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頭蓋骨を骨折、窒息、箒から落下──。『ハリー・ポッター:クィディッチ・チャンピオンズ』で、“選手を無差別にボコボコにする鉄球”が飛び回る魔法界屈指の危険スポーツ「クィディッチ」に挑戦しよう

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「合法で鉄球を他人にぶつけてみたい」……。

そんな発想がふと頭をよぎることがあるかもしれません。そんな期待に答えてくれそうな“スポーツゲーム”が、ある日発表されました。

そうだ、クィディッチだ。

クィディッチは『ハリー・ポッター』という作品における「魔法界の野蛮さ」を煮詰めて具現化したスポーツだからにほかなりません。

試しに主人公であるハリー・ポッターが受けた負傷を書き出してみても……。

・スニッチを口でキャッチしてしまい窒息しそうになる。
・観客席からの妨害で箒から叩き落されそうになる
腕の骨が折れ、最終的に消失
・試合中にディメンターに襲われ気絶、箒から落下
・選抜チームのトライアウト中にブラッジャーが頭に激突し、頭蓋骨骨折

ヴォルデモート卿が復活していようがいまいが、いずれクィディッチで大変なことになっているのでは?と思わせるほどの負傷の数々。ですがこの競技は堂々と寮対抗の学校行事として行われており、マクゴナガル先生とシリウス・ブラックは嬉々としてハリーにその時代最高の箒を買い与えます。

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(画像は魔法界のスポーツ「クィディッチ」の才能を発揮するハリー🧹 | ハリー・ポッターと賢者の石 | Netflix Japanより)

本作のCEROはなんと「B」。スポーツゲームなのにCEROがBです。ワクワクしてきたな。北米地域のレーティング審査団体ESRBのゲームページを見てみると「下品なユーモア、ファンタジーな暴力、言葉遣い、軽い流血」の文字も。

こ、これは紛れもない『ハリー・ポッター』。ちゃんと『ハリー・ポッター』をしようとした結果のレーティングでは……。これはやるしかないぞ!

というわけで、本記事ではそんな魔法界の凶悪スポーツを体験できるゲーム『ハリー・ポッター:クィディッチ・チャンピオンズ』(以下、『クィディッチ・チャンピオンズ』)をファンならではの視点でとことん追求していきます。

文/Squ
編集/anymo


魔法界屈指の危険スポーツ「クィディッチ」ってなんだ!

さて、ポッターの負傷記録からわかる通り、あからさまに危険な競技である「クィディッチ」ですが、その歴史は1000年近くと息の長いスポーツです。

この競技は楕円形のフィールドで行われる球技で、7人同士のチームに分かれて実施されます。ゲームの目的は「相手チームよりも多くの得点をあげる」とシンプルで、1ゴールにつき10点、黄金のボール・スニッチを捕まえることで150点獲得することが可能となっています。

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一見するとなんら危険のないスポーツに思えますが、その認識を大きく覆すのが「ブラッジャー【※】」と呼ばれる鉄球の存在。この金属製の球体にはすべての選手を無差別に追い回すように魔法がかけられており、放置しているだけでも近くの選手を攻撃する性質を持っています。

ハリーの頭蓋骨骨折も、このブラッジャーが原因となっているだけあって、ゲームの危険性を高める大きな要因となっていることがわかっていただけるはず。

なお、クィディッチにはバットを用いて味方を守るビーターと呼ばれるポジションも存在します。もっとも、防衛成功後のブラッジャーの所在については特に規定されていないので、敵めがけて打ち返すのが得策です。

※ブラッジャー
直径25センチほどの鉄球。現在の形になったのは16世紀ごろで、それまでは丸く削った岩の塊が使用されていた。巨大な岩に魔法をかけて競技場へと放つという危険な発想だが、一説にはスコットランド発祥のスポーツ「クレオスシアン【※】」で使用されていた大岩が原型ではないかといわれている。

※クレオスシアン
箒競技の中で最も危険だとされるスコットランド発祥のスポーツ。頭に鍋をくくりつけた選手たちが、地上30メートルから降り注ぐ大量の岩石を回収するというかなり異質な球技。1762年に非合法となるまでに多数の死者を出していたが、中世では非常に人気のある競技だった。

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(画像は『ハリー・ポッター:クィディッチ・チャンピオンズ』公式トレーラー「空には魔法が満ちている」より)

