょう。
更にシャドウは、ソニックが参戦している会社の垣根を越えたクロスオーバータイトル『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにも、対戦のお助けアイテム “フィギュア” から飛び出すキャラクターのひとりとしてカオスコントロールを引っ提げて参戦。できることなら、いずれプレイアブルキャラクターとして大乱闘に参戦してくれたら嬉しいですね。
さて、ここまでゲームにおけるシャドウの登場作品を振り返ってきましたが、今シャドウを語るうえで忘れてはいけない作品がもうひとつ。
それが、12月27日に公開予定の映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』。2020年公開の『ソニック・ザ・ムービー』、2022年の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』に続く、ソニックの映画シリーズ最新作です。
『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』の舞台はなんと日本!
この作品でのシャドウは、東京湾沿岸に浮かぶ孤島で長い眠りから目覚め、渋谷に降臨。この緊急事態にソニックたちが東京に派遣され、シリーズ最高のスケールと超音速のアクションが展開されるといいます。
舞台が東京であることにくわえさらに驚きなのが、シャドウの声優をキアヌ・リーブスが務めるということ。近年では『ジョン・ウィック』シリーズでのダークヒーローっぷりなどで人気を集める彼が『ソニック』シリーズの押しも押されもせぬダークヒーロー、シャドウをいかに演じるのか。本作への期待感が高まります。
さて、ここまでシャドウ・ザ・ヘッジホッグの歴史を振り返ってきました。改めてシャドウについて色々と調べていく中で感じたことは、「やっぱりシャドウってカッコいいな」ということ。
このカッコよさというのは、ソニックが持つそれとはまた違うものであり、明るく元気で豪快なキャラクターが多い『ソニック』シリーズの中で、彼の存在はかなり異質。ひとりだけ絵のタッチが違うような、この異質さこそが『ソニック』シリーズに新たな展開や深みを与えていると感じます。これこそが、シャドウというキャラクターの魅力であり、愛されている大きな理由のひとつではないでしょうか。
あと、やっぱりシャドウはキャラクターデザインがかなりいいんですよね。まぁ、ソニックからして完成されたデザインなので、彼によく似たシャドウのデザインがいいのは自明ではあります。しかし、体の色や表情の少しの違いで、キャラクターとしてここまでの大きな差を生み出しているというのはすごいことだと思うのです。
シリーズ最新作となる『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』は現在発売中で、対応プラットフォームはPS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One、PC。ゲームだけでなく映画にも登場するシャドウは今後どのような展開を見せてくれるのでしょうか。