2024年を振り返ったとき、いちばん時間を費やしたゲームはどのゲームでしたか?
最新作にどっぷりハマっている人もいれば、数年前に発売されたタイトルを長く遊んでいる人もいるでしょう。そこで、電ファミ編集部のスタッフおよびライター陣に「2024年にいちばん長く遊んだゲーム」を聞いてみました。
年末年始など、まとまった時間で遊べるゲームを探している人の参考になれば幸いです。
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』(1200時間)
<ゲーム概要>
『Sky』は2019年にiOSに向けてリリースされたアクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーは、複数のエリアで精霊を見つけ出し、祈りを捧げることで次のステージへと向かうことができる。2020年にはAndroid版が、2021年、2022年と続いてNintendo Switch、PS、PC(Steam)版が発売された。
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を1200時間遊んだ人の感想
精神的疲労で疲れているときに本作と出会いどっぷり沼に浸かった。ゲーム全体のアートワーク、BGM、世界観全てにおいて目を見張るものがあり、なにより「人と人との繋がり」を意識したゲームデザインが素敵。
正直ゲーム自体は毎日同じことの繰り返しでボリューム不足に感じるところはあるが、「それが逆にいい」というか、その “退屈さ” みたいなものが新たな出会いへのスパイスになっている。
そのため、このゲームは「やりこむ」という観点で見た場合、かなり人を選ぶのでおすすめはしにくいかもしれない。しかし、『Civilization』や『Kenshi』にコアなファンがついているようにハマればとことん遊べてしまうため、“自分に合うかを見定める” という意味合いで一度ダウンロードして遊んでみてほしい(1周遊ぶ分にはめっちゃ面白いから!)。
PC(Steam)でも配信されているため、「スマホゲーなんて遊ばんぞ!」という筆者みたいな頑固なゲーマーでも手を取りやすくなった。普段インディーやAAAしか遊ばないような方も興味を持ってくれたらストアぺージでだけでもチェックしてみてほしい。それでは皆さん良きSkyライフを!
文/cookieP
『ファイナルファンタジーXIV』(1200時間)
<ゲーム概要>
『ファイナルファンタジーXIV』は全世界累計アカウント登録数3000万を超え、いまもなお人気を拡大し続けているMMORPG。「エオルゼア」という世界を舞台に、 ネットワークを通じて世界中のプレイヤーと共に冒険ができる。
『ファイナルファンタジーXIV』を1200時間遊んだ人の感想
10年以上続く長寿MMOで、いつどんな気分のときに起動してもだいたいの欲求に応えてくれるすごいゲーム。
実装初日でまだ攻略情報がないコンテンツに気の合う仲間と共に挑む時にしか得られない高揚が確かにあるんだ!……と言いつつ、バトル以外にもハウジングとかギャザクラとかミラプリとか金策とかレベル上げなど、やりたいことが無限にあるのでプレイ時間が大変なことになってしまう。
なんの目的もなく起動して散歩したり敵の顔を眺めるだけでも楽しい。ここには確かにもうひとつの世界があり、生活の一部になっているという実感がある。もはや住んでるよ、エオルゼアに。
文/逆道
『遊戯王 マスターデュエル』(600時間)
<ゲーム概要>
『遊戯王』をデジタルカードゲーム化した『遊戯王 マスターデュエル』。『遊戯王』の基本的なルールについては、1人プレイ用「ソロモード」のチュートリアルをプレイすることで、5分ほどで理解できるようになっている。
『遊戯王 マスターデュエル』を600時間遊んだ人の感想
そこに広がっているのが、かつての『遊戯王』カードゲームとは完全に別次元の景色なのは間違いない。
ローテーション落ちのない環境で、決闘者の求める力に応じるべく強力な新カードが次々と生み出され続けていった結果、カードパワーはインフレにインフレを繰り返し、かつての牧歌的な決闘の光景はもはや見る影もなく、いまやたった1枚の手札から3枚分、4枚分ものカードアドバンテージが当たり前に生みだされるようになり、半端なデッキを持ち込んで決闘に挑もうものなら、挑戦者は対戦相手の一方的な展開の前になすすべなく蹂躙され、心を砕かれることになるだろう。
……けれど、それでもなんだかんだで遊び続けてしまう魔力が、このゲームにはある。
新しいカードの実装のたびに浮き上がる、過去のカードとの新たなシナジーの可能性、連鎖する発想。
「今日はこの構築を使ってみよう、待てよ、こっちのカードを入れてみるのはどうだ?このカードを入れてみたら……いまの環境に適応できるんじゃないか……?」
まだまだ、まだまだやれることが多い。そうして、あれも、これも試したいと考えているうちに、今日も時間が溶けてゆく……。
文/司破ダンプ
『モータル・オンライン2』(460時間)
<ゲーム概要>
『モータル・オンライン2』はひとつのワールド(大陸)に群雄割拠が渦巻くフロンティア・サンドボックス型MMORPG。ボイスチャットも可能で、人と人とのコミュニケーションが楽しめる。勇者として名を馳せるのか、商人として活動するのかはプレイヤー次第。
