日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th」が、京都市勧業館みやこめっせにて7月18日から20日まで開催中だ。同イベントでは、国内・国外を問わずさまざまなインディーゲームが集まり、新作ゲームの体験のほか、開発者たちによるステージや物販などが楽しめるようになっている。
さて今回は、そんなBitsummitに出展中のローグライクデッキビルド農業ゲーム『Deck of Harvest』を先駆けて体験することができたので、その内容を紹介していきたい。
ローグライクで、デッキビルドで、そして農業!……農業?
ローグライクでデッキビルドというのは『Slay the Spire』あたりからよく聞くようになったけれど、そこに農業の要素が加わると…うーむ、どうなるんだ?
と、やや疑問を抱きながらも、実際にプレイしてみると……いやいや、これがなかなか悪くない。悪くないぞ!
見よ、生産ノルマという責務を負いつつ、荒ぶる自然と決闘する農業従事者の姿を!
オレは手札からトウモロコシをセット!そしてシャベルで今植えたトウモロコシを引き抜き、効果で生長したアワを収穫してターンエンドだ!
カードのプレイに「コスト」の概念なし!だけど手札出し放題にはならない調整の妙
『Deck of Harvest』は、農家となって作物の植え付け・栽培・収穫を行い、各季節ごとの収穫ノルマの達成を目指していくゲームだ。デッキビルディングということで、植え付けに使う「作物」や刈り取るための「鎌」、作物の生長を促す「じょうろ」といったものは、すべてカードとしてプレイする形となっている。
ゲームはターンベースで進行し、3×3マスの小さな畑に対してカードをプレイしながら進めていく。ターン経過を待って生長した作物を刈り取れば、それに応じた収穫が得られるので、これをこなしていって生産高を稼ぎ、季節(春夏秋冬)の区切りとなる6ターンごとのノルマ達成を目指していくというルールだ。
また季節の区切りには、新たなカードに加えて作物を売って得られたお金が手に入るので、これを使って業者から「新たなカード」や「デッキ内のカードを破棄する効果」などを購入、さらにデッキを強化することも可能となっている。
追加のカードには特殊効果が備わったものが多数用意されており、たとえば収穫時に周囲の作物の生長を1ターン早める「トウモロコシ」、作物を除去して即座に50%の収穫を得る「シャベル」といったものがある。組み合わせを考慮してカードを集め、効果同士でコンボを組むのがうまく攻略を進めるコツだ。
本作の特徴的な部分として、デッキビルド型のゲームでありながら、カードのプレイに必要な「コスト」の概念が一切ないというのがある。
「となると、手札に来たカードはいくらでも出し放題なの?」と思われるかもしれないが、実際にやってみると、そううまくはいかない。植えた作物が育つには数ターンかかるし、畑では作物を植えるだけでなく、刈り取るのにもカードが必要だからだ。
さらに言うならば、畑には勝手に「雑草」というお邪魔者も生えてくる。
つまり3×3マスしかない畑をうまく回すには、そのあたりのバランスを考慮してスマートにデッキが回る構築や、手札の切り方を考えていかなればならない。手札自体は「使えれば使い放題」だが、実際にそれをやるのはそう簡単ではないようになっている。

こういった調整の妙もあり、初見のプレイ時には刈り取りに使う「鎌」の数が足りず、また生えてくる雑草の対処もあって、刈り取りの手が足りないまま作物を思うように植えられなかった結果、1年目の冬であえなくゲームオーバーを迎えることとなった。
フゥーム、コストの概念はないものの手札が簡単に使いきれないバランス……なるほど、よくできている!
このほかにも本作では、進行に応じてより凶悪な「雑草」が生えたり、「水不足」に陥ったりといった様々なシチュエーションが発生するようになっており、その都度プレイヤーの農家としての実力が問われるようになっている。荒ぶる自然は、いわばこのゲームの敵役というわけだ。
またさらにゲームが進むと、求められる生産ノルマもどんどん高くなっていくため、デッキに入れるカードの取捨選択もシビアに行う必要が出てくる。どのカードを入れ、どれを捨てるか……最強の農家デッキを構築して4つの季節を股にかけ、めざせ究極の四毛作(実際のゲーム内では、もっと植えまくるけど)だ。
というわけで私は、手札からトウモロコシをセット。そしてシャベルで今植えたトウモロコシを引き抜き、効果で生長したアワを収穫して、ターンエンド。
『Deck of Harvest』は、日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th」にプレイアブル出展中だ。気になった方は現地にて、本作を体験してみてはいかがだろうか。