「楽しいデザインが第一」「自分たちらしいファンタジーを」開発者への合同インタビュー①
体験会の合間には、2名の開発者へ向けた複数メディア合同のインタビューが開催された。40分以上にわたって、本作の制作の背景やデザインに込められた意図などをたっぷりと語ってもらった。以下、その模様をお届けする。
〇インタビュイープロフィール
Jason Torfin氏:VP、プロダクトおよびパブリッシング/ゲームライター
Mohammad Alavi氏:リードデザイナー

──本作はMOBAや拠点の制圧やマウントなど、様々な要素を融合させています。このゲームデザインはどのような背景があって作り上げられたのでしょうか?
Mohammad Alavi氏(以下、Mohammad氏):
僕たちはゲームをプレイしながら、何が好きなのかを探っていきました。そこで注目したのが、すごく激しくてアクション満載のレイドと装備集めやシールドブレイカー争奪戦という「嵐の前の静けさ」という2つの面があることでした。
ひとつのゲームの中に、2つの異なるプレイ方式と激しさがある。ずっと100パーセントの激しさじゃないのが良いと思ったんです。ずっと激しいゲームを何時間も続けてプレイするのは難しいですよね?
そこで、オープンワールドの探索とレイドという緩急があれば、良いフローができて何度も遊び続けられるんじゃないかと思いました。
──開発中、最も苦労したことは何ですか?
Jason Torfin氏(以下、Jason氏):
新しいゲームを新しい会社で、新しいテクノロジーも使用し、さらにパブリッシングも行うということを、すべて同時にこなすことです。
とても困難なことですが、幸運なことに私たちの多くは以前仕事を共にした経験があります。そのため、お互いを信用し、チームとして効率的に働くことができています。
ゲーム開発は個人競技ではなくチームスポーツですからね。お互いをとても必要としています。
──ファンタジーとFPSという、複数の要素を融合させることは困難でしたか?
Mohammad氏:
そうですね。でも同時に、僕たちが最もインスピレーションを感じた部分でもあります。
このゲームはコアの部分では、銃のゲームになっています。射撃の感覚や、金属の弾丸を撃ってる感覚を取り除くことはしたくありませんでした。
ただ、ミリタリーやSFを題材とした作品を長いこと作っていたから、何か新しいことをしたいと思ったんです。そこで、クリエイティビティを刺激するような「魔法」の要素を入れることにしました。
この「銃」と「魔法」という組み合わせはすごく難しいことですけど、とてもワクワクします。
例えば、カイというキャラクターは魔法で氷の壁を作ることができるけど、その後ろに隠れながら銃で狙いをつけられるんです。今までこういうことはできなかったから、2つのことを融合させるのは困難だけど達成感のあることでした。
──今後「エピソード」としてコンテンツ追加が予定されていますが、 バランス調整はエピソードごとなのか、OPなキャラクターがいればすぐ調整するのか、その頻度はどうなるのでしょうか?
Mohammad氏:
「できるだけ速く」というのが僕たちの考えですね(笑)。
『Apex』のローンチ時は準備不足でした。ライブサービスゲームをやるのが初めてでしたから、最初の数シーズンは厳しい状況でした。
それから学んで、今回は準備万端です。新機能や新キャラクターを追加するロードマップだけでなく、QoLやバグ、バランスの調整も予定しています。
ですから、全てのアップデートにQoLの向上やバランス調整が含まれており、不測の事態に対応するツールとテクノロジーもしっかり準備しています。
──ランクマッチの実装も予定されていますが、eスポーツの面にはどれくらい力を入れる予定ですか?
Jason氏:
まずは、どれくらいの需要があるかを見たいですね。ゲームをリリースして、eスポーツ面での大きな需要があれば、それをサポートできるようにしたいと考えています。
ただ、我々は小さなチームなので効率や優先順位を考慮した決定をする必要があります。
本作はとても競技性があって観戦も楽しいですから、ライブサービスでそれが実証できれば、サポートして継続的に向上できるチームとツール、プロセスを用意します。
Mohammad氏:
そうですね。僕たちはコミュニティの声を聞くことを重要視していますし、プレイのデータもたくさん見ています。それらを使って、コミュニティと迅速な対話をしていきたいですね。
さっきも言った通り、僕たちは過去の経験から学んでいますから、素早く反応する準備は整っています。
Jason氏:
eスポーツはゲームとパブリッシングの両立になります。
ゲームがeスポーツシーンをサポートするだけの機能があるかだけでなく、配信のためのインフラなど、ゲーム外のリソースも必要です。
とても大きな仕事になるので、本格的にコミットする前にしっかりとした需要があるかを見極めたいですね。
──キャラクターやスキンなどをデザインするとき、開発チームの中ではどのような議論が行われていますか?
Mohammad氏:
僕たちは「デザインファースト」という哲学を掲げていて、常にゲームをプレイテストしています。ですから、常にプレイしていて楽しいデザインを作るというのが第一です。楽しさが確かめられたらその次に、そのキャラがどんなところが目立っていて、プレイヤーのどんな願望を満たせるのかを考えます。
「議論」というよりは「良いフィードバック」と言いたいですね(笑)。
Jason氏:
デザインの好みは個人の主観によるところが大きいですからね。多くの異なる意見があった時には、そのキャラクターのコアの部分に合致しているか? ということを考えます。
我々が作ろうとしているユニバースに合っているかということです。我々はこれから作ろうとしているフランチャイズに「まとまり」を持たせたいと考えています。多くの優れた映画やコミックがそうしているように、すべてのものがその世界に存在するものだと感じられるようなデザインを目指しています。
Mohammad氏:
チームの努力ですね。
僕たちのチームには優秀なクリエイティブディレクターがいますが、彼の素晴らしいところはいいアイデアをどう聞くべきかを知っていて、それらを1つのビジョンにまとめ上げる方法を知っているという点です。
Jason氏:
スキンなどの装飾品をデザインするのは、とても楽しいですね。
そして我々のやっていることで特徴的なのは、すべてのバンドルや装飾品が世界観の中にあって、設定やストーリーが用意されているということです。
ストア画面では、すべてのバンドルにキャラクターや歴史上の出来事などの解説がついています。これらは購入しなくても読むことができて、世界をより理解することができます。ゲームのあらゆる部分において、世界観を構築しているのです。
──ベースには北欧風など様々なテーマのものがありますが、今後日本やアジア風のベースをリリースする予定はありますか?
Jason氏:
興味深いですね。これから多くのベースが配信予定ですが、『Highguard』は地球ではない場所が舞台なんです。
何百年もの間この世界は存在していたんですが、ある時、アトランティスのような伝説の大陸が突然再び姿を現した、という設定です。
人々は探検を始め、遥か昔の古代遺跡を発見し始めたばかりで、大陸がどれほどの広さなのかさえまだ分かっていません。探検が進むにつれて新しい文明や、未発見のエリアを見つけ出すことになります。
私たちは、時間をかけながら、そうした遺跡の建築様式やストーリー、そして新しいタイプのウォーデンたちを展開していくことを楽しみにしています。
つまり、『Highguard』の土地と、なぜ大陸が戻ってきたのかという謎、そして以前は何だったのか、これら自体がひとつの「キャラクター」のようなものなんです。これから時間をかけて掘り下げていく予定です。
そうして、新しいマップやベースが様々なバイオームや歴史的背景などに基づいた特徴を持っていく予定です。
──本作では、マウントによる移動はとても素早い半面、射撃戦の時の移動はゆっくりだと感じます。この差は意図的なものなのでしょうか?
Mohammad氏:
それは意図したものです。
まず、徒歩での戦闘は、より「戦術的」なものにしたかったんです。 もちろん、エイムや射撃が上手ければ勝てるという「競技としての実力勝負」は残しつつ、ポジショニングや射線管理、カバーを利用するといった要素を重視しています。
一方でオープンワールドにおいては、最初は単なる「移動手段」として始まったものが、新しい戦闘の流れへと変化しました。
オープンワールドは、より流動的な戦闘に適しています。 マウントへの乗り降りが非常に簡単ですし、乗ったまま撃つのも、降りて徒歩で撃つのもスムーズに切り替えられますから。
僕が気に入っているのは、フィールド上での戦闘は「選択」の要素が強い点です。距離がある状態から始まりますからね。 もし交戦を決めて、相手がカバーに隠れたとします。そうしたら、すぐにマウントに乗ってダッシュで回り込み、スライディングでマウントから降りて別の遮蔽物に入り、新しい射角から相手を狙う……といったチャンスが生まれます。
もちろん、相手も同じことをしてくるかもしれません。 互いに回り込んだり、マウントから撃ち合ったり。これは、閉じたエリアであるレイドでの慎重で戦術的な戦闘とは全く違うプレイ感になります。
この2つの戦闘スタイルを1つのゲームに共存させられたのは、素晴らしいことだと思います。なぜなら、プレイに緩急が生まれるからです。 数分ごとに、似ているようで異なる体験ができるわけです。
ですから、それは完全に意図的なものであり、ゲームのテンポを良くするのに役立っていると感じています。
──皆さんは『Call of Duty』や『Apex Legends』など舞台や設定が確立された作品に携わってこられました。『Highguard』ではファンタジー世界で銃や魔法を撃ち合うという世界になっています。なぜこの方向性に決まったのでしょうか? そして『Highguard』のハイブリッドなファンタジーをどのように定義しますか?
Jason氏:
私たちはチームとして新しいことに挑戦するのが好きなんです。これまでミリタリーものやSFものはたくさんやってきました。ファンタジーも大好きなのですが、そこに「自分たちなりのひねり」を加えたかったんです。
また、私たちは地に足がついていて人々がそこで生きている感覚のある世界観を大切にしています。 だからこそ、銃やマウントについては、プレイヤーが馴染み深さを感じられるものにしたかったんです。
ですが一方で、うちには才能あふれる、そして「クレイジー」なデザインチームがいて、彼らは派手なアビリティや、ぶっ飛んだ新しいアイデアを試すのが大好きなんですよ。
そうしたアイデアをすべて受け入れて、創造性を最大限に発揮させるためには、それらを包摂できる懐の深いフィクションの世界が必要になります。
そして同時に、それらがバラバラにならず、ひとつの繋がった世界だと感じられるように形を整え、範囲をコントロールする「規律」も必要なんです。
個人的な、ライティングチームとしての視点からお話しすると…… 私はハイ・ファンタジーが大好きです。ですから、あの冒険心や「驚きと畏敬の念」といった感覚を取り入れたかったんです。それをリアリティのある戦闘と融合させることで、ユニークな体験を作り出そうとしました。
そして、このレシピの最後の仕上げとなるのが、「テクノロジーvs魔法」という概念です。
私が過去に愛したゲームやIPの多くは、「古いやり方と新しいやり方」というテーマを扱っていました。 その2つが衝突したとき、本当に興味深い物語やキャラクターが生まれるんです。私たちは今後の運営を通じて、そのテーマを広げていくことを非常に楽しみにしています。
Mohammad氏:
おっしゃる通り、僕らは長い間、現代戦のミリタリーシューターやSFシューターを作り続けてきました。 僕らがEAを離れた理由の一つは、ホームランを狙うような大きな挑戦をして、大きなリスクを取りたかったからなんです。
『Apex Legends』があれだけ成功している状況下では、そういったことはなかなかできませんでしたし、『Apex』を急に全く別のゲームに変えてしまう、なんてことはできないわけですから。だからこそ、新しい会社を立ち上げたかったんです。
その非常に分かりやすい例が「シージタワー」です。 あれはデザインの観点で言えば、最初は単なるリスポーン地点として始まったものでした。
でも、そこから世界観やファンタジー要素を作り込んでいく過程で、敵の拠点を攻めるシチュエーションを考えたときに、ふとクレイジーなアイデアが浮かんだんです。「『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくるやつの超クール版にしたらどうだ?」って。あの巨大な攻城兵器が迫ってくるシーンのことです。だから「よし、あれをやろう」となったわけです。
一度それを決めたら、そこからまた新しいアイデアが生まれました。「じゃあ、上から降りるゲートを付けよう」とか。そうすることで、単なるリスポーン地点ではなく、そこから射撃もできる「自分たちだけのミニ要塞」へと進化したんです。次から次へとアイデアが湧いてきました。
こうしたことが起きたのは、僕らがこれまでやったことのない領域に足を踏み入れたからです。 それが多くの創造性を生み出してくれたんだと思います。





