「めっちゃ良いビジュアル」で「高カロリーな謎解き」ができる「長編アドベンチャーゲーム」が!!したい!!
すみません、謎解きゲーマーの発作が出ました。
けど、この3つの条件を全部満たすゲームは意外と見つからないのだ。いわゆる「有名どころ」の名作はたくさん挙げられるのだが、大体もう遊んでしまっている。贅沢を言っている自覚はあるが、それでも全部盛りの新しいゲームがやりたい!!
そんな筆者がインディーゲームの展示会「東京ゲームダンジョン6」で出会ったのは、まさにそんな願望をまとめて叶えてくれるゲーム『雑音系少年少女』。
トラウマが具現化した迷宮都市を舞台に、少年少女が脱出を目指す謎解きアドベンチャーゲームだ。
たっぷり20分も試遊させて頂いたにも関わらず、まったく遊び足りないくらい面白かったので、ぜひこの記事で紹介させていただきたいと思う。
「雑音スクランブルシティ」のサイケデリックなビジュアルがカッコいい
『雑音系少年少女』は、記憶喪失の少年少女が閉じ込められた街からの脱出を目指す謎解きアドベンチャーゲームだ。ステージを探索して脱出を目指す謎解きを通じて、6人の少年少女のトラウマが交差するマルチエンディングのストーリーが展開されていく。
会場で目に留まったのは、なんといってもその画面のカッコよさ。『雑音系少年少女』は、キャラクターたちのトラウマが具現化した牢獄「雑音スクランブルシティ」を舞台に展開していく。この舞台となる探索箇所のデザインがすごいのだ。
一目でどういう場所か分かる日本の都市をベースにしながら、サイケデリックな色合いや奇妙な侵蝕によって「現実にありそうなのに、明らかに現実じゃない」という悪夢のようなデザインになっている。
試遊ではライブ会場のような場所を舞台に謎解きをすることになったが、ストアページには学校やスタジオのようなステージもあり、それぞれに異なる「トラウマ」の侵蝕を伺わせる雰囲気になっている。もうこの時点で、この舞台で展開されるストーリーと謎解きが気になってくる。
ステージだけでなく、キャラクターデザインもスタイリッシュでカッコいい。試遊版タイトル画面に映っている配信者の女の子「ヒヨリ」や、UI画面に現れる主人公「ゼナ」をはじめ、それぞれに異なるトラウマを持つ6人の少年少女はデザインもハイセンスで個性的だ。
6人はそれぞれ見た目通りに一筋縄ではいかない性格をしており、ストアページのスクリーンショットの中は激しく感情を露わにするシーンも。公式サイトでは6人のキャラクター紹介も公開されているので、気になるキャラクターがいる人はぜひキービジュアルも含めて見に行ってほしい。
謎解きもストーリーも高カロリー!キャラクターのトラウマが謎と密接に繋がり、嫌が応でも”見えてしまう”
一通りビジュアルの良さを見てもらったところで、内容の面白さについても触れていきたい。
何度か触れているとおり、本作の主題は少年少女たちの「トラウマ」だ。「雑音スクランブルシティ」に集まった6人は部分的に記憶を失ってしまっており、街に散らばった自分たちの過去と向き合いながら脱出を目指すことになる。
具体的には、探索と謎解きを通じて具現化したトラウマである「ノイズ」の欠片を集め、記憶を再現して彼女たちの過去に何があったのかを解き明かしていくのがこのゲームの目的だ。
探索パートでは画面内の気になるオブジェクトを調査し、情報やアイテムを集めて謎を解いていく。調査できる場所がかなり多いうえ、アイテムの組み合わせやパスワードの入力など、試遊版の範囲だけでも様々な種類の謎解きが用意されており、20分の試遊時間では解ききれない人もいたほどだ。
ステージの背景やキャラクターたちの何気ない会話がヒントになっていることもあり、「リアル脱出ゲーム」などが好きな人は特に楽しめるだろう。
ノイズの欠片には簡単に見つかるものもあれば、いくつもの謎の奥に隠されているものもある。プレイヤーは欠片を探すためにステージを詳しく調査していくことになるのだが、思い出してほしいのは、このステージが「キャラクターのトラウマが具現化した牢獄」であるということ。
アイテムや手掛かりを集め、ステージの謎を解いていくということは、同時にキャラクターのトラウマに踏み込んでいくということでもある。
謎を解くたびにトラウマの正体が”見えてしまう”感覚は、単なる謎解きゲームでは終わらない本作ならではの体験だ。
謎を解いてノイズの欠片をすべて集めると、キャラクターの過去のトラウマに関わる記憶を見ることができる。試遊版ではタイトル画面にも映っていた配信者の女の子「ヒヨリ」のノイズの欠片を集め、彼女の動画のサポートをしていた「ユウジ」との記憶を解放することに。
ネタバレに配慮して画像以上の詳細は伏せるが、謎解きを通じてプレイヤーの中に生まれた予感が「ノイズの記憶」によって答え合わせされていくカタルシスは、謎解きとストーリーが密接に関係しているからこその体験だった。
つまり、謎を解いた報酬としてストーリーを見られるのではなく、ストーリーもまた、プレイヤーの手で解き明かしていくべき謎として作られているのだ。
なお、ノイズは解放したら終わりではなく、記憶を思い出したことで新たな謎が発生することも。ノイズの中で語られたキーワードが謎解きの手掛かりになっていることもあり、とことんストーリーと謎解きが融合した作品となっているのだ。
ディレクターのmyu氏のお話では、近いうちに体験版を配信したいとのこと。現在はSteamストアページが公開されているほか、公式Discordサーバーも作られているので、興味のある人はぜひチェックしてみてほしい。