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初回から傑作エロゲー『ドーナドーナ』を特集するぶっちぎりなゲーム番組『野田クリの野望』が4月1日にスタート。「エロゲーに恩返しをしたい」と語る野田クリスタルさんインタビュー

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昨今ではゲームを題材にしたテレビ番組も増えているが、第1回からアリスソフトが手掛ける傑作と名高いアダルトゲーム『ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう』を特集する、ブっちぎりなゲーム番組が始まる。

その名も『野田クリの野望〜ゲーム天下統一への道〜』(以下、『野田クリの野望』)だ。

野田クリスタルさんインタビュー:エロゲー『ドーナドーナ』を特集する番組『野田クリの野望』は、トガり過ぎて放送できるか分からない_001

『野田クリの野望』はTOKYO MXにて4月1日(火)の21時25分より放送される番組。初回が「アダルトゲーム」を題材にしているとおり、本番組の目的は「ニッチなジャンルや、未知の領域」を開拓することだ。

「そんなん、初回だけ頑張ってるだけじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれない。かくいう筆者もそう勘ぐった。

しかし、第2回の題材は、Googleストリートビューの画像から、その場所がどこかを当てるゲーム『GeoGuessr』

ド渋い。

こういった具合に、触ればケガするほどトガった切り口のゲーム番組として『野田クリの野望』に期待が高まる。

このたび、本番組の記者会見のほか、番組MCを務めるお笑い芸人の野田クリスタルさんにインタビューをする機会を得た。

インタビューではゲーマーであり、ご自身もゲーム開発者である野田クリスタルさんにより、本番組への期待は勿論のこと、トガった本番組の危険性(?)もうかがうことができた。

本記事を通じて、前代未聞のゲーム番組の‟あぶないトガり”を少しでもお伝えできれば幸いだ。

文/りつこ


トガってるのは切り口だけじゃない。なぜかマッチョで固められた出演者たち

まず、番組の概要を、記者会見の様子と共にお届けしよう。

なぜか本番組は、戦国時代をモチーフにした演出が施されている。これは、ゲーム業界の国内市場規模が2兆円超となった現代を「ゲーム戦国時代」と見立てていることに由来しているという。

番組ではメインMCであり“殿”である野田クリスタルさんが“ゲーム戦国時代の雄”になるべく、ゲームのディープな領域を開拓していくわけだ。

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そして、なぜか出演陣が‟マッチョな芸人”で固められている点も見逃せない。

野田クリスタルさんの家臣として出演するのは、しばしばゲーム実況なども行う青木マッチョさん、そしてラグビー芸人のしんやさん

しんやさんはあまりゲームをプレイされないようだが、会見ではとにかくデカい声で会場のバイブスをカチ上げていた。

会見の段階ではゲームとマッチョの関係性は見えなかったが、そんな分析キャラ的な見解はどうでも良い。力こそパワー、脳筋ビルドこそ正義。ゲーム戦国時代では、強い奴しか生き残れない。

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▲左からしんやさん、野田クリスタルさん、青木マッチョさん

番組の各回では扱う題材にちなんだゲストも迎えられ、初回は“叡智(えち)の國”でアダルトゲームを極めたリップグリップ・岩永圭吾さんが出演。ただ『ドーナド―ナ』を扱うセンセーショナルな試みに留まらず、同作の社会的、哲学的なテーマについて紹介するという。

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※上記のリンク先は、18歳以上アクセス禁止(画像は【DL版】ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう – – FANZA GAMESより)

ちなみに、会見ではフリップトークのコーナーも実施された。

お題は番組タイトルにちなんだ「それぞれが抱く野望」を問うもので、なんと野田クリスタルさんは「コーエーテクモから野田クリの野望マジ発売」と回答。

ゲームの内容としては、武将の名前が全員芸人になっており、様々な事務所を倒していく作品になるという。吉本が天下を統一した暁には、野田クリスタルさんが吉本を倒し‟この界隈”が天下を取る、といったシナリオになると妄想を語った。

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野田クリスタルさんと同じように、青木マッチョさんも「本家越え」と答え、しんやさんは「マッチョゲーム界の天下統一」と回答。

