11位以下を見る前に……「どんなゲームが人気だったのか?」「各月や価格帯の分布は?」など、軽くデータ分析
11位以降のランキングを見て行く前に、各月、価格帯それぞれでの分布がどのようになっているのかなど、今回収集した132タイトルのデータをまとめてみたいと思います。
「いいから実データを見せてくれ!」という方はこちらのリンクから11位以下のランキングをご確認ください。
発売月ごとに見る「圧倒的に好評」な新作ゲームの分布
まずはそれぞれのゲームを発売された月で分類してみたところ、以下のようなグラフになりました。

3月が最も多く、17本。逆に2月が最も少なく、6本という結果です。単純に考えて2月は28日までしかないので、リリースされるゲームもその分減ることは予想しやすいですが、そのことを加味しても少なすぎる印象ですし、最多月が3月だというのも意外でした。
「なぜこのような結果になったのか?」を考えた時ヒントになりそうなものは、直近のビッグタイトルです。2025年2月は『キングダムカム・デリバランスⅡ』や『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』、『モンスターハンターワイルズ』といった巨大IPの新作が立て続けに発売された月でもあります。
『GTA 6』の発売タイミングに被らないよう、ゲームのリリース時期をずらすことを検討したパブリッシャーが話題となったように、前もって予告されているビッグタイトルはほかのゲームにとって一種の圧力となりえます。
これは推測でしかありませんが、『キンカム2』や『Civ 7』、『モンハン ワイルズ』などと発売時期をずらすため、2月を避けて3月へとリリースを遅らせたゲームがあった結果、2月3月のグラフにある種の歪みとして記録されたのかもしれません。
価格ごとに見る「圧倒的に好評」な新作ゲームの分布
続いてのグラフは、それぞれのゲームを価格帯によって分類したものです。

最も多い価格帯が1001円~1500円で23本。続いて1501円~2000円が22本。この1000円分の区間を合計すると45本となり、実に全体の1/3以上を占めています。
表全体を見ても、ほとんどのゲームが4000円以下ということがわかり、円安やインフレなどの影響でゲームの価格高騰が取り沙汰される昨今においても、低価格帯の良作はしっかりと数を増やしていることがうかがえます。
一方で5000円を超える高価格帯のゲームも、数こそ少ないものの存在感を示しており、『空の軌跡 the 1st』や『ソニックレーシング クロスワールド』などの国産ゲーム、『Expedition 33』に『スプリット・フィクション』といった今年の賞レースを賑わせたタイトルが名を連ねていました。
今回調査した「圧倒的に好評」な新作ゲーム 価格ランキング トップ5
『空の軌跡 the 1st』 8800円
『ソニックレーシング クロスワールド』 7990円
『Clair Obscur: Expedition 33』 7480円
『スプリット・フィクション』 6900円
『エリクスホルム:奪われた夢』 5999円
「マルチ協力」型ゲームの隆盛
今回のリストをまとめていて、筆者が個人的に最も興味深く感じたのは「マルチ協力」型ゲームの隆盛です。なにせ1位『R.E.P.O.』と3位の『PEAK』がともにマルチ協力型のゲームですし、2位の『Schedule I』についてもマルチプレイ要素が存在しています。
ここ1年でリリースされた「圧倒的に好評」な新作ゲームのうち、レビュー数トップ3がマルチゲーとも言えるわけですから、これはなかなかすごいことなのではないでしょうか。
リスト全体を見ても、マルチ協力要素を持ったゲームは19本存在しており、比率にして約15%、7本に1本はマルチ協力型という状況になっています。
ちなみに、それぞれシングル/マルチ協力型/マルチ対決型要素のあるゲームの内訳は、
シングル 127本
マルチ協力 19本
マルチ対決 7本
となっています。(一部、複数の要素を併せ持ったタイトルがあるため合算が132を超えています)
余談ですが、こうしたマルチ協力型ゲームの隆盛というムーブメントは、デジタルゲームだけに留まりません。先の7月、ドイツで開催されたアナログゲームの表彰式において、日本の『ボムバスターズ』が「ドイツ年間ゲーム大賞」を受賞して話題となりましたが、この『ボムバスターズ』もまた多人数による協力型ゲームです。
かつて『カタン』や『チケット・トゥ・ライド』、『ドミニオン』など数々の名作ボードゲームが受賞してきた「ドイツ年間ゲーム大賞」ですが、2023年の『ドーフロマンティック ボードゲーム』、2024年の『スカイチーム』に続いて、2025年の『ボムバスターズ』をもって3年連続で協力型ゲームが大賞を受賞しており、近年のアナログゲームにおける協力型ゲームの潮流というものを象徴する結果となっています。
こうしたゲームカテゴリの垣根を越えた大きな流れもまた、今後のゲームを考えていく上でひとつの参考になるかもしれません。
「実写ギャルゲー」の波
『恋爱吗?我家猫会后空翻』【※】や『タイでのときめき』のような、いわゆる「実写ギャルゲー」が複数ランクインしているのも面白いポイントです。
※日本語訳:デートしませんか?私の猫はバク転ができます。……「猫の奇行を理由にして、相手を家に招く」という中国における誘い文句らしい。
この実写ギャルゲー、なんでも中国では2023年頃から流行となっているらしく、ストアページを覗いてみると、中国語圏のプレイヤーがさまざまなレビューを書き込んでいる様子が確認できました。

ちなみに、最近では韓国や日本でも、中国の流行を察知したかのように、実写ギャルゲー作品が制作・発表され始めています。
古くは1990年代、プレイステーションなどのプラットフォーム上でも模索された実写ギャルゲージャンルが時代を超えて中国で花開き、あらためて日本でも作られ始めているというのは、文化というもののある種の“しぶとさ”を感じて、なんだか感慨深くなりました。
かつての実写ギャルゲーを知る方も、今回初めてその存在を認知した方も。この機会にこういったタイトルを遊んでみるのも、面白いかもしれませんね。
今回調査した「圧倒的に好評」な新作実写ギャルゲー
『恋爱吗?我家猫会后空翻』
『まさか!下宿生が 美女ですって?2』
『タイでのときめき』
