『Beyond the Ice Palace 2』は、敵を倒す時のトドメの一撃が痛快、かつバツグンに気持ちいいアクションゲームだ。
具体的にどう気持ちいいのか。内容を言葉で説明する前に、いちど本作の紹介動画をご覧いただきたい。
……どのように感じられただろう。
おそらく、こう感じたのではないだろうか。
「なんか……動きが遅くない?」と。
そう、本作はプレイヤーが操作する主人公の動きが遅い。「主人公に呪いが掛けられる」というストーリーの設定にちなんで表現すれば、“ノロい”。
このような特徴を持ったキャラクターを操作するアクションゲームで、「気持ちいい」は不適切だと思うかもしれない。だが、大事なことなので繰り返そう。本作はアクションゲームとして、気持ちいい手応えをしっかりと味わえる作品に仕上げられている。
というのも、本作は動きが遅い分、攻撃周りのアクションに気持ちよさを集約しているのだ。それも「空前絶後のブッ刺し感」とか、「骨砕き感」などと表せるレベルの、痛快すぎる効果音とともに。
敵にトドメを刺す瞬間を、アクションゲームを遊んでいる時における至上の快感だと考える同志がいるなら、本作『Beyond the Ice Palace 2』(長いので省略すると、『BtIP2』)はほぼ間違いなくオススメできるタイトルだ。
「2」と冠されているなら前作を遊んでないとダメなんじゃ……と身構える方もいるかもしれないので、そこについても断言する。
前作のことなど、知らなくても全然問題ない!
筆者だって今回のお話をもらうまで前作のことなんて全然知らなかったし、そんな身であっても、ストーリーを楽しみながら、ゲームクリアまで到達できた。だから、安心して欲しい。
※この記事は『Beyond the Ice Palace 2』をもっと知ってもらいたいオーイズミ・アミュージオさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
文字通りの痛快な効果音によって演出される、トドメの一撃の圧倒的気持ちよさ!
先ほど視聴のお手数をおかけした動画から分かるように、本作のアクション全般の特徴は、この“重量感”にある。
本作には「現代社会の人々に、かつてこのようなスタイルのゲームがあったことを知ってもらいたい、懐かしさを思い出してもらいたい」という思いがこもっており、このノロさもまた、かつてのレトロゲームを彷彿とさせる“再現”なのだという。
そんなわけで、本作の移動はゆっくりで、ジャンプにしても「フワッ」とした、重みが伝わってくる手触りになっている。
アクションの中には狭い隙間を潜り抜ける「スライディング」、真横に一瞬姿を消して高速移動する「回避」、そしてジャンプして降下しながらの「キック」といったスピーディーなものもある。だが、いずれも使用後に一定の硬直時間が生じるため、連発はしにくい。
おまけにアクションのひとつ、「回避」に至っては黄色の「スタミナゲージ」を消耗するという制約付き。ほかの基本装備の「鎖」を用いた通常攻撃などはスタミナゲージを消耗しないものの(※一部、「重攻撃」のように消耗するものもある)、攻撃中に別の技を繰り出すみたいな切り替えはしにくい。
そのような仕組みもあって、操作感も重みを感じさせるものになっている。
キャラクターが機敏に動き、各種アクションもボタンを押せば迅速に反応してくれるタイプのアクションゲームに慣れ親しんでいる方には「本当に気持ちいいのか?」と疑問に思われるかもしれない。
だが、本作のこの重みのある操作感は決して欠点ではない。本作は気持ちいいし、面白い。その理由が、手触りのよさにある。
ここで言う「手触りのよさ」とは、突き詰めるなら「攻撃がヒットした時の気持ちよさ」ということになるだろう。本作では敵を攻撃したり、壺などの物を壊した時、ハチャメチャに痛快な効果音が鳴り響く。
「効果音ひとつで何を」と考える方もいるかもしれないが、SEの威力を侮ってはいけない。「操作にあわせて的確に音が鳴る」というのは、それだけでプレイヤーに大きな快感を与えるのだ。
とりわけ、トドメの一撃を加えた時の効果音は見事の一言で、プレイヤーに「倒したッ!」という確かな手ごたえを感じさせてくれる。そして、そんないい音を鳴らしてくれるからこそ、立ちはだかる敵やボスへ果敢に挑み、積極的に倒したくなる。
ボスに至っては、ちゃんとその役割に相応しい派手な散り様も見せてくれるだけになおさらだ。