やはり強すぎた。「スニッチ」弱体化をはじめとしたルール改定にも注目

話だけ聞くと、これほどゲーム化するのにもってこいな競技はないようにも思えるクィディッチという競技。映画をはじめて見たときに、この未知のスポーツに魅力を感じたのは筆者だけではないでしょう。

ところが、今までの『ハリー・ポッター』作品でクィディッチを遊ぶことの出来るゲームは限られており、クィディッチだけに焦点を当てたゲームも2003年に発売された『ハリー・ポッター クィディッチ・ワールドカップ』のみとなっています。

というのも、このクィディッチという競技は黄金のボール・スニッチ【※】心に存在するのですが……。このスニッチ自体が、競技最大のバランスブレイカーなんです。

捕まえるだけで「150点」という暴力的な点数から、これを捕まえればほぼ勝利と言って差し支えありません。さらに、スニッチが捕まらない限りゲームが終了しない関係で数ヶ月近く続く試合があるなど、ゲームとして成立させるための壁を感じさせるものだったのです。

スニッチ
捕まえにくいようにすばしっこく逃げ回る魔法がかけられた黄金のボール、大きさはクルミほど。モデルとなっているのはスニジェットと呼ばれる鳥で、保護鳥に指定されるまではスニジェットがスニッチの変わりだった。現在ではスニッチが捕まることで試合が終了するが、当時はスニジェットが殺されるまで試合が続いていた。

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(画像はワーナー・ブラザーズ『ハリー・ポッター』特集サイトより)

そんなこともあってか、本作『クィディッチ・チャンピオンズ』でプレイできるクィディッチは、多少の調整がくわえられています。いくつかピックアップしてご紹介しましょう。

・スニッチの弱体化
特に特徴的なのは、金のスニッチに関する調整でしょう。

ゲームの中心でありながらもゲームのバランスに著しく影響を与えていたスニッチは、捕獲時の得点が30点に調整。捕まえただけでは試合が終了しなくなりました。

極端な一発逆転がなくなったことでゴール時に獲得できる10点の重要性が増した一方で、スニッチ獲得によるワンチャンの逆転はしっかり狙えるという絶妙な配点となっています。
さらに本作では、スニッチは試合中に2回出現。2度目のチャンスに賭けられる公平性も担保されているようです。

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・試合終了の条件
当たり前ですが、オンライン対戦で半年も決着がつかないようでは困ってしまいます。

そこで本作では試合に制限時間と点数によるコールドゲームが設定されました。試合時間は7分となり、タイムアップ時に獲得点数の高いチームか先に100点獲得したチームの勝利となります。

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・チーム人数が6人に
原作である『ハリー・ポッター』では、クィディッチのチームは7人と定義されています。しかし、本作でプレイヤーが所属するチームは6人。原作ではふたりのビーターが、ひとりになっています。

実際にプレイしてみると、ビーターがひとりで構成されていることでブラッジャーの管理などがしやすく、ストレスを感じることなくプレイできました。

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また、オンラインプレイ時は3人でチームを組むことになります。チーム人数が割り切れる数になったことで、得点役のチェイサー+キーパー、チェイサー+シーカーといった、ロールシステムのような役割も果たしているようです。

なお、本来のクィディッチではチームメンバーが負傷するなどして試合が続行できなくなった場合でも、欠員の補充が認められていません。
しかし本作では、タックルやブラッジャーによる負傷で体力がなくなったとしても一定時間後に復活が可能となっており、オンラインでの対戦を意識した変更が加えられているようです。

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・反則対策もバッチリ
魔法省の魔法ゲーム・スポーツ部の記録【※】には700に及ぶクィディッチの反則が記載されているといいます。ホグワーツの蔵書「クィディッチ今昔」では反則の一例が紹介されているのですが、そちらを参考に「本作ではできない反則」リストを作ってみました。

※クィディッチにおける反則事例
リストに存在する反則すべてが1473年に開催されたワールドカップの決勝戦で行われたもので、そのうち90%は「敵の箒に火を付ける」、「斧で相手を攻撃する」といった常軌を逸したもの。

・ブラッギング、ブラーティング
相手の箒を掴んだりするなどして、邪魔をしたりコースから外れさせる行為。

・バンフィング
ブラッジャーを観客席に向けて打ち込む行為。相手チームが得点しそうなタイミングなどで審判による試合中断を狙う悪質な行為。

・ブラッチング
わざと衝突するつもりで飛ぶ行為。(ゲームの仕様上タックルはできる)

・ゴビング
過度に肘で攻撃する行為。(ゲームの仕様上タックルはできる)

・ハバーサッキング
クアッフルを持ったまま、輪に手を突っ込む行為。

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ゴールに手を突っ込んでいる様子。ゲームの仕様上ゴール判定にならないようだ。

なお、反則であるため詳細は記載しませんが、「フラッキング」や「スツージング」といった“できる反則”の存在も確認できました。本作にはなぜか審判がいないためバレることはなさそうですが、スポーツマンらしくフェアプレーの精神でプレイすべきでしょう。

キャラクターや箒の育成も可能。ダメージ特化のビルドなど自分好みの戦い方ができる

かなり競技性を意識した改革が行われた『クィディッチ・チャンピオンズ』ですが、やはり本作のメインコンテンツといえば世界中のプレイヤーとの間でしのぎを削るオンライン対戦でしょう。
本作にはキャラクターや試合で使用する箒の育成要素があり、プレイヤーそれぞれが考え出した最強のビルドをぶつけ合うことが可能となっています。

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ニンバスシリーズや、クリーンスイープ、コメットといった『ハリー・ポッター』ではおなじみの箒が多数登場する。それぞれ性能が異なるので、ポジションごとに巧くチョイスしよう。

純粋に性能の異なる箒をチョイスして、ポジションごとに足回りや立ち回りを変えるもよし。プレイすることで手に入るスキルポイントを振り分けるもよし。自分のプレイにあわせて育て上げることが可能です。

たとえば、筆者のビーターはダメージ特化のビルド。ブラッジャーで与えるダメージと、タックルによるダメージをアップさせることで、大抵の相手を2発コンボで叩きのめすことができる構成です。

一方的に相手プレイヤーをボコボコに……!といきたいところですが、そううまくいかないのが魔法界。メインで狙いたいシーカーやキーパーは対ブラッジャースキルを持ち合わせていることも多く、返り討ちにされることもしばしば。その間にチェイサーに得点を許してしまったりと、スキルの噛み合いも研究する必要があるなど、まだまだ奥が深そうでした。

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映画版ソックリな原作キャラも使用可能!『ホグワーツ・レガシー』のセバスチャンも

せっかくクィディッチをやるなら、原作キャラも使いたいですよね。本作にはヒーロースキンというシステムが搭載されており、自分でキャラメイクしたキャラクターのコスチュームのような扱いで、原作に登場するキャラクターを使用することが可能です。

あくまで重ね着のような存在なので、原作では見ることのできなかったポジションも……。

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ん?なんだか見覚えのある顔が……。

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えっ!?セバスチャン!?

2023年にリリースされた『ホグワーツ・レガシー』を所持している状態でWB Gamesアカウントを連携させると、みんなだいすきセバスチャン・サロウを使用できるようになるという嬉しいサプライズが。うっひょ~~~!

ちなみに「寮対抗杯」、「三大魔法学校杯」、「クィディッチW杯」が楽しめる1人プレイモードではハリー・ポッターたちだけでなく、オリバー・ウッドやビクトール・クラム、フラー・デラクールなどおなじみのキャラクターたちが多数登場。個人的に、見た目は映画寄り、性格は書籍寄りというというあまりにも良すぎる塩梅の再現度合いに思わず笑ってしまいました。

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約20年ぶりの「クィディッチ」だけにフォーカスしたゲームとあって、コアユーザーからの期待度はかなり高かったように感じた本作『ハリー・ポッター:クィディッチ・チャンピオンズ』。

原作モノの作品に登場するスポーツを切り抜いた作品ゆえに『ハリー・ポッター』を知らないとなかなかハードルも高い本作ですが、ゲームとして非常に遊びやすく設計されていながら、ハリポタらしいユーモアがふんだんに盛り込まれた作品であることは間違いないでしょう。

『ハリー・ポッター:クィディッチ・チャンピオンズ』は、PS4/PS5、Xbox One/Xbox Series X|S、PC向けに発売中。さらに、11月8日(金)よりNintendo Switch向けにダウンロード版も発売されています。

複数のプラットフォームを跨いだクロスプレイや、セーブデータを共有できるクロスプログレッションにも対応する本作。お友達といっしょに魔法界で一番愛されるスポーツ「クィディッチ」に挑戦してみたはいかがでしょうか。

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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