撃って殺して、殴って殺して、とにかく殺して! レッツ暴力! 愛しきバイオレンス!!
以上が、筆者が『DOOM』というゲームシリーズに抱いていたイメージである。いや……『DOOM』ってこんな感じの印象じゃないですか? 違うかも。
しかし今回、同シリーズの最新作『DOOM: The Dark Ages』を試遊する機会をいただき、その印象は少し変化した。というのも、本作は圧倒的な暴力を振りかざす爽快感を持ち味としながらも、同時にプレイヤーの試行錯誤が求められるハードな戦略性……いうなれば「死にゲー」的な側面を持ち合わせていたからだ。
確かに、次から次へ現れるデーモンをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……という無双感は本作の大きな魅力のひとつ。が、その一方で少し難易度を高めに設定すると、あっという間に敵の倒し方や倒す順番、立ち回りの一挙一動を考えながら動かなくてはならない、さながらハードなタクティカルアクションのような姿へと変貌するもうひとつの面白さがある。
その「爽快感」と「歯ごたえ」の両立こそが、『DOOM: The Dark Ages』を最高にゴキゲンなFPSたらしめる最大の理由だと筆者は感じた。ノリノリ&バイオレンスな顔の裏に、シブくてハードコアな一面がチラッと見える……そのギャップが、萌える。まさか「『DOOM』に萌える」なんていう日が来るとは思っていなかったけど。
というわけで、本稿では5月15日(木)の発売を予定している『DOOM: The Dark Ages』試遊体験の感想をお届けしていきたい。なお、この文は編集部内でも指折りの倫理観を持つ筆者が担当させていただくが、本作のあふれる“勢い”をお伝えするため、やや刺々しい表現が交えられることをご容赦いただきたい。
文・取材/久田晴
殺して殺して殺し回れ。大群をひとりで殺し散らかす“無双感”がとにかく気持ちいい
つまるところ『DOOM: The Dark Ages』というのは、おびただしい数のデーモンを殺して、殺して、殺して、殺し尽くすゲームである。撃って、殴って、切り裂いて、蹴り飛ばして、あらん限りの暴力を好きなように使って、好きなように殺す……最高に自由であり、その自由こそが最高でもある。
その楽しさの大きな一要素が「爽快感」、もう少し具体的に語れば大軍をひとりで肉片の山に変えていく「無双感」にあるのは間違いないだろう。戦場をにぎやかすザコ敵の皆さんは、プレイヤーがちょっと手を出せばすぐにバラバラになってくれ、「あぁ、俺はいま指先ひとつ動かすだけで、こんなにも大勢を肉片にできるんだ」と感慨を抱く。
なんやかんや言って、結局のところ並み居る敵を次から次へ屠っていくのが楽しくないはずがない。そういった根源的なアクションの楽しさを『DOOM: The Dark Ages』はばっちり受け継いでくれている。撃って暴れて、殺して踊れ!
中でも特に爽快だったアクションがいくつかあり、そのひとつがシールドソーによる投擲攻撃。シールドは今作『DOOM: The Dark Ages』の象徴的な新装備で、少しゲームを進めると“ソー”……つまり回転ノコギリが内蔵され、これを投げつけて攻撃できるようになる。回転ノコギリっていうのがまた、最高にバイオレンスでとても良いよね。
シールドソーは投げつけると小型の敵であれば一撃で倒せ、大型の敵も一時的に動きを止めてくれる効果があるので、とても頼りになる。一度に一枚しか投げられないのが弱点と言えば弱点ではあるものの、何回使っても弾切れにならないのも嬉しい。
そしてシールドソーの投擲は、盾やアーマーにも有効な手段だ。盾・アーマーは銃撃などによって熱を溜めさせたあと、シールドソーをぶつけるとブレイク。特に盾持ちのザコ敵は集団で現れる場面も多く、うまくやると一度の投擲で5体ほどまとめてぶった切れる。このときの一網打尽の感触が本当に気持ちよく、アーマー【※】も増えるので二度美味しい。
※追加ライフのようなもの。フィールド中で拾える以外に、シールドソーの投擲で敵のアーマーなどを破壊しても入手できる。回収時に「ジャラララ」みたいな音がするのもちょっと好き。
もうひとつ、爽快感を支える重要な要素がシールドを構えての体当たり。こちらも投擲同様にザコ敵ならば一撃で倒せる攻撃なのだが、特筆すべきはその圧倒的な移動距離とスピードにある。遠目から一瞬の内に密着まで距離を詰められるので、近接戦に持ち込みたいときはもちろん、移動先の敵さえいれば逃げるのにも使える。ちょっと情けないけど。
この疾走感が心地よいのとともに、本作の銃は距離が空いていると当てにくかったり、そもそもショットガンのように近づかないとダメージを出しにくいものも多い。そのため、急速接近は殺しの効率を上げるために必須のアクションだ。
もちろんシールドは防御にも使え、特に「パリィ」は攻略において非常に重要なアクションである。本作では近接攻撃だけではなく、敵の射撃も一部パリィが可能。パリィした弾は相手に向かって飛んでいき、そこから近接攻撃などの高火力なコンボにつなげやすいので、かなりリターンが高く、積極的に狙っていきたい。
パリィの受付時間は難易度によって変化するので一概には言えないが、弾速の遅い弾ならば「当たりに行く」形でパリィを狙うこともできるほど。しかも成功時に一瞬挟まるスローモーション演出のおかげで、爽快感が抜群だ。あと、死角から飛んできた弾をとっさにパリィできるとニュータイプ気分が味わえてとても良いですね。

一方、近接攻撃のパリィは弾ほど簡単ではない印象だったが、成功さえすればそのまま近接攻撃コンボに持ち込むことが可能だ。本作の近接攻撃はリチャージ式で、いつでも使えるわけではない代わりに高威力。また「ガントレット」や「フレイル」など複数種から選ぶことができ、それぞれに長所と短所がある。
撃つ、アーマーを割る、パリィを取る、突進する、殴る……こうした豊富なアクションが組み合わさった本作の戦闘は、忙しなくも確かな爽快感に満ちている。映像を見る限りだとついついバイオレンスな演出に目が行きがちではあるが、「動かしていて楽しい」と素直に思えるアクションには、確かに触ってみる価値があるように思えた。
……結局、圧倒的な暴力をつつがなく振り回せるというのは、最高に気持ちが良いんですよね。