また、敵によっては踏み潰す、急所を刺すといったホントのトドメの一撃、いわゆる「オーバーキル」が発動する場面も存在する。無慈悲にトドメを刺す主人公の姿と音の良さも相まって、このオーバーキルにはクセになる気持ちよさがある。
なかでも元人間で、主人公を裏切った「ペイジ」と呼ばれる者たちに決めるトドメは文字通りのオーバーキルで、音のみならず演出的にも痛快の極み。彼ら自身が強敵として立ちはだかることから、プレイヤーの溜飲を下げるシーンになっている点でも必見だ。
アクションゲームに限った話ではないが、ゲームというものはシンプルな入力行為に対して、豪華な反応(リアクション)が返ってくることが面白さの根源でもある。
一部、仕様上の制約はあるものの、本作はそういった根源の面白さが見事に表現されていて、動かしているだけでも楽しいものになっている。
一見、相反する特徴だが、実際に敵との戦闘を体験してみれば、「ノロい=操作感が悪い」というわけじゃないことを思い知らされるはずだ。
手加減無用を地で行きつつ、実は「気づくとあっさり倒せる」という絶妙な高難度
とはいえ、現代では珍しい操作感を持つ本作の難度は高い。ボス戦を例にとると、ボスの攻撃を1発受けるだけで体力ゲージがゴッソリ削り取られてしまう。戦闘中に回復を図る方法も、使い切りのレアアイテム頼りだ。
おまけに、難易度選択機能なんてのも存在しない。用意されている難易度はただひとつである。相手の出方を見極め、時にスタミナゲージの残量にも目配りしながらの立ち回りも要求される。
「憤怒」と呼ばれる、スタミナゲージの回復速度と防御力を一時的に上昇させる技も用意されているが、ゲージ管理が必要なため、ボス戦の間に使えるのは1度きりだろう。
集中力と根気、冷静さが不可欠の戦いになるし、どれかが欠ければ心がポキッといく。そんな手加減無用っぷりなのだ。
特に、前述した「ペイジ」の1体として最初に戦うこととなる「王都のペイジ」は、本作をプレイする大半の人が辛酸をなめることになるだろう。
かくいう筆者も初見撃破はできず、10回近くリトライを繰り返すことになった。そもそもコイツ……硬い! 正直、「これ、最初の大ボスとして登場させるヤツじゃないでしょ!?」と物申したくなったほどである。
しかし、最終的には意外に呆気なく倒すことができた。実はこのボス、とある攻撃技のカラクリに気づけばダメージのリスクを大幅に減らすことができる。そのうえで事前動作に応じた攻撃それぞれの対処を心がければ、すんなり倒せてしまうのだ。

こういった「気づくと実は大したことない」という「答え」にあたるものが、本作のほぼすべてのボス(強めの敵ふくむ)に仕込まれている。
なので、難度は高いものの理不尽ではなく、非常に納得感のあるバランスにまとめられているのだ。これは「王都のペイジ」に限らず、その後に登場する別のペイジにしても同じ。
このバランス調整が絶妙で、「だったらもう一回戦いたい!」となる面白さや、「してやられた!」といったいい意味での悔しさを抱かせるものになっている。
事実、王都のペイジに勝った時、筆者は思わず「(答えに気づいていれば)絶望する意味なかったじゃん!」と歯がみしてしまったほどだ。
そんな「納得感のある高難度」にピンとくるものを感じたなら本作、とりわけボス戦はきっとお気に召すことだろう。ぜひこの「気づくと実は大したことない」感覚を実際に体験してほしい。
あえて難易度選択機能を設けなかったことへの、開発者の自信みたいなものを感じられるはずだ。
ちなみに本作の道中はチェックポイントが少なく、ボス戦以外でやられてしまうと大きく戻されてしまう可能性もある。これも根気が試される部分だが、「回復アイテムが特定ポイントで必ず出る」、「一度ほかのフィールドへ移った後に戻ってくるとアイテムが復活する」という点に気付けば、突破口を開けるだろう。
また、各エリアに隠された「力のクリスタル」および「力のクリスタルのかけら」などを集めたり、商人が販売している「腕輪」を買ってステータス強化を図るなど、対抗する手段も用意されている。
さすがに相手を一方的に追い詰められるようになるまでの強化は無理だが、これも絶望を薄める要素となっているので、厳しく感じたなら積極的な活用を。

ステータスは全5項目を自由に選んで強化可能だが、本作は敵、ボスの耐久力が高めに設定されていることから、筆者としては攻撃力が増加する「腕力」を優先することをオススメする。