『モータル・オンライン2』を460時間遊んだ人の感想
このゲームは、プレイヤーの情報収集能力が試される。真実を確かめる方法が自ら動くこと以外にほぼないため情報の価値が非常に高い。もちろん、攻略Wikiに書かれていることが全てではなく、道端で「ポーションの作り方」を聞いても即答できる人は多くない。
ほかにも
・どこに財宝の眠るダンジョンがあるのか
・もっとも効果のある回復薬を作るにはどのスキルレベルをあげればよいのか
・どの素材を収集し、どう調合したらよいのか、その素材はどこにあるのか
・魔法戦士を作りたい場合、どのようにキャラメイクすればよいのか
・近接特化型を作りたいならどの種族が最適なのか
・どこのギルドに所属すれば安全に動けるのか
などの情報を探さなければならない。ボタンひとつでボイスチャットが可能という仕様のため、もしメンター的な人を探す場合は初心者に対して本当に親切な人に話しかけられるのを待つか、自分から積極的に絡んで情報を聞き出す必要がある。
ときには「きみ、ギルド探してない?」と言いながら自作のこん棒をおしつけてくる熱い “ギルド勧誘おじさん” に遭遇することもあるだろう。
本作の最大の特徴は、プレイヤーが自ら思想や暮らし、文化を形成していること。いきなり攻撃してくる過激派集団をはじめ、近隣のギルドと同盟を組む平和主義者、自分たち以外の組織は全員敵と見なす独裁者、ワールドボスの攻略に挑む集団、自ら村を形成する者たちも含め、さまざまな集団がうごめいている。
筆者は街で受けられるクエストを受注して小銭を稼ぎ、それなりに品質の良い弓を制作して日銭を稼ぐ職人的なロールプレイをしていた。いまでも、たまに「弓を作ってくれ」と頼まれることがある。
それぞれのプレイヤーがなにかしらこの世界に関わっており、それが結果的にゲーム内の経済や流通、交流を生んでいる。常に人が必要とされている日本の田舎みたいな世界が形成されている稀有な作品だ。シビアなMMORPGを探しているなら『モータル・オンライン2』がおすすめ。
『バルダーズ・ゲート3』(450時間)
<ゲーム概要>
『バルダーズ・ゲート3』はテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をベースにしたRPG。エンディングは1万7000パターン存在し、イベントシーンは脅威の174時間。1周をクリアするまでのプレイ時間は「100~120時間」と公式インタビューで語られている。
『バルダーズ・ゲート3』を450時間遊んだ人の感想
あらゆる行動に分岐判定が伴うゲーマーの奈落みたいなゲーム。プレイヤーキャラの種族や職業(クラス)、それまでにとった行動や一緒にいる仲間などで展開がいちいち細かく分岐していくので、とてもではないが全回収などできそうにはない。ダンジョンの分岐で正解を引いたら戻って不正解の通路も覗かないと気が済まないタイプの人間がウッカリ遊んでしまうと、弥勒菩薩が降臨してくるまでゲームを遊び続けるハメになる。人生は来世で生きろ。
私が遊んでた期間はだいたい2か月弱のため、単純計算で1日平均8時間弱くらい遊んでいたらしい。物理的にそんなことできるわけないだろとも思うけど、仕事と最低限の睡眠を除くあらゆる時間これに充てていた記憶しかないので本当のことかもしれない。プレイ中はありとあらゆる人間的営みを投げ捨てていた。正気に戻れてよかった。
イベント分岐だけでも死ぬほどあって死ぬほどおもしろいけど、キャラのビルドや戦闘までおもしろいので手に負えない。戦闘は基本的に難度は高めだが、ルールの穴というかシステムをうまくいなすやり方を覚えてくると、途端にものすごい勢いで世界が広がって楽しくなっちゃう。ボスに勝てない? そこに火薬樽が3つほど転がってるじゃろ?
毎月どころか毎週のように新しくておもしろいゲームが出てくるこのご時世に「1周遊ぶのに100~120時間かかる」という、現代プロレタリアートの可処分時間をナメてるとしか思えないゲームだけど、3部構成の第1章が終わるころには「2周目のキャラビルドはどうしようか……」を考え出してしまう。遊んでる最中は「お願いだから助けてくれ!」と思っていた。3周+αしたけど毎回「こんな展開初めて見るんだけど!!!」が発生する。
また、半世紀も遊ばれているTRPGが下敷きになってるので、当たり前と言えば当たり前だけど、物語世界の設定やらなにやらがものすごく緻密。仲間キャラとの会話でも、世界設定のことがわかればわかるほど「そりゃコイツはこう言うよな!」とか「お前実はめちゃくちゃ変人だったのか!」みたいなこともわかる。そしてわかればわかるほど楽しくなっちゃう。
最後に、いまさらではあるけどキャラクターも魅力にあふれてる。どいつもこいつも(見た目も性格も)癖がありすぎて、最初は「仲良くなれるわけないだろ!」と思うけど、長い旅を終えるころには、みんなめっちゃ好きになってる。というのも、それぞれのキャラクターのバックボーンが丁寧に作られているため、「そいつがなぜそんなヤツなのか」ということがだんだんわかってくるから。なんの理由もなく嫌なヤツなんていないんだよな、みんな愛してるぜ。でもハルシン、お前は別の場所で寝ろ。
文/恵那