野田クリスタルさんから「マッチョゲーム界」という界隈の狭さを指摘されるも、持ち前の大きな声と巨大な肉体でその場を制した。

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このほかに、野田クリスタルさんは会見にて「『勇者ああああ』という番組に出演した際に、エロゲを語ったことで世に出ることができた」と語り、「この番組でエロゲーへの恩返しがしたい」ともコメントした。

「エロゲーへの恩返しがしたい」という、誰もが言ってみたいが言う機会がない一言が、本番組と野田クリスタルさんが有するポテンシャルの高さを象徴しているだろう。

初回が放送できるか分からない(!?)野田クリスタルさんインタビュー

──本日はよろしくお願いします。
今回の番組は従来の番組以上にディープなゲーム番組になっています。番組のコンセプトを聞いて、どのように感じましたか。

野田クリスタルさん:
制作陣としても「やっぱり普通に売れてるゲームをプレイする番組は他にもあるから、そうじゃないことをやろう」という考えがあり、この番組が作られたんだと思います。

だけど、その一本やりのみ。実際は「何が正解か分からない」っていう状況でこの企画が始まっているんです。

だから不安で仕方ないわけですよね。

──では、かなり覚悟の決まった番組になっていると。

野田クリスタルさん:
「覚悟の気持ち」だけしかないと思います。

──戦国時代がモチーフである理由が、改めて理解できた気がします(笑)

野田クリスタルさん:
誰が天下を取るか分からない混乱、すなわちゲーム戦国時代。もう、戦うしかない状況です。

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──ちなみに、出演陣はマッチョ芸人のお三方で固められていますよね。

野田クリスタルさん:
もともとはマッチョって、バカでよく動いているような「しんや」みたいなタイプが主流だったと思うんですよ。

でも最近では「青木マッチョ」っていう大人しくて‟陰なマッチョ”も登場した。そうしてマッチョの層が広がったことで、ゲームとの相性が良いマッチョも現れてきているんです。

マッチョは「外」のイメージがあるかもしれないけど、実は「内」なんだと。

──現代のマッチョは、家にいるということでしょうか。

野田クリスタルさん:
そうなんです、マッチョは家にいる。外で筋トレはしないですから。

あと、実はゲームを遊ぶスペースって、そんなに広くなくても問題無いですよね。

コントローラーひとつなので、あんなに体がデカい奴らでも楽しめる。だから、実は相性が良いんじゃないかと感じています。

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▲確かに、コントローラーは小さい。

──つまり番組には、マッチョの皆さんにゲームの魅力を、マッチョの魅力をゲーマーに伝えるような側面もあるんですね。

野田クリスタルさん:
マッチョだってゲームをやれるんだぞってことを、証明したいです。
今はマッチョがゲームをやっている時代だけど、今度はどんどんゲーマーがマッチョになっていくんじゃないか、とも考えています。

──なるほど。

野田クリスタルさん:
やはりゲーマーっていうと「陽な人たちに舐められてしまう」のではないか。「リアルファイトは弱いと思われてしまう」かもしれない。

そういった不安を抱えている方もいらっしゃると思うんです。

なのでゲーマーの皆さんにも、筋トレを修行として提案していこうかなと考えていますね。

──すでに第1回、第2回の収録を終えたと伺っておりますが、収録の印象はいかがでしたか。

野田クリスタルさん:
やはり、収録したけど、放送できない可能性もあるんです。第一回は、MX本社を揺るがしているので。

──というと?

野田クリスタルさん:
僕もいろいろテレビに出るようになって気付いたんですけども、収録されている風景は、基本的に社内で流れているんです。

だから、スタジオで安易にチ〇コを出すもんじゃないと。テレビ局内で、編集されてない「それ」が出ているぞと。それに皆が気付くことでテレビ局内のモラルが保たれている。

つまり第一回の収録を終えたことで「編集されていない、僕らがアダルトゲームをプレイする模様」が、TOKYO MX内に流れたはず。第一回の映像を、TOKYO MXの偉い方たちが見た時に、もうこの番組が無くなってしまう可能性もあるわけです。

視聴者の皆さんには、このハラハラ感を楽しんでいただきたいですね。

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▲画像は“叡智(えち)の國”でアダルトゲームを極めたリップグリップ・岩永圭吾さん

──つまりは題材のスリリングさだけじゃなく、現実的な問題が立ちはだかっていると。

野田クリスタルさん:
そこにみずから身を投じているので、なぜなんだ?と。

なんで自分で自分を追い込んでいるんだっていう、不思議な番組になっています。

──では、まず番組が放送されるのか?というポイントが見どころになりそうですね(笑)

ちなみに、番組にはさまざまなゲストが迎えられると伺いましたが、今後どのようなゲストを迎えたいですか。

野田クリスタルさん:
もちろん『マリオ』を作った宮本茂さん『ファイナルファンタジー』坂口博信さん『ドラゴンクエスト』堀井雄二さんといった、レジェンドクリエイターの方々にお話を聞きたい気持ちはもちろんあります。

そのいっぽうで、今のゲームを作っている若手クリエイターの方のお話も聞いてみたいですね。今のゲーム業界は、どうなっているのか気になります。

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昔に比べて、ゲーム業界の何が変わったかと言えば、大手メーカーが出しているタイトルが、ビッグタイトルだけになったという点があると思うんです。

かつては「スクエニがこんなの作ってたの?」みたいな、良い意味で‟意味わかんないゲーム”が沢山ありましたよね。

でも最近では、ひとつの作品にかける予算や、お金の問題で「尖った作品」がなかなか作れなくなっている。

そういった現代のリアルな裏事情に関しても、知りたいなと思っています。もし話を聞くことができれば、痺れる内容になると思うので。

──尖った作品と言えば、
野田さんがお作りになる「野田ゲー」は、あえてチープな質感を演出している点が印象的です。

この作風は、どういった影響で生み出されたのでしょうか。

野田クリスタルさん:
もともと私がネット民であり、にちゃんねらーだったので、昔はフラッシュ板にずっと籠っていました。なので「野田ゲー」の作風はフラッシュゲームで遊んだり、見たりしていたことがルーツかもしれません。

やはりフラッシュアニメ、フラッシュゲームが好きだった理由は「細部にこだわりが見えない」というところですね。

画像一個を切り取るにしても余計なものが付着していたり、作品を構成する要素がとにかく雑。でも、それらの雑さが集結することで、なぜか味が出る。

くわえて、ジャンルを問わず「個人が開発したもの」自体が好きなので、そういったフラッシュゲームの精神性を引き継いでいると思います。

──昨今では開発規模も大きくなっているように感じますが、そういった点においてはいかがでしょうか。

野田クリスタルさん:
もちろん売れたり、有名になることで手伝ってくれる人は増えています。でも、僕が中途半端にクオリティを上げても、本当に大したものにならないと思うんです。

ならば、徹底的にDIY道に行くしかない!って思って今の作風になっています。

──自分のルーツと、戦略的なことを考えた結果、編み出されたスタイルなんですね。

野田クリスタルさん:
結果としては低予算だし、ちゃんとした作品に比べてお金がかからないので、「あえて雑な作風」は色々融通が効きやすいですね。

自分の気持ちも、効率を考えた時にもメリットがあるので、運よく噛み合ったなと。

──直近ではゲームを制作できる作品『スーパー野田ゲーMAKER』がリリースされていましたが、今後のゲーム開発のご予定はいかがでしょうか。

野田クリスタルさん:
まだ動き出してはいないのですが、新作を考えてはいます。Nintendo Switch 2が出ると思うので、それにあわせてゲームを制作したいという思いがありますね。

残念ながら吉本興業はゲーム会社じゃないので、Nintendo Switch 2の情報は一個も入って来ませんが。

──具体的な作品のイメージはありますか?

野田クリスタルさん:
それこそ、私はマッチョをやらせていただいているので『リングフィット・アドベンチャー』のような、体を動かす作品を作ってみたいです。

──まさに、マッチョなゲーマーが制作すべき作品ですね。

野田クリスタルさん:
ゲーム開発で実現したいこととして、最終的には「家庭用ゲーム機に向けて、体を鍛えるゲームを展開する」という考え方を、逆転させてもイケるんじゃないか?と考えています。

──逆転、ですか。

野田クリスタルさん:
つまりは「死ぬほど重いコントローラーでRPGを遊べるようにする」ということです。

メチャクチャ重いコントローラーであれば、遊ぶ作品はなんでも良いわけですから。

──なるほど。ゲーマーとマッチョの双方が震えるアイデアですね。

野田クリスタルさん:
こどもの頃、『ダンスダンスレボリューション』の家庭版を購入した時に、大きなマット型のコントローラーがあったと思うんです。

あれで、誰しも一度は『ストリートファイター』といった別のゲームで遊びますよね。僕は、あれが本当に大好きなんです。

なので、そういった「普通のゲームを、体を動かして遊べる」ようなコントローラーも、いつかは制作してみたいですね。

──では、コントローラーの開発も、楽しみにさせていただきます。

ちなみに、野田さんはかなりご多忙だと思うのですが、ゲームは時間のかかる娯楽だと思います。普段、どのようにプレイされていらっしゃいますか?

野田クリスタルさん:
難しいですよね。実際に僕は、長編のRPGで遊ぶ時間はほとんど取れていないんです。

でも、本来メチャクチャ時間をかけないといけない格闘ゲームは、短い時間でも楽しく遊べています。

というのも、移動中にプレイ動画を見て「練習したほうが良いポイント」を押さえておけば、短い時間で効果が出るんです。

なので「要点を押さえて10分だけ練習する」ような遊び方をしていますね。

──座学を通して、効率的に強くなっていると。

野田クリスタルさん:
そうですね。一応ゲーム番組の「有吉ぃぃeeeee!」では、まだ負けていないです。

──かなりストイックな楽しみ方ですね。野田さんの他のご趣味にも共通する要素を感じます。

野田クリスタルさん:
筋トレとプログラミングが一緒だっていう話をよくするんです。

まず、体は嘘をつかないので「これだけ筋トレをしたのに、痩せられない」という意見に対して筋肉のせいにするなよと考える。それは、お前のやり方が悪いんだという理屈があるんです。

それはプログラミングも一緒で「バグが出たり、思った通りの挙動にならなかった」ことを、パソコンのせいにするなと。つまり、どっちも考え方が似てるんです。

──やはり、ストイックな探求がお好きなんでしょうか。

野田クリスタルさん:
そうですね。ただ、そういった趣味や取り組みにはどうしても時間がかかってしまうので、そこは課題ですね。

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──とはいえ、効率的な楽しみ方によって、格ゲーも筋トレも、さまざまなご活動と両立されていますよね。

効率というキーワードに関連して、『野田クリの野望』ではRTAを題材にした放送回も予定されていると伺いました。

野田クリスタルさん:
RTAって、実はゲーマーに限らず、多くの人が楽しめる取り組みだと思うんですよ。

たとえば僕は普段、朝RTAをしてるんです。

──朝RTA、ですか。

野田クリスタルさん:
そうです。仕事に行くまでの時間は、いつもRTAをしています。最短ルートを通り、移動をしながら歯を磨くような、最高の効率を目指しているんです。やらなきゃいけないことを、全部同時におこなうような。

トレーニングも同じで、どれだけ効率よく回れるかを意識して、その効率化自体を楽しんでいますね。

なので、そういった意味では人生RTA人間かもしれません。ただ、結果人生遠回りをしているかもしれないです。それは、実に面白いですね。

──速さを追求しているのに、気付けば遠回りをしている。ウサギとカメのような。

野田クリスタルさん:
あと、普段は「家に帰るRTA」もしています。

大宮の劇場に出て、ライブが終わって帰るじゃないですか。本来であればライブが終わって先にお客さんが劇場から出るはずなんですけど、僕のほうが先に駅にいたらしいんです。

チート使ってるとしか思えないですよね。

──それは確かに、本来ではあり得ない挙動ですね(笑)

最後に、『野田クリの野望』に関心のある読者の方に向けたメッセージをお願い致します。

野田クリスタルさん:
この番組の唯一決まっていることは「他のゲーム番組とは一味違う、ゲームの番組にすること」だと思います。故に、それしか決まっていないんです。

僕ら出演者も、これから何が起こるか分からない。評判次第では、全然違うスタイルの番組になっているかもしれない。

なので、このライブ感を、ぜひ楽しんでいただきたいです。

──では、視聴者も番組の在り方を探っていくようなかたちですね。

野田クリスタルさん:
そうですね。
探っていこうよ、新しいゲーム番組のかたち!という感じです。(了)

編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ライター/編集をしています